閑話 天の国へ参ります3
お待たせ致しました!!
ちょっと難産でございました。
優香ちゃん視点、難しい・・・。
来週は霊感探偵を更新予定です☆
次の日、動きやすい服装をしてから、食卓へ向かいます。今日はいよいよ、朝食の後、長さまに会えるとのことです。だから、気合いを入れて、服装はオシャレながら、動きやすい、可愛いくカスタマイズ済みの、騎士服みたいな物です。こちらでは、スカートが女性の嗜みですから、必要な場合は作らないといけなくて・・・。
相談したら、エリー様が嬉しそうでした。
「おはようございます!」
朝の挨拶は、元気にするのが習慣なんですが、既にウィリアム様と、側近のお二人、グレンさんとルキさん、それから外交官の侯爵様は、食堂に居て、何かを話していました。私が最後だったようです。
私に気付いた三人は、穏やかに微笑みを浮かべて、挨拶を返してくれました。侯爵様は、何故か黙礼されました。
「おはよう、ユーカさん」
少し元気のない、ウィリアム様の呼び方に、ちょっとムズムズします。最近は、呼び捨てが多かったからかもしれませんね。和磨くんは、さん呼びなんですけど。
「おはよう、ユーカ嬢、良く眠れたか?」
グレンさんは、にこやかな感じですが、頼もしさを感じます。
「はい! バッチリです!」
フカフカの布団、とても気持ち良かったです。お日様の匂いがして、何だかほっこりしました。
「僕も久しぶりに爆睡だよ! まだ寝ていたかったよ~」
とは、ルキさん。まだ眠そうにしてますが、あさに弱いのかもしれませんね。寝癖がついてます。
「きょ、今日は、いよいよ、会うんだよね? 失礼が無いようにしないと・・・」
今から緊張しているんでしょう。既に顔色が悪いです、ウィリアム様。
「大丈夫だ、昨日、ちゃんと練習したし、ウィルは自信を持て」
グレンさんがあっさり言います。彼は信じているんでしょうね。だから、迷いが無いようです。しかし、それはウィリアム様には、ちょっと重かったようです。
「無理だよっ!」
思ったより強い不定に、グレンさんが目を見開いて驚いていました。
「ウィル、本当に大丈夫だよ、だから落ち着いて」
ルキさんの冷静な声に、ハッとした顔をして、一気に真っ青になるウィリアム様。多分、思った以上の強い言葉が出て、ビックリしたのと同時に、申し訳ないと思ったのかもしれません。優し過ぎるくらい、優しい方ですから。
「ご、ごめん・・・」
どこか様子のおかしいウィリアム様に、何処か寂しそうな・・・いえ、悲しそうな瞳のグレン様。
隣にいるルキ様も、優しい笑顔ですが、少し違う気がします。ウィリアム様の頭を撫でて、落ち着かせようとしていました。
まるで、そう、何か見えない物から、守っているような、そんなふうに私には見えました。
きっと、他人の私が入っていいものでは、無いのでしょう。でも、だからこそ。
「ウィリアム様、私は難しい事は分かりませんが、プレッシャーを感じる時に、やることがあるんですよ」
「?? ・・・・・やること?」
明るく言ったのが、項をそうしたのか、どうやら、話を聞いて下さるみたいです。
「はい、ウィリアム様のように、期待を背負うのは、勇者の私も同じです、咲希ちゃんや、翔太くん、和磨くんみたいに秀でている“何か”、でも、時には凄く重いプレッシャーがあります、そんな時には私、“成功した時”を思い浮かべるんです」
上手く伝われと思いますが、私はこういうのは、苦手な方です。だって、私は考えるよりも、動くタイプですから。
「成功した、自分・・・考えた事なかった」
目を見開いて、ポカーンとしているウィリアム様。しかし、それは直ぐに、難しい顔になります。
「僕、いつも失敗しちゃう事ばかり、考えてた・・・だから、それに備えていたんだ」
「それも大切な事ですよ? 備えあれば患いなしって、言いますからね」
彼は慎重に動くタイプのようです。失敗する事を考えて、準備が出来るのは、必要な能力でしょう。あらゆる可能性を、考える事が出来るって事ですからね。でも、反面。予測不可能な事態が起きた場合、経験が無いと、失敗してしまう可能性が高いという意味もあります。
「・・・そっか、僕・・・」
唖然としたまま、考えているウィリアム様。多分ですが、急な私からの言葉で、新しい道を見つけたのかもしれません。と、見ていた侯爵様が、口を開きます。何だか優しいお顔です。
「殿下、初めての外交ですぞ? 完璧に出来る方等、私だって会った事がありません、失敗したっていいのです、小さな失敗くらい、私が、いえ、我々がカバー致します! ドンとお任せ下さい、私目は経験豊富ですぞ? 上手くまとめて見せましょうぞ!」
茶目っ気たっぷりに、侯爵様が言えば、ウィリアム様はまた、目を見開いて、そのままふにゃりと、笑顔を見せてくれました。年相応な嬉しそうな笑みに、こっちまで嬉しくなります。
「うん、ありがとう・・・グレン、ごめん」
「良かったです、殿下」
何処かホッとしたようなグレン様。嬉しそうです。きっと、彼らはずっと、ウィリアム様に訴えてきたんでしょう。でも、近すぎて、上手く伝わらなかったのかもしれません。教育係の負の遺産、大きすぎる気がします・・・。
「ところで、そろそろ朝食たべない~? 僕、お腹ペコペコなんだけど・・・」
ルキ様は、マイペースといいますか・・・。でも、お世話係の皆さんが、困った様子でしたから、我々は急いで席に付きました。終始、ウィリアム様が恥ずかしそうでしたけど、気付かないふりをしていました。
・・・・・だって、どことなく、嬉しそうだったから。
◇◇◇◇◇
「ユーカ殿!」
朝食が終わって、廊下に出た私は、グレン様に呼び止められました。
「先程は、礼を言う・・・ありがとう」
「えっ!? い、いえ、そんな・・・、私こそ逆に出過ぎた真似をしちゃったかもで・・・」
ブンブンと、手をアワアワさせる私に、グレン様、何を思ったのか、急にクスクス笑い始めました。何だか、何か吹っ切れたような顔です。
「いや、本当に助かったよ、殿下は昔の事が原因で、自分に自信が無いんだ・・・僕らでは、届かなかったんだよ、悔しい事にね」
切ないです、それ。近すぎてしまうからこそ、届かない。思いや言葉を口にしても、側近のお二方では、素直に聞き取れなかったのかもしれません。
「あの、そもそもなんですけど、ウィリアム王子はご聡明な感じがします、他の王子殿下方とはタイプが違う気がするのですが・・・」
そう、俺様なフリードリヒ王子、あざと可愛いニコラス王子は、ウィリアム王子とタイプが違い過ぎます。個性の枠に入れていいものでしょうか?
「まぁ、ご本人の気質なんだろうが、担当の教師がなぁ・・・やらかしてくれてな、気付いた時には今の性格になっちまったんだ、当時はかなりの大問題になってなぁ・・・・・」
大事な王子が、個性豊か過ぎたのは、過去のやらかしが原因なのは分かりましたが、これはかなり、根が深そうですね。
でも、この訪問が、ウィリアム王子の中で、何か切っ掛けになればと私は思います。
「大丈夫ですよ、きっと」
これは私の心からの言葉です。だって、ウィリアム王子は、間違いなく、一歩を踏み出したはずなんですから。
「お二人の支えは、きっと、ウィリアム王子は分かってますよ」
「・・・ありがとう、ユーカ殿」
きっと、支えて来た事は、無駄ではなかったはずです。三人の硬い絆が、ちゃんと物語っているんですから。
久しぶりのミニ小話をお届けします♪
~同僚達は激震した!~
A:おいっ! 聞いたか!?
B:聞いた聞いた!
C:ファイの奴、獣人大陸に決まったそうだぞ!!
A:修羅の国に行くのか・・・。俺、勇者の侍従に成らなくて良かった。
BC:確かに!!
A:ん? という事は、新しく、侍従を補充とか・・・?
B:・・・でもさ、俺ら選ばれるのか??
AC:それな・・・。
なお、しばらく新しい侍従は選ばれません。ごめんね☆
お粗末様でしたm(_ _)m