第23話 山頂は危険が一杯です♪
本日は前半ゆるーく、後半シリアスでお送りします。
Side:咲希
只今、あたしこと咲希は、式神の龍の背に乗り、大空を飛行しております♪
マジでたのしいです!!(笑)
因みに龍はあたしの式神様です。外見は青いモフモフの毛並みに翼を持つ立派な姿の、攻撃型の式神なんです。なお、あたしはこの子のモフモフが気に入って式神にしました(笑)
一日目は、地上から探索したけど異常どころか何もない。なので本日は上空からの探索となりました。
「「サキさまぁ〜、凄い眺めです〜」」
双子達はめっちゃはしゃいでおります。
って二人共!? あんたら騎士だよな!? いいのか、それで!! 瓜二つの青年(美少年?)が、はしゃぐ姿は年上のお姉様達には最高のものでしょうね…………。あたしは年下だし、単に鬱陶しいだけですが。
「山頂まで、あと1時間くらいですかね…………」
そういったファイさんは、厳しい視線を眼下の森へ向けてます。 お仕事なので、当然です。てか、双子達が例外です。皆さん、騎士なんてこんなものだと諦めないで下さいませ。ファイさんみたく、仕事はきっちりする方はいるんです。仕事は!
えー、今ですね? 異世界の魔法道具、空飛ぶ絨毯を使って、上空からお送りしています。乗っているのは、ファイさん、ジュビアンさん、双子ですよ。
「何故に絨毯?」
頭の中がハテナに埋まるけど、やはり異世界、こんな道具もきちんとありました!
「乗りやすいのと、魔力を僅かしか使わない低コストを目指した品だからです、考案したのは数百年前の勇者様ですから、何かお考えがあったのでは?」
……………………。
申し訳ないが、多分これ、ノリで作っちゃったんじゃないか? まさか世界に浸透してしまうとは、当時の勇者も思わなかっただろうし。
「取り敢えず、山頂目指そうか」
スルーした、あたしは悪くない。悪くないったら、悪くないんだ!!
◇◇◇◇◇
目の前の惨状を見て、固まるあたし達。
うん、仕方ないと思うんだ。
――――――紅い地面を見たら、誰だって固まるだろう?
「これは………」
「何と惨い………」
「「……………」」
「やってくれんじゃない………」
順に、ジュビアンさん、ファイさん、双子、あたしである。
目の前には、血だらけの巨大なドラゴン。元は美しかったであろう蒼い鱗はひび割れ、体からはあちらこちらに血を流す深い傷。恐らく西洋のドラゴンに近いだろう体には翼があるが、ズタズタに引き裂かれている。
まだ、闘志を捨てていないらしく、瞳はギラギラと相手を睨み付けている。
理由は簡単に分かった。
そのドラゴンの足元には、真っ赤になった小さな体が二つ。多分、子供のドラゴンだろう。
この状況から見て分かる通り、子供を殺された親が、相手と戦っている。普通、ドラゴン、それもここにいるのはエンシェント・ドラゴンに喧嘩を売る馬鹿はいないらしいが、どうやらいたらしい。
相手の姿は、紫色の髪を短くカットし、顔立ちは整っているだろう。服装は足元まであるような長い赤い色のコートを羽織り、左の胸元に剣の形のブローチを付けている。銀色のそれには紫色の親指の先位の大きさの石がついていた。
「まだ続けるか、他愛もない、恐れられたエンシェント・ドラゴンとて、結局はこの程度か」
失望したとでも言うような言葉を、ドラゴンに向ける青年。
「サキ様、あいつは魔族です、気を付けて下さい」
敵の青年を見たファイさんに、若干の焦りが見える。表情も心なしか固い。
「恐らく、爵位持ちでしょうな」
とは、現状を見ていたジュビアンさんからの言葉。
へー、魔族って紫の髪色なんだねー。
「ここで何をしているんでしょう?」
まあ、目的は分かるよね。どうみても、エンシェント・ドラゴンを退治しようとしてるし、ね?
『これ以上、我が子を殺させぬ!我が命に変えても、守り切って見せましょう!』
その光景に思わず絶句。
ええぇぇ―――――――っ!!?? ドラゴンて話せるの!?
「サキ様………何故にそちらに反応されるのですか」
ファイさん? 何故に残念な者を見る目で、あたしを見ているんでしょうか? あたし声に出して無いはずなんですが。
「サキ様、全部が声に出ております」
あら? 出てました?
「その、普通は親が子を守る感動の場面のはずなのですが…………」
あぁ、ジュビアンさんまで、呆れた様子であたしを見てる。
「「サキ様、感覚ズレてます!」」
…………双子よ、そこまで言う? あたしだって傷付くよ?
それに。
「あたしが弱者をそのままにする訳ないでしょ?」
この場合の弱者は勿論、エンシェント・ドラゴンだがな! え? 弱者に見えない? うん、あたしも見えないよ??
でも今回は、親が子を守るってシーンなので、正義の味方はあたし達。
でもその前に。
「あのー、エンシェント・ドラゴンさぁぁ―――ん! ついでに魔族さん、こっち気付いて下さい!」
「「「はっ!?」」」
おや、三人が何故に固まってるかな?
「ん?」
『何故、人間がここに?』
おー、魔族&エンシェント・ドラゴンの双方から、怪訝そうな顔でこっちを見てる。ちなみにドラゴンさんの方は多分。さすがにあたしも分からないよ、ドラゴンさんの表情までは。
「さっきからいたんですがねー、気付かないとかないでしょう? どんだけ修羅場に集中してたんですか」
あ、双方から殺気がビシバシと、あたしの方に!
「因みにジュビアンさん、エンシェント・ドラゴンさんが居なくなったらどうなります?」
突然の質問に、ジュビアンさん、固まっていたのが解かれたみたいです。まあ、殺気が自分じゃなくても向けられたら怖いわな。
「…………恐らく、国が大混乱になるかと」
うわー。ジュビアンさん、言った貴方が真っ青になってどうするよ!?
え、そんなにヤバいの!? マジでか!?
「うん、エンシェント・ドラゴンさんに味方しよう♪」
「…………」
あ、なんか微妙な空気。
「小娘……、貴様、我らの邪魔をする気か?」
あー、魔族の方(勝手に命名)が、睨み付けてますね。あたしと、あたしが乗っている龍以外、固まっちゃいましたねー。
『人間よ、何用だ? 用が無い場合は只ではすまぬぞ!!!』
うひゃー!? 何か凄い波動みたいなもの来たよ!? なんじゃこりゃ!?
「ん? 用はあったけど、部外者がいる場で言いたくない、あと、ケガ治しても良いですか? 見てるこっちが辛くなる」
シ―――――――――ン
あれ? あたし変な事いった?
誰も反応しないなら、あたしが正しい事でいいよね?
「ジュビアンさん、ドラゴンさんの傷は治せる?」
何度もすまないが、固まってないでしっかりして下さい!
「恐らくは……」
「なら春を付けるので、二人でエンシェント・ドラゴンさんの傷を治してあげて下さいな」
「……分かりました」
ジュビアンさん、超素直です。尚、別名、考える事を放棄したとも言う。
あたしはバックからお札を取り出すと霊力を込めつつ、顕現してもらう。
「春〜、治療お願いしますね〜」
顕現した彼女は、古代のヒラヒラした衣装を着ている。彼女の能力は、治療。この場で一番役に立つ能力である。
「そして樹英様〜、護衛を宜しくお願いします!」
次に現れたのは、長い髭を伸ばした古代の衣装を着た一見すれば優しそうなおじいちゃんが出現。
「畏まった」
そして彼らは、唖然としているエンシェント・ドラゴンの元へ。これでこちらは大丈夫だろう。足元の小さな体に春が近寄るが、視線をこちらに向けると、首をゆるりと左右に振る。
…………間に合わなかったみたい。
「さてと、貴方の相手はこちらがするよ? 随分、好き勝手してくれたみたいだし?」
顔は微笑みを浮かべていても、今のあたし、キレてます。ええ、盛大に。
「護衛はファイさん達、宜しくね」
「お任せ下さい」
「「はい!」」
さて、では彼にお相手して頂きましょう?
「緋ノ斗、出ておいで」
「おう! 出番か? サキ!」
「勿論!」
さて、魔族の方(勝手に命名)、あたしの怒り、受けてくださいね?
お読み頂きまして、誠にありがとうございます。
秋月煉です。
暑くなり、皆様如何お過ごしでしょうか? 秋月の方は、執筆時間を取るのに苦労しております(;^_^A 忙しくなってきたからですが、ミニ小説のネタが無くなった部分もあります。ネタを早く考えなくては!
なので、本当にリクエストを募集中です。何か読んでみたいなー、的なのがありましたら、遠慮せず送って下さいませ。宜しくお願いしますm(__)m
尚、本日のミニ小説はお休みです。すいません、ネタ切れです…………。
次回の更新は6月4日のお昼です。次回も宜しくお願いします!
感想、誤字脱字、ご意見、リクエスト、いつでもお待ちしております。尚、甘口でお願いしますね!