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第42話 さあ、楽しい祭りを始めましょう!

次回は12月3日更新です。

Side:翔太


咲希の方から、猛烈に嫌な予感を感じつつ、俺はといえば。


「ショータ様、サキ様は大丈夫でしょうか?」


隣のファイを気にしつつ、森の境目ギリギリの所を走っていた。つーか、かなり早いはずなんだが、何でファイは息切れさえしてなくて、会話する余裕があるんだ?? 言っとくが、俺は魔力を使って車並みの早さで走ってるんだが。


「あいつには式神がいるし、大丈夫だろ」


そうは思ってないが、まあ、今はそう思っていた方がいい気がするんだ。

あいつは自分が何で気を失ったかさえ、気がついていない。恐らく、精神的な部分でかなり無理をしているんだろう。幸いな事は、こちらの者達が善良な心を持っていた事だろう。だからこそ、余計に自分の精神的な部分に気付かなくなってしまったんだろうが。


「ファイ、そっちから見えるか?」


「いえ、特には」


「予想より進行が遅いな………」


「確かに、そろそろ見えてくるはずなんですが………」


「咲希の方は罠がほとんどだろ? それを抜けて来た奴らは、満身創痍な奴もいるだろうが、無傷な奴らもいるだろう? どんなのがいるか、戦う前に見ときたかったんだが」


弱った。マジで弱った。咲希の作戦は確かに効率的で、準備さえ整えば間違いなく最大の一手になる方法である。が、それでも抜けて来た奴ら、強力な個体には悪手となりかねない部分があった。

まあ、あいつらしく、プランには続きがあったんだが。


「…………罠で死んだ方が楽なんて、初めて思ったよ」


それを聞いたライラに、そう言わしめた鬼畜なんて言葉は生温い作戦は、最小限の労力しかない我々には確かに効率的なんだが。そう、頭では分かってるんだが!


「何でそんな事を簡単に思いつくんだ!? あいつは!」


「ショータ様、今更ですよ…………」


「ファイ、お前、毒されたな、咲希に………」


「そうですねぇ」


若干、遠い目をしたファイに、何も言えなかった。何せ、咲希の一番の被害者といえるのが、ファイなのだから。


「そろそろ戻るか……」


咲希のプラン、その準備に入らなければならない。ここへは僅かな隙間の時間で来たに過ぎない。


「そうですね、しかしショータ様? 時間もギリギリですから、本気を出して帰りましょう」


おやおや、ばれてたか。


「分かった、スピード上げて帰るよ」


苦笑しつつ、視線を向こうへ向ける。まるで何も起きていないとでもいうように、静寂な空間が広がっていた。



◇◇◇◇◇


Side:咲希



久方ぶりの式神様との契約は、思った以上に、すんなりと終わりました!

良かったー! 一番最後に式神契約したのが、数年前だったからさー。間違えたらどうしようかと(笑)


「さてと、翠嵐(すいらん)出て来て」


出来たての式札に霊力を通し、召喚する。すぅっという小さな風の渦と共に、一人の女性が顕現する。

あれ? 女性?


『これからよろしゅうお頼み申します、主人』


丁寧に頭を下げたのは、落ち着いた雰囲気の一人の女性。耳元に品の良い髪飾りを一つ着けている。髪飾りには三つの透明度の高い緑色の宝石がついており、彼女が動く度にシャラシャラと涼やかな音を立てる。服装もこちらの神様らしく、薄い若草色の身体にそったロングワンピース。スカートの部分は、裾にいくほど広がるタイプである。胸元についた花飾りが清楚さをあらわし、彼女の美しさに花を添えていた。風でふわりとなびく、宝石のように輝く緑色の髪を腰まで流すように伸びし。顔立ちは大人びた貴婦人、目は二重で優しげに細められ、肌色は透けるような白。唇は桃色。

優しい顔立ちの女性は、まるで大和撫子を思わせて。


「うん、宜しく! で、早速だけど、何で人の姿なの?」


綺麗な鳥の姿かと思いきや、まさかの品の良い貴婦人の姿に、ちょっと内心ビックリしたのは内緒(笑)


『あら、これは仮のどす、一々、本来の姿やと邪魔やろ?』


確かに。かなり大きい姿だったから、人の姿で助かったかも。


「あー、うん、分かった」


ではでは、納得した所で、改めて参りましょう。


「実はねー?」


こうしてあら方を説明すると、翠嵐(すいらん)は何故か固まってしまった。あらら? どうしたんだろう??


『主人、恐らく彼女の中で理解しようと処理している最中なのじゃろう、そっとしておやり』


好々爺にそう言われたが、事は急を要する訳で。


(はる)翠嵐(すいらん)をお願いね」


式札に霊力を渡し、顕現した(はる)は、銀色の髪を流した儚い顔立ちの美少女であり、桃色の着物を着ている。


『かしこまりました』


とても礼儀正しい女性で、お手本のような綺麗な礼をしてくれる。あたしの式神様は、礼儀正しい方が多いわね〜。

って、ちょっとそこ! 誰が見習えって言った!? あたしもやるときゃやるわよ!!

内心、ブリザードが吹き荒れておりますが。それは横に置いといて。


「幻術は(たつ)にお願いして………、ねえ、樹英(じゅえい)様? 準備は大丈夫よね?」


『ふむ、大丈夫じゃが………、いつ頃来るのかのぅ、魔物の群れは』


「確か………、うーんと? そうだ! 翠嵐(すいらん)は風だし、確認をお願いしましょ♪」


そうと決まれば、翠嵐(すいらん)にいい加減、起動してもらわないと!


(はる)〜☆ 翠嵐(すいらん)は動けそう??」


『だ、大丈夫どす』


何とか自力で戻ってきた彼女は、まだ整理出来てないようで、顔が引きつってる。隣ではそれを見た(はる)が、袖で口元を隠しながら上品に笑っていた。

そんな彼女も、式神契約した最初の頃はあたしのやり方に固まっていたっけ(笑)

懐かしいわー。


しかし、だ。今は一刻を争う訳で。


翠嵐(すいらん)、魔物は今どこにいるか、調べてくれる?」


『お安い御用や、まかしとくれやす』


そういうと、フワリと優雅に浮かび上がり、彼女の周りに風が渦巻き始める。


『ん〜? 主人はん? 魔物は確かに来とるけど…………後、そうやな〜? ………3日くらいかかるで?』


なぬー!?

そんなかかるの!?


「まあ、いいわ、こうなったら、来るまで徹底的に平原と森の周りに罠をたーくさんしかけたるわ!!」




……………………。


何故か辺りが一気にシーンとなったけど、気にしない☆

気にしないったら、気にしないんだもん!!!


『主人よ、随分とストレスたまっておったんじゃな………』


樹英(じゅえい)様、そんな哀れむような目でこちらを見るでない!!


『翔太殿…………、何故に主人を一人にしたんじゃ………』


何かつぶやいてるけど、これから罠をしかけまくるわよ!!


「さあ、やるわよ!」


やる事は山の様にあるんだから。


まずは御札だけど、それは問題ない。蛍火の洞窟で必要だと思って、300枚以上作り上げたんだけど、まさかの不参加。つまり、一枚も手をつけてなくて、使い放題なわけですよ♪


次にこの御札にまとめて術をかけていく。まあ、上級の攻撃呪文を仕掛けておけば混乱させるには十分でしょ。


「オン……」


次に仕掛けるんだけど、これは範囲が凄く広いから一人では無理。なので、翔太と城に罠を貼りまくったあの時の経験を生かして。


「まずは、翠嵐(すいらん)、この札を草原に均等に散らばして飛ばして頂戴」


『これを……どすか?』


怪訝そうな翠嵐(すいらん)だけど、あたしから札を優雅な手つきで受け取り、しげしげと観察中。って、観察してる場合じゃないの!!


翠嵐(すいらん)! なるべく広範囲でお願いね!」


『分かりましたわぁ』


彼女の腕から風が渦を巻き、そして手の中にあった札が、風に舞い上がり広がっていく。


うわー、凄い光景だわ。絶景なり、絶景なり〜。


「んじゃ、(しろ)、後は土に埋めてね?」


バックから出した新たなお札。ただし、(しろ)は滅多に姿を見せない。恐らく、あたしの影にいるんだろう。気配あるし。


「お願いね」


了承した気配と共に、(しろ)の気配が遠退いていく。


さーて、残りは地道に罠を皆で仕掛けていきますか。


「んじゃ、みんなぁ〜、楽しく罠をしかけましょうか♪」


いつもありがとうございますm(__)m


秋月煉です。


本日は予約をすっかり忘れておりまして、只今大慌てで投稿しております。


本日は翔太視点と、咲希ちゃん、二人の視点でお送りしております。


あ、本日はネタぎれのため、ミニ小説はお休みです。


次回は12月3日にお送りします。感想、ご意見、誤字脱字、リクエスト、いつでもお待ちしております。そして、ポイント入れて下されますと嬉しいです。

なお、作者が小心者の為に、優しい文章でお願い致します。

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