第187話 お見送りの前に
お待たせ致しました! いつもお読み下さり、ありがとうございます。
次回以降の予定は未定です。
詳しくは、秋月の活動報告にて!
何だかとっても久方ぶりな気がするけど、とにかく、大体の事が決まり、準備が始まったわ。
勇者はあたし以外、王子と共に、外国へ行くから、しばらくは調整が必要だわね。あぁ、めんどくさい・・・。
「勇者サキ殿、またお会いしましょう!」
なお、スザリオン王子は、騎士の皆さんと一緒に、国へ帰っていった。まぁ、正式なお迎えではなく、友達のところへ遊びに来たような感じらしく、盛大なお見送りとはならなかったから、思ったよりもあっさりしてたわね。
「ふぅ、取り敢えずは、問題が一つ解決かな?」
とは、フランツ王子。確かに、今回はちょっと、イレギュラーが多すぎた。他国が関わる以上は、仕方ないのかもしれないけどね。
「次はあの三人かぁ・・・」
フランツ王子の現在の悩み、ナンバーワンを独走中の彼ら。親書が出来上がり次第、順次出発するらしい。それまでは、それぞれの勇者と一緒に行動するみたい。今のうちに仲良くしときなさい、という、気遣いみたいね。
とはいえ、それぞれ、仲良くはしてるみたいだから、大丈夫そうだけど。
「サキには悪いが、しばらく王城に居て貰って、魔族出現の方が出たら、出発してもらう」
「分かってますから、お気に為さらず」
それが、あたしのお仕事だからね。こっちは、通常運転なんだけど、問題はやっぱり、三人組であって。
「侍従も考えねば・・・」
勇者担当王子フランツ様。勇者関連は、全て彼に回ってくるため、最近では苦労性王子との噂まで出ているらしいわ。第二王子なのにね。
・・・・・ごめんなさい。主に、あたしと翔太が原因かも。お世話かけます。
「ユーカには、女性の侍従を付けるとして、問題はカズマとショータだな」
「優香ちゃんは、前衛タイプですから、魔法タイプの方にお願いしては?」
あたしが口を挟むと、少し悩んでから頷いてくれた。やはり、前衛タイプの女性侍従は心配だったらしい。多分、大丈夫だとは思う。優香ちゃんに対してなら。あの、気弱王子には相性最悪だろうね。皆さん、明るい元気タイプだもん。魔術師の方が、大人しい方が多いからね。
「となると、ショータにはファイが妥当か?」
「ユリーさん、ユリアスさんなら、いいんじゃないですか? 高位の子息ですし、あの翔太を止めてくれる・・・かも?」
言っていて、不安になった。あたしらよりは年上だけど、やっぱりユリーさんじゃ、不安かも。
「ファイさんですね」
「ファイだな」
満場一致で、翔太にはファイさんが選ばれた。間違いなく、ファイさんならば、翔太たちを止めてくれるはず!
「となると、カズマとニコラスの所か・・・」
あそこはかなり癖があるメンバーだろう。下手な人を入れたら、間違いなく、面倒な事になる。
「ユリーさんは?」
「あぁ、確かに彼なら・・・」
侍従を決めるのも、中々、大変である。限りある人選をした辺りで、翔太に呼び止められた。あら、今はフリードリヒ王子との歓談中では?
「今、蒼一さんから連絡あった、後数日したら、一心さんを迎えに来るってさ」
あら、ようやくですか・・・。まったく、そう兄ったら、一心さんを此方に預けて、どれだけ経つと思ってんのかしら?
「ようやく風通しとか、良くなったらしいぜ?」
微妙に湾曲した話し方をする辺り、翔太はナニカを聞いたらしい。顔が何とも頼りなかった。蒼兄よ、ナニをしたのかな?? そして、どんな話を翔太にしたんだ!? 翔太がこんな顔になるなんて、明らかにおかしいからね!?
「そ、そう・・・じゃあ、そっちも準備が必要ね」
どうせ、国が準備はするから、あたしはその日、お出迎えかしらね?
勿論、そう兄には、文句を言わせて頂きますとも♪ 騎士さん達や魔術師の皆さんに、大変お世話になったそうだしねぇ? 向こうでは、随分と楽しかったみたいだし、あたしの話も聞いてくれるでしょうし、ね?
「おいっ!? 咲希!? いきなり殺気を飛ばすなよ!?」
えっ? あら・・・? 気付けば、翔太が構えていて、フランツ様は真っ青、側近のトーヤ様はフランツ様の前で庇うように立って居る。
「ごめん、またやったのね・・・?」
無意識って、怖い・・・。
「お前の無意識、恐すぎだろ・・・・・」
明らかにひきつっている翔太の顔。とはいえ、あたしの無意識って分かったからか、全員構えは解いている。
「はぁぁぁ・・・、サキ、頼むから殺気は勘弁してくれ」
フランツ様が、珍しくゲッソリしてた。いや、既に面倒が沢山あるから、更に疲れちゃった感じかな?
「あ、本当にごめんなさい! ちょっと、そう兄にお話をしないとなぁって、考えただけなのよ」
まさか、無意識でとはね。・・・・・ストレス、溜まってるのかしら?
と、誰かの気配が近付いてくるのが、分かった。
『主、優香さまと、和磨さまのようです』
懐から、龍の声がした。更に、足音もしてきたみたい。
えぇ・・・、何かあったのかしら?
「咲希ちゃん、今の殺気なに!?」
「咲希さん、何があったの!?」
あぁ、うん。殺気は果たして、何処まで感じたのかしら!?
「・・・ごめんなさい、無意識なの」
「本当だぞ、だから大丈夫だ」
翔太もフォローしてくれて、助かった。二人とも、ほっとしたみたいで、また、直ぐに帰って行ったけど。翔太も、要件が済んだから、皆と帰って行った。
本当に、ごめんなさい!
◇◇◇◇◇
side:空の神
この日、神域には珍しい事がありました。
「空の神様~、御届け物が来ております~」
雑用を任せている天使たちが、何やらどでかい木箱を運んで来ます。その数、30は下らないでしょうか?
「送り先はどちらです?」
この世界、創生神様の御両親が居る神界くらいしか、繋がりはないはずですし、アマテラス様はこういう事はしないため、何となく、候補を絞りました。
「リシテアール? の、リケ神だそうです、機械天使とか言う珍妙な方が、此方の神界へ配達してくれたそうで、転送されてきました」
あぁ、この前の! いやはや、最近は忙しすぎて、記憶の彼方にぶっ飛ばしておりました。
「受け取り証にサインをお願いいたします」
取り敢えずサインをしてから、天使達を労ってから帰します。
「・・・ん? 手紙?」
何とはなしに確認していたら、手紙がありました。バカデカイ箱に、ちょこんと付けられた手紙は、大変普通だった事に、ホッとしました。
『お久しぶりですにゃ。ネクタルばかりだと飽きると思ったので、神餅を送りますにゃ。大変だと思いますが、頑張って下さいにゃ! リケ』
・・・・・かなり、タイムリー過ぎませんかね? 誰がネタ元でしょうか? 食べ方とかも、別紙に書かれていましたから、参考にしましょう。
「医神と薬の神に、ネクタルの話でも聞きましょうかね?」
手土産にしつつ、あの頭の痛い二神に、近況を聞きに行きます。激マズネクタルモドキは、現在改良しています。あれから、運命の神は、3日程寝込みました。正確には、目覚めなかったのです。どうも、疲労が限界に達していたみたいです。
はぁぁぁ・・・、また変な物を作らねばいいんですが。止めるのは私ですからねぇ。
いやはや、リケ神、本当に助かります!