閑話 命の重さ
久方ぶりの閑話です。
なのに、何故か重い気がするのは気のせいでしょうか?
1、戦いのお隣では
『何故あの人間は、我等ドラゴンに対し、あそこまでしてくれるのでしょう?』
不思議そうにエンシェント・ドラゴンは近くで自分の傷を癒している二人に、視線を向ける。この二人の存在も、エンシェント・ドラゴンを悩ませる存在なのだ。
方や人間の男性。白い服装をしている彼は、人間にしては中々の力の持ち主であり、驚く程の手際の良さで傷を癒している。
そしてもう一人、美しい少女の様な姿の存在だ。そう、存在。人では無いのは分かる。その身に宿した力が尋常では無いことも気付いた。恐らくかなり高位の存在のはず。なのに何故、人と共にいるのか。それが分からない。長いときを生きるエンシェント・ドラゴンでさえ、それは分からなかった。
エンシェント・ドラゴンとて、長い時間を過ごしてきた。その中で気に入った人間に付き従う存在もいたにはいたが、あまりに少なすぎ、変り者とさえ言われるほどだったのだ。
「咲希様は、人であろうとも人外の者だろうとも、あの方は大切に思えば守りますもの」
『ほう……、普通はドラゴンは怖いものではないのか?』
人間は、本質的な部分で闇を恐れる。それは魔物にも適用される。人間は魔物を恐れるのだ。本能とも言われる、もっとも深い場所で。
「咲希様は、元の世界で陰陽師をしておりました、故に、多くの闇を見ております」
『………あの娘は、異世界の者か』
こう言われれば、エンシェント・ドラゴンにも理解出来た。
あの人間の娘は、異世界の者。ならばこちらの常識を知らぬのは当たり前だと。
「ドラゴンと会うのも、初めてではありませぬ、故に貴方様を守る者とお決めになられたのでしょう、あちらのドラゴンよりも、素晴らしい思いをおもちですから」
春にそう言われるが、エンシェント・ドラゴンは固まってしまっていた。普通、普通である。エンシェント・ドラゴンを守る者など、普通はいないのである。大事な事なので、もう一度言おう。
普通は守る者などいないのである!
「さあ、こちらの傷は塞がりました、少し体勢を変えて下さいますか?」
「こちらもあらかた終わらせました」
二人に言われ、取り敢えず少し体勢を変える。
比較的、傷の少ない部分なのだが、二人はまた治療を始めてしまい、エンシェント・ドラゴンは唖然としたまま戦いを見るしかなかったのである。
◇◇◇◇◇
2、上空では
Side:ファイ
全くやる事が無かった戦いも終わり、簡易的ではありますがお葬式を行い、掃除をやり…………ようやく本題に入れました。
しかし、サキ様の葬送は、何と美しかった事かっ!! 今まであれほどに美しく綺麗に送る葬送を、私は見たことがありません。あれはそれほどに、美しく………いや、神々しい程で。
この方にお仕え出来るなんて、感動の極みとも言えますでしょう!
しかし、サキ様の気付いた点は、国にとって危険なものでした。興奮も一気に覚めました…………。また絨毯に乗って、行きより増えた小さな命の入った籠を双子に預け…………ん? 双子?
「サキ様? 何故双子に?」
エメラルド・ドラゴンの雛は特にサキ様を気に入ったようですが、王都に着けば風の上位の雷を持つカズマ様がおります。ドラゴンの雛は確か、自分と同じ属性を持つ相手に懐く習性がありますが、この場合どうなんでしょうか? サキ様も雷はお持ちで、確か今は上級までは扱えるとか言ってましたが…………。
先程から、光属性の雛ドラゴンがサキ様に構って欲しいのか、籠から脱走しようと頑張ってますし、他の火の子と水の子も似たような状態…………。
カオスとはこんな状態を、きっというのでしょう。
「あれ? だってジュビアンさんは防御系の神聖魔法使うから、無理でしょ? ファイさんは、舵とか制御しないといけないし、手が空くのは双子だけでしょ?」
あっけらかんと当たり前に言われました。飛行中は防御はジュビアン神官様にお願いしなければなりませんし、私は絨毯の制御に集中しなければいけませんので。となると、必然的な残るのは双子だけ。
と、エメラルド・ドラゴンと青のドラゴンは、双子が気に入ったらしく、籠に大人しくなりましたね………。まさか、これを見越していたのでしょうか。彼らはそれぞれ、氷と雷の使い手です。懐かれるのは当然でしたね。
私にも火と風の適正がありますので、火の子に少し懐かれました。ただし、魔力は全てサキ様からあげるようにと、親から言われているため、我々はあげることが出来ないのです。残念です。
「ファイさん、あとどれくらいで着く?」
サキ様に聞かれ、周りを確認し、ざっと距離を測ります。これで大体わかります。
「このペースでしたら、恐らく夕方前には着くでしょう、翔太様方と同じ位でしょう、あちらの方が早く出ていたはずですし」
「了解、雛達の事、お願いね」
「勿論です!」
サキ様はそういうと、一降りの美しい弓を用意しました。あれはサキ様の契約武器。敵が迫っているのですね!
「双子! 敵が来るかもしれない、雛達を頼むぞ」
「「了解です!」」
「ジュビアン殿、防御はお願いします!」
「分かりました」
ここはかなりの高度数千メートル、その高さで王都に向かって進んでおります。
戦いはまだ序ノ口。あ、サキ様は単騎で行き奇襲するみたいですね。この上空に住む魔物は数が限られております。恐らく、鳥タイプのブラックバードでしょう。鷲を何十倍と大きくした鋭い爪と嘴を持つ空の狩人。
「…くっ、こんな時にこいつですか!」
思わず愚痴るのは仕方ありません。何せこの襲ってきている魔物は群れで行動するタイプなんですから!! 一匹見たら、20匹はいると考えなくてはいけません。
「おい、双子! 魔法で応戦を!」
こいつらは雷と氷の属性。風の属性持ちのこいつらにも効くはずだ。
「ジーク! 頼んだ!」
「了解っ!」
連射で氷の塊が鳥の群れへと放たれる。
(ほう、中級を無詠唱か)
流石、この部隊は外回りが多い事もあり、実戦経験豊富だ。適切な攻撃と言えるだろう。実際、群れの塊になっている部分を狙っての攻撃だったために、数匹が逃げそびれ直撃した。
「サキ様はだ………」
大丈夫と言おうと思った矢先、何やら巨大な魔力の高まりを感じ。
「緊急退避――――!」
思わず逃げたのは、仕方ありません。ええ!! 絶対に仕方ありません!!
ジュドォォォォォ―――――ンッ!!!
凄まじい爆音が後方からしました……………。多分、火の上級魔法の爆破タイプでしょうか……………。
威力が明らかにおかしいような?
(サキ様には程々になさるように後で注意しなくては…………)
因みにこの後、双子が盛大にビビっていたのはいうまでもない……………。
◇◇◇◇◇
3、その頃の翔太達
Side:翔太
先程、咲希から報告が来た。この世界、魔法のお陰で結構便利である。
で、それを優香さん、和磨と共有するため説明していたわけだが。
「てな訳で、あっちも襲撃があったらしい…………ついでに仲間が増えたらしいんだが…………」
あいつの説明は、まともに聞こえるかもしれないが、穴だらけ。説明しているうちに意味が分からない部分多数。まあ、こっちも似たような報告だったが。
特に謎なのは、仲間が増えたらしい事。
三人で頭にハテナが浮かんだのはいうまでもなく……………。
(あいつは何しに行ったんだ!!)
思わず頭を抱えたのは言うまでもない。
本日もお読み下さりまして、誠にありがとうございますm(__)m
先程、確認しました所、何と! お気に入りをして下さった方がおりました。こちらでお礼を言わせて頂きます。本当にありがとうございます!!
これからも頑張って書いて参ります!
さて、本日は。
閑話だったのですが、微妙に使いにくいキャラになった、チビドラゴン達……。果たして活躍はあるんでしょうか?
因みに名前は全く決めていません!(笑) これから頑張って考えて参ります……。
では恒例のミニ小説をどうぞ!
和磨:こんにちは!
翔太:本日は俺達が司会だぜ!
和磨:何か久し振りだね、翔太とするのは。
翔太:確かに、暫く作者がネタに困ってたからな………。そういえば、次はパーティーだろ? ダンスとかどうするんだ?
和磨:やらされそうだけど……。
翔太:因みに経験者は俺一人だよな?
和磨:いや、咲希さんも確か経験者じゃないかな? パーティーに出された事があるとか、言われていたような?
翔太:………多分それ、日本舞踊じゃないか? 咲希んちだと、パーティーより宴だろ?
和磨:………あれ、じゃあ、ダンスは僕達どうするんだろう?
翔太:作者が何とかするだろ!
こうして、翔太と和磨は面倒くさくなり、作者に丸投げした…………。
仕事を増やすな! お前達!
次回の投降は7月2日お昼になります。
感想、ご意見、誤字脱字、ご指摘、いつでもお待ちしております。なお、甘口で下さると助かります。あまりメンタル強くないので(^o^;