第39話 被疑者と被害者は誰?
今回は説明会みたいになりました………。
さて、何やら二人で話し合いを始めたシャーロット様。
「シャーロット様、セルカさん、頼みますから我々にも分かるように説明して下さい」
襲われた身としましては、理由を教えて貰うのは当たり前では?
「それは皆様が揃ってからが宜しいでしょう」
セルカさんに言われ、確かにそうかもと思う。こういう時、翔太の勇者時代の知識が役に立つしね。
「翔太達を呼んで頂けますか?」
勿論、大の男嫌いなシャーロット様は顔をしかめてしまったなんていう、お決まりの落ちがあったけど。
「サキ様、いらっしゃったようです」
それから15分程で、翔太達が来た。ただし、あたし達と別れた時とは、全く別の予想外な姿で。
「えーっと、何故に皆さん正装してるのかな??」
隣ではライラさんが、父親の正装を初めて見たのか、唖然としたまま茫然とその場に立ち尽くしていましたよ。どうやらライラさんの頭の中で、正装の父親を受け入れるのに時間がかかっているみたい。
ジョージさん、それを見てしょんぼりしてしまった。うん、後で幸運が来るおまじないでもしてあげよう♪
次に翔太の姿は、パーティーで見た時より地味だけど、髪をオールバックにしていて、素直にカッコいい。部屋に何人かいる侍女さん達も、顔を赤らめてますし。
さて次に、ファイさんは。
やはりというべきか、正式な軍服を着てました。うわー、カッコいい! 髪は綺麗に結われ、後ろに流しており、普段よりずっとカッコいい!! 青色の軍服が茶色の髪に映えて、もう好きになりそうです☆ 勿論、冗談だけど。
そして最後に、ジュビアン神官なんだけど、彼も正装です。白のゆったりした凛々しい姿。何人かの侍女さん、口元押さえてますけど、まさか鼻血………。いえ、あたしは何も見ていない。うん、見ていないったら、見てないんだから!!
「遅くなりました、皆さん、お待たせしまして、申し訳ありません」
正式な礼をしたファイさんに、勿論、あたしはハテナ。他国だからかな?
「サキ様、ここは女性優遇の国だと申したはずですよ」
「うん、さっき聞いたけど、どういう事? 何で皆、正装なの?」
意味が分からない。
「サキ様、我が国では男性はあまり立場が強くありません、家を継ぐのは女性しか認められませんし、我が国では女性しか生まれませんから、男性は皆様、お婿さんなのですよ、浮気なんてしたら重罪にされますし、ね」
…………。
セルカさん? 凄く素晴らしい笑顔で、何かとんでもない事を言いましたよね!?
「そして、この国では男性は普段はともかく、今回のような場合は正装でいるのが正解でしょう、ここでは男性を嫌悪する方もいらっしゃるので…………」
ファイさんの言葉に、さらに納得。確かに、嫌がっている方もかなりいましたねー。正装でいれば、お客様扱いだから、下手にからまれないと。
「じゃ、さっきの話をしてもらえますか」
シャーロット様は、かなり苦々しい事らしく、眉間に皺がよっている。それを隣でセルカさんが笑っていたり。仲いいね〜。
「おい、咲希………変な事に首突っ込んでないだろうな?」
翔太は何やら感じ取ったらしく、かーなーりー、警戒してたけどね。うん、もう首突っ込んじゃった☆ てへ♪
「首突っ込んだんだな………」
えーいっ! 呆れたような視線を寄越すな!! つーか何で分かったし!?
「顔に出てるぞ?」
「オー…………」
そうか、出ていたのか。顔に。
「えー、皆様? お話しても宜しいでしょうか?」
あ、セルカさん達、忘れてた(笑) まあ、ついていけなかったみたいで、唖然と固まってましたが。
「まずは、我が国について説明させて頂きますわ」
そういうと、何やら紙を取り出したシャーロット様。それはどうやら地図のようで、この国とまわりの国が書かれていた。多分、山に囲まれた中心に書かれているのが、この国エルナマスなんだろうね。北から東にかけて広大に書かれているのが、あたし達が勇者として呼ばれた国クラリオン王国。西には山を国境とした縦に細長い国ガルブ。南には横に長い形の国ジャヌーブが広がっている。エルナマスに国境が接しているのは、クラリオン王国、西のガルブ、南のジャヌーブだろうか。
「えー、この地図は、我が国エルナマスの周辺を表すものです、今回、こんな事をしでかしてくれたのは、南の国ジャヌーブです」
セルカさんは溜め息と共に、事情を説明してくれました。よっぽど手を焼いていたんだろうね…………。憂いと共に疲れ切ったセルカさん、マジで目が笑っていません!! なまじ美人さんだから、マジで怖い!
「現在、我が国にはジャヌーブの国の妃様がいらっしゃるのです」
…………妃様が国外逃亡って。ジャヌーブよ、何をやらかしたんだ!?
「ジャヌーブ国と言えば、確か愛人騒ぎが起きていたと噂されてましたね?」
ファイさん? 何で一般騎士の君がそんな物騒な噂を知ってるのかな??
「まさにその通りです、あそこは王様が婿なので、彼の血では王位継承権を持つ子が出来ないんですよ、なのに愛人を作ってしまった為に、王位継承権持ちの妃様が怒り浸透で…………我が国に家出してしまわれたんです」
……………それは仕方ないわ。それに王位継承権持ちに暗殺者が来ている時点で、何かきなくさい。
「王様が囲った愛人と言うのが、妃様の従妹に当たる方で、継承権持ちの方なのです」
あー…………。つまり、継承権持ちである故に、自分こそが王位に相応しいとか思っちゃったとか? 愛人が?
「ただ、妃様は直系の血筋で、愛人は継承権5位くらいでね、意味が無いのですよ」
セルカさんが苦笑いしてる。確かに継承権5位が無理でしょう。王位とか。
「妃様がお怒りなのは、愛人だけではなく、国を支えるはずの大臣等の者達が役立たずな部分もです、妃様が一部の有能な者達と何とかしていたのですがね」
うわー………国滅亡の危機じゃないですか!!
「なにせ、妃様がいないと国が動けない程ですから」
辺り、全員唖然。
「それに気付かない愚か者の愛人は、今がチャンスとばかりに妃様を亡き者にして、自分達で国を乗っ取ろうとしているんですわ、既に多くの者が我が国に来て、妃様に帰ってくるように懇願していますわ」
確かにそれは大臣達や貴族達は必死にもなるだろう。マジで国の滅亡がかかっているんだから。
「その妃様やるわねー」
「おい、咲希……これはただ事じゃないぞ……」
あれ? 翔太は何で顔を引きつらせてるわけ??
「妃様が国を出てどれぐらいになる?」
ため口をきいた翔太に、女性陣が殺気立つが、シャーロット様が手を上げて押さえる。
「既に1ヶ月立ちますわ」
「暗殺者が来たのは?」
「今回で三回ですわ、既に彼方の国は政務が停滞しているはずですわ、王様には何の権限もないのですから」
あれ? だったらおかしくない??
「じゃあ何でまだ、国が揺らいでないの??」
「どういう事ですの? サキ様」
「普通、国のトップが停滞したら、下は何か起きたとして国の外に逃げる者達もいるはず」
なのにそんな騒動、起きていない。まさに平和そのものだもの。おかしいわ!
みんなもその可能性に気付いたのだ。はっとしたように、あたしを見ている。
「つまり、妃様がこちらに来ても問題ない位に出来る人が、政務をやってるのよ」
「すみません、頭がこんがらがってきました………」
ジュビアン神官は普段、政治的な事はしないからね。仕方ないか。
「じゃ、整理しましょうか」
まずジャヌーブの妃様がエルナマスに家出した。その妃様がいないと政治が出来ないくらい、妃様の権限は強い。その原因は、夫の浮気。愛人はよりにもよって従妹の王位継承権5位の人物。夫と愛人は国を乗っ取る為に、妃様を亡き者にしようと暗殺者をせっせと寄越している。一方で貴族や大臣達は妃様に戻ってくるように懇願中。
ここで疑問なのが、夫と愛人を何故そのままにしておくのか? 夫には継承権がないから、権限はない。何か原因があると考えるべきよね?
次に、政務が動いている理由。頭の変わりはいるのか?
「実は、妃様は別の目的がある…………それなら、これも分かるけど」
多分、あたし達が何かしなくても、解決するだろうね。頭の回転の早い方みたいだし。
「サキ様? 一応、事情は説明しましたが、皆様の不法侵入の件もあるので、しばらくはエルナマスにいて頂きますよ?」
シャーロット様? 何故に話題をそらしたのに蒸し返すんですか!?
チッとか、舌打ちはしませんよ? 心の中では盛大にしてますが(笑)
あぁ、クラリオン王国に帰りたい。和磨くんと優香ちゃん、今頃何してるかしら??
その時、盛大な音と共に扉が勢いよく開いた。
あ、何か嫌な予感………。
「シャーロット様っ!! 大変です!」
騎士服の女性が、肩で息をしながら床に膝をつく。
「何事です?」
訝しげなシャーロット様とは対称的に女性の顔は真っ青だ。
「魔族と思わしき者と魔物の一団が、国境より我が国に攻め入って来ています!!」
…………魔族よ、君達はあたしら勇者のストーカーなのかな?
内心、本格的にそう考えたあたしは悪くないと思うんだ。
平和よ! カムバッ〜〜〜〜〜クッ!!!
お読み頂きありがとうございますm(__)m
秋月煉です。
本日は何やら本編で起きたようですね! 秋月はストーカー(笑)になったみたいな魔族の方に同情します(笑) ただ戦ってるだけなのに、何故か行く先々であったら、気味が悪いですよね? そしたらこいつらストーカーみたいって出たんです。使い方、あってるかしら?(笑)
さて、秋月はハッピーエンド主義の人物です。コメディ系が強いやつとか好きですね!
そして最近、恋愛小説を自分で書いてみたくなりました。勿論、ハッピーエンドですが、これまでとは違う部分があるんです。それは、主人公が死ぬかもしれないというダークな部分があること。
優先はこちらで、次が夢渡り、最後が新作です。まだまとまっていないため、しばらく投降はしませんが(汗
とまあ、新作の告知は置いといて。
活動報告に小話を乗せましたので、気になった方は読んでみて下さいね!
本日は、時間がないためミニ小説はお休みです。
感想、ご意見、誤字脱字、リクエスト、質問、いつでもお待ちしております。なお、甘口でお願いしますね!
次回は、11月11日お昼に投稿します。