特別閑話 ようこそ、クラリオン王国へ?23
お待たせ致しました。今回も、SHIN様のところから、ミリアム様と、ナキさんがコラボ出演中♪ 別視点をSHIN様のところの猫耳女王にて、連載中です♪ 気になる方は、そちらもチェック☆
ミリアム様とナキさんが、こちらへ召喚されて8日目。
今日はいよいよ、神殿へ行き、二人が故郷へ帰れる日である。
朝食は勿論、綺麗に平らげてきた。朝からフルコースだったわ。更に、二人の分だけ、全てが大盛りである・・・。食後、料理人さんが涙目で挨拶へ来た。二人の食欲に、感動したらしい。まぁ、あれだけ綺麗に食べてくれたら、料理人さんは嬉しいよね。あんな大盛り、料理人さんも初めての経験だそうだし・・・。ミリアム様とナキさんは、喜んでいたから良かったわ。
王城から神殿へは、馬車で行く。無事に送るために、王族からは見届け人として、フランツ様が付いたため、エリー様や皆さんとは、ここでお別れである。別れ際、エリー様から今までの戦闘服や、ドレスや靴等の小物が渡された。宝石を辞退したから、代わりらしい。それでも、かなりの量だったわ。ドレスや靴は二人のサイズだから、仕方ないが。二人が困った顔をしたのが、印象的だった(笑)
そうそう、あたしと優香ちゃん、和磨くんは護衛として、神殿へ一緒に行くけどね。
なお、翔太はお留守番(笑) また、書類を貯めたらしい・・・。学習しないな、こいつ。呆れ返ったのは、言うまでもなく。翔太はファイさんに、首根っこを掴まれて、食堂を退場していった。ファイさんの礼儀を通しつつの連行姿には、さすがに唖然となったけど。はて、何処かで見た光景である・・・。
その後の移動中に、ミリアム様が嫌がるナキさんに、同じように首根っこを掴んで、廊下を引きずっていた。馬車に乗る前に、通路の柱が気になったらしい。先程の光景を見た皆さんが、ミリアム様に同情的だったのが、印象的だった・・・。こっちじゃ、翔太のやり取りは、もはや日常だからである。
「陛下、後生にゃ~~~!! あの柱に、せめて彫刻をぉぉぉ~~~~~~! にゃぁぁぁ~~~~・・・」
「時間が無いでしょ! 人様の家で何を勝手に!」
ミリアム様の手には、いつかのハリセン。
ゴッチーーーーーーーーーーン・・・
ハリセンで大変おかしい音がしたものの、ナキさんを止め、いや、何故か気絶させ、ミリアム様は馬車へ乗っていく。最後の最後で締まらなかったが、こうして盛大に見送りを受けて、馬車は出発した。
「ミリアム様、聞いていいかしら? さっきのハリセン、何か音がおかしいような?」
あたしが聞けば、ミリアム様は気まずそうに話してくれた。
「少々、強化をするつもりで弄っていたのですが・・・この世界の何かの物質に変わってしまったようで、硬いけども柔らかい、変な物質になりました」
はい!? なんじゃそりゃ!?
「錫の特性みたいな感じでしょうか? 見た目は紙なんです、柔軟性もありますし、丈夫になりました」
いや、明らかに変よね!?? あたしは、和紙の普通のハリセンを渡したわよ!? 何がどうなって、そうなった!?
「わぁ! これなら、立派な武器になりそうですね?」
ゆ、優香ちゃん・・・。天然をここで発揮せんでくれ。馬車は6人乗り。あたし、優香ちゃん、和磨くん、ミリアム様、ナキさん、フランツ様が乗っている。いやはや、これ、大丈夫なんだろうか? ツッコミ体質が、少ない気がする!
「この世界の錬金術を、本で拝見したのです、やってみたら成功しましたが、摩訶不思議な物質ですね」
・・・いつの間にか、魔術図書館へ出向いていたらしい。ミリアム様の行動力が凄すぎる! ついでに、ナキさんが寝言を言ってるんだけど、ツッコミ入れるべき!?
「にゃぁぁぁ、素晴らしいにゃぁ、むにゃむにゃ・・・彫刻にゃ・・・むにゃむにゃ・・・」
「いよいよ、帰れるのは嬉しいですが、美味しい食べ物だけが心残りですねぇ」
あ、ミリアム様がスルーしてる。というか、皆もスルーするみたい。
「そう言って貰えると、この国の王族として、鼻が高いです、ミリアム様のお陰で、我が国は100年先取りしたと言われていますよ」
「・・・素晴らしい艶にゃぁぁ・・・むにゃむにゃ・・・」
フランツ様が苦笑してた。二人がくれた資料は、現段階のクラリオン王国では、100年先の思想とされ、目標とされたから、官僚達は今、怒濤の忙しさらしい。隈を作った文官さんが、薬室に来るらしく、和磨くんは大変らしいしね。魔術師の方でも、色々余波が来ていて、忙しくなったし。
「必ず実現させたいです、国を豊かにするために」
フランツ様の言葉は、未来を任された王族の誓い。きっと、実現させたいと思う。
「・・・むにゃむにゃ、飯にゃ・・・でかいにゃ・・・ニャハハハ・・・」
ところで、誰かツッコミ入れないの?? とっても素晴らしい場面に、ナキさんの場違いな寝言が響いてますよ?
「起こしましょうか・・・」
頭を抱えたミリアム様が、またしてもハリセン改を取り出す。
「いい加減、起きろぉぉぉーーーーーーーーー!!!」
ゴッチーーーーーーーーーーーン!!!
やっぱり、ハリセン改は変な音になってる。紙よ? 元は紙だったのよ!!? 何で見た目は紙なのに、金属みたいな音になってんのよ!!!
「にゃぁぁぁーーーーーーー・・・、な、何事にゃ!? 敵襲にゃ!?」
急な衝撃に、ナキさんがまともな事を言って、飛び起きた。・・・うん、ミリアム様もちょっと予想外だったみたい?
「ナキ、落ち着きなさい、起こしただけだから」
呆れ返ったような、疲れたような、そんなミリアム様の声に、ナキさんも落ち着きを取り戻した。
「にゃ? お出かけにゃ?」
思わず、その発言にガクッとなる。いやいや、何故にそうなった!?
「ナキ・・・神殿へ向かってるのよ、帰るの!」
クワッとミリアム様が話す。叫んでしまったのは、咄嗟みたいだけど。
「にゃ? 叫ばなくても聞いてるにゃ!」
何処までもマイペースなナキさんに、皆でガクッとなる。ここまで来ると、いっそ天晴れね(笑)
そんな会話をしつつも、数時間後。無事に神殿へ到着したのだった。
馬車から順番に降りると、目の前には荘厳な白い建物。恐らくは、これが神殿なんだろう。確かに美しい建物であり、神の威信をそこに見た気がする。そして、建物の入り口には、ズラリと並んだ、神官様と巫女様達。一番前にいるのは、神官長様だったはず。
慣れているフランツ様は、普通に出迎えに対して礼を言っていたけど、慣れてない我々一堂は、固まっていた。ナキさんもミリアム様は、平然としていたけど。慣れているのかな?
「ようこそお出で下さいました、我らが主より、既に神託が出ております、どうぞ中へお進み下さいませ」
丁寧に出迎えられ、神殿の奥へ奥へと案内されていく。通路は質素だが、それがまた、神殿の威信を表しているようである。
「此方が礼拝堂です、月が登りましたら、神より神聖陣が来るそうです、どうぞ、それまではおくつろぎ下さいませ」
粛々と、神官長様は説明してくれた。更には、控えの間にて、おもてなしをしてくれたんだけど・・・。我々は、すっかり忘れていたのである。ナキさんが静か過ぎる事を!
「・・・いない」
絶望したようなミリアム様と、顔が引きつるあたし。他の皆も顔色悪いし。
あー、嫌な予感がする!
と、あたしらの予想通りの声が、木霊した。
「にやぁぁぁ~~~~~~~~!!?」
ん? ナキさんの声だけど、悲鳴!? ちょ、何が起きた!?? ここは、神殿よ!?
「ナキッ! 今度は何をやらかした!?」
み、ミリアム様? やらかした前提の話なのね??!
「・・・ビビったにゃ、壁に彫刻しようとしたら、壁に顔が出てきたにゃ」
うん? いやいや、その前に。
「ナキ? 人様のお宅の壁に、勝手に彫刻すんじゃないっ!!」
ミリアム様の怒鳴り声と、ハリセンがヒットした瞬間だった・・・。
お約束は、外さないらしい(笑)