閑話 ドワーフの島国へゴー!
お待たせしました~☆
今回は短いです。
クラリオン王国から馬車、そして絨毯を経由して、既に二日目。
思ったよりも順調に距離を稼ぎ、明日は港へ着くという距離。今日も夕方辺りで、下に降りて、野宿の予定だ。
だけど、順調だったはずの旅に、初めて厄介な客が来たんだ。
「ブラックバードの群れだ!」
誰かの大声で、僕達は絨毯の上で臨戦体勢に入る。
現在、絨毯は三つに別れ、一つに僕達勇者組と護衛の騎士さん達。二つ目には、侯爵様と護衛組。三つ目には、ニコラス王子と側近達、更に護衛が一緒になっている。人数がそれなりに居るため、仕方ないんだけど、今回はそれが幸いした。
僕らが一番後ろへ行き、ブラックバードの群れの先頭を僕らが迎える。とはいえ、群れだけあって、結構な数だから、あんまり意味ないけど・・・。
「ユリアスさん、ブラックバードの弱点は?」
「火や氷、土なんかですね、逆に風や雷は効きませんよ」
・・・僕と相性最悪じゃないか!!
内心、ヒヤリとしていたら、ユリアスさんが手を上げた。
「カズマ様に光の魔法を使ってもらっては? 僕らは魔法で、なるべく一塊になるように、調整しましょう」
あぁ、そういえば確か、光の魔法はブラックバードも効いたっけ? 本で読んだ事を今さら思い出す。本当に、実戦経験が少ないんだよなぁ。知識が、追い付かないんだ。だからこそ、気を付けないと。
「うん、分かった、合図を貰ったら、僕も動くね!」
杖にもなる、僕の聖霊武器、グランツさん。厳格だけど年老いて丸くなったお爺ちゃん・・・て、失礼だけど、思う時がある。
『カズマ殿、大丈夫かのぅ?』
心配そうなグランツさんに、苦笑で返す。杖を用意して、時同じく顕現したグランツさんは、透けて見える。今は、僕の隣に居て、補佐に入ってくれてる。
「うん、やっぱり、実戦は苦手かな・・・光系の呪文だよね? 待機させておかないと」
一応、中級魔法は、みっちりと教えられたから、発動に問題はない。上級魔法は、これが駄目な時に、発動させようと思う。今回は数が必要だから、中級の方がやりやすいのもある。
暗がりにも関わらず、皆の連携は、かなりの物であり、僕の魔法が待機すると、ほぼ同じタイミングで合図が来た。
「今です! カズマ様っ!」
『光の矢!!』
待機していた数百の光の矢達が、一斉にブラックバードへ向かって降っていく。
「うっわぁ・・・」
近くに居たユリーさんが、かなり引いていたのが、ちょっとショックだった。こんな状況でさえなければ、綺麗な美しい光景だったと思う。本当に、暗闇に降る光は、綺麗なんだけど、ね?
何せ、矢がブラックバードに当たる度に、ギャーとか、そんな断末魔のような音が、暗闇から聞こえるから、どうしても、素直に美しい光景に感嘆できない。やはり、戦いなんだと、改めて実感してしまう。
「カズマ様、容赦ないですね・・・」
暗闇ながらに、ユリーさんの顔が引きつっているのが、目に浮かぶ気がする。
「取り敢えず、漏れは無いと思う」
絨毯のそれぞれの動きとか、そんなので、何となく予測が出来るから、撃ち漏れは無い筈だ。
『いやはや、器用なもんじゃのぅ』
感嘆の声を上げたのは、側にいたグランツさん。何だか、気恥ずかしい。やっぱりどうしても、待機まで時間が出来てしまう。
「・・・咲希さんや翔太なら、もっとちゃんと出来たのかな?」
思わず、ぼやいてしまう。あの二人、絶対にこんな状況でも、あっさりと解決出来ちゃいそうな気がする。
『あれは、比べたら駄目な例じゃろう・・・』
呆れた声がしたけど、こればかりは仕方ない。だって、身近な人物なのだ。どうしても、比べてしまう。
グランツさんと会話していたら、いつの間にか、ユリーさんが来ていた。
「カズマ様、ブラックバードは去ったみたいです、流石ですね! あんな数の矢は、僕らでも単独では出せませんよ」
ユリーさん、知らせてくれるんだけど、いつの間にか、僕の魔法の素晴らしい部分を語るから、何かまた、恥ずかしくなってきた。嬉しいんだけど、やっぱりモヤモヤは残ってしまう。
「ありがとう、早く下に降りよう」
「あ、そうですね! 連絡してきます!」
こうして、僕は皆と下に降りたんだけど、まさに良いタイミングで、バックからベルのような音がした。気が付いて出したら、まさかのチャンネルだった。誰からかは分からないけど、かなり鳴っているから、急ぎかもと、受け取ろうとして、ふと気づく。
あ、あれ? 取り方、どうやるんだっけ・・・??
結局、近くに来たユリーさんに、受信のやり方を教わる羽目になった。ちゃんとやり方、聞いて来たんだけど、どうやら急な事で、頭からすっぽぬけたみたい。
受信したら、咲希さんの他に、翔太が居てビックリしたけど。
会話もビックリだよ!
緊急連絡するのも納得の、ビックリ内容だった。
優香さん、一番最初に現地に到着して、一番最初に、問題に当たるって、どうなってるの??
魔霊武器ってヤツの話が上がる。これ、確実に来るよね? 何となく、お約束ってやつなのかな? もう、そうとしか言えないよ・・・。
会話だけで、かなり疲れた。でも、最後にヒスイと会えたのは嬉しかった。
・・・・・はぁぁぁ、何か、これから先が思いやられる。