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第31話 ナンパな野郎は嫌いです

一度やってみたかったんです! 後悔は……ビミョーにしてますが(笑)


さーて、魔族も倒したし、あの恥ずかしい服装をして、会場に参りましょうか…………。

逃げたいけれど、あたしを可愛がってくれるエリー様を裏切るなんて出来ないわよ!!

うなだれるのだけは許してほしい。


術を解いて、前のシンプルなドレスへチェンジです。陰陽術は、解けば前に着ていた物に戻るから便利だわ。冗談で覚えていたんだけど、まさかのお役立ち。人生何が起きるか分かりませんな(笑)


「ねぇ、キミ」


廊下の途中、知らない男性に声をかけられた。振り向くと、胡散臭い笑顔をした、ヘラヘラした男が。第一印象はチャライ。服装は派手な黒いラメ入りタキシードに、胸元には超派手な鳥の羽飾り。本人は自分がかっこいいと思っているのかもしれないけど、あたしは知らないぞ? こんなバカ丸出し男など。


「ドチラサマカシラ?」


セリフが棒読みになったのは、言うまでもない。正統派を知ってるあたしから見たら、こいつは邪道もいいとこ。そもそもあたし、只今超不・機・嫌なんですが?


「おや、連れないな〜、キミは」


何ていいながら、ウインク。


うえっ!? 気持ち悪いー!! 鳥肌たったよ、今!?


「僕の名前は、グイーグル、チャライサー伯爵家の次男さ」


あ、こいつ警戒対象じゃね? 名前をきいて思い出した。

てか、チャライサーって……ダジャレにしか聞こえんぞ?(笑) 名前もだけど。


「キミの名前を教えておくれ」


うっとりと自分の演技に酔っているバカ、もといグイーグル。

ほう、こいつはあたしをナンパしようとしてるのか!!

バカだ、バカ過ぎる!!


罠をしかける側に、獲物が近寄ってきたよ(笑)


まあ、相手はあたしが罠をしかける側にいることをしらないけどね〜(笑)


「さあ、可愛らしいレディ? 恥ずかしがらずに、僕に教えておくれ、さあ!」


まるでお芝居を見ているみたいだ。それも一流ではなく、三流ものの。可愛らしいは余計だがな! それ、遠回しに童顔って言ってるんだからね!?


「あら、こちらが名乗ったら、貴方様は腰を抜かしてしまいますわ」


クスクスと楽しいとでもいうように微笑むと、手応えがあったと思ったのだろう。顔が一気にニヤケた。多分、あたしが名乗れない程、高位な存在、つまり当たりを引いたとでも思ったんだろうねー。

名乗らなかったのは、後で驚かしてやろうという、あたしの魂胆からきたものだけど(笑)

でもさ? 普通、気付こうよ。伯爵の子供が低いなんて訳がないでしょう? こっちは庶民なんだからさ(笑)


「あぁ、可愛らしく微笑む姿の何て麗しい事か! 私は貴方に会えてまさに天にも昇るような思いだよ」


はあ〜、気持ち悪い! 無理、絶対に無理!! 鳥肌立つ! なんなの!? こいつはなんなのよー!?


「ま、まあ、お褒めに預かり光栄ですわ、伯爵の御子息様」


ヤバイ、内心テンパってます! 顔が引きつってないかしら?(笑) マジでそのレベルです。


「どうぞ、名前で………グイーグルと呼んでください、私と貴方の仲ではないですか!」


いつ、いつ!? こいつと仲良くなったんだ!? てか寄ってくるな! 鳥肌立つ! キモいぞ、キモすぎる! ナルシストなんて大嫌いだ―――――!!!


「あら、あたし達、つい先程あったばかりなんですが? いつの間にそんな仲になったのかしら?」


ああ、どうかバレルな。あたしが内心テンパってる事など。ナンパな野郎は嫌いだ。昔を思い出すからさ。


「何をおっしゃるか! 僕は貴方にこれほど夢中になっているのに…………つれない御方だ、しかしその恥じらう姿も何と愛らしい事か!」


は、恥じらう? え、あたしいつ恥じらったのかしら?? 思わず目が点になるのも仕方ないよね?


『主人よ、こやつ厄介かもしれんぞ?』


樹英(じゅえい)様、相手に聞こえないように話し掛けてくるのはいいんですが…………、厄介認定されても困ります。




あたし、実を言えば、ナンパは今生では2回目になります。どちらもまともな方ではありませんでしたがね!(涙)



「そろそろ、会場に戻らなければいけないのです、ごめんあそばせ」


通り過ぎようとしたけど、やっぱり無理でした…………。どんな反射神経してるのかしら。通り過ぎようとした、あたしの腕を、がっちり掴んできましたよ! つーか、気持ち悪いわ!!



「あら、この手は何かしら? 離して頂ける?」



顔が引きつるのを必至に我慢しながら、ついでに鳥肌がばれないかハラハラしながら、穏やかに言うんだけど…………こちらが怒ってないと見るや、こいつ(グイーグルのことね!)は馴れ馴れしくも手をあたしの頬に触れようとして。




あたしの忍耐力が切れました…………。




「イヤァァァァァ―――――――――――ッ!!!?」




お腹のそこから悲鳴を上げました。仕方ないでしょう!? 生理的に無理なんだよっ!! こいつみたいなナルシストはっっっ!!!


「……えっ!!??」



相手呆然。当たり前だけどね? こんな悲鳴を女性側が上げる場合、何かしら起きたと大抵の人達は考える。

そしてだ。皆さんはあたしの今の体勢がどんなものなのか、気付いているだろうか?

悲鳴を上げた後、あたしはか弱い少女に見えるように、腕で自分の体を抱き締める。



さて、皆様? 唖然とした顔の男性と、震えた少女がいたら、端的にどちらが悪く見えるでしょうか?


結果。第一陣、悲鳴を聞いて集まってきた、主に兵士さん達と野次馬の方々は、非難の目でグイーグルを見ている。

勿論、内心よっしゃーって思ってますが何か? 勿論、策略に決まってるじゃないさー?


「え………サ、サキ様!? どうされました!?」


ん? この声は。

気になって声がした方を見たら、何とあたしの勇者様! クリスチャン・ディオールさんが☆

本当にあたしのピンチ(今回は自分で作ったけど)、颯爽と駆け付けて下さる何て。本当に貴方が結婚しているのが悔やまれる…………。

おっと、話がそれた。


「ディオールさん…………」


今だに鳥肌が治らなくて、軽いショック状態ですが。

言っておきますが、乱暴をされそうだったから、ではなく、気持ち悪い人に触られたからです。ここ重要ですから!!


「何か…」


「何かあったのか!?」


クリスチャン・ディオールさんの言葉を遮って、我が勇者仲間の問題点、翔太が飛ぶような早さで、こちらへ来る。


…………流石二回目勇者、登場の仕方、バッチリじゃないの。ニヤリと内心思ったのはナイショです♪


「…………乱暴されそうになりました」


観念して、小声で言うと、何故か皆様ビミョーな表情。



何故だ?



「お前にか?」


翔太から真面目に聞かれましたが、嘘ではありません。強姦一歩どころか十歩も前の未遂ですが。

問題はそこではなく。


「勇者様に、ですか?」


クリスチャンさんも口調が固いです。

勿論、あたしの答えは。


「はい」


とたんに周りは唖然となり、唯一状況が分からないグイーグルだけが、アホ顔で呆然自失。


皆様、もうお気付きですね。


勇者を襲ったんです。このバカは。分かりやすく言えば、王家の客人に対し、暴力をしようとした。つまり、王家に対し楯突いたんですよ。立派な反逆罪です!! 勇者に対し、皆様当たり障りないように自己アピールしてたのは、一重に後ろに王家の影響があったから。


「………衛兵、このバカ面を別室へ!」


あー、クリスチャンさんが怖いんだけど? 確かこの方、王家第一の方でしたねー(汗


…………積んだな、チャライサー家。





その後、何故か王様に直に謝られ、貴族の皆様、特にお嬢様方に同情され、奥様方には哀れみの視線を送られて…………メチャクチャ居心地悪いんですけど!?


そしてもう一つ、あたしのドレスは…………まさかの人魚姫でした(涙)

青い宝石の付いたティアラに、鮮やかな水色のマーメイドドレス。何十にも薄い布を重ね、裾にはキラキラした透明な石が付けられて。白いレースが可愛らしさよりも、大人びた印象に見せてます。

…………マジで泣かせて下さいませ! あたしの心が折れそうです。

エリー様、満足でしたか、そうですか。


ただ会場からは、ビミョーに聞き流せないお言葉が。


「よくサキ様に声をかけられましたわね」


「幼稚趣味で……」


「あら、性格は……」


「気を付けないと……」


「一番重い罪にチャライサー家は……」


「マーメイドドレス、あたくしも……」


なんて一部聞こえない部分はあったけど、本人が近くにいるのに、凄いね……。特に最後のお方、マーメイドドレスは諦めた方がいい。すらりとしてないと、恥をかきますよ?


まあ、そんなこんなで、無事にミッションコンプリートでいいよね♪♪


ここまでお読み下さり、ありがとうございますm(__)m


秋月煉です。


本日は前話に続き、パーティーなんですが、咲希ちゃんにナンパが……。本人はロリコンか!?って引いてましたが、ドレスが大人っぽい雰囲気にしてあるため、小柄な年相応な姿になっています。

そして、忘れてるかもしれませんが、咲希ちゃんは美少女です!! 普段は幼く見えますが、年相応なら話は別。モテます(笑)


さて、ミニ小説をば。



咲希:こんちはー……

和磨:えっ!? 咲希さん!? げんなりしてどうしたの!?

咲希:人生初のナンパがキモい奴とか、はぁ〜〜〜、あり得ない!

和磨:お疲れ様、咲希さん。お陰でチャライサー家は無事に没落したから大丈夫だよ?

咲希:夢がない、愛がない、意味がない、あぁぁぁぁぁ、あたしの王子はどこにいるの!?

和磨:…………咲希さんて夢を見る派なんだね。何か意外。恋より現実みてかと思った。

咲希:あたしだって、あたしだって、夢を見るわよ!!

和磨:でもまさかマーメイドドレス着るとは思わなかった(笑) 妖精とかかなって思ってたから。

咲希:…………エリー様が盛り上がっちゃったのよ……。はあ、本当に憂鬱だわ。



しばらく、咲希ちゃんは立ち直れなかったとさ。めでたし、めでたし。

(あたしは全然めでたくないわぁぁぁ―――――!!!)



さて次回は、8月20日お昼更新です。

お楽しみに♪


感想、ご意見、質問、等々いつでもお待ちしております。なお、あまりメンタルは強くないので、まあ口でお願いします。

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