閑話 その頃の皆様は…( 2)
こんにちは(・∀・)ノ
本日は、閑話第2段です!
なにやらきな臭くなってきました。
Side:翔太
咲希がいきなり気絶した。
青い炎を、信じられない物をみたとでもいように、目を見開いて、そのまま気絶。周りの奴らは今、絶賛パニック状態だ。
オレ? 俺も思考と言う名の現実逃避してるよ!!
咲希は過去をあまり話さないからな。多分、俺と同じで言葉に出来ない位に、壮絶な物を背負ってるんだろう。
――――――恐らく、俺と違って幼い頃から。
普段は明るく見せてるが、たまに見せる姿は、まさに闘う者の姿だったし。殺気とか、シャレにならないレベルだからなー。つーか、威力を操ってる時点で、只者ではないこと必須。睨まれただけでも、冷や汗ものだしな。経験者は語るって奴だ(笑)
「ショータ様!? 何で悠長に構えていられるんですか!」
おっと、こいつらの事忘れてたぜ、俺としたことが。
「あぁ、特に怪しい気配もないし、洞窟から出るか、これくらいの報告でもギルドは文句は言わないだろう?」
未だ呆然としてるジョージ親子には悪いが、現実に戻ってきてもらうぜ? 現実逃避してた俺が言えた義理じゃないけどな!
「ん? あ、あぁ、大丈夫だろうよ、で、嬢ちゃんは大丈夫なのか? 神官様よぅ…………」
いかつい顔してるが、根は良い奴だしな、ジョージさん。ライラも心配らしく、不安そうに見てるし。
聞かれた神官様、ジュビアン神官は、かなり険しい顔してるが、な。
「外傷はありませんし、恐らく、心理的な物でしょう…………魔法をかけるわけにもいきませんので、自然と目覚めるのを待つしか道はないでしょう」
多分、この炎が原因なんだろうな。はあー、めんどくせー。
「取り敢えず、消すか」
無詠唱で水の呪文を唱える。まあ、かなり広い空間だからな。時間がかかったが大丈夫だろ。しっかし、まがまがしいな。この炎は…………。火は浄化を意味するが、この火は違うな。見ているこっちの気がめいる。
「んじゃ、帰ろうぜ」
うん、火も消えたしすっきりしたな!!
「ショータ様、どうやって帰るつもりですか?」
…………………。
……………。
………。
…。
「あぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!? マジだ、どうやって帰ればいいんだ!?」
やべぇ、考えてなかったぜ! 俺としたことが。
「ショータ様……」
何やら、色々と疲れた様子のファイ。すまんな、帰りはお前が一番大変だろうしな。心の中で誤っとくよ! 本当にスマン!!
「このまま帰ってもいいが、元の迷宮には蟻だらけだしなー、どうやって帰ろ?」
「サキ様が気絶してますし、式神殿も札に入ってしまわれましたしな」
ジュビアン神官? よく噛まないで言ったね? まあ、確かに彼の言うとおり、式神殿もさっさと札に戻っちまったし。
あー、どうすっかなー。
「いっそ、別の出口探すか?」
これくらいの事しか、今の俺には浮かばなかった。マジで咲希がいないのは痛いな。
「バカかい! あんたは!? 出口なんて見つかるわけないでしょっ!?」
ライラが唾を飛ばす勢いで言ってるが、案外、楽に出れるかもよ?
「あー、もし見つかったらどうする?」
「おいおい、こんな時に冗談いってないで、真面目にだな?」
「だから、冗談じゃなくて、マジで見つかるかもよ?」
ジョージさん、悪いが俺だって勇者なんだぜ? それも二回目の!!
「ショータ様、もしかして秘策があるんですか!?」
身を乗り出すように迫ってくるファイ。いい感じにノリノリだな(笑)
「実はな? 周辺探索の呪文があるんだわ」
この呪文、俺を中心とした起点で辺り全てを見る事が出来る、まさに今の俺達にはピッタリな呪文なのだ!!
「ただ、一つ難点があってな……」
そう、この術。周りは見ているだけだからいいが、やる側はマジでヤバイ事になるんだ。
まず、情報量がとんでもない程に多い事が上げられるな。最初に失敗すると気絶する。冗談じゃない、これはマジな話だ。
次に制御する事が大変なことだ。俺も初めてやった時に、あっさり気絶した。本当にスゲー情報量な為に、脳が耐えられなかったんだ。
はあ、馴れたと言えば馴れたが…………実は遣りたくないんだ。当たり前だろ? やるたびに具合悪くなるんだからさ。
「どうすんのよ!?」
ライラにとっては早く帰りたいんだろうけど、俺だって帰りたい。
「これ使うと、戦闘出来なくなるんだわ…………まあ、出口探したらすぐに切るけどな」
じゃないと俺がぶっ倒れちまう。魔力消費量は、あまり多くないんだが、情報量の所為で俺には扱いづらい魔法なんだ。分かってくれたか?
「まあ、いい…………始めるぜ!」
深呼吸をして意識を落ち着かせる。
『探索・魔術』
唱えたと同時に、一気にここいらの地図が頭の中に入ってくる。
「クッ……」
咲希のように魔術タイプの奴は、これを楽々やる奴が多い。頭脳労働タイプは、スゲーよ。
俺は無理だがな…………。頭の使い過ぎで気持ち悪い。
「…………あった!」
ここから出て、少し行った所に、あった。人が通れる位の、外に通じている穴が!!
「これで帰れるー!!」
すぐに魔術を切った。あっぶねー……、もう少しかかってたら気絶してたな。
「ファイ、咲希を頼むぞ」
取り敢えず、皆で穴がある所まで向かうか!
◇◇◇◇◇
「あった〜!!」
しばらく歩いた先に、俺がさっき魔術で見た穴があった。イヤー、マジであって助かった。
「先に俺が見てくるよ」
穴は上にある。勿論、俺だって届かない。が、皆は覚えてるよな? 俺は二回目勇者だってことを!! 今回必要な魔術もバッチリだぜ☆
「浮遊」
唱えると、すっと体が軽くなった。この呪文は、宙に浮き上がる効果があるんだ。結構、使い勝手がいいんだわ。これ。
「んじゃ、見てくるぜ!」
眩しく感じる穴を見上げ、気合いと共に一気に上がっていく。あぁ、外の空気が旨い!
「よっと」
魔術を解いて、地面に降りる。辺りを見渡せば、木、木、木。つまりのどやかな森の中。
「あー? どこだ? ここ」
まだこっちに来て一ヶ月。知らないことばかりだ。
「ショータ様っ!! 外はどうですか!? 安全ですか!?」
あ、やべぇ。皆を忘れてたぜ☆
今の声はファイか? まあ、咲希を預けてるからな。咲希至上主義のファイは必死にもなるだろう。
「あぁ、問題ないぜ、辺りにも危険な気配はないしな!」
てな訳で、ロープを使って引き上げて行く。まずは、ライラ。まあ、身軽なお陰であっさり引き上げ終了。
「次は咲希だな」
「腕に引っ掛けてあげよう」
気を失っている所為か、かなり重いが、ライラと二人で引き上げていく。引き上げたら、咲希を近くの木の根元に座らせ、背中を木に預けた。
「次にファイ、上がってこい!」
悪いがジョージさんは最後だ。俺達3人で引き上げるしか無理だろ。
「引っ張って下さい!」
よし、ファイを釣るぜ!(笑)
さすがと言うべきか、ファイはあっさり登ってきた。普段から鍛えているだけはあるな。
「ここは……」
上がってきたファイは、辺りをキョロキョロ。何やら考えているらしく、しきりに首をかしげている。
さあ、次はジュビアン神官だ。
「準備はいいか?」
意外と肉体派だったジュビアン神官。まあ、他よりマシかな?くらいなもんだが。
「上げるぞー!」
あ、以外と大変かも。まあ、ファイが楽々状態だったからな。仕方ないか。
「さあ、最後はジョージさんだ!」
どうかあの巨体、あっさり上がりますように…………。
「せーの!」
やべぇ、びくともしない。え、どうすんの?? ジョージさんだけ上げられないって、ヤバくないか!?
「んー、そうだ!」
魔法で土台を作ればいいじゃないか!!
そうと決まれば、即行動!
「なあ、土の属性もってる奴いるか?」
「悪いけど、あたいも親父も持ってないよ」
「すいません、僕もないです」
「わ、私もです」
…………マジか。
え、俺がやるんだよな? 俺だけだよな? んー、大丈夫だよな? 俺の中のカオスよ! 暴れるな!
…………うん、穴があったら入りたい。
「まあ、いっか! 行くぜ!」
場所は穴の真下。
「ハシゴよ! 出来ろ!」
『土の(・)造形!!』
うわお! 何か格好よくね!?
ハシゴにはきちんとコーティングを施したから、体格のいいジョージさんでも大丈夫なようになっている。
俺、スゲーな!!
「おぉー! 久方ぶりの空じゃないか!!」
豪快に笑い飛ばすジョージさん。まあ、確かにな。
「しっかし、ここはどこなんだ?」
見たことないぞ? 森の中、途方に暮れる俺。
「あの、ショータ様?」
ファイがかーなーり、困った顔をしている。皆も気付くよな?
「ファイ殿、どうされたのです? 平和そうな森ではないですか」
確かにな、そうなんだよ。森の中は平和そのもの。危険な気配は特にしないし、何でそんなに警戒する必要があるんだ???
「ショータ様………ここは、ここは………」
何やら言い辛そうなファイ。ん? そんなヤバイとこなのか??
「だってここはっ!!」
次に来たファイの言葉に、辺りの空気が凍り付いた…………。
俺もここは嫌だぁぁぁ――――――!!!
えー、何やら勇者達の身に起きたようです。
次回は漸く魔王陛下? のご登場です。やっと、やっと! 魔王陛下だせますよー!!
さて、実は今、秋月はかなり煮詰まってきています。もしかしたら、こちらを休んで短編かくかもしれません(笑)
所謂、スランプ期到来ってやつですかね??
さーて、本日のミニ小説です!
翔太:今日は俺と
和磨:僕が担当します!
翔太:しっかし、大変だねー。
和磨:何が?
翔太:まさかの咲希が気絶。ようやっと穴から出たら、見知らぬ森の中。
和磨:あー、確かに。でもさ? こっちも大変なんだけど!? 翔太、カイトにどんな躾したの!? 毎日大変なんだけどー!!
翔太:???
和磨:無自覚!?
和磨くん、相当苦労してます。まさか躾まで適当とは……さすが二回目勇者、翔太。
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