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第24話 戦いはヒートアップします

今回は、戦いのはずなのに…………。

暴走してる存在がいる……。

Side:咲希


どうもこんにちは! この国に第一勇者として召喚されました、天城咲希(あまぎさき)です。

只今、ガラー山の山頂にあるエンシェント・ドラゴンさんの巣?的な洞窟に来ております。

さて、ここでビックリ仰天の展開でして。


ま・さ・か・の事態に、あたしの心がマグマとして噴火しそうな状態です♪

可愛く言ってますけど、これ、マジの状態です。


まず、エンシェント・ドラゴンさんは傷だらけなので、ジュビアンさんと春、護衛は樹英様にお願いしました。

…………子供の方は残念ながら無理でした。


次にエンシェント・ドラゴンさんをここまで追い詰めた元凶である、魔族の方(勝手に命名)に対して、あたしと護衛の三人、式神様である緋ノ斗でお相手をしようと考えております。


「緋ノ斗、封印解除するから、徹底的に暴れていいよ♪」


「マジか!? サキ!」


「ただし、エンシェント・ドラゴンさん達とあたし達には、十分気をつける事! これが条件よ?」


「了解! よっしゃー!! 久し振りに心置きなく戦えるぜー!!」


可愛い男の子姿の緋ノ斗は、実は封印状態なんです。何でかといいますと、力が強すぎた事と、もう一つ。


『封印解除!』


お札にふっと息を吹き掛ける。すると、緋ノ斗の体が紅い光に包まれて、一瞬で成長した男性の姿になる。服装はまんまだけど、髪が腰まで伸びてる。更に犬歯が伸びていて、ワイルドなお兄さんの出来上がり。


「ふぅ、やっぱこっちの方が楽だぜ」


声も低くなって、本当に別人にしか見えません。


「ほう、やる気か?」


あ、魔族さんから殺気が…………。


「いいぜ? 来いよ、魔族さんとやら、オレと()ろうぜ?」


緋ノ斗や、一部おかしな会話がされてるんですが? ちょっと!? 飼い主を忘れてません!? やろうぜの言葉が明らかにおかしいんですが!?


……………ここまで来れば皆様もご理解下さいますね?


緋ノ(こいつ)は“戦乱狂”なんです。寝ても覚めても戦いが好きなご人なのです。なので普段は、封印して無難に過ごさせてたんだけどね。今回は無理と判断したので、解除したんだけど…………やっぱり早まったかしら?

思わずそう考えたのは、仕方ないよネ?


「よぉぉっしゃぁぁぁー! 戦いじゃー!!」




………………やっぱり早まったかな?




「あ、あの、サキ様? 宜しいのですか?」


いつの間にか横にいたファイさん。顔が盛大に引きつってます。気持ちは分かる。充分過ぎるくらいに! 因みに、同じ経験をあたしもしてます。緋ノ斗を式神に下した時に。あの時は、確か数日寝込んだんだよねー。おもに暴走したこいつを止める為に、とんでもない量の霊力を使ったが故に、だったんだけど。


誰が、だ・れ・が!! 戦乱狂だって思いますか!!! こいつ、顔だけはイケメンなんだよ!?


「咲希様、あ奴は今更では?」


「…………龍、それでも考えたくない現実もあるのよ」


あぁ、龍よ。そんな哀れみのこもった目でこっちを見ないで…………。

き、気持ちを切り替えよう!

思いっきり挑発してやる!!


「さあ、魔族さん? あたしと遊びましょう?」


きっと今のあたしの顔は、満面な笑みを浮かべているでしょう。心の中で沸騰したマグマが噴火するのに任せるように。



◇◇◇◇◇



緋ノ斗の武器は三又の槍。この武器自体が炎の属性を持っているため、緋ノ斗が操る事でとんでもない威力になる。

その相手は細長い黒い剣を自由自在に操り、緋ノ斗と互角の勝負を繰り広げていた。


「うわわ、互角とか有り得ないでしょっ!?」


本気でビックリしてますよ! 何ですか、あれ。目に見えない程の早さで剣と槍が行き交い、姿が早すぎて見えません!


「咲希様、これは下手に手出しすると、緋ノ斗に不利かと……」


「だよねー」


勿論、龍に賛同しましたよ。あたしだって状況よみますよ。

しっかし、あっちは凄いヒートアップしてるし、どうすっかなー。


「おりゃー!」


「なんの、これしき」


焔蛇(ほむらへび)!」


「ふんっ、ならばっ」


ああ、二人の世界(但し甘くない)に入ってるし、今のうちにエンシェント・ドラゴンさんに挨拶した方が無難かな?


あ、勿論、移動は二人に気を使って静かに行きました。あたし、偉くない?

ん? 調子乗りすぎ?

……………ごめんなさい。


「こんにちは、エンシェント・ドラゴンさん」


目の前にはエンシェント・ドラゴンさん。怪我が治ってきているせいか、最初に見た時よりも、美しく感じる。青いドラゴンだから、水を司ってるのかな。


『人間の小娘か、何故、私を助けた?』


心底不思議そうなエンシェント・ドラゴンさん。確かに、急に来て傷を治してくれるなんて、彼らからしたら不思議に思うだろう。


「そんなの当たり前でしょ? 目の前に、何の理由もなく傷ついた人を見つけたら、あたしがその力を持っていたら、治してあげたいと思うよ? それが人で無くとも、あたしはするね」


断言した。当然だ。


「あたしは最高の陰陽師で、そして魔法使いなんだから!」


大げさに言って、笑ってみせる。茶目っ気たっぷりに。


『…………そうか、すまぬな、小娘』


「えー………、小娘って……あたしサキ・アマギといいます、お願いですから、小娘呼びは勘弁して下さい」


割と本気で泣きが入った。だってそうでしょ? この外見の所為で、昔から年下に見られやすいんだから。


『何故それほど、うなだれるのか解らぬが、分かった、サキと呼ばせてもらおう、怪我の治療、感謝しよう』


あたしの身長と同じくらいの大きさの頭を下げ、エンシェント・ドラゴンさんは礼をしてくれた。何て丁寧な方でしょうか。


「イエイエ、当然の事をした迄です」


『魔族はどうやら我が邪魔のようでな、わざわざ来て相手をしてくれたらしい―――――が、我が子をアヤメた事、絶対に許さぬ』


うわ、それ酷すぎる。そしてその気持ちも嫌な位に理解出来る。陰陽師として出動していた時、それで怨霊になってしまった親を何度も見てきた。だから、この目の前にいるドラゴンには、どうか暗い思いには堕ちてほしくないと思ってしまう。短時間でこんなに好印象の相手は初めてで、ちょっとビックリしてますがね。




ドッカ―――――――ン!




「きゃっ」


「うわっ」


「「なっ!?」」


順に、あたし、ファイさん、双子です。

いきなり近くで爆発したから、ビックリしました。何やってんだ! 緋ノ斗!


「あの馬鹿には、後で説教が必要でしょうなぁ」


近くに来ていた樹英さま、何やらブラックになってますが。


「ほどほどにね?」


一応、注意はしました。主人の勤めとやらはしっかり果たしました。頑張れ、緋ノ斗。


「うわー、あっちは更にヒートアップしてるねー」


既に他人事です。てか、目の前の光景には唖然としか言えません。だって光線飛んだり、爆発したり、剣と槍の応酬があったり…………。人外の戦いになってます。あれ? 人じゃないか。何せ式神VS魔族なんですから。


『よいのか、あれはあのままで』


ん? エンシェント・ドラゴンさん、もしかして呆れてる!? うそ、マジか。


「あはは、えっと気にしないで下さい…………」


『そ、そうか』


若干、引かれてる気がするけど、気にしない。何か気にしたら駄目な気がする。


『確かあの魔族は侯爵と名乗っていたはずだが…………互角に渡りあうとは、何という強さか』


うん、だから昔、あたしが寝込む羽目になったんだよね。この強さの所為で! 思わず遠い目になる。いやー、今更だけど、よくこんな強さの式神を降したな、あたし。


「サキ様、戦いの最中によそ見は危険ですよ?」


隣にいつの間にかファイさんがいて、注意されてしまった。確かに今は戦いの最中である。あたしとした事が、なにやってんだか。


「ごめんごめん、さてと」


そろそろ、遊びは終わりである。ショーはフィナーレだ。


「緋ノ斗っ! そろそろ本当に終わりにしなさい!!」


突然、大声を出したあたしに、周りはぎょっとなるけど、気にしない。緋ノ斗は気付いたらしく、片腕を振る位に余裕があったらしい。

…………あの戦いに余裕があったんだ。そっちに驚きなんだけど。


『…………あれで、本気では無かったのか!?』


あ、エンシェント・ドラゴンさん、固まってしまいました。


「咲希、大技出すから、そっちに結界はっといてくれ!」


「了解っ!」


火に対しては土と水に弱しってね。だから、お願いするのは。


「龍、結界を宜しく」


「御意」


龍の力で水の幕があたし達みんなを包み込む様に張られると、辺りの温度が一気に上昇する。見れば緋ノ斗の体からは蜃気楼の様にユラユラ揺れる闘気が溢れだしている。

あ、魔族さん、積んだな。


炎火焔地獄(かえんじごく)


この業は、辺り一面を浄土とかす大技で、普段は使えない様にしているのだが。もしかして、封印会場した時に一緒に解除しちゃったのかも。

…………ま、敵だからイイヨネ? 別にざまーみろーとかは、思ってないよ? 因果応報とは思うけど。だって親の目の前で、子供を殺したんだから。命を奪うなら、自分の命が奪われるカクゴはしないとね。


「なっ??!! 何だ、このとんでもない力は!? くっ!!??」


ほう、随分最初と印象が違うけど、こっちが地か。インテリぽいと思ってたけど、こいつインテリモドキか。期待して損したわ。


次の瞬間、洞窟内は一気に炎の地獄とかした。無事なのは、あたし達のみ。


「ふう、咲希、すまん、逃した」


一瞬で力が消え、そこにいたのは子供姿の緋ノ斗。言葉が少ないのは疲れたからだろう。無理もない、久方ぶりの活躍だったのだから。


「お疲れ様、緋ノ斗、休んでていいよ」


紙のお札に素直に戻った緋ノ斗。よっぽど疲れたのだろう。普段はごねるからね。


「それにしても、あの魔族、誰だったんだろ?」


誰も答えられなかったのは、言うまでもない。


今回、いかがでしたでしょうか?

緋ノ斗は実は戦乱狂でした。そして、ビックリな展開。エンシェント・ドラゴンさんと仲良くなりました♪

次回は、やり残しと新しい部分でお送りします。


この、『天と白の勇者達』はお気軽に読める小説を目指してます。なのでノリと突っ込みがかなりあります。



今回はやっとこさ、ネタが降りたのでミニ小説復活です!


サキ:おひさー!

翔太:よっ! 久し振り!

サキ:今回はあたし達でお送りします!

翔太:何か凄い展開になってきたな。

サキ:確かにね、そっちも凄かったんでしょ?

翔太:こっちは何か皆ノリノリだったぜ。

サキ:こっちは伝説のエンシェント・ドラゴンさんとお話中。メンバーが凄い。

翔太:…………オレの方は馬鹿がいたぞ。

サキ:どんまい、翔太。

翔太:しかしおまえの式神つよすぎ。無敵過ぎるだろ!?

サキ:………聞いてくれるな、翔太。

翔太:おい、遠い目をするな! 何があったんだ!?


しばらく、サキを慰める翔太の姿があったとか…………。



次回は、6月11日お昼に投稿します。


感想、ご意見、誤字脱字、リクエスト、いつでもお待ちしております。なお、甘口で下さいますと嬉しいです。

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