閑話 天の国へ参ります2
お待たせ致しました。今回は、筆が乗りました~♪
引き続き、優香ちゃん視点で、のんびり参ります。
side:神白 優香
部屋で少し休んでから、一階の食堂へ案内されました。荷物とかもあるので、休憩は助かりました。此方のお屋敷にも、何人かお世話してくれる天族の方が付きました。やっぱり、皆さん、金髪碧眼です。天族の特徴なんでしょうね。とても礼儀正しく、気遣いの出来る方々で、恐縮しちゃいました。
なお、お世話の皆さんは、揃ってグレーのエプロンをしているそうです。男性も腰に巻くタイプのエプロンをしているそうで、直ぐに分かるとの事でした。やはり、所変われば、文化も変わるんですね。
「此方のお部屋でございます」
案内された食堂は、広々とした空間で、長テーブルがあり、テーブルには色とりどりの花が飾られています。花瓶の下には、やはり綺麗な模様織りがされた、青い布が敷かれています。
「お待ちしておりました、お昼は軽い物を準備しましたので、どうぞ」
サクラ様が、待っていてくれたようです。私達が全員、椅子に座ると、お世話して下さる皆さまが、料理を持って来てくれました。野菜とお肉、小麦モドキのパンが主食と聞いています。
「お口に合えば宜しいのですが」
不安そうですが、先程から、とても良い匂いがしています。特に好き嫌いはありませんので、今から楽しみなんですが、隣に座るウィリアム王子が、妙に緊張しているのに気付きました。
「どうしました、ウィリアム様?」
聞いても、不安そうなままです。はて、どうしたのでしょうか?
「・・・僕、天族の礼儀作法、分からないんだけど・・・失礼にならないかな?」
あぁ、それで、不安になっていたのですね。ならば、私から出来る事をしましょう。
「ウィリアム様、分からないなら、聞いてみましょう!」
「えっ!!? ユーカさん!?」
驚いているウィリアム王子を他所に、私は近くにいるサクラ様に声をかけます。幸い、サクラ様は此方を見て、ニコニコしていました。普通に聞こえていたようです。
「という訳で、サクラ様、よろしければ、天族の作法等を教えて頂けないでしょうか?」
「勿論です! 我々は嬉しく思います、翼無き方々が、我々に興味を持ち、仲良くして下さるのは、大歓迎ですよ、私でよろしければ、喜んで!」
何だか妙にテンションが高いのが気になりましたが、天族の皆さんがニコニコしていますから、大丈夫でしょう。隣に居たウィリアム様も、ホッとしたようです。
「我々は、可愛いものが大好きなのです、もう、役得ですね☆」
はて? サクラ様の謎の言葉に、ウィリアム様共々、首を傾げてしまいます。私も、ウィリアム様も、可愛いという年齢ではないはずですし、何かの例えなのかもしれません。
しかし、側近のお二方が、先程から肩を震わせて、笑うのを我慢されているんですが、何を笑っているんでしょうか?
「さぁ、食事を始めましょう」
食事は人間側のよりも、全体的に薄味ですが、食材の味を上手く活かしているからか、とても美味しいです。途中の会話も、マナー講座や、天族の階級に関しての知識でした。
「我々はパンは手を使って食べます、スープの時はスプーンを使いますし、フォークもですね、大抵は厨房で食べやすくしてくれるため、食卓にはナイフはおきません」
どうやら、あまり難しくないようで、私もウィリアム様もホッとしました。
でも、特に興味深く聞いたのは、独特な階級社会でしょうか?
「我々天族は、階級社会です、羽の多い者が強い力を持ち、上の階級になります、逆に羽の数が少ない者は下になりますね、産まれた時に決まりますが、下の者は自由度は高いので、ちょっと羨ましいとは思いますよ」
苦笑いで教えてくれました。他にも細かい話はあるそうですが、基本的にこれを覚えておけばいいんだとか。羽の枚数で、階級が決まるため、大体の職業とかは察しがつきやすいとの事です。
「へぇ、まるで貴族や王族ですね」
「確かに、その例えが正しいですね」
サクラ様は、優しく色々教えてくれますから、すっかり我々はお話に夢中です。
「あの、皆さんは羽で階級が決まると言いましたが、羽が見当たらないのですが?」
ウィリアム王子に聞かれたサクラ様、そして皆さんまで、急に楽しそうに笑われました。はて、可笑しな事はありましたでしょうか?
「も、申し訳ありません・・・」
未だに肩を震わせていますが、ようやく落ち着いたようです。
「我々の羽は、魔力で出来ているんですよ、ですから、仕舞う事が出来るのです」
な、何と! 衝撃の新発見です!
「あれ? 魔力で出来ているなら、何故、羽の枚数が違うのでしょうか?」
ふと、気になって聞いてみました。
「我々が初めて羽を出すのは、3歳になってからなんですよ、その時に、魔力の強さによって、羽の枚数が決まります」
産まれた時から、羽があるのかと思っていましたが、どうやら違うようです。天族の皆さんにとっては、羽の枚数は、魔力の強さを表すものなのですね。
「あら、デザートが来たみたいですね」
ニコニコと嬉しそうなサクラ様が、運ばれて来たデザートに、更に満面の笑顔になります。
「天族の伝統的なお菓子なのですよ、特別な時にしか食べないお菓子なのです」
運ばれて来たのは、フルーツが沢山入った、ゼリーのような物でした。フルーツのヨーグルト合えが近いかもしれません。
「マンゴースにフルーツを入れた物でして、私も久しぶりに食べますから、嬉しいです」
恥ずかしそうにしつつも、視線はすっかり、お菓子にロックオンしてますね。
そんなこんなで、食事は穏やかに終わりました。