第46話 疑いを晴らしましょう…?
次回は12月31日です♪
今年最後の為、特別版でお送りします。特別版への質問、まだ受け付けておりますので、どしどし送って下さいませ〜♪ 締切は作者の都合で12月25日です。ご了承下さいませ。
「翔太、いいのよ? 隠さなくても、あたしは無理だけど、きっと理解してくれる人はいるはずだから………」
普段からは信じられない程に優しい、あたしの声。
「だぁかぁらぁー! ちげぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!!?」
天を仰いで、翔太は絶叫した――――――――。
拝啓
地球にいるお父さん、お母さん、弟よ。元気に暮らしていますでしょうか? 異世界に召喚されたあたしは、どうやら、とんでもない時に着いてしまったようです………なんて。
内心、現実逃避したくなる気持ちも何卒分かって下さいな。はぁ〜……。
上空を凄い早さで翠嵐に飛ばしてもらい、戦闘に巻き込まれないように、少し離れた所で下ろしてもらい、徒歩でトテトテと歩いて翔太に近づいて行ったあたし。
その時は、凄い戦いしてるわー! って感じでいたんだけど…………急に翔太の体が動かなくなったんだよね。疑問に思ってたけど、すぐに居合いの型に入ったから安心したんだ。魔族の絶叫と共に、戦いは終わったかに見えたんだけど……………。
数秒後、魔族の鎧がガラガラ音を立てて崩れ、その………ホモホモしい現場を見てしまいまして、ネ??
只今絶賛パニック状態な訳です。
「咲希!? 頼むから、マジで話聞け! いや、マジで聞いて下さい!!」
あら、ちょっと虐め過ぎたかしら?? 何だか、翔太がマジ泣きしそうなんだけど……………。というか土下座しそうな勢いです。
「俺はノーマルだ! 本当に、本当にマジで!! 頼むから変な誤解しないでくれぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
あ、マジで翔太、泣いちゃった。あー、そんなに嫌だったんだ?
前にもあたしの勇者様☆なクリスチャン・ディオールさんとの噂を流され、修羅場作ってたみたいだけど………………あ、最後はきちんと和解?理解?してもらったようです。
確か、元凶は城のメイドさん達の一部だったかな? この世界では貴重な腐女子だったり貴腐人な方々にとって、勇者はいい題材だったらしく。
哀れ、勝手にお話を作られちゃったみたいなんだよね…………。アハハ。
勿論、何であたしが知っているかというと、どうやら秘密の会のメンバーが話しているのを、第三者の全くと言っていいほど真っ白なメイドさんに聞かれてしまったらしく、大事に……………。この時、あたしの耳にも入ってきたんです!
「本当に、翔太って巻き込まれるわよねぇ、色々と」
確かあの秘密の会のメンバーは、ディープ系な恋愛もの等も嗜んでいたようで、あたしと優香ちゃんの物もあったそう……………。
いやね? 実際に読んだメンバーに教えて貰ったんだ。優香ちゃんのは純愛ストーリーやヒストリカル風だったり、乙女の願いの様なお話が多かったらしいんだけど、あたしのは何やら泥沼展開やら、擬似大人化やら、犯罪臭がする、何か色々と突っ込みたい話ばっかりだったからさ? 別にオコッテナイヨ??
あたしだけ純愛ストーリーが無かったからってオコッテナイカラネ? 本当ダヨ??
「お、おい? 咲希? いきなり殺気なんて出してどうした?!」
あら? 無意識に殺気放ってたみたいー? 最近こんな事なかったのに………。きっと嫌な記憶を思い出したせいね。うん、きっとそう!
「大丈夫よ、問題ナイワ」
「いや、目が据わってるんだが…………?」
かなりびびっている翔太には悪いが、お前、二回目勇者だろ?! 一々、殺気ごときでビビるなよ!!
「お前の殺気は無理だ! それだけで人殺せるようなシャレにならんもの、慣れるわけないだろ!?」
つーか、あたしまだ何も言ってないんだけど! 勝手に読むなよ、内心を!
しっかし失礼な! 流石のあたしでも、殺気で人を殺した事なんてないやい!!
言い返そうと、そう思った矢先、懐の御札から何やらイヤーな感じが……………。人はこれを悪い予感と言うけれど、あたしは分かる。これは紛れもない怒気…………そして殺気である、と。
『…………翔太様、いくら同郷の勇者仲間とはいえ、少々お言葉が過ぎるようですが?』
そこから聞こえてきたのは、地を這うようなひっくーい声。
普段はコロコロ笑う、おしとやかな姫君、春。彼女は普段は心優しく、弱った存在を助ける救護の神様なのだが、そう、“なのだが”がつく! 彼女はキレた場合、あたしでは絶対に、絶対にだ!! 大切だから、2回言う!!止める事は出来ない。あたしでは…………。
勿論、先に言っておくが、彼女は攻撃力がないため、緋ノ斗のバカのようになるわけはない。
が、御札から出てきた春の姿は、普段からは想像出来ない鬼神の姿…………。彼女から感じる神気は、普段は春風のように優しいもの。しかし今は、どぎつい程にピリピリした過激なものだ。まさに背に夜叉を背負うようなもの。
「お、おい………!?」
唖然として動けない翔太の許へ、滑るように動く鬼女……春。
『我が主人に対する侮辱の数々……………主人がこうなってしまった理由すら、貴方は気にせずもの申すのですね…………』
春が怒っている理由に検討がついてしまい、思わずあたしは右手で額を押さえた。例え鬼女に見えても、春の心、根本的な部分は変わらないから。
「春…………余計な事は言わなくていいよ、それは恐らく、彼は知らない方がいいものだから―――――翔太だって、前の世界で背負ったものがあるはず、それ以上は侮辱になる」
思った以上に冷たい声が、あたしの口から零れた。
普段、彼は何も見せないけれど、あたしだって同じ経験をしているから、翔太が背負っているものは何となく分かる。
―――――あたし達、勇者が背負うものは、国の平和と民の命………。陰陽師とて、それは同じなんだから。
2回目勇者たる翔太は、それを既に背負っているの。
「春、戻りなさい」
主人として、止めるしかないじゃないか。あたしの為に怒ってくれる心優しい少女に、言いたくは無いけれど―――――。
『しかしっ!』
「戻って、春」
とても静かな声が響く。自分の感情が何もこもっていない、平淡な声。
『――――ッ、御意のままに……………』
あたしの意志を尊重してくれた彼女は、すっと頭を下げると最後に威嚇するように翔太に一睨みしてから、お札へと戻った。
でもね、例え平気な顔をしていても、心の中では思うんだ。
―――――ごめんね、春。あたしは綺麗な勇者じゃない。皆の様に、頭を下げてもらえる勇者じゃないんだよ?
他の人だったら、これが優香ちゃんみたいな勇者なら、翔太が言ってる事が正しい。翔太の冗談やノリ程度で済まされる。でも、あたしだと訳が変わってしまう。あたしは普通の生まれじゃないから。
――――――陰陽師、光と闇を操る術者。背負うものだって、同じなんだ。15歳のあたしだって、背負うものがあるんだから。
「咲希………お前………」
まだ動けない翔太には悪いが、あたしが全てを許すと言った訳ないじゃない♪ このままさ〜?
「翔太、気付いてないよね?」
何をとは聞かない。今ので感のいい人間なら気付いてしまったはずだから。
―――――あたしの手が既に、染まってしまっていることに…………。
「気付いても、黙ってなさいよ? 流石のあたしも、あんたの記憶を消すなんてやりたくないから」
陰陽術には、他人の記憶を弄る事が出来る術があるのだ。流石に仲間に使いたくはない。一歩間違えたら、ヤバイ事になるしね?(・・;)
「あ? あぁ……分かった」
コクコクと必死で首を縦に振る翔太。何か首振り人形みたいね(笑)
ま、これくらい脅しとけば、こっちはいいだろう。顔色も無事に悪くなったし♪←えっΣ( ̄□ ̄;)
「さーて、お待たせしましたね〜? 魔族さん♪」
そこには、今まさに逃げようともがく、黒のパンツ一丁の魔族男さん。
……………決して、レディの前に出してはいけない“変態さん”です!!
ま、あたしが術でさっきから足止めしてたんだけど(笑) テヘ☆ あたしってば、気がきくんだから♪♪
内心、自画自賛☆…………痛いな、あたし(__;)
「ところで咲希? オレでさえ、こいつの魔力は押さえるの無理なんだが…………何でこいつは捕まってるんだ??」
あら、いつの間にか復活してたのね、翔太。まあ、いいや! しかし翔太、呆れてませんかね? あたし、変な事はしてないよ??
「んー? 陰陽術で鎖出して縛った☆」
魔力じゃ逃げられるけど、あたしは陰陽師なのです。陰陽術使えば問題なーし☆
「んな馬鹿なっ!!??」
頭を抱えた翔太よ? 君、本当に失礼だな!? こんな時にはアレだよね♪
スパ〜〜〜〜〜ン!!!
素晴らしい音と共に、何やらピクピクした物体がいるけれど。あえて無視させて頂きます。
でもさー、魔族さんには責任とって貰って、コノママ、オ仕置キハヒツヨウダヨネ?? 国に攻め入った訳だし?
すっと右腕で印を組む。
『オン!』
さーて、魔族さん? あたしのストレス、受け取って下さいな??
ここまでお読み下さり、ありがとうございますm(__)m
今年もあと1週間程になりました。いろいろありましたが、今年は一回も休まずに無事に水曜更新が出来た事がとにかく嬉しいです。
さて、次回は特別版ですよ〜♪
なので、特別版に出す質問を募集しとります! テンシロ、勇者メンバーと作者自身に対する質問が募集対象です。なお、特別版はミニ小説のような形でやりますので、名前出しオッケーな方は其方の旨も書いて下さいね☆
メッセージ、コメント、感想、どこでもいいですよ〜。勿論、作者に届くようにお願いしますね!(笑)
なお、ついでに新年祭りの報告もしておきますね!
皆様から頂いたリクエストで、お話を書きたいと思います! 結構挫折してますが、どなたか心の優しい方…………、何卒清きリクエストを!!!
なお新年祭りは、リクエストがあったら、開催しますね…………。一人でネタ作ってやるのは淋しいのですよ(T_T)
年末、恐らく現実の忙しさに負けそうですが、意地でもやりたいのですよ!! 宜しくお願いしますm(__)m
此方の締切は、12月31までです! お間違えのないように!
さーて、クリスマスネタでミニ小説いきましょう☆☆
〜とある日のクリスマス〜
咲希:こんにちはー!
優香:今日はクリスマスイブだよ☆
咲希:………恋人いない人には辛い日よね(汗
優香:咲希ちゃん………、そういえばこっちの世界にもクリスマスあるのかな?
咲希:よし♪ ファイさん呼ぼう!
………少々お待ちください。
ファイ:はあ、はあ、はあ、よ、呼ばれたので、参りましたぁ。
咲希:大丈夫?
ファイ:はい!
優香:ファイさん、こっちにクリスマスってあるんですか?
ファイ:クリスマス?
咲希:あのね、斯く斯く然々なのよ。
ファイ:あー! それでしたらありますよ! サンティーの日ですね!
咲希&優香:なにそれ!?
ファイ:大体一緒ですよ。昔の勇者様が始めた文化で、王族の方が恵まれない子供達や、平民の子供達にプレゼントする日なのです。貴族も例外なくやりますね。
優香:凄いね! 子供達にプレゼントなんてサンタさんみたい!
ファイ:この日は子供にとって、特別なものなのですよ。
咲希:それは何処の世界でも一緒なのね(笑)
皆様が素敵な聖夜を過ごせますように……………。
メリークリスマス☆☆☆
感想、ご意見、誤字脱字、リクエスト、いつでもお待ちしております。年末特別版への質問、新年祭りへのリクエストも合わせてお待ちしております! 何卒、宜しくお願いしますm(__)m