特別閑話 ようこそ、クラリオン王国へ?22
お待たせ致しました! 本日も、SHIN様とのコラボになります。猫耳女王より、ミリアム様とナキちゃんが出演中です! 別視点を、SHIN様のところで連載中。気になる方は、猫耳女王をチェック!
会場は、一番広いホールである。今日招かれた人々で、一杯になっていた。座席は満席、王家の意向とはいえ、凄いものである。とはいえ、今日は伯爵家以上の者達しかいない。要人のみの晩餐会である。
「思ったより、少ないにゃ?」
「安心しました、色んな意味で」
不思議そうなナキさんと、安心したようなミリアム様。視線がナキさんへ向いているから、ナキさんを心配したらしい。
「さぁ、皆さん、こちらへ」
案内されたのは、王族や重要な客人が座る、上座。横に並んだ机と、目の前には貴族達・・・。うわぁ、凄い視線。
「勇者様は此方へ」
あら、うちらは貴族側らしい。頑張ってね、お二方♪ そう思って二人を見たら、凄い顔をしてた。ははっ、そんな助けを求める顔をしなくても・・・。ナキさんは、緊張で固まってるけど、ミリアム様は、面倒そうね。まぁ、フォローしてくれる人は近くに居るみたいだし、大丈夫じゃないかしら? 何せ、フランツ様とエリー様の間だもん。フォローバッチリよ?
そんな感じで始まった晩餐会は、王様の挨拶から始まり、長い有りがた~いお話に、ナキさんがウトウトする危機的状況はあったものの、無事に乾杯へ漕ぎ着けた。その時のミリアム様の顔が、真顔で怖かったけど、何故かナキさんが涙目だったのが不思議だわ。
「「「「「乾杯!」」」」」
これが合図となり、執事さんとメイドさんが動き出す。美しい仕草で、一品目が配膳される。
「うわぁ、綺麗!」
思わず、小声で話してしまうくらい、出された前菜は、美しい芸術的な一皿であった。食べるのが勿体ない!
「っ!」
食べたら、思わず目を見開き、固まるくらい美味しかった。流石、王家のコックさん!! 素晴らしい腕前だわ。
一皿一皿、ちゃんと紹介されながら、フルコースが進んでいく。
がっ、ある一角は違った。
「うわぁ・・・」
ナキさんやミリアム様の方を、チラリと見たら、驚きや呆れが出た・・・。なんせ、明らかに遠目でも分かるくらい、お皿に盛られた量が多い。おかしい、明らかに普通より多い量である。まぁ、食べ方は綺麗なので、文句はない。淑女教育に、食べ方の作法も入っていたんだろう。ザマース先生って方は、本当に素晴らしい先生らしい。
「次に参りますは~」
また、一皿が終わり、飲み物をいただく。飲み物は、使用人さんが回り、あたしもピンク色のジュースを頂いた。事前に、エリー様から晩餐会のルールを教えてもらったから、助かったわ。男性はお酒を、女性はジュースを配っているらしい。
「ようやくメイン料理・・・」
高級なお肉を使った、ステーキだそうで、幾つかのソースが付いていた。うわぁ、色んな味に変わって美味しい!
なお、少量盛りの女性陣に対し、男性は一部を除き、普通盛りである。とはいえ、今日の晩餐会は気合いが入っているから、15品の料理が出る。お品書きの記載には、合間にお口直し等が出るらしい。
「咲希ちゃん、ミリアム様達、大丈夫かな?」
隣の優香ちゃんがコソッと聞いて来たので、ミリアム様とナキさんを見てみる。コルセットを装着しているのに、まーったく食欲は変わっていない二人。あれ? お肉の量が男性陣よりも、倍の量・・・。凄いわ、これは。
とはいえ、まともな量だろう。エリー様の作戦は、見事に当たったみたいで、高位の貴族である皆さんは、素知らぬふりをしてくれている。大丈夫みたいね。
「では、次に参ります料理は~」
次は、お肉の後だからか、さっぱりしたジュレの付いたサラダだった。なお、ミリアム様とナキさんは、微妙な顔だった。お品書きを見ていたわよね? ナキさん、凄く真剣に見ていたし。
なお、書かれているのは、この世界共通の言葉、日本語である。クラリオン王国辺りで使われる言葉もあるけど、古書に使われてるみたいだから、あたしらは半分くらいしか分からないわ。魔法言葉は、また別だしね。
「しかし、コルセットを付けていて、あの量が良く入るわねぇ」
二人とも、美味しそうに食べてるけど、量はあたしらよりもとにかく多い。エリー様が、コルセットを装着させたから、異常とは成っていないだけ。それでも男性よりも量は多いのよ?
「本日、最初のデザートは~」
また、アナウンスが入る。これまた、美しい芸術的な盛り付けをされた、最初のデザート。まさかの、和菓子(笑) あたしも驚いたんだけど、前に来た勇者が故郷の味を広めたらしい。まぁ、懐かしい味だからこそ、勇者も必死だったのかも。今回は、透明で綺麗な葛餅だった。フルーツとかも用意されていたけど、きな粉は無いらしい。代わりに、黒蜜がかかっていた。
違和感この上無いデザートだけど、クラリオン王国では普通なのか、皆は普通に食べていた。
次はフルーツケーキが出されたから、本当に馴染んでいるらしい。
「美味しいね、咲希ちゃん」
「そうだね、優香ちゃん」
穏やかな会話をしつつ、ミリアム様達を見れば、普通に食べていたけど、ナキさんは直ぐに完食しており、追加でフルーツの盛り合わせが来ていた。勿論、ミリアム様にも。
そして、またしても有りがたい長い話を王様が行い、今日の晩餐会は終わりを告げた。
あたしらも直ぐに後ろへ引っ込み、ミリアム様とナキさんと合流した。
「やっぱり・・・」
そこには、ドレスを速攻で着替え、コルセットの要らないドレスに着替えた二人が、控えの間にて、更に食べている姿だったのだ。
思わず頭を天に向けたのは、仕方ないと思って欲しい。
「足りなかったんですね?」
優香ちゃんの確認に、名も知らぬ巨大な魚を食べ終えたナキさんが、ハッキリと答えた。
「勿論にゃ! コルセットの分はここで食べるにゃ!」
・・・・・。
うん、だよねぇ。食欲を無理矢理コルセットで抑えたから、仕方ない。エリー様は既にわかっていたからか、この部屋に案内し、追加を用意するように、指示を出していたらしい。
お見事です、エリー様!
「ふぅ、お腹一杯にゃ!」
「ご馳走さまでした」
ナキさんは、大きくなったお腹をポンポン叩きながら、対してミリアム様は上品に布で口を拭いていた。対照的な二人である。
「明日は朝食後に、馬車で神殿へ行きます」
エリー様の説明に、二人とも嬉しそうである。まぁ、大丈夫じゃないかな? ほら、濃い一部の方々を除けば、真っ当な方々しかいないしね。