第45話 バトルな森の戦士さん?
次回は12月24日に更新します。
本日のお話の中で、後半部分に特定の方々にとって不愉快に思われるかもしれない表現がありますが、比喩として使っている訳ではありません。どうか、ご理解下さいますよう、お願い致します。
Side:咲希
森の外へと只今、あたしこと咲希ちゃん☆は移動中なのですが……………。
「なーんか、あっちの方から爆発音が連発してるんだけど………」
多分ね? 多分なんだけど、何か異常事態が起きたな〜んてあるわ…………。
『主人はん! 翔太はんが魔族と戦っとるわ!!』
………けがない、とは最後まで言わせてもらえなかったわね(・・;)
あたしの背後に陣取っている翠嵐は、風を使ってリアル実況生放送?してくれてるんだけど、さっきから、あたしの胃をガンガン削ってますよ!!(涙)
「どっちが有利なの?」
頼むから問題だけはありませんように!
魔族なら生半可な準備で戦える相手ではないわけだしね。
でもなー………、翔太が負ける訳なさそうなんだよねぇ〜。だってさ? 二回目勇者だよ?? 余程の事が無いかぎり、負ける訳がないでしょ。
なんて内心で説明しているうちに、翠嵐は戦いの有利性がどちらか確認してくれていたようで。
『あー………五分五分やな』
ん??
「あたし、耳がおかしくなったかしら? もう一回、お願い」
今、あり得ない言葉が聞こえた様な気がしたけど、まさかねー!
『せーやーかーらー!! 五分五分! 互角な戦いしとるんよ!! ―――――何やろ? 翔太はん、魔法一切使っとらんから………違和感が………』
前半、滅茶苦茶に騒いでいた翠嵐なんだけど、後半、妙に困った顔になってしまって。
「翔太に限って、そんなわ…………っ!」
一つ、気になっていた事があるのだ。
翔太は先程、最上位の呪文を唱えた。あれだけの威力、魔力とてかなりの量を使ったはず。
さて、ここで。魔力が無くなったり、極端に少なくなった場合、どうなるのか。
こちらの世界では、体調に出るらしい。初期状態だと汗、次に眩暈、最後に失神。最悪、命すら危なくなる事すらあるらしい。
今回の場合、翔太は勇者って理由からか、魔力量に関してはかなり高い。宮廷の魔術師の平均が100としたら軽く倍以上はある。はたしてそんな状態の翔太が、あの巨大な魔術をぶっぱなしたらどうなるか??
軽くて汗、最悪めまい、かと思う。実際に戦ってるしね?
でもさー、魔法一切使ってない状態って、マジでヤバイよね?!
「翠嵐! 緊急であたしを翔太の所まで飛ばして!」
指示を出しつつ春をお札に戻し、なくさないように懐へ。多分、彼女の力が必要になるからね。
『ほな、一気に飛ばすえー!!』
翠嵐のテンションがおかしい気もするけれど、まあ、緊急だしね?
それでは空の旅へ、レッツゴー♪
◇◇◇◇◇
Side:翔太
「はあっ!」
先程から、魔族のバトルアックスと俺の剣で切り結んでいるが、冗談抜きで地面に足が埋まりそうな勢い。俺の攻撃は流され、躱され、全く意味をなさない。逆に奴は俺の不意を突き、シャレにならない威力で攻撃してくる。さっきから、凄い回数の爆発音がしてるのは、奴の攻撃の所為である。
つーか、地面が消えるとか、シャレにならんだろ!?
まさか、魔族でここまで強い奴がいるなんて思わなかった。
完全にこいつの強さを計れなかった俺のミス。自分の命と直結するこの感は、絶対に見誤るなと、前の世界の師匠にたたき込まれたというのに……………。
師匠、マジですまん。
「しっかし、本気を出したらなぁ」
実は俺、やつの攻撃、防御、タイミング、技、全てを確認する為に、今現在、魔力を一切使ってない。使わなくても思考出来る分の余裕があるからなんだが。
魔力を使うと魔力の流れを読まれ、強さ等もあっさりばれる。さらに、相手の強さを計るときに自分の魔力に意識を持ってかれちまうから、相手の力量をきちんと計れないんだわ。
子供の頃から魔法と馴染みがあるこちらの人々と違い、俺は魔法の無い世界の人間だ。せいぜい数年、魔法を扱った程度。流石に無理だ。
「どうしたっ! 小僧、考える暇などないぞ!!」
「んー? あんたこそ、いつまで遊ぶ気だ?」
「……ほう? 気付いていたか」
ニヤリと笑うヤツは、一気に魔力を爆発させやがった。俺は地面を強く蹴って、奴から距離を置いた。思考してても、切り結んでいたからな(笑)
全く、師匠様々だぜ。
「あっぶねぇー!? まあ、お互いに力比べはそろそろ辞めようか……………?」
「なに?」
怪訝そうな奴には悪いけどさ。全力だしてないの、普通に分かるから。力は強かったが、技を使うわけでも無く、ただ剣で切り結ぶだけ。明らかに様子見だよな?
「チッ、俺様相手に様子見とは随分余裕じゃねぇか…………ガキがっっっ!!」
奴は足に力を込め、俺へと突進しつつ武器も構え。
うん、本気なんだな、やっと。んじゃ、ようやく俺も本気だせるな!!♪
「これで終わりだぁぁぁぁぁ!! 小僧っっっ!!!」
俺が一切動かないのをいい事に、奴は自分の武器を大きく振りかぶる。風が唸りを上げる程の勢いを殺さずに、俺へと全てを向けてくる。
痛いくらいの殺気だ。強さを表すのに闘気とでも言えばいいか。それすらも桁違いの強さを感じた。間違いなく一流クラスのもの。
普通なら、腰が抜けて失神レベルなんだよなぁ。
だけどさ? これが楽しいと感じる奴はどれだけいるんだろうな?
「わりーな?」
多分、オレ今さ? ニヤニヤがとまらないんだわ。ゾクッとするこの感じ、前の世界でも何度も経験したからさ。
―――――強敵に会った武者震いは。
奴はもう目の前。だが俺も何もしてないわけじゃない。腰を落とし、剣を腰に。
「一線っ!」
昔、まだドラゴン退治に行く馬車の休憩の時に、咲希に見せた技で、居合いの一つだ。目に見えない早さで切り付ける技。
「ぐぁっ」
奴が呻き声を上げる。そりゃあな、当たり前だ。大きく振りかぶった状態で、腹部を見えない刃が通過していく。
「安心しろよ? 命はとらねーから♪」
久しぶりにいい気分にさせてもらったからな。こんな基調な人物を殺すなんざ勿体ない!
ま、悪戯は許してくれよ?
「…………ん? 痛くない、だと?? 確かに切られたはず………」
すっとんきょうな顔をしている奴には悪いが、大の男がしていい顔じゃないだろ。消去だ、消去。慌てて頭の中から消し去る。
「ああ、切ったぜ」
「なら、何故オレ様は生きている!?」
「あと、5秒!」
「はあ!? 貴様っ! 何言ってる! ふざけてるのか!!」
5、4、3、2、1………
………ガコッ、ガラガラガラガラ……
「なあっ!? なんだこりゃぁぁぁぁぁぁ!!??」
真っ赤な顔をして、草原のど真ん中で騒ぐ中年の男。
うん、脳内から削除しよう。しっかし。
「ぷぷっ」
ヤバイ、笑いが押さえられない!
「笑うなっ!」
「無理っ!」
即答で拒否したぜ☆ つーか、マジ無理!
「はーはっはっはっはっ――――――!!」
「笑うなっ!?」
真っ赤になってるとこ悪いが。
だってだぞ?
草原のど真ん中で、顔を真っ赤にしながら騒ぐ、パンツ一枚の男性…………。
笑うしかないだろ!?
「つーか、鎧の中に何か着ろよ!」
オレ、マジで鎧しか切らなかったんだがさ。普通、鎧の中に何か着るだろ!
「これは特注品だったんだよ!」
「それでも着るだろっ! 普通はさ!」
あ、うなだれちまった。四つんばいになり、ガックリしている。形相はこの世に絶望したような、暗いもの。
……………あれ、やりすぎたか?
「まあ、そんな落ち込むなよ」
「お前に言われたくないわ!」
「しっかし、強かったな、あんた」
「これでも魔王国の将軍なんだぜ? あー、カッコ悪りぃ」
「んな事いうなよ、ほら」
「ん?」
俺を見上げた奴は、驚いた顔をしていた。だよな、俺が左手を差し出したんだから。
「お前………」
「楽しかったぜ、あんたとの勝負」
あぁ、男同士の感動のシーン。
「………翔太?」
声に振り替えれば、そこにいたのは若い少女。黒い髪を肩より長い辺りで切り揃え、服装は青の魔導師服。ゆったりしたローブ姿である。顔立ちは全体的に整っており、クリッとした大きな瞳が彼女を幼く見せていた。
「あんた……………そういう趣味があったの……………?」
物凄く誤解されていた。
「おいっ!? そういう趣味ってなんだ!?」
パニック状態の頭で、それでもフル回転させた。後ろにはパンツ一枚の男………それも四つんばい………やつの顔がちょうど俺の腰の高さで…………。
オレ、オワタ……………。
この日、俺はめでたく、同性愛者の疑いをかけられたのだった……………。
俺はノーマルだぁぁぁぁぁ―――――――!!!
読了お疲れ様でした。
本日は如何でしたでしょうか?
最後、翔太が哀れに思えてきました。やりすぎたかなぁ(・・;)?
さて、本日は皆様にお知らせが☆
活動報告に書いたのですが、秋月、年末特別企画をしたいと思います!
内容は、当日まで秘密(笑)
参加したい方は、メッセージかコメントでテンシロ、もしくは作者本人へでも構いません。質問を送って下されば参加したことになります☆ 作品に名前出しオッケーな方は、その旨も記載下さいね(^.^)b
当日、皆さんの名前が作品に載るかも♪
締め切りは、12月25日です。クリスマスまでですよ!
質問の答えは、31日の特別企画話にて全てをお答え致します。
ご参加、どしどしお待ちしております☆☆
さて、本日は余りに翔太が可哀想なのでミニ小説復活です(笑)
翔太:こんちはー………。
和磨:テンション低いなっ!? どうしたのさ、翔太!
翔太:どうしたもこうしたも、斯く斯く然々で………。
和磨:それは……タイミング最悪だったね、翔太。
翔太:もしこの疑惑が取れなかったら…………作者を消滅させたる(真顔
和磨:消滅っ!? 翔太、それは不味いよ!
翔太:大丈夫だ、和磨。俺達の話が終わったら、次は間違いなくお前達が巻き込まれるぞ。
和磨:大丈夫、全力で回避するから。
翔太:………ま、頑張れ。
和磨:それはそのまま翔太に送るよ!
作者:和磨くん達のお話は、現在考えてますのでお楽しみに(笑)
何やら未来が不安な和磨くんでした(笑)
感想、ご意見、誤字脱字、リクエスト、参加の質問、いつでもお待ちしております。