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第22話 昔話を語りましょうか

本日は娯楽と暗い話です。


Side:咲希


深い森の中、あたし達は陣を組んで進んでます。何だか、皆が意気消沈してる気もしますが、気にしません!(笑)

気にしてたら、前に進めないものね。


「しかし、何故我々は気絶してしまったのでしょう?」


歩きながら不思議そうにしているブラオさん。一番すんなり起きてくれたので、本当に助かりました。双子は号泣されたからね、何故か。あれ、実際にされたら傷つくよ? 何かしたかと、本気でかんがえちゃったよ…………。


「多分、なのですが、もしかしたら我々は気絶させられたのかもしれません」


後ろについているファイさんの、思いの外、真剣な言葉に、気になって後ろを振り替える。うん、勿論、後悔したよ? 頬っぺたに紅葉の形がね、ほら。

すぐに視線をそらしたあたしは悪くない。常識だよね?


「えっと、させられたってどういうこと?」


一応、疑問に思ったため、視線をそらしたまま聞く。ファイさんはそらした事は気にならないみたいで、あっさり応えてくれました。良かったよ。


「多分、あの音は魔術で出来ているのでしょう、恐らく魔術効果は“気絶”でしょうね」


へー、そんな魔術もあるんだ。異世界は奧が深いねぇ。でも魔術が得意なはずのブラオさんが気絶するって…………一体………。

だってさ、ブラオさん達のように魔法に耐性がついてる人が、だよ?

想像してしまった予想に恐怖を覚え、あたしは両腕をさする。

この先、あたしの感の通りなら、何かが起きる。

かなり心配になってきた。

大丈夫だよね?



◇◇◇◇◇



「日が暮れてきましたね」


「そろそろ野宿の準備しないと」


「「暗くなったら危ないし」」


以上、双子君のハモリでした。

しっかしこの二人、凄く仲が良い。とにかくシンクロする確率が高過ぎる。

何か不思議な力でも働いてるのかね?


「サキ様は朝からですから、お疲れでしょう、丁度いいのでここで野宿としましょうか」


馬鹿げた考えをしているあたしを横に、男性諸君は馴れた手つきで支度を始め、あっさりと準備が完了した。


「温かい物でも食べましょうか」


既に火はついているので、あたしが無制限収納バックに入れていた食料品を取り出して、ファイさんに渡した。

馴れた手つきで準備を始めるファイさんと、それを手伝う双子達。

おー、男の人が料理してるよ!!


「さあ、出来ましたよ、どうぞお召し上がり下さいませ!」


素晴らしくいい笑顔で出されたのは、簡単な味付けをされたコンソメスープ。中にはキャベツモドキ(まさかのピンク色)と人参モドキ(まさかの緑色)が入ってます。

勿論、あたし絶句中。唖然として固まってます。

えっ、だってビックリしない!?

色がね、もう何故か違うとね、色々とあるんです。違和感が。まあ、味は同じなんだけど。慣れるしかないよね…………。


「どうかされましたか? サキ様」


あ、ファイさんが心配してる。目が不安げに揺れていて、あぁ、罪悪感が半端ない!!


「いえ、ちょっと異世界のギャップにビックリしただけです」


こうしてビックリしつつも食べた料理は、野宿の簡単料理といいつつ中々の美味しさでした。



◇◇◇◇◇



既に周りは夢の中。起きているのは、あたしとファイさん。

交替で火の番をする為に、くじを作ったんだけど、結果は。


双子君達


あたしとファイさん


ブラオさんと龍


に、あい成りまして。

今現在は、あたしとファイさんの二人が火の番をしてます。ゆらゆら揺れる炎を見ながら、丁度あたしから見て左側にファイさんが座っている。こうやって微妙な二人きりになるのは初めてかな?


「うわー、月が綺麗だね」


会話を探していたんだけど、ふと見た空の月は、綺麗な満月で。思わず素直な感想がポロリと漏れた。


「あぁ、確かに綺麗な満月ですね、こんなにはっきり見るのは、いつ以来でしょうか?」


ん? 何かファイの言葉に違和感が。こっちの人は、見慣れてるんじゃないの?


「ファイさんは、あんまり月とか見ないの?」


「普段は気にしませんね、僕達の部隊は主に地方を守る騎士部隊ですからね、何かあれば直ぐに行かなくて行けませんから、忙しくて見る暇がありませんでした」


あぁ、成る程。確かに忙しかったら、見る暇はないかも。


「サキ様の世界の月もうつくしかったのでしょうね」


「ん? そうだね、綺麗だったよ、あっちの月も、でもさ…………あたしは陰陽師だから、純粋に鑑賞で見るなんてのは、初めての事かも」


陰陽師は暦を作る仕事をしていたためか、総本家の行事等は全て、それらを引き継ぎ、儀式等の意味で月を見る事が殆んどだった。勿論、あたしもその一人。月は鑑賞で見た事なんて、殆んどなかった。仕事だから見てた。そんなあたしを冷たく見下ろす氷月を――――――。


「あんまり月には良い思い出が無いんだよ、あたし」


あー、何か笑えてきたわ。そんなあたしをファイさんは不思議そうに見てる。


「え? こちらで月は、優しさや慈悲を表す象徴とされてますが、サキ様の世界ではどうなのですか?」


あー、あんまり変わらないのかな? そこんところは。


「うん、あっちも似たりよったりかな? あたしはあっちで陰陽師の仕事しててさ、満月の時は必ず駆り出されてたから、あんまり良い印象が無いんだよね」


苦笑しながら応えたけど、本当は気付いてたんだ。あたしの楽しい思い出は、とても少ない事に。そして恐らく、あたしの考えている事が正しいなら。


「あちらでね、恐らくあたしは居ても居なくても、“変わらない存在”だったから…………必死だったのかもね」


エリー様や王様、あたしに勉強を教えてくれた先生達、一緒に駆り出された青の騎士団の皆。出会った人達は、自分の立場をきちんと守りつつ、あたし達に謝罪と居場所をくれた優しい人達。例えそれが自国のためであろうとも、自己満足の為でも、あたしは構わない。あたしはここで居場所を得たのだから。


「サキ様、もし差し支えなければ、ご家族の事を聞いても?」


ファイさんに声をかけられて、はっとする。考え込んじゃったみたい。てへへ。


「いいよ、あたしの家族は父、母、あたしと弟の四人家族」


父は普通の人。とある某会社の御曹司というやつで。母は我が一族の外本家の末娘。結婚の時は分家が煩かったそうだけど、総本家の先代当主の鶴の一声で無事結婚できた、らしい。らしいというのは、今だに新婚当時と同じくらいにラブラブイチャイチャな二人の惚気話だからである。耳にタコができたよ。

でも。


「あたしが産まれた事で、バランスが壊れちゃったんだよね…………」


これ以上は、止めて方がいいだろう。


「………壊れたって、一体……」


唖然としてるけど、ごめんね。ファイさん。あたしは只微笑みを浮かべるだけ。


「あたしがね、総本家以上の力を持って産まれちゃったからね、総本家は大騒ぎになっちゃったんだって」


笑い話に変えよう。場が暗くなる。言えない部分もあるしね。


「だからあたしを守るために、当主様が自分の息子と婚約させたんだ…………ま、異世界に来たから、あたしは婚約破棄アンドフリー! になれるわけ♪」


明るく言ったけど、場の空気が気まずいんですが。あ、あれ? 何か間違えたか!?


「サキ様…………ご苦労されたのですね、さて、サキ様が話したのですから僕も話さなければいけませんね!」


あ、気を使われた。絶対にそうだ。


「僕は子爵家の次男に産まれました、父は家族思いで母は優しくて、兄はしっかりもので、僕は甘えん坊でしたね」


昔を思い出したのか、クスクス笑う彼は懐かしそうに遠くを見ていた。


「僕は、兄のように頭が良い訳ではありませんでしたので、迷惑をかける前にと、7歳で家を出て全寮制の騎士学校に入りました、家族には大反対をされましたし、父は僕を手放したくなかったのでしょうね、母には泣かれてしまいまして、しばらく家には帰れませんでしたね…………」


当時を思ったのか、頬を引きつっている彼は、一体何を思い出したんだろう? って、引きつる程の事があったんだよね!? 本当に何があったんだ!?


「……大変だったんだね、お兄さんはどんな反応だったの? 仲が良かったんでしょう?」


「あー、しばらく傍から離れてくれませんでした……、兄は僕を可愛い弟としか見ていませんから、帰省する度にそれをされるので、引き離すのが大変でしたね」


今度は苦笑い。何だかファイさんの家族が個性的に聞こえてきたんだけど? あれ? 普通の家族に聞こえないんだけど??


「サキ様にもいつか、こちらで家族が出来るのでしょうね」


頭の中がハテナで埋め尽くされている時だったために、はっとして見た彼の顔は、初めてみる顔で。まだ数日しかたってないのに、意識するには十分で。


「「サキ様!! 交替の時間です!」」


「なっ!?」


「ひゃいわっ!!??」


二人ソロっていきなり現れるんだもん! ビックリしたわっ!!

え? 悲鳴が変だって? サア、ナンノコトダカ(笑)


「こら! 気配を消すなと、あれだけ言っただろ!!」


ファイさんに叱られてるけど、全く堪えてないみたい。どんな神経してんだ、双子よ。


「ジーク、ローグ、次やったらカクゴシテテネ?」


二人が首振り人形みたいにガクガク首を振る。あら? 涙目なんて年上男性にされても困るんだが。

そんな男共はほっといて。

さあて、明日に備えて今日はもう休みましょう。流石にクタクタだわ。


どうも、秋月です。

本日もお読み下さり、ありがとうございますm(__)m


スランプは何とか脱出しましたが、小話ネタがつきました…………。どうしましょうか?(汗


てな訳で、またリクエストを募集したいと思います。このリクエストは、活動報告の方にのせますので、ご了承くださいませ^ロ^;


リクエストは、感想、メッセージ、等々からご投稿くださいませ。誠心誠意かかせていただきます。日頃からこの小説を読んで下さる読者の皆様に、喜んで頂けるように、秋月、頑張ります!!


本日はネタ切れのため、ミニ小説はお休みです。

なお、過去の活動報告の中にミニ小説をのせてありますので、興味のある方は覗いてみて下さい。


リクエスト、お待ちしております♪♪


次回は5月28日お昼頃に投稿です。


ご意見、感想、誤字脱字、いつでもお待ちしております。なお、甘口でお願いしますね!

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