表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/292

第25話 弔いと誕生と

今回、前半が非常に重いお話となります。なので苦手な肩は方は、後半からお読み下さい。


さて、緋ノ斗の暴走?独走?により撃退した魔族は本当に去ったらしく、ようやくこれで一息つけます。

それにしても、あいつはなんだったんだ?


「エンシェント・ドラゴンさん、この亡くなったドラゴンさん達を弔いたいのですが、いいですか?」


『?? そなたがか?』


本当に驚いているみたい。あれ? 亡くなった方を弔うのは、おかしいこと?


「サキ様、普通はドラゴンを弔おうとする人間はおりません…………驚かれて当然かと」


苦笑したファイさんに言われ、こちらも唖然となりました。

あら!? これって大事なの!?


「…………サキ様、弔う事が悪い訳ではありませんよ」


いつの間にやら近くに来ていたジュビアンさんにも、驚かれました。


「あー、取り敢えずやっていいの?」


『構わぬ、我からもお願いしたい』


確認を取ると、エンシェント・ドラゴンさんより了承が出ました。このままと言うのは、やはり親としては忍びないのだろう。


「じゃあ、始めるね、数珠は確か………あった」


バックから取出し、右手に装着。この数珠はあの武器庫で契約したうちの一つです。透明な石に青い勾玉がついた綺麗な一品です。

そして遺体を綺麗に清めると、横向きにして小太刀を置く。これで準備はOK。


「ねえ、今って何時かな?」


いつものように動いていたのだが、ふと時間が気になった。突然聞いた為か、みんなは唖然。恐らく、意味が解らなくて困惑しているみたいだ。


「もうすぐお昼………といった頃です」


答えたのはファイさん。彼は胸元に懐中時計を入れているので、あっさりと答えてくれました。どうやらわざわざ確認したらしい。


「ありがとう、それなら問題ないね」


時間を確認するのは、現代の陰陽師では当たり前になった風習である。黄昏時、それはもっとも加護が弱まり、闇の力が強くなる時間帯。故に、黄昏時は陰陽師にとっては鬼門とも呼べる時間帯なのだ。


「あの、何故小さな剣を置くのですか?」


ジュビアンさんも疑問らしい。日本では、亡くなったら刀を胸の辺りに置く。昔から悪いものが体に入らないようにするためにされている事である。こちらでは刀は無いので、剣で代用。これもキチンと説明してみるが、やはり認識の差があるのか、皆は唖然。何故だ。


「余り時間が経つと、アンデット化してしまいますが…………」


「一体なにをするんですか?」


双子が珍しく別々に聞いてくる。わー、そんな事もあるのか。ちょっとビックリ。


「うん、これから浄めと送りをするの」


両手を合わせ合唱する。御遺体を前に葬送の為の呪文を唱える。これは魂がさ迷わず、あの世に向かう為の呪文である。


「あっ……」


思わず声を上げたのは、誰だっただろう。だれもが目の前の奇跡を見て、目を見開いていた。勿論、皆は自然と姿勢を正し、見送る姿を見せていたのだが。


(確かにこれは仕方ないかな…………)


既に冷たくなった体から、白い霧の様なものが溢れる。それは次第に小さなドラゴンの姿になり、自分の体をくるくるまわったり、飽きたのか体から離れ親であるエンシェント・ドラゴンに向かっていく。未だ同じ場所から動かないのは、恐らくまだ卵があるからだろう。ただその顔は人であるサキが見ても分かる位に驚いていた。


『そなた達、まだ私を慕ってくれるのか……………守れなかった私を………っ!』


思わず熱いものが目を潤ませるが、呪文は辞めない。止める事は、出来ない。


「エンシェント・ドラゴンさん、その子達を送ります………生まれ変わって新しい生を受ける為に」


本当はこのまま会わせていてあげたいけれど、それは駄目なのだ。魂はとても弱いものだから。もしこのまま留めてしまえば、怨霊化してしまう可能性もあり得るのだ。

……………今は、同情してはいけない。したら尚更、辛くなるのだから。


『頼む』


言葉少なげに言うのは、エンシェント・ドラゴンさん自身が気付いているからだろう。引き止めてはいけないと…………。


「うん」


勿論、あたしは先程から見えている。まだ白い霧の姿のこの子達を狙う闇を。


「渡さないよ、闇にはね!」


呪印を刀印に変え、浄化へと切り替える。


「ナウマク サンマンダ バザラダン センダマカロシャダソハタヤウン タラタ カン マン!」


唱えるのは破邪の術。慈救呪と呼ばれる術である。刀印と共に放った術により、人知れずひっそりジリジリと忍び寄ってきていた闇は、あっさりと浄化された。

だが、時間がないのも事実のため、あたしはすぐに手を合唱にし、送る為に神詞(かじり)を唱える。


「送れませ、送れませ、神の御腕に抱かれて、御魂は帰る、送れませ、送れませ、うつつの夢は神の伊吹、汝等、新たな生を受ける者なり」


白い霧の姿の子供達は、エンシェント・ドラゴンさんに頬擦りするとそれぞれはすぅと消えていった。気配も消えている。どうやら、上手くいったみたい。

良かったー!


『サキ、礼を言う、あそこまで綺麗に送られる姿を私は始めて見た』


「私もです、あのように美しい送り方を始めて見ました」


……………すいません、途中ちょっと危なかったです。

でも口が裂けても言えない訳で。ここにブラオさんが居なくて良かった。また質問ぜめに合うのが目に見えている。


「無事に送れて良かったです」


あたしは苦笑するしかありませんでした。

後はこの小さな体を火葬にして送ればよい。



こうして葬儀は無事に終わりを迎えました。



◇◇◇◇◇



さてその後は、緋ノ斗がやらかした後始末。あたしと式神様、ブラオさん、ファイさん、双子のメンバーで巣の大掃除中です。


「サキ様、岩の表面がガラスの様になってます……」


焦げた部分を拭いていたファイさん、またしても絶句。確かに煤けた表面を拭いたらガラスに成ってましたなんて、普通はありえない。


「確かガラスって」


「凄い高温じゃないと」


「「ならないはずですよね?」」


さすが双子。息ピッタリ。


「うん、確か数千度の辺りまで上がらないと無理だったはずなんだよねー」


思わず顔が引きつる。緋ノ斗(戦乱狂)の技の威力を久しぶりに実感し、あれを防ぎ切った魔族を凄いとも思った。恐らく命からがら逃げた、という状態だろうけれど。


「取り敢えず、水で表面の煤を洗い流しましょう…………龍、お願いできる?」


あたしを騎乗させている龍に、お願いする。さっきの戦いで、かなり強い障壁を作ったはずなんだけど、平然と頷いた辺り、まだ余裕でしたか。




――――――ピシッ




「あれ? 今、何か音がしなかった?」


僅かながら、何かの割れるような音がしたような。


『どうやら、卵が孵るようだ』


エンシェント・ドラゴンさん、感極まっているみたいです。


―――――ピシッ、ピシッ


そうこうしているうちに、罅が大きくなり、そしてパカッと開いたと同時に、可愛らしかい姿が現れました! サイズは手の平に乗るくらい小さい。


「ピィ!」


「カワイイ〜……」


呟き程度の声だけど、意外に響いた。恥ずかしい……。


「おや、光属性のドラゴンとは珍しい」


ジュビアンさん、口が僅かに開いてます。そんなにビックリな事なの?


『我は混血種なのでな、卵からは色んな属性のドラゴンが生まれるのだ』


ドラゴンには純血種と混血種がいるそうで、強さは混血種の方が断然強いそう。なんでもそれぞれの属性の善いところを引き継ぐからだそうだ。詳しくはエンシェント・ドラゴンさんも知らないのだとか。いいのか、それで。

因みに純血種は東側に多く住んでいるそう。いつか見に行ってみたいな…………。




―――――ビシッ




ん? また音がしたような?



―――――ピシッ



あれ? また音が。


『おや、残りの子達も生まれるようだな』


そしてしばらくして。


「「ピィー!!」」


超元気なドラゴン達が生まれました。サイズは最初の子と同じくらい。属性は火と水。鱗の色が火は鮮やかな赤色。水の方は親と同じ青い鱗。

しっかし。


「カワイイ〜♪」


よく子犬を見て癒されるとかあるけど、赤ちゃんドラゴンはまさにそれ。まだ小さい姿に、ウルウルしてる小さな瞳。

…………ヤバイ、可愛い過ぎる。


『………珍しいのは解るが、子供とはいえドラゴンだぞ? あまり近寄らない方がいい』


親ドラゴンに言われ、しぶしぶ近付くのは諦めた。


『おや?』


――――ピシッ


またしても響くこの音。



――――ビシッ、ピシッ



そして生まれたのは、先に生まれた子よりも、一回り小さい緑色のドラゴン。正し鱗の色が最初の子よりキラキラしていて美しい子供だ。


「ピィ……」


鳴き声は弱々しいが、何て美しい声。


『これは……エメラルド・ドラゴン!?』


親であるエンシェント・ドラゴンさん、何故か絶句。


「どうかしたの? あれ? 何で皆まで固まってるの?」


訳が分からず首をかしげると、いち早く立ち直った(馴れたともいう)ファイさんが、はっとしたように説明してくれました。


「えーっとですね? ドラゴンには純血種と混血種がいるのは先程説明しましたが、ドラゴンには大まかに分ける時に、下級、中級、上級、最上級に分ける事ができるんですが、こちらのエンシェント・ドラゴンさんのように輝く鱗を持つドラゴンを宝石の名前を取り名付ける場合があるのです、こちらの方ですと、サファイア・ドラゴンと呼ばれ最上級のドラゴンに認定されます、普通は大きくなる途中で現れるのですが…………」


へぇー! そんな特別な子の誕生を見れたのか。


「ピィ?」


絶句している回りを見て首をかしげる赤ちゃんエメラルド・ドラゴン。親ならキチンと見ないと駄目な気がするんですが、いいのかな?


『…………サキよ、そなたを見込んで頼みがある』


「ん? なんでしょー?」


凄い間が開いたけど、こちらは緋ノ斗により被害を出しているので、ある程度なら叶えるつもりです。先程は本当にごめんなさい。バカには良く言って聞かせますから。

ただし、次のエンシェント・ドラゴンさんの言葉に、この場にいた誰もが絶句したのです。




『この子達を、そなたが育ててはくれないだろうか?』




「「「「「え゛っ!?」」」」」



何やらドラゴンさんより、爆弾発言が出されたようです。


こんにちは(・∀・)ノ


秋月煉です。


やらかしました。せっかく書いたミニ小説を操作ミスで、消しちゃいました………。何やってるんでしょ(T_T)

ま、覚えている範囲でまた書きます!!


さて今回、非常に大変だったのは、陰陽師の呪文です。あれ、これで使い方あってる? 的に不安になりました。資料を読みあさりました。目のしたに隈が出来たのはご愛嬌(笑)

あとですね、新しいキャラ、ドラゴン4種くん達が登場! 癒しキャラとして頑張ってもらいます!


さて、ミニ小説をどうぞ!



サキ:こんちはー!

翔太:今日はオレ等でやるぜ!

サキ:最近、梅雨に入ったみたいだけど、こっちもあるのかしら?

翔太:ん? オレじゃ解んねーし、ファイにでも聞いたらどうだ?

サキ:じゃあファイさん呼んでくるー!

ファイ:いきなり呼ばれてのですが、何でしょうか?

翔太:なあ、こっちにも梅雨ってあんの?

ファイ:? 梅雨とは何ですか?

サキ:あー、季節の長雨の事よ。

ファイ:あー! ビックマッシュの長雨の事ですか! 

サキ&翔太:なにそれ!?

ファイ:この時季はじめじめするんで、あちらこちらでとれるんですよねぇ〜。お酒のつまみや、保存食品に最高なんですよ!


………………。


二人が固まったのは、言うまでもない。


次回は6月18日お昼投稿です。お楽しみに。


ご意見、感想、誤字脱字、メッセージ、リクエスト、いつでもお待ちしております。なお、甘口でお願いしますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ