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第29話 下準備をしよう!

本日は説明会です。話が進まないような…………。


只今、ドレスのまま、バルコニーに来ております♪


勿論、ダンスは最初の一曲だけ、お相手をしてまいりましたよ。他の方にも誘われましたが、とても丁寧に細心の注意を払ってお断りしました。下手に断ると、後で悪口言われかねないので…………。


なので今、周りには誰もおりません。人払いの術をかけてありますので、どなたもいらっしゃいません。もし来ても、用事を思い出したり、“偶然”人に呼ばれたりして、こちらには来ないという素晴らしい術です♪


「さてと、楽しい時間の始まりね☆」


思わずはしゃいでしまうのは、仕方ないでしょう? 暫くストレス溜まりまくっていたので、発散できる機会ですので、全力でお相手しますよ♪

さて、この楽しい罠を仕掛けたのはいつかと言われると、10日前に遡って説明しなければならないでしょうね。



◇◇◇◇◇


〜回想〜


10日前、王様達との頭の痛い会議が終わった後。あたしは真っすぐに自室に帰り、侍女さんにお願いして、桶に水をはったものと、塩を用意してもらいました。


「さーてと」


勇者専用武器庫で契約した無制限収納バックから、拳大の丸い水晶を取り出す。

これでこの場に、水晶、水を張った桶、お清めの塩が揃ったわけだ。


「うーん、やっぱり占術道具がないのは痛いな〜」


陰陽師が使う占い道具は、幾つかあるけど、あたしが得意だったのは星の並びを見る六壬式盤を使った占い。特に、失せものの占いは他に引けを取らないくらいの得意だったもの。


…………他もやっとけば良かった。


後悔先に立たずとは、こういう事をいうんだろうね。


「はあ、水盤の占いは苦手なんだけど、仕方ない」


流石に異世界には六壬式盤はない。近い物で、精々が星見だけど、こっちの星座は分からない。確か、他に朴占とかあったけど、あたしは専門外。


「んー、奇襲までの日数が知りたいだけなのになぁ」


本当に困った。


「あの…………サキ様」


「何? イーリス」


ヒマリでさえ、今は話し掛けるのは不味いと分かっていて、大人しくしているのに、イーリスはどうしたんだろう? あ、因みにヒマリとはあたしがお世話する事が決まった赤ちゃんドラゴンです。小さいけど、西洋型のドラゴンで羽もあります! 小さな目がウルウルしてて、つぶらなその姿に、ハートをうちぬかれそうです。


「占いならば、あの場で契約した水晶をお使いになっては如何でしょうか? 折角バックから出したのですから」


確かに、そうなんだよね…………。


「タロット占いとか……いや、こっちにはないしな〜、諦めるしかないか」


こうして始めた占いは…………部屋に到着したのが6時だったこともあるけど…………まさかの10時までかかってしまい。


だってね? 


普段なら馴れた道具を使うけど、馴れない道具のためかイマイチ理解できなくて、読み解くのに異常に時間がかかってしまった。




「10日後か………最悪だわ」


タイミングバッチリ、パーティーの日なんですけどっ!!


あたしは慌ててベルを鳴らし、侍女さんに宰相様を呼ぶように言い付けた。緊急である事も忘れずに言付けて。



…………数分後、物凄く息を切らした宰相様が来たときは、大変申し訳なくなりました。本当にごめんなさい。そこまで必死になって来るとは思わなかったわ。


「サ、サキッ…様……い、一体何が……緊急…との……知らせ…ですが………」


ゼイゼイと息を切らす宰相様に、慌てて水を用意してもらい、落ち着いてもらう。ごめんなさい、本当にごめんなさい。宰相様、完全にデスクワーク専門の方だとは思わなかったのよ。


「え、えっとね? 魔族が王都を狙う日が大体分かったから、知らせようと…………」


「本当ですかっ!!??」


うん、顔が近い。近すぎる。更に唾はかかるわ、興奮状態にある所為か、顔つきが必死で。マジでどん引き状態です。後ろにいる侍女さんか、宰相様の後から入って来た二人の青年のどちらか止めて下さい!!


ヘルプミー!!!


と、ポケットから凄まじい霊気が。


『えぇーい!! 主人に何をやっとるかっ! この不届き者が!』


「ぐっ……き、貴様こそ何処から!?」


いきなり現れた樹英(じゅえい)様にビックリしてますが、逆に言い返すなんて、あたしがビックリなんですけど…………。

って、樹英(じゅえい)様、宰相様の頭を杖の部分に引っ掛けて吊しちゃダメッ!! 後ろの二人が腰に吊した剣の柄に手をかけちゃったよ!?


「わっ、わー!! 皆暴力反対!! 樹英(じゅえい)様、宰相様を降ろしてっ!」


慌ててストップかけました。皆がこっちみてキョトンとしてますけど。めっちゃ恥ずかしいけど!!


「サキ様、こちらのご老人をご存知で?」


宰相様、めっちゃ目が不信人物を見る目です。据わってますよ、目が。うわっ、樹英(じゅえい)様お怒りなんですが…………。


「えっと、あたしの式神様ですので、お願いですから剣はしまって!!」


最後の方は絶叫に近いです。


「?? 式神とはなんでしょうか?」


あ、そこから説明しなければいけませんか。報告には受けていても、実際みないと分かりませんからね。

なので式神がどんなものかをしっかりきっかり分かりやすく説明するのですが、やはりというべきか。最後に出ました。式神様方にとって、もっとも忌むべきお言葉が。


「つまり使い魔の神様バージョンで宜しいのでしょうか?」


首をかしげながら、必死に理解しようとする宰相様ですが、禁句がお言葉に入っております。更に間の悪い事に、式神様の入ったお札から、殺気が放たれ始めています。

…………会話を聞かれたみたいです。ヤバイです!!!



『わしらを使い魔ごときと一緒にするなどと、何と恥知らずなっ!! えぇーい! この場で成敗してくれるわっ!』




「ダメ―――――――ッ!!!」




慌てて待ったをかける。一応、あたしは式神様達の主人なので、言うことをきかせる事も出来ます。勿論、今回は樹英(じゅえい)様が本気なため、問答無用で使いました。


『咲希様っ! 何故です!』


裏切られたとばかりに泣き始める樹英(じゅえい)様。うん、分かってる。例え嘘泣きでも、分かってる。あたしは自分の式神を馬鹿にされて黙っている程、お人好しではありませんよ? それを知っているからこその嘘泣きだろうけど(笑)



「宰相様、お言葉にはお気を付け下さいな、式神様はこの城など簡単に壊せる程度には、力を持っているのですから…………」


ニッコリ。


それはそれは素晴らしい位に晴れやかな笑顔を向けてやりましたとも。目からは表情とは逆に、冷気を迸る殺気を込めた視線を向けているけれど。


「ひっ! も、も、申し訳ありません!!」


宰相様、有能な方なんでしょうけれど、今回だけは自業自得です。逆にこれで済んで良かったね〜☆


「まあ、馴染みがありませんからね、今回は忠告だけで済ませます、ただし、」


そこで言葉を切ると、後ろにいた皆さん全員がゴクリと唾を飲んでいます。


「た、ただし?」


「次はあたしも彼等を止められるかどうか…………」


宰相様、とうとう顔色が青白さを通り越し、土気色になりました。あら、やりすぎたかしら?(笑)


「では宰相様、あたしのお願い聞いていただけますか? 変わりに今回の発言はチャラにしますから」


「本当ですかっ!?」


バッと身を乗り出した宰相様、しかしそれに気付いた樹英(じゅえい)様にパコンと右手で叩かれてました。

………ざまぁ、とか思ってませんよ? 思ってないからね?


「と、取り敢えず落ち着いて下さい」


引いたー。思いっきり引いたわー。大の男が彼の父親位の年の人に頭をたたかれてるんだよ? 引くわー。


「えっと、伝言をお願いします」


宰相様、どうも何か難しい事でも頼まれると思ったみたい。呆気に取られてます。てか宰相様? 貴方この国の宰相様ですよね?? 何でこんなに表情豊かなのかな? この国は将来大丈夫なんだかね!?


「で、伝言ですか?」


「はい、嫌なら別にいいんですが?」


すっと視線を樹英(じゅえい)様に向ければ、ニヤリと嫌な笑みを浮かべていて………それを間近で見た宰相様、お顔色が折角、元に戻ったのに、またしても顔色が真っ青。うん、樹英(じゅえい)様にされたらあたしもなるかも? あたしもお爺ちゃんには負けるしね(笑)


「では、伝言をお願いします!」


こうして宰相様に、あたしは雑用を押しつけました☆ 内容は。


『魔族の方は、あたしの式神でするから、皆はパーティー楽しんでね♪♪』


勿論、これはある事をするための布石だけれど。だって王道突っ走ってる優香ちゃんや、表向き真っ直ぐな和磨君、あの二人はなるべく貴族達に見せ付けてやった方がいい。翔太は二回目だから、しばらくすれば警戒されるし、あたしは初っぱなからやらかした(無意識で殺気放った事)から、最初から警戒される。なら、警戒する奴らは対処できるあたしや、翔太に向けておいた方が二人にはいいだろう。基本的に二人とも平和な中にいたわけだからね。

…………ほぼ毎日、死線を潜ってたあたしは何だって話になるけど。翔太も似たようなもんだしね。

つまり何が言いたいかと言うと、餅は餅屋の例えのように、こんな陰謀図る馬鹿はあたし達、専門家に任せなさいってこと。


まあ、伝言入った水晶を宰相様に渡した時、何故か彼の目が異常に優しかったのは、見てみぬ振りをした。何か厄介そうだったから。


「あ、サキ様、言い忘れておりました」


何故か退出前に宰相様が振り返った。


「明日からパーティーのダンスの練習をしますので」


「はい?」


しかし返事を待たずに行ってしまったため、結局詳しくは聞けなくて。


あたしは翌日、その意味を知るのだった。


あぁー! あんとき止めて聞き出せば良かったー!!



◇◇◇◇◇


何か、変な部分まで思い出してしまった。


「さぁーてと…………、お仕事をしましょうか」


あたしは普段の笑顔の顔から、仕事の顔へと切り替えたのだった。


お読み頂きまして、誠にありがとうございますm(__)m 


秋月煉です。


本日は咲希ちゃんと宰相様の突っ込み劇をお送りしました(笑) なんだか話が進まないような気がしますが、気長にお付き合い下さいませ。


尚、本日は活動報告の方に小話を載せてありますので、お時間のある時にでもお読み下さったら幸いです。


では本日のミニ小説をば。



翔太:こんちは!

和磨:こんにちは!

翔太:今日は俺達の番だな!

和磨:そうだね。それにしても今日の最初のダンス、咲希さんとフランツ殿下、息ピッタリだったね!

翔太:あれは俺もビックリしたよ…………。あいつ本当にチートだよな。

和磨:だね。午前中しか練習してなかったよね?

翔太:あぁ、午後は罠を仕掛けてたしな。俺も手伝ったが、言ってる事の半分も理解出来なかった。

和磨:えっ!? 僕と優香さんを置いて、そんな事してたの!?

翔太:いやー、だって暇だったし?

和磨:…………あのダンスを平然とこなす翔太も十分チートだよ?

翔太:??


翔太、自分がチートである事を自覚していないもよう。彼の認識では、咲希がチートになってますが、勇者全員チートです(笑)

…………あれ? 皆、自覚してるのかな!?



次回は7月23日に更新します。


感想、ご意見、誤字脱字、いつでもお待ちしております。なお、甘口で下さると嬉しいです。

では、次回、お会いしましょう!

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