第1話 勇者召喚
はじめましてm(__)m
秋月と申します。楽しんでくれたら嬉しいです。
とても煌びやかで豪華な造りの謁見の間、中央にて。
「あの〜………」
恐る恐る聞く、あたしの目の前に立つ立派な身なりの人が、なんといきなりの土下座をしてきた。体格は脂肪だらだらの中年太りなので、床に着いた脂肪は、見ていて気持ち悪い。
その顔は、今にも泣きそう。
一応この方、この国のトップ、王様ですよね?
「どうか、どうかっ、何卒、我が国の勇者様に成って下さりませぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「ひぃぃぃぃぃ――――――――――っ!!??」
◇◇◇◇◇
え〜、ごっほん。改めまして。
………はじめまして。
あたし、天城 咲希。髪型は肩より少し長い程度。顔立ちは幼げに見えるのがたまに傷の年齢15歳、身長は150cmで、職業?は学生。市立松石高校の一年生。
趣味は読書。特にファンタジーが大好きで、ラノベに漫画に小説とガッツリ読んでます。
性格は、周りからは“しっかり者”と“敵にまわしたくない人”と言われてるね。
えっ? どうしてこんな時に自己紹介をしているかって………?
そして上の悲鳴はなんなのかって………?
もちのろんで、気になるよねぇ?
さて、なんでこんな状態になったのか、最初から順番に説明をしようと思います。
―――回想
時間は、学校の放課後まで遡って。
あたしはいつものように、人波に紛れ込むように歩いていた。それがあたし、咲希の特技・影が薄い(そのまんま…)なのよ。
えっ? ネーミングセンス無さすぎだ?
ごめんね〜。あんまりネーミングセンスはないのよ………グスッ。
さて、気を取り直して。
あたしの顔立ちは平凡そのものだし、髪型も胸元に届くかどうかというくらい。体系は小柄なんで、本当に目立たないんだよね。
そんないつもの通り道を歩いていた時の事、あたしがふと、キラリと光ったそれを見たとき、あたしの足元が“抜けた”。
今、思い返すと、多分だけど魔方陣が光ったやつだったんだと思う。
「えっ?」
本当に綺麗に文字通り、あたしの足元が抜けたんだ。いや、穴になったというのが正しいかな?
拍子抜けしてしまって、動けないくて、闇はあたしの足を飲み込み始めていて、気付いた時は遅かったんだよね…………………。
「えっ!?……………えぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
何かを掴もうとしたけれど、不運にも周りは何もなくて。
つまり――――――。
あたしは、ブラックホールみたいな真っ黒い穴に、落ちてしまったのだ。最後に何か聞こえた気がしたけど、そんなのに構っている暇は無かった。
そして一瞬、光が照らしたと思うと、気付いたら、あたしは薄暗い部屋にいた。
下には見たことが無い、ファンタジーで出てくる魔方陣が輝いていた。周りには、これまたファンタジーな服を着た騎士さんや、白い服を着た人達。それもかなりの数。
本好きなあたしは、ここでようやく気付いた。
本当に遅いけど………。
これはまさしく王道的な“異世界召喚”だって事に。
一番近くにいたのは、長いキラキラした金髪に青い目の、超綺麗な女の子。服装は淡い水色のレースをふんだんに使ったドレス。
この場合だと、お姫様か巫女様なんだろうけど。
………私、この瞬間まで、こういう人達はおしとやかであると思ってた。
「むぎゅぅ………!?」
だってさ、超綺麗な姫様がいきなり抱きついてきて、その大きなムギュッとした、同じ女の子でも羨ましいそれで、あたしを無意識に殺そう……ゴッホン、強力な腕力で抱きついたりしたんだから、そう思っても、しょうがないよネ?
「ようこそ! 勇者様っ!!」
「っ!?」
「本当に、本当にっ、来てくださるなんて、わたくしっ、わたくしっ、もう嬉しくて嬉しくて……」
その後も色々言ってたみたいなんだけど……あたしは聞いていなかったんだよね………。その時のあたしは、絶賛パニック状態だったから。
(や、やばい。空気が、空気がっ!息っ、息が出来ないっ!!)
マジで死ぬからぁぁぁ――――――!!!!
「姫様っ!! 勇者様が死んでしまいますっ!!!」
後ろに控えていた騎士の一人が、あたしの状況に気付いてくれて、助けの船を出してくれた。
ありがとう。騎士さん。このご恩は一生忘れませんよ!!
「えっ??………っ!?」
騎士に言われてようやく気付いた姫様は、慌ててあたしを離した。
「はふっ……た、助かったぁ〜」
訳も分からないうちに死にたくはないんですけど!?
これって九死に一生ってやつか? こんな経験、二度とごめんだっ!!!
「も、申し訳ありませんっ! わ、わたくしっ……あまりの嬉しさに、もっ、申し訳ありません!!」
平謝りする姫様……。
その姿に、物凄い引いてしまった…………。
だってねぇ、美人が涙目で凄い勢いで謝ってるんだけど、あまりに勢いがありすぎて、髪を振り回してるんだもん。
これは、誰でも引くよねぇ??
「………えー、ここはどこでしょう?」
取り敢えず、あたしは話を勧めようと思う。この時、あたしの口調が棒読みになったのは、言う迄もない。
「はっ………ゴッホン、ここは、クラリオン王国の宮殿の召喚の間ですわ、そして私は、この国の第2王女、エリエンヌ・アウディ・クラリオンと申します、気軽にエリーと呼んで下さいませ」
礼儀正しくお辞儀するけど、さっき髪を振り回したせいで、あまりしっくりこないのは何故だろう………??
後ろでは健気なメイドさん達が、必死に姫様の身なりを整えていた。
うん、身なりは大事だよね? そういうあたしは、身なりはあまり気にしない方だったりする。だってよくジーパンとか、ジャージにTシャツ着てたし。
よく家族から、残念がられたよ。
「……あの、お名前を聞いても?」
どうやらこの時、あたしは姫様のギャップの所為で固まっていたようだ。名乗ってもらって、名前を名乗らないなんて、あたしが失礼だよね! 日本人は礼儀正しいのが自慢だもんね!
「あたしは天城 咲希といいます、こちらだと、サキ・アマギですかね?」
エリエンヌ様(長いから次からはエリー様で)は、何度か発音を確認している。どうやら、咲希とは発音しにくいみたいだね。
「サキ?と呼べば宜しいですか?」
「はい、好きに呼んで下さい、えっと、エリー王女様?」
「エリーでいいですわ、サキ」
気軽にいってくれるけど、さっきから後ろの侍女さんとか、騎士さんとか神官さん(白い服の人)達が、目を三角にして怒ってるんですけど!?
あたしにどうしろと!?
「では、エリー様と呼ばせて下さい」
流石に王女様を呼び捨てにする勇気はありませんので……。内心そう思う。
「まぁ、サキは礼儀正しいのですね♪ 分かりましたわ、そこは譲歩しますわ」
「ありがとうございます、エリー様」
苦笑ぎみになったのは、仕方ないよね?
後ろの人達の圧力怖すぎっ!
「では早速ですが、お父様…国王陛下に会って下さいませ」
アハハ……、これってまさかの、フラグが立ったって奴よね?
マジ、勘弁して〜。
―――回想終了
とにかくこんな感じで、あたしは国王陛下に目通りが叶ったわけなんだけど…………。
「サキ殿、何卒、何卒、我が国の勇者様に成って下さりませぇぇぇぇぇぇ――――――――!!」
涙をボロボロ流し、土下座の勢いであたしに頼んでくる王様。王様としての威厳はどこにもない。
隣にいるおしとやかな王妃様と、見目麗しく母親似の王子様、そして美しい王女様の皆様が、王様の行動にどん引き状態……………。
なに、何なの、このカオス…………。
「ひぃぃぃぃぃ――――――!!」
恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐いから!!!
「お父様、サキが困ってますわっ!!」
いやね、貴方にも殺されかけてますからね? やっぱりこういうインパクトが大きい行動をとる辺り、親子だなって感じるよ。本当に、心のそこから!!
「そうか? ふむ、では説明をしようと思う、ふむ」
王様、最後のふむの意味は何?
てか、いつの間に玉座に戻ったの?? 気付かなかったんですけど!?
「ふむ、貴方を我が国に召喚したのは、ふむ、我が国の勇者に成ってほしいからなのじゃよ、ふむ」
「勇者ですか?」
やはりお決まりな展開でしたか。
「ふむ、近年、魔物の被害が拡大しており、更に更に、魔王復活の予言を大陸一の預言者が言ったために、各国がパニック状態…………勇者は一国に五人までと定められておるが、我が国には勇者の印を持っている者は誰も居らず…………仕方なく最後の手段として、勇者召喚を行ったのじゃ、ふむ」
成る程、それで召喚を。
でもね…………王様?
「あたし、印なんてないよ?」
どこを見ても、印なんて出てないし……………あたし、本当に勇者様なの?
「いえ、サキは間違いなく勇者様ですわ、右手に強く念じてみて下さいませ」
素直に言われた通りにすると、あらあら不思議。右手に紋章みたいなやつが浮かび上がった。
『『『おぉぉぉぉ―――――――――――――!!!』』』
それを見た周りが、大合唱(笑)
いや、失礼。あたしだって、軽いジョークくらいは、行けるんだよ?
「やはり、やはり、サキ殿は勇者様に決定だ!!!」
「その前に、王様、聞きたい事があります」
大切な事を聞くのを忘れるとこだった!! 危うく流される所だったよ。
「私は、元の世界に帰れるのですか?」
何故か、辺りが静かになった瞬間だった。
これは帰れないと考えた方がいいな。
「申し訳ないが、一度召喚すると、その……こちらから帰すことができない、です、ふむ」
だから、最後の“ふむ”は何?
「帰れないか……参ったな〜…………」
お父さん、お母さん、弟よ。私は異世界に来てしまいました。もう二度と会う事は叶わなくなりました。途中で消えた私を、どうかお許し下さい………………。
心の中で、謝るしかなくて、本当に泣けてきた。
そこに王妃様の声が響く。
「勇者サキ様、突然の事で本当に申し訳ないと思っています………私達は出来るだけの事をすると、貴方に誓いましょう、ですから、ですからどうか、この世界をお救い下さい!」
心から案じてくれているのが分かる。本当にお妃様は心優しい方だ。私の心は、もう決まってるんだけどね(笑)
――――――バンッ!
「大変です!!」
その場に血相を変えた兵士が慌てた様子で駆け込んできた。
うん、何かあったな。
読んで下さり、ありがとうございます!!
作者、秋月と申します(^O^)/
王道的なストーリーを書きたくなって、書いてしまいました(笑)
これから、どんなふうにストーリーを展開するか、今から楽しみです。
なお、誤字脱字がありましたら、感想にてお知らせ下さい。
咲希:始まったわね〜
エリー:そうですわね、サキ
咲希:次は新しい勇者の登場ね
エリー:(サキより素敵な勇者はいませんわ)