第27話 王都、イベントです?
本日より、王都編になります。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、ご了承下さいませ。
こんにちは!
あたし、天城咲希です。縁あって勇者として召喚されまして、只今、パーティーの真っ最中です♪
え? 飛ばしすぎ?
いやー、スミマセン。きちんと説明させて頂きます!
簡単に整理すると。
ガラー山から超特急で空の旅
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何度かバトル
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帰ったらお出迎え(兵隊さん、高官さんがお出迎え)あまりの豪華さに顔が引きつったのは良い思いで。
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王様に実務室で礼を言われ、色々と頭の痛い話をされました。何とドレスを準備されてて、まさかのパーティー決定。思わず目が点に。
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その日から10日間侍女さん達に(強制的に)エステをされ、ダンスを(何故か)王族の方々に(強制的に)習わされ。筋肉痛になりながら踊りましたとも!
エステは超気持ち良かったがな!
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今日は朝から着飾られ、只今、謁見の間。←今ここです。
こうして考えてみると、異常な程のハードスケジュールだな、おいっ!!
「勇者サキよ、昨日の活躍により、守護神たるガラー山のドラゴンを救ったとか、勇者サキ、そして侍従のファインリード、付き従ったジーク、ローグ、ジュビアン神官殿にも礼をいうぞ」
国王陛下の手前、皆様正装でございます! ファイさん、双子は騎士の正装で、ジュビアン神官は式典用の神官服。
いやー、目の保養ですな〜♪♪
因みにあたしは中世ヨーロッパの頃のようなパーティードレス。何故か透き通るようなイメージの青色。スカートもあまり広がらないようなタイプであり、イメージ的に清楚な感じ。
孫にも衣装とは良く言うわ。
しかしこれ、王族であるエリー様の選んだものらしく、もし馬鹿になんてしたら…………恐らく、それなりの制裁を受けるでしょうな。こわっ!?
「更に、歴代でも誰もなしえなかったドラゴンの親の役を仰せつかったとか、これからは大変だろうが、期待しておるぞ」
「「「はっ!」」」
「ご期待に添えますよう努力を致します、国王陛下」
勿論、あたしも外行きの顔で対応します! 伊達に時期当主の婚約者、努めたわけではありませんよ!
周りの初日のあたしを知る者達は顔色が悪いがな。あたしだって猫は被れます。流石にこんな大勢の前でお馬鹿な真似は出来ません。やったら後が怖い……。この世界、噂が一番怖いしネ。
「更に勇者、ショータ、カズマ、ユーカよ、こたびの活躍、世の耳にも届いておる、千を越える魔物をバッタバッタと倒し、危機に瀕したルピーの町を救ったとか………これほどの活躍をする勇者を召喚出来た事、世はこの世界の神と運命に感謝をしたい、さあ、今宵はそなた達の為のパーティーである、存分に楽しむとよい!」
「「「はっ」」」
これで茶番劇は終わりだ。
この演出は、あたし達のはく付けの為のもの。王様からお褒めの言葉を貰う事は、この貴族社会ではとても意味のあるものだから。
さて、何でこんな事をしているのかといえば。
◇◇◇◇◇
〜回想〜
「は? パーティー?」
先程合流した翔太達との情報交換も終わり、小さな謁見の間、もとい政務室にお邪魔してます。ここは言わば会議室。何やら宮殿でも起きていたらしく、その説明を受けるはず…………だったのに、何でこうなった!?
この場には、王様、王子様、宰相様、あたし達のみ。
「順を追って説明させて頂きます」
そう言ったのは、宰相様。整った顔立ちに眼鏡の、ザ・出来ますな感じの人。髪は既に白髪混じりな部分はあるものの、渋く上品なおじ様感を出しています。
…………後、20歳若ければなー。
そんなお馬鹿な事を考えているあたしを余所に、皆様真剣です。
「皆様がいない間に、反逆者達を一斉に取り締まったのですが、まとめ役をしていたらしい奴らまでは捕らえきれませんで…………、そこでパーティーを囮に使おうかと」
「いや、だから何でわざわざパーティー?」
思わず素で返したあたしは悪くない。皆も目が点になってるし。
「…………皆様、自分達が勇者であり、未だ国内外に発表していないのをお忘れですか?」
あ………。
「そういえば、すっかり忘れたな」
二回目勇者の翔太は経験があるようで、気まずそうにしていた。
「急遽決まった訳ではなく、皆様が召喚された時点で、既に通達されておりました、本来ならば皆様にはギルドに先に加入して頂き、そこでそれなりの功績を出した後にするつもりだったのですが、ガラー山のドラゴン騒ぎで手柄を上げて下さいましたので、予定より早くにしようと、本日は集まって頂きました」
何だろう? 途中から宰相様、半眼になってない? 微妙に嫌味に聞こえたんだけど。
「えっと、パーティーっていつやるんですか?」
優香ちゃんが遠慮がちに聞いてますが、宰相様、何故今、視線を反らしたのでしょうか??
「10日後になります」
「「「「えっ(はっ)!?」」」」
「ですので、皆様には、直ぐにでも礼儀作法とダンスの勉強をして下さいね」
「ドレスやタキシードは既に用意させてある、心配しなくてもよいぞ」
とは、宰相様と王様のお言葉。
……………マジで切れてもいいだろうか?
「ダンス、しますよね?」
普段より低い声になったけど気のせい。えぇ、気のせいですとも。
「い、いや、一曲だけでよいぞ? パーティーはそなた達のはく付けの為だからな」
王様、あたしまだ切れてないんですが? 凄い脂汗ですよ? まだ殺気も出してませんよ?
「サ、サキ様、お顔が怖いです」
王子様に言われて、初めて気付いた。
え、それだけで怯えるって…………大丈夫か。この国。
思わず心配しちゃったのは仕方ないよネ?
「侍女達に申し付けましたので、ユーカ様とサキ様には体を磨いて頂きます……………後で女性達に目を付けられると厄介ですから」
流石、一国の宰相様。頭がきれますね!
女性の恨みは恐ろしいですし。うん、あたしもあったからな。あれは恐ろしい。
「恐らく、奴らはパーティー中に接触してくるでしょう、その時は嫌がらせを含め、全てを家に被せますから安心して下さいね☆」
つまり、好きにしていいと? 許可を出しちゃうと? 何かあったの? 宰相様、めっちゃ嬉しそうなんですが(汗
家に被せますって、冗談抜きで処罰程度ではすまないよね? え、マジ怖いんですが………。
「えっ? えっ?」
優香ちゃんが困ってるけど、お願いだから優香ちゃんは純粋なままでいて…………。
悪巧みが今、次から次へと来てます♪ ふふふ、頑張っちゃうよ! あたし♪♪
何故か皆(優香ちゃんを除く)が引いていたけど気にしない♪ 待っててね! 悪役の皆様。溜まったストレスは君達で発散させてもらうよ♪♪
「ところでサキよ…………、先程から足にへばり付いているドラゴンの子供はどうするのだ?」
あら、この子達の事、王宮組にそういえば説明してないや。
一応、説明すると、あっさりオッケーでました。えぇ!? いいの? そんなあっさりオッケーしていいの!?
「ドラゴンは上級種になると、神様のように信仰対象になっておる、故に育てる事は全く問題ない、それどころか自慢できる最高の名誉であるな」
成る程、それなら大丈夫だね。
「さて、先に誰が誰を世話するか決めないとねー」
そう、これが本日のメインイベント!
悪役を潰したり、あたし達がダンスやエステをするより、とっても大事!!
「えっと、どうするの?」
「この子達はね、魔力を餌にするんだって、で、それぞれに属性があるから相性のいい子の親になってやってください」
で、どうやって決めるかなんだけど、まずはこの子達にとって魔力の相性がいい人を決める。
例えば青色の子は既に翔太にくっついて離れないのを見ると、間違いなく翔太が気に入ったんだろう。
「翔太はその子だね、名前決めてね♪」
「おう! 格好いい名前付けたる!」
うん、このコンビは大丈夫ね。
残りは赤、緑、光の子達。
「赤の子は優香ちゃんだね」
いつの間にか、優香ちゃんの許へ行き、懐いていた赤の子。元気な子だとは思ってたけど、まさかここまで行動派だとは…………。内心、ビックリものです!
「残りはこいつらか……」
「光も風も二人とも持ってるもんね………」
先に決まった二人は、肩に乗せてスリスリする子達と戯れている。はあ、あたしも早くやりたい!
「この子達、咲希ちゃんから離れないね」
そう、まさかのめっちゃ懐かれてます、あたし! 嬉しい、嬉しいんだけど…………。
「和磨君、あたしを睨んでも駄目だよ?」
「分かってはいるんですけど…………」
だよねー。複雑だよねー。
「魔力だしてみたら?」
優香ちゃん、ナイスアイディア!
素直に頷いて魔力を手に集める和磨君。彼の魔力は風の力が強いからか、魔力も緑がかっている。
ちなみに、優香ちゃんは赤っぽい色で、翔太は青っぽい色。あたしは特に色は無く、黄色みががった白色です。
「あら??」
魔力が和磨君の手のひらで渦を巻き始めると、エメラルド・ドラゴンがピクッと反応して、あっさりと和磨君に向かっていきました。
「ピーッ!!」
「……これで決まりだね」
凄く懐いていたし、離れたくないからかずっとピッタリとくっついていた甘えん坊が、あっさりと離れていってしまい淋しく思うけど。
「さあ、後は名前を決めないとね!」
こうして、あたし達はドラゴンの親になりました。
名前は。
赤いドラゴン→アカネ
青いドラゴン→カイト
エメラルド・ドラゴン→ヒスイ
黄色いドラゴン→ヒマリ
です。皆で可愛がっていきますよ!!!
◇◇◇◇◇
〜回想終了〜
王様達のお話も無事終わり、まさかの王子様に席に案内されたんだけど、まさかの王族の座る席のすぐ横。はい、マジで横です。
ちなみにパーティーの間は、ドラゴン達は部屋で侍女とお留守番。幸い、魔力を与えなければ問題ないように、親ドラゴンから説明を受けて、大人しく寝てます。本当にいい子達だよ。
「…………ちょっと、何で王族の横なんですか!」
小声でヒソヒソと文句を言うけど、彼はあっさりと説明してくれました。
「仕方ないでしょう、あなた方は勇者なのですから」
全く、これじゃ目立ってしょうがないでしょっ!?
何の恨みがあるんじゃー!!
本日もお読み頂き、誠にありがとうございます。
秋月煉です。
本日より、王都編がスタート!
しかし、一つだけ違和感がありますよね? 10日の間に、何もイベントが無かったの? てきな………。
それらはパーティーの間の回想で少しずつ出して参ります。
あ、勿論、ミニ小説や小話として活動報告に書いたりもいたしますので、そちらも宜しければ覗いて見て下さいませm(__)m
サキ:こんちはー♪
翔太:今日は俺達が司会だぜ!
サキ:とうとう始まったわね。
翔太:だな。だが俺は満足だ! 肉が食い放題だもんな♪
サキ:馬鹿はほっといて、折角エンシェント・ドラゴンさんから聞いた情報、出てなくない!?
翔太:ああ、王都が危ないか…………。確かに一つも描写がないのは気になるな。
サキ:だよね!?
翔太:作者の度忘れだったりして………。
――――ギクッ
サキ:そうよねー、忘れる訳ないわよねー。
翔太:お前、怖すぎ。
サキ:んー?
翔太:…………何でもありません。
こうしてサキちゃんは、静かにお怒りなのでした。
…………忘れてごめんよ、サキちゃん。
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では次回、7月9日にお会いしましょう。