第34話 洞窟探検です
いつもありがとうございます!
本日は新キャラ登場!!
あたし達が蛍火の洞窟に着いたのは、王様から命令されてから2日後。
一応、言い訳をさせてもらうと、あたしの準備に予想以上に時間がかかっちゃったから。
だって、仕方ないでしょ?!
お札を念の為に100枚以上用意して、更に色々と準備してたら時間が思いの外たってて…………はい、ごめんなさい。
反省してます。緊急性が高い依頼だったからね。本当にすみませんでした。
さて、今回のメンバーは。
あたし、翔太、ファイさん、ジュビアン神官の4名。更に冒険者の方が増えるらしいんだけど。
どんな人かしらね?
あ、ちなみに和磨くんと、優香ちゃんはお留守番。魔族がいつ来るか分からないし、あの二人なら魔族のお相手も大丈夫……なはず。あたしは式神様いるし、翔太は二回目勇者の強みがあるし。そういえばあの二人、大丈夫かしら?? 直接、魔族と戦った事なんて無かったような……? 何か不安になってきたんですけど………。
あたし達が帰った時に、城が消えてました……っていう状態にだけは、なっていてほしくないわ。切実に、ね!!
二人共に頑張ってよね! 国の為と、主にあたしの精神安定のために!(←え)
◇◇◇◇◇
洞窟の前には既に、二人の人物が待ち構えていた。今回、ギルドに翔太がお願いしていた先生役の方ね。
「あんたらが勇者一行か、俺はジョージ、こっちは娘のライラだ、宜しくな!」
「オヤジ、皆さんに失礼だろ! 娘のライラです、宜しくお願いします!」
ジョージさんは髭もじゃのいかつい筋肉質の大男。着ている物は、使い込まれた鎧と大きな両刃付きのバトルアックス。対してライラさんは、20歳位の明るい蜂蜜色の髪をポニーテールにし、健康的な小麦色の肌の明るい女性だ。服装は軽装の鎧に大きめのダガー。親子なのに似てないって思ったのは、あたしだけではないはず。
「こちらこそ、宜しくお願いします」
それぞれ挨拶と自己紹介を済ませ、簡単な情報交換をしたあと、あたし達はようやく、今日の目的である蛍火の洞窟内へと出発したのでした。ここでまさかのジョージさんのランクがBBで、娘のライラさんのランクがBっていう事実が判明して、みんなが固まったのは内緒。翔太は一人、目を輝かせていたけど(笑)
◇◇◇◇◇
えー、只今、蛍火の洞窟内に来ておりますが、暗く、陰気が集う不気味な洞窟…………なんて事も無く、ぶっちゃけ、超綺麗な場所です!!
内装は石造りの迷路で、たまに広い場所もあるんだとか。明かりなどは特に無く、けれども内部はとても明るい。蛍火の洞窟、まさにそう呼ばれる由縁は、ここを照らす光が、とても幻想的な光景をあたし達、攻略者に見せているから。何せ、光は小さな緑色の淡い魔法光であり、自然にそんな光が出来ているんだから驚きだよね。
異世界、やっぱり凄い!
「ここら辺は、特に異常ありませんね?」
あっさり過ぎる程、あっさりとボスの部屋に到着したんだけど…………。
「何で誰もいないのかな?」
魔物どこらか、何もいない。気配もない。てかここに来るまで、一度も戦闘してない。
「びびって逃げたかね?」
いぶかしげにライラさんは見てるけど、ジョージさんと翔太は険しい顔で辺りを見てる。
「こりゃあ、ヤバいな」
「ほう、勇者ってーのは感がいいんだな」
「まあーな、ボスの部屋なのに、何もいない、つまりボスより強い奴が奥にいるんだろうよ」
「当たりだ、これは成長期によくあってな、多分だがボスは二度とこの部屋にはあらわれねぇよ」
そんなあっさりと重要な事を話すな! まわりが置いてかれてるから!!
「オヤジ、奥に通路がある」
辺りを確認していたライラさんから、声が上がる。
「これがギルドマスターが言っていた新しい通路ですか」
ファイさんがしげしげと観察する傍ら、ライラさんとジョージさんは手慣れたように配役を決めてました。流石、本職。手慣れてらっしゃる。
「ライラ、先頭は任せたぜ」
「あいよっ!」
ライラさんを先頭に、翔太、ファイさん、ジュビアン神官、あたし、ジョージさんの順番で、新たに見つけた通路に進んでいく。
つーか、怪しすぎるでしょうが。
先程まで綺麗に整えられていた石の回廊だったのに、いきなり土が剥き出しの通路に変わった。ここからはどうやら今までとは違うみたいね。
「随分と深いな、こりゃ」
険しい顔で辺りを確認しているジョージさん。そろそろあたしも情報収集したほうがいいかしらね? 入った時に、式神様にお願いして調べてもらってたけど☆
「おい、咲希、何か辺りを確認する術とかねーのか?」
おっと、翔太、ナイスタイミング♪♪
「あるわよ? 只、それするとあたし、戦えないわよ? その分、式神様だすけど」
そう、あたしが渋っていた理由がこれ。あたしはあまり、探索系が得意ではない。どちらかと言えば、攻撃型にあたる。探索は式神様に任せる方が多いからなんだけど、占術以外だと補助系と攻撃系が多いんだよねー。だから、今回の場合、あたしが情報収集をすると苦手も相まって、これに集中するしかないから、戦う方まで手が回らないのだ。なので式神様には、攻撃か防御をお願いするけれど。
「…………お前にも苦手があるんだな」
心のそこから驚いた翔太の間抜け顔に、ちょっとイラッときた。指輪に魔力を通し、ハリセンに姿を変えると、翔太の頭に叩き込んでやる。
ふふふ♪ カクゴはいいかしラ?
スパァァァァァ――――ン!!
とっても良い音が辺りに響く。
「いってー!? 何しやがる!」
「苦手で悪かったわね……?」
抗議してきた翔太に、心からの笑顔と地のように低い冷たい声を、殺気と共に贈ってやる。
あたしが気にしている事を、えぐるんじゃねぇよ!!
「ッ!? そこまで気にすることか!? てか殺気は止めろ! ここではヤバいから!!」
あ…………。
気付いて周りを見れば、呆れたような視線多数。ファイさんなんて近くから、弱かったとはいえ、殺気が来た所為か剣の柄に手をかけてるし…………。
「ごめんなさい……」
素直に詫びたのは、仕方ないでしょう。
「漫才もそこまでだよ、敵だ」
ライラさんの固い声。果たして何が来るのやら。
「龍、出てきて」
お札に霊力を込める。一瞬後、あたしの横に青い毛並みの綺麗な獣が現れる。この場で無難なのは、水を操る龍だろう。火を操る緋ノ斗は、巻き込みそうで怖いし、樹英様は間違いなく通路を阻害しそうだし、春は攻撃力ないし……。うん、龍しかいないわ。
「うわっ!? どっから出てきた!?」
慌てたように、ジョージさんが得物を構える。って、ジョージさん!? 龍は味方です!
「ジョージさん、龍はあたしと契約している神様ですので、攻撃しないでください!!」
マジで恐かった。ジョージさん、目が鋭すぎます!
…………ちびりそうになったのは内緒(笑)
「はぁ!? 嬢ちゃんテイマーか何かなのか!?」
かなりビックリしてたけど、もう何てかえせばいいのやら。
「オヤジ! 来るよ!」
ライラさんの怒声で、ハッと我に返り前を見据える皆様。
…………あたしのせいで、どうもすみませんでした。
今回、あたし謝ってばかりだな。あたし。
「こりゃ、ブラック・アイアントか…………」
ライラさんの呟きに、それを見たあたしは…………思わず目が点に。多分、そうなったのは、あたしだけだ。翔太は平然としてたしね。
ブラック・アイアント。そう呼ばれた魔物は、人間サイズまで巨大化させた蟻の事だった。顎が異常に発達しているように見える。
「ファイさん、ブラック・アイアントって、強いの?」
思わず、隣にいたファイさんに聞くと、何ともビミョーな顔でかえされた。何故だ?
「えー、確か初心者向きの魔物です、単体の時は」
ん? 団体だと強いのかしら?
「この魔物は群れで動きますから厄介なんです、中堅も嫌がる魔物ですね」
マジか。単体は弱いけど、群れになると厄介者になるか。蟻は群れるけど、大きさがシャレにならん。これ、団体に当たったら終わりじゃない??
「さあ、お喋りは終わりだ」
バトルアックスを構えたジョージさんの視線が険しいものに変わる。相手もこちらに気付いたらしい。わしゃわしゃと足を動かしてくる魔物は、正直気持ち悪い。
「戦闘開始かな?」
さあ、皆様、蟻退治と参りましょうか。
お読み頂きまして、誠にありがとうございますm(__)m
お陰様で10000アクセス突破しました! この場を借りまして、改めてお礼いたします。本当にありがとうございます!!
さて、折角の突破記念、やはり小話は外せないかな? と、活動報告の方に書かせて頂きました。興味のある方は、覗いてみてくださいませ☆
そして秋月、またしてもめげずに、リクエスト募集をしたいと思います♪ 方法はとっても簡単。感想か、メッセージ等で『この人のこんなのかいて!』って書いていただくだけでかまいません。因みに送って下さった方には、お礼をしたいと考えていますので、お楽しみに☆
では本日のミニ小説をどうぞ。
優香:本日は!
和磨:僕と、
優香:私こと優香が、
和磨&優香:お送りします!
優香:咲希ちゃん達行っちゃったね。
和磨:そうだね、あっちで問題起こさないといいけど。
優香:大丈夫かな? もう起きてたりして……。
和磨:…………冗談だよね?
優香:咲希ちゃんはまだしも、翔太君は何か起こしそうかな?
和磨:ん? 咲希さんじゃない? いや、翔太もかな?
優香:そういえば、あの二人ってトラブル体質なのかな?
和磨:確かに。そういう僕達もだけどね?
優香:何が?
和磨:(気付いて無かったんだ……)いや、何でもないよ? そういえばこの前の人、何かあったの?
優香:?? あの方ならお話しただけだよ???
和磨:(!? 気付いてない!?)そうなんだ?(咲希さん、僕ムリかも、はやく帰ってきて!!)
優香:はやく咲希ちゃん達、帰ってこないかなー。
和磨:そうだね! (切実に)早く帰ってきてほしいよ。
どうやら和磨くんでもムリな案件が出来たもよう…………。戻ってくるまで頑張ってね! 和磨くん♪
感想、ご意見、誤字脱字、ご指摘、いつでもお待ちしております。なお、甘口でお願いしますね。
次回は9月10日お昼更新です。