表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/292

第50話 終わりと始まりの夢を

次回は2月4日更新です。

本日は久しぶりの急展開!


あたしの隣で今現在、阿鼻叫喚の図(笑)が起きておりますが…………、さて、あたしはどうしましょうかねぇ〜。


「サキ殿、魔物の方は姫様にお任せで構いません…………もう何を言っても無駄ですから」


……………セルカさん、マジで諦めてるし。


「俺達は結局、どうすんだ?」


「実は森の幻術を、問題が無いと判断した時点で、解いて頂きたいのです、後始末を含めて、ですが」


「え? 勿論やるわよ? 術の痕跡は残すとマズいので」


流石に今回はヤバイので、あたしもマジで何とかして消さないといけないんですよ! 樹英(じゅえい)様の暴走した痕跡を、何としてでも!!


「それからなのですが、今現在、皆様はシャーロット様が保護した客人という身分になっております、ファイ殿とジュビアン神官殿には伝えてありますのでご心配なく願います、後のお二人ですが冒険者の身分証持ちでしたので、依頼をしておきました、流石に保護した客人扱いは彼らには適応出来ませんでしたので」


うん? 何故に急にそんな話になったの? すまないけど、誰か説明プリーズ!


「もしかして、姫さんがこっちに来ちまったからか? 確かにそうすれば、綺麗に収まるが…………」


怪訝そうな翔太。それでもあたしより状況を飲み込めてるもよう。流石、二回目勇者。政治が絡むとあたしも読み切れないからね…………。翔太もだけど、和磨くんも強いんだよねぇ。政治が絡むと。ほら、和磨くんの家は病院だったから、政治家さんとかの繋がりとかあったみたいでね。


「いえ、その他に少々マズい事態になっております」


「「え?」」


セルカさんの濁した話し方に、あたしと翔太の声が重なった。


「先程申し上げたように、お二人は保護された事になっています、姫様が来た時点で、これは決定した事として通知されておりますので問題はないのですが………、実はクラリオン王国に書状を出し、皆様を保護した旨を伝えた所、あちらより慌てた様子で帰国を求められまして………」


「はい?」


おかしいでしょ、それ。だって国には優香ちゃんや、和磨くんもいるのですよ? 余程の事が無い限り、帰国を求めたりしないはず。


「セルカさん、ちょっといい? もしかして勇者が他国で活動とかしちゃいけないとか………制限はありませんよね?」


「はい、ございませんよ、ただし、身分提示と活動内容等を国にしてもらう事になりますが」


「それ、いつの事ですか?」


「今朝の事になります」


魔法で郵便が出来るらしく、それで伝えたんだって。国同士はこれで細かく連絡とってるそう。


「んー? じゃあ何で帰国?」


結局、堂々巡り………。


「あー、とりあえず、咲希、森の中を片付けようぜ」


「だね」


途中でファイさん、ジュビアン神官と合流し、森へ向かう。その際、ファイさんにメチャクチャ号泣されるという貴重な体験をしましたよ。うん、野郎の泣き顔なんていらんわ。例えあたし好みの顔だとしても。それはそれ、これはこれである。

その中で、ふと思う。あの二人がいるのに帰国を求める理由。


(厄介事の匂いが漂ってるわ………後で、夢を渡ろうかしら)


陰陽術には夢で会いたい人に会える、なんてロマンチックな術がある。今回は緊急性があるようなので、一応今夜辺りにでも試してみよう。


「咲希、そろそろ幻術を解いてくれ」


翔太に呼ばれ、はっとして前を見る。いけない、いけない。しっかりしないと。後片付けが残っているんだから。


「それは待って、中にはまだ魔物がいるんだから」


「中にどれくらいいるか分かるか?」


翔太よ、少しは自分でやれよ………。思わずジト目で翔太を見ると、何やら盛大に慌て出した。


「に、睨むなよ! 俺はカウント系の呪文使えないんだよ!」


……………二回目勇者なのに使えないやつ………。


どうやら視線で考えている事が分かったらしく、翔太は目に見えて盛大に慌て始める。


「しゃーねーだろっ! 俺はもっぱら前衛ばっかやってて、補助は別の得意な奴に頼んでたんだからよっ!」


なるほど、翔太は前の世界では希望の星だった訳だから、有能な人々が集まって来てたんだろう。


「まあ、いいわ」


使う呪文は『カウント』。勿論、効果は数を数えて教えてくれるというもの。


「数は………百を切ってるわね〜、うん、これなら問題ないわ」


「あの、サキ様?」


今まで黙ってたファイさんが、やや困り顔で此方を見ていた。え? あたし何かした!?


「残った固体は強い物ばかりのはず…………、このまま幻術を解いても大丈夫でしょうか?」


あ、そっちか。


「大丈夫だよ、なんてたって、これからあたし達で狩りに行くんだから♪」


「…………えっ?」


「ん?」


あらら、ファイさんが固まってしまったわ。同じくジュビアン神官も。当たり前じゃない! あたしはきっちりと最後までやるわよ!


「ファイ、諦めろ」


「ショータ様ッ!」


「咲希は一回言いだしたらきかん」


それを言われたファイさん、文字通りガックリと肩を落としました。失礼な、あたしだって言われた事くらいキチンとやるわよ!


「その前に咲希、幻術解け」


何だろう? この無性にイライラする理由は。これ、キレていいかしら?


「ヒッ………サ、サキ樣?」


「ワルかったから、分かったから、殺気は押さえろ!」


ファイさんは顔を引きつらせ、翔太は腰が引けてた。どうやら無意識に殺気を出してたもよう。すまん、無意識だった。悪気は無いが悪意はある(笑)


「サキ樣、遊んでいないで、早く幻術を解いて下さいませ」


あ、ジュビアン神官に睨まれた。はい、ごめんなさい。


翠嵐(すいらん)、風で(たつ)に伝えて―――――(たつ)、聞こえる? 幻術解いていいわよ、あと戻ってらっしゃい」


翠嵐(すいらん)が顕現し、優しい風が頬を伝う。あたしの髪や服も風に翻る。


『御意』


風が(たつ)の答えを伝えて消える。次の瞬間、一瞬にして森の幻影が消えた。

相変わらず、仕事が速い事で………。


『咲希様、樹英(じゅえい)殿の作った罠は如何されますか?』


あ……………。


『やはり忘れておりましたか………』


(たつ)の口調が呆れてるよね!? あたし、主人だよね? あれ、何か自信なくしそう………。


『幾つか早く解かないと、マズい物もありますが』


「え゛………マジで? うん、樹英(じゅえい)様、解いて下さい」


(たつ)が戻ると、入れ替わるように樹英(じゅえい)様が顕現。はあ、爺様よ。あんまりはしゃがないで下さいな!


翠嵐(すいらん)、ありがとう」


『おおきに、主人はん』


ふぅ、おじいちゃんて皆こうなのかしら………?

翠嵐(すいらん)は綺麗な礼をするとお札に戻りましたよ。本当によくできた式神様です。


『主人よ、解いたぞ………これで痕跡もないはずじゃ』


「お疲れ様、お爺ちゃん」


『ほっほっほ』


高笑いをしながら戻る彼を尻目に、いざ、あたし達はいかん! 混沌とかした………訂正、混沌と変えてしまった乙女の森へ。


「前衛は俺がつく、ファイは咲希の隣で頼むぜ、二人はあんまりファイから離れないように、咲希、お前には悪いが式神を一人出しといてくれ」


「了解〜」


さて、誰を出そうかしら………何て考える必要はないわね。(しろ)を出したまんまだったわ(笑) このまま白は出したまんまにして、翠嵐(すいらん)を喚びましょう。


翠嵐(すいらん)、護衛をお願いね」


『確かに受けましたわ〜』


その後は、さくさく進みましたよ。えぇ、ビックリするくらい上位の個体が残ってましたがね!


「ショータ様ッ、そいつはソードスネーク、上位の個体です!」


ファイさんが詳しい解説をしてくれるお陰でもありますがね。だって大抵は翔太を前に撃沈。さらに翠嵐(すいらん)の風の刄で、卸されていきます。あまり詳しい描写はいらないよね?


「後どんくらいだ?」


さて、あれから2時間程、狩りまくりましたが、上位個体はかなり減ったもよう。うん、もう大丈夫だろう。


「帰ろっか」


「おう」


魔物の素材はキチンと取ったし、内臓物等は燃やして灰に。後始末もバッチリですよ!



◇◇◇◇◇


Side:和磨



さて、時間は少し遡り――――。

咲希さん達が、クラリオン王国より旅立ち、7日目となったこの日。まだ城は、平穏の中にいたんだ。


「やっとヒマリちゃん達、馴れてくれたね」


「だね、疲れたよ、今日は」


優香さんとそんな会話をしつつ、僕達は城の廊下を歩いていたんだ。今日は晴天で、日向ぼっこをしたら気持ちよさそうだなー。何て考えながら、この後の予定について優香さんと話してた。


「私はこの後、神官様に聖魔法を教えてもらうんだ、和磨くんは?」


最近の優香さんは毎日が楽しそうだ。いや、無理をして楽しくしてるんだろうな。いつも咲希さん達を心配してるし。


「僕は王宮の魔術図書館に行こうと思うんだ」


実は、咲希さんの様に自由に魔術を使いたいと、密かに僕は特訓を始めていた。同じ後衛でも、僕は咲希さんの様に攻撃も防御も自由に扱えないし、種類も少ない。唯一の自慢は、補助の呪文や治療に関しては、僕の方が使う頻度が高い事と、自分の身くらいは守れる事だった。咲希さんは、補助を使う事は少ないし、怪我をしても式神さんに頼んでる。だからこれは、僕が出来るようになりたい。


「和磨くんは凄いね! 咲希ちゃんが戻ってきたらビックリするよ!」


「そうだね」


まさに、それぞれの場所へ向かおうとした、その時。


「誰かぁぁぁ―――!! 誰か来てぇぇぇ―――――――!!!」


城中に響き渡るような、女性の悲鳴。


「あ、れ?…………この声」


「間違いなければ、エリー様だよね?」


「うん、何かあったのかな?」


「とにかく行こうっ!!」


「う、うん!」


僕達が慌てて駆け付けて、部屋のドアを開けると、そこは信じられないような事態になっていた。


「エリー様ッ!?」


部屋の中には倒れたエリー様と、そしてもう一人。エリー様とよく似た女性が倒れていた。白い神々しいドレスを着た女性は、誰だろうか?


「一体、何があったんだ?」


この呟きは、僕のこの時の心からの本心であった。


読了お疲れ様でした!


はい、秋月煉です。


最後、上手く締まらない展開となりました本日のお話。次回はサキちゃんが陰陽師として頑張りますよ!

今回は執筆が思いがけず進みまして、少し余裕があります☆ こんな奇跡は、いつぶりでしょうか(笑)

そして次の次のお話で、ようやく、ようやく!です。城にいる和磨くん視点へ参ります。はあ、長かった…………(_´Д`)ノ~~


しかし、これからが大変です。陰陽師の資料とにらめっこが始まります。呪文集、マジでありがたい助っ人です。


こちらを読んでいらっしゃる読者様、良い資料がありましたら教えて下さいませ。宜しくお願いしますm(__)m


さて、本日のミニ小説を久方ぶりにどうぞ♪



和磨:こんにちは、お久しぶりです!

咲希:疲れたー………。

和磨:咲希さん、挨拶くらいしようよっ!

咲希:だって休む暇無く絨毯でむかってるんだよ!? 疲れるって!

和磨:………それは確かに。

咲希:急ぎたいから、あたしが絨毯の運転するって言ったのに、皆で遠慮するんだよー………早く帰りたいのに………。

和磨:(多分だけど、暴走運転されそうだからかな?)ほ、ほら、咲希さんは帰ったらやることあるし、だからだよ、きっと!

咲希:ぶー。

和磨:膨れたってダメだよ(笑) こっちも忙しいんだから。

咲希:あー、和磨くん、確か魔法図書館に籠もってるんだっけ?

和磨:出来る範囲は僕もやるよ。

咲希:次回から頑張るよ☆



シリアスのはずなのに、シリアスになりませんでした………。何故だ!?



感想、ご意見、ご指摘、ご質問、リクエスト、誤字脱字、いつでもお待ちしております。なお、メンタル弱いので、優しくお願いしますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ