第31話 戦闘開始です♪
本日は式神様、大活躍です(笑)
こんにちはー☆
只今、あたしこと天城 咲希、お城の夜の中庭にて、魔族さんと逢・引・き・中です♪
……………うん、何かごめんなさい。逢引きは嘘だけど、敵対中なんだよねー。頑張って盛り上げようと思ったけど、無理。これはあたしも無理だわー。
「くふっ」
とうとう我慢出来なくなって、笑い声が噴き出した。
「貴様っ!! 我を愚弄するかっ!!!」
目の前にいる年若い男性が憤慨してますが、あたしの式神様、集合しつつあたしの懐に戻ったんだけど、只今お札の中で大爆笑中。相手には聞こえてないだろうけど、凄い声出して大爆笑してますよ(笑) あの真面目な龍でさえ、口を緩める程だからねー。いやはや、珍しいものを見たわ。
「いや、だってそんな姿だったら、誰だって笑うよ? ぷぷっ」
そう、目の前の男性、元々は素敵な服装をしていただろうに、頭には生卵がいくつも命中したのか、ぐちゃぐちゃに。服にも鳥の糞やら羽根やら水でずぶ濡れやら火や雷で焦げた後に、糞でも踏んだのか、何やらプーンと臭いまでしている。うん、全部あたしと翔太の罠したものです。
…………てへっ☆
ちなみに何で夜なのにはっきり見えるのかといえば、暗視の術をかけていて昼の様に見えるからです☆ じゃないと夜のお仕事出来ませんよ。
『主よ……、やりすぎという言葉を覚えた方がよいぞ?』
苦笑いしながら、樹英様に言われたけど、強敵相手に手加減は出来ません。よってあたしが正しい。うん、これに関してはツッコミはノーサンキューです!!
「ぷぷっ、しかし律儀に罠を受けながら来るとか…………ぶふっ、む、無理だわ、我慢出来ないーっ! 」
大 爆 笑 っ ! !
お腹が痛くなるくらい、マジで大爆笑しましたよ。一応、あたしは女の子なので、あくまで上品に。そこ、ダレが女の子とか言わないの!
「貴様〜〜〜〜〜っ!!」
お、ようやく動くか。わざと挑発…………したわけじゃないんだけど、必然的に相成りまして…………。うん、何かごめんなさい。
最近謝ってばかりだな。
「あらあら、あたしは事実を言ったまで…………貴方、本当に気品ある魔族なの? ガッカリね」
クスクスと笑いながら、袖で口元を隠す。
さて、皆様お気付きでしょうか? 陰陽道は印を組めば、後は袖で見えないように呪文を唱えれば、ばれないんだよ。
つ・ま・り〜。
魔族さんの周りは罠だらけ〜(笑)
それを魔族に知られないように、お札を見えやすいように右手に出して、話し掛ける。
「龍、お前にお願いするわ」
『宜しいので?』
すっと顕現した龍は、注目を集めるように、ド派手な演出で出て下さいました。水がフワッと現れて、渦を巻くように上空へと登っていく。その中から龍が顕現。うん、理由は簡単。袖の下に隠した印を隠す為です。
ちょっと派手過ぎる気がするけどね!
「貴様、テイマーか?」
あ、魔族が警戒した。
けーどーさー? 何でわざわざ“魔物使い(テイマー)”とか言うかなー?? ほら、禁句を言うから、式神様ご一行が怒りの度合いマックスになってますよ。
…………怒りが伝わって、胸元にあるお札からビリビリしてます。
マジか、この世界。お馬鹿なの? ねえ、どうなのよ、そこんとこ!?
「あのー、あたし陰陽師、テイマーじゃないからね?」
一様、言っておきます。
「ふん、貴様の事なんて、どうでもいいっ! 魔族である我を散々コケにした挙げ句、公爵である我の顔に泥を塗った罪は重い」
そういうと、腰に挿していた剣をスラリと抜き払った。
「その罪、貴様の命で償わせてくれるっ!」
勿論、それなりに距離はあるけれど、ただでやられる訳がない。鬼才の陰陽師の名は伊達ではないのだ!
「封印解除っ!」
龍は、普段から獣の姿をしている。それは色々と理由があるんだけど、一番の理由が力が強すぎるのが上げられる。緋ノ斗もだけど、あっちは戦乱狂だからと火を司るから、封印は必須。一回の攻撃で焼け野原とか、マジで危険。ぶっちゃけ攻撃力が高すぎるんだよね。
逆に龍は、きちんと制御出来るし、性格も寡黙で冷静沈着。でも、威力がシャレにならない。例えば、水は少量だと威力はあまりないけど、大量だと威力は半端無いよね? 龍の場合、人の姿だと大量の方になるから、普段は封印してます。
青い閃光が龍の体から放たれる。それがおさまると、そこにいたのは一人の青年。長い青い髪を首元で一つに結び、古代の衣装を着ており、ほっそりしているが筋肉はきちんとついている。顔つきは神経質な感じであるが、今は何と頼りがいがある事か。
彼は迫ってきた魔族の剣をあっさりと自分の剣で弾き返す。
ギィィィ――――ン!!
甲高い音が辺りに響く。
剣は青みを帯びており、古代の装飾が施されている。剣には紐に通された青い水晶がついており、ヒラリと揺れる。
って、おいおいっ!?
今、目の前で、あたしの目の前で二つの剣が交差してます。流石のあたしも背中から冷や汗が吹き出しました…………。
ギャ―――――ッ!?
口には出さなかったんだけど、それこそ心臓が飛び出しそうです。
「邪魔だっ、どけっ!」
「断る!」
えー、白熱しているのはいいんだけどね? いい加減、気付いてくれないかな?
「えっと、白熱中に大変申し訳ないんだけど、いい加減離れてくれない? 物凄く臭いよ?」
あ、魔族さん、コメカミがピクピクと。これはキレたか?
「貴様っ〜〜〜!!」
うおっ!? 声が地を這うように低くなる。さらに目元が憎しみを込めたように釣り上がり。まさしく久方ぶりの憎悪の込められた殺気。只、残念ながら、魔族さんの殺気はあたしから見たら可愛らしいもの。
本物の殺気はね、こう使うんだよ?
「咲希様っ!?」
焦ったような龍の声がするけれど、安心していいよ? あたしが殺気を向けるのは、魔族だけだから。
「……っ!?」
一瞬、魔族の動きが止まる。まあ、手加減したとはいえ―――本気でやったら多分相手が死んじゃう威力―――これを受けて一瞬とは、いやはや恐れ入ります(笑)
でも一瞬あれば、龍には十分な時間で。
「ふんっ」
剣で相手を吹き飛ばすなんて、離れ業を披露したり。
…………なにやってんのよ、と内心ツッコミ満載。
さらに魔族の不幸は続く。
皆様は覚えているだろうか?
先程、あたしが罠を仕掛けていたことに♪
「ギャァァァ〜〜〜〜〜!?」
あら、龍ったらー、一番いい場所に吹き飛ばしたみたい(笑)
「罠のお味は如何です?」
火の柱に雷が飛ぶ罠に、風の刀が出た罠に………今更ながら、あたしの罠はえげつないなー。(←棒読み)
「さて、貴方には何故人間を襲うのか…………理由を聞かせてもらうわよ?」
多分、この時のあたしの顔は、昔の仕事の顔だったと思う。クスクス笑うあたしは、今宵の月に照らされて、まさに氷月が似合う冷笑だったはずだから。
…………まあ、聞き出した後の魔族さんの目が虚ろになってしまったのには、微妙に引いたけど。
ん? なにやったのかって?? 聞いちゃう? それを聞いちゃうの??
えー、R指定になるんで、何をしたかは皆様のご想像にお任せします☆ 一様言っておくけど、変な事はやってないから、変な想像は止めてね?
「咲希様、こやつはいかように?」
「魔族は騎士さんに引き渡して、あたし達はパーティーに戻ろうか、王様や翔太達にも言わないといけないし」
あまりにあっさり言われた所為か、龍が不審そうにあたしを見るけど、あたしに逮捕権はありません。これ、常識です。あくまで勇者は一個人。兵士ではないのです。
まさかこんな計画の為に人間の国襲うとか、思わず呆れたのは仕方ない。
「あー、あの衣装を着るのか…………」
ハズイ、恥ずかし過ぎる!!
さてさて、パーティーは一体どうなったかな??
こんにちは(・∀・)ノ
秋月煉です。
何だかさっぱりと終わった魔族さんのお話。魔族さんが不憫になったのは気のせい?
次は会場に戻りまして、色々と騒動が起きます。一体何をやらかすのか、秋月、めっちゃ不安です(笑)
さて、小話をば。
咲希:こんにちは〜。
翔太:ヤッホー。
咲希:こら!真面目にやれっ!
ドッカーン!
翔太:おいっ!?いきなり何すんだ!?
咲希:チッ、バリアか。
翔太:本気で狙うなよっ!?
咲希:あーあー、魔族こらしめて、ストレス発散したのにー!
翔太:お前、何やらかしたんだ(汗
咲希:んー?翔太と一緒にかけた罠だけよ?
翔太:………何か失敗した気がする。
咲希:何か言った?
翔太:何でもないです。
冷や汗ものの翔太君。自分がいかに危険な事をしたか、気付いたもよう(笑)
次回は8月6日お昼頃です。
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