表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/292

閑話 天の国へ参ります8

お待たせ致しました!


目の前には、沈黙したままの魔霊武器があります。ソールとムーンをイヤリングに戻し、警戒したまま、私は全力で光の魔法を発動させます。


『浄化のライティング・プリフィケーション!!』


剣にのみ、範囲を限定して行うこれは、バッチリ効いているようです。最後の抵抗とばかりに、黒いモヤモヤが出てきますが、出た端から浄化していきます。


『ユーカ、もう少しだよ!』


『頑張って!』


ソールとムーンから励まされ、更に力を入れます。しばらくしてから気付けば、黒いモヤモヤは見えなくて、美しい一振りの剣になりました。一般的な剣に見えますが、銀色の持ち手に、美しい彫刻があります。柄の部分にも、細かい彫刻がされていて、控えもながら、美しい一振りです。


「・・・これが、元の姿」


何て綺麗な一振りでしょう。キラキラする輝きは、私の光の魔法によってなのだとしても、間違いなく、素晴らしい品物です。


『やっと、休めるね』


『うん、そうだね』


何故かソールとムーンの口調が、とても優しいもので、思わず彼等を見てしまいます。いくら鈍い私だって、気付きますよ? 優しい理由くらいは。


『『おやすみ』』


そう、彼等が告げた辺りから、元の輝きを取り戻した筈の聖霊武器は、少しずつ薄く透明になってきて、驚く私を置いてきぼりにしながら、消えてしまいました・・・。

これが、聖霊武器が眠りに着くということ。存在が消えてしまう事だったんですね・・・。何だか、よく分からないうちに、思わず涙が溢れてきます。ポトリ、ポトリと、私は何で泣いているのかすら、よく分からなくて、でも、ポッカリと穴が空いたような、そんな悲しみを感じて・・・。


『ありがとう、ユーカ』


『あの子の為に泣いてくれて』


『あの子は、眠りについたんだ』


『力が回復したら、起きるんだよ』


『『だから、大丈夫だよ!』』


二人の声が、とても優しくて、更に涙が溢れます。きっと、二人だって、仲間が眠りについたから、複雑な気持ちの筈なのに。私、持ち主、失格ですね・・・。直ぐに泣いちゃうし、悲しいです。何だか、失われたように感じて・・・。

でも、それと同じくらい、今の私は、悔しいです。だって、だって!


「絶対に、絶対にっ! 許せませんっ・・・・・聖霊さんは、悪くないのにっ、こんな、こんな事に使うなんてっ・・・許せるわけないっ!!」


間違いなく、この魔霊武器を作った人に、怒りを覚えます。何にも悪い事なんて、してないのに。何で彼等が、犠牲にならないといけないんですか!!


『ユーカ、僕達も許せないよ』


『あの子だって、きっと待っていたはずだよ』


彼らは、契約者が居なければ、外へは出れません。必ずではないそうですが、大抵の場合は、各国にある勇者専用武器庫に保管されているそうです。


『あの子は多分、喚ばれたのかも』


『誰か、相応しい人に』


「えっ? 喚ばれた・・・? どういうこと?」


彼らの会話に、違和感を感じます。聖霊武器を使うのは、勇者だけかと思いましたが、どうやら違うらしいです。


『僕達はね、相応しい人に喚ばれると、その人と契約する事があるんだ』


『強い思いだったり、願いだったり、純粋な心に喚ばれると、少しの間、力を貸す事があるんだ』


つまりは、勇者だけではなく、相応しい人に喚ばれた場合、契約するか、一時的に力を貸す事があるという事のようです。・・・・・滅多に無いそうですが。


「じゃあ、喚ばれた人に・・・?」


こうされたと言う事でしょうか? 何だか、釈然としません。何となく、違うような気がします。勇者が使う武器ですよ? 喚ばれたからと、ヒョイヒョイと喚べる物ではないでしょう。相応しい者だから、力を貸すんですよ。

という事は、喚んだ人と、こんな事をした人は、別なんじゃないでしょうか?


「ねぇ、魔族さんに喚ばれて、反応する事はあるの?」


『『分かんない!』』


ズルッ。思わず、こけちゃいましたよ!! 分からないんですかっ!?


『だって、喚ばれても、それが誰か知らないし』


『種族って関係ないよ?』


キョトンとした二人に、さっきまでの感情のうねりが、急激に下降していきます。感情の起伏が有りすぎて、一気に脱力しちゃいました。咲希ちゃんに報告というか、相談したいです。上手くいったら、和磨くんや翔太くんともお話したいです。


「今は、謎って事ですか・・・」


分からないのは、ちょっとモヤモヤしますが、仕方ありません。


「ユーカ殿!」


突然、呼ばれたので、そちらを見れば、少し離れた場所に、長さまと、サクラさま、ツバキ様が居ます。

・・・・・そういえば、魔族の方を、あちらに任せたままでした。

頭からスコンと抜け落ちていました。いえ、言い訳は失礼ですね。だって、魔霊武器に完全に集中していたんですもの。

慌てて駆け付けたのは、言うまでもありません。


「すいません、こちらをお任せしてしまって・・・」


まさか、頭からスコンと抜け落ちていたなんて、恥ずかしくて言えません。


「いえいえ、魔霊武器は我々の手には余りますから、助かりました・・・さて、呼んだのは、こちらの方についてです」


長さまの目が、険しい事に気付きます。サクラ様も、ツバキ様も、それは変わりません。

魔霊武器から解放された方を、改めて私は確認します。

私と変わらない姿の女性です。顔立ちだって、かなり整っています。動きやすそうなシャツとパンツは、お洒落なものです。緩やかにカーブした紫色の長い髪を、リボンで結んでいます。

ただ、改めて見ると、ぐったりしていますし、顔色も青白く、呼吸をしている胸の動きが無ければ、見間違えてしまいそうです。


「魔力を感じませんし、かなり無茶を強いられたのでしょう、体力も命も吸われ、かなり危険な状態です」


「・・・命? 魔力だけを吸っていたんじゃ・・・」


余りの言葉に、私は固まるしかありませんでした。青ざめていたかもしれません。どうして、魔霊武器が危険とされるのか、ようやく理解しました。

ーーーーーー強い力を出す代わりに、全てを吸い付くす、諸刃の剣だったからなんですね。


「・・・幸い、命はそこまで吸われた訳ではありません、しばらく安静にしていれば、目をさまされるでしょう」


彼女は魔族です。不法侵入をしたわけですが、流石に、罪人にするには、抵抗があります。自らの意思でやったのか、それとも、誰かにされたのか・・・。

今は様子見をするしかないみたいです。


我々は、取り敢えず、一番島に帰り、今後の話し合いをする事にしました。

いつもお読み頂きまして、ありがとうございます♪

今日は久しぶりに、ミニ小話復活です♪

ネタが降りてきました♪♪


咲希:お久しぶりです♪

和磨:今日は僕らでやります!

翔太:いい加減に、暇だ!

咲希:翔太、真面目にやれ!

翔太:無理!

和磨:だよね・・・分かってた。

咲希:何か、本編は次は翔太らしいよ?

翔太:マジか? てっきり和磨かと。

咲希:秋月が煮詰まったらしいわ(笑)

和磨:じゃあ、獣人さん達の話になるの?

咲希:みたいね。文化は江戸みたいな感じらしいわ。

和磨&翔太:!?

咲希:翔太のお土産が今から楽しみよ♪


秋月も頑張りますよ~♪


てな訳で、今後とも、テンシロを宜しくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ