特別閑話 ようこそ、クラリオン王国へ?20
お待たせ致しました!
本日も、SHIN様のところより、ミリアム様とナキちゃんが出演中です。別視点をSHIN様の猫耳女王にて、連載中! 気になる方は、チェックして下さいね☆
そこからはまた、巨大な絨毯を準備し、一直線に城へ。片道三時間の旅である。今は、何と6日目の夜6時。明日は朝から女性陣の皆さんは、エステが始まる・・・。
「にゃぁ~・・・楽しかったにゃ!」
「えぇ、このレインボーアイアント、少しだけですが、取れたのは良かったです」
ホクホク顔の二人だけど、明日は多分、間違いなく、朝から悲鳴をあげそうだわ。城のメイドさん、容赦ないからなぁ。
とはいえ、レインボーアイアント100体くらい狩れたのは、運が良かったわ。ファイさんいわく、レインボーアイアントは一体狩れたら、褒賞で貴族になれるくらいの価値があるそうで、是非とも王家に少し献上して欲しいと言っていた。
「あっ! 忘れてたにゃ! チェスの駒、献上するんだったにゃ!」
・・・・・何故に忘れるよ、ナキさん。これ、帰還次第、即王様との会談が待ち構えているってこと??
「ナキ・・・あんた、自分が作ってる作品を、普通忘れる?」
呆れ顔のミリアム様。一応お礼に、蜜袋を幾つか献上してくれるらしい。ありがとうございます、ミリアム様♪ なお、あたしらはレインボーアイアントの素材を貰った。綺麗だし頑丈なんだけど、ミリアム様とナキさんは、微妙な顔をして、素材は受け取らなかった。何でも、似たような素材が既にあるから、らしい。クリスタルアイアントの素材は、欲しがったから、何とも不思議である。
「にゃー、アイアントの狩りが楽しすぎたにゃ、チェスセットは記憶の彼方にゃ!」
にゃははは~☆
笑って誤魔化してた。何て、穏やかに会話してても、勿論、ここは外。更には、空の上な訳で。
「サキ様、恐らくはブラックバードの群れと遭遇したみたいです」
ファイさんの嫌そうな顔が、うっすら見える。見鬼の才という、まぁ、幽霊が見えることを言うんだけど、あたしは更に、夜目が効くタイプだ。だから、月明かりさえあれば、結構見える。幸い、今は綺麗な夜空。更には明るい月明かり。この世界の方々は、夜目が普通に効くのよねぇ。だから気付いた皆さんも、臨戦体制なんだけど・・・。
ミリアム様もナキさんも、何でかヤル気満々である。夜の空で気を付けなければならない相手として、真っ先にあがる、ブラックバード。この世界では、群れで行動するため、夜には出会いたくないとさえ言わしめる、んだけど多分、二人に任せれば、間違いない。
「お二方、お願いしても?」
あたしがお願いしたら、パッと嬉しそうにしたミリアム様とナキさん。
「綺麗な羽にゃ」
「美味しいのでしょうか?」
二人とも、夜目が効いてるみたいね。ならば、お願いしちゃおう。あたしらは疲れたわ。
「ブラックバード、捨てるとこありませんよ、お肉は美味しいです、狩るのでしたら、空の袋がまだありますから、こちらに入れて下さい、後程、解体して必要な部分をお渡ししますので」
ファイさんの一言で、二人のヤル気が更に上がった。飛行魔法で一気に飛んだ二人は、それから20分程で帰ってきた。凄く嬉しそうに・・・。100羽くらい居たはずの群れを壊滅させて来たのに、まだまだ、元気そうね。
「帰ろっか」
絨毯はそれから1時間程で、お城の一角に降り立った。ふぅぅぅ、何か凄く疲れたわ・・・。とは言え、まだ仕事がある。一番疲れる、王様との謁見。明日は無理なのは分かってるから、仕方ないけどね。
「皆様、謁見の間へどうぞ」
執事の方に案内され、あたしと和磨くん、ミリアム様、ナキさん、他数名の騎士の方々と共に、謁見の間へ。そこには、陛下とフランツ様が何やら会話しながら、待っていたみたい。
「只今戻りました」
代表して、あたしが声をかけた。
「ふむ、よくぞ無事に帰った、客人方も楽しかったようで何よりだ、ふむ」
王様、玉座に座り、神妙に何度も頷いていた。何やら思うところがあるようだ。
「さて、ミリアム様とナキさんより、献上したい物があるとの事です」
ミリアム様は、レインボーアイアントの蜜袋、ナキさんは美しいチェスセットを取り出す。王様も、隣に控えたフランツ様でさえ、興味津々に見ている。
「こちらを献上しますにゃ!」
元気いっぱいに差し出したチェスセット。大理石と黒曜石、アルミニウムと黒曜石のチェス盤セットである。いやはや、どんだけ価値があるのやら。
「・・・これは、何だろうか?」
フランツ様もピンと来ていないようで、不思議そうにこれを見ていた。あぁ、あれは、初めて見た人の顔である。
「こちらは、我々の世界ではチェスと呼ばれる、盤上のゲームですね」
「ふむ、イーゴやショーギみたいなものかの?」
「はい、将棋の仲間ですね、分かりやすく言えば」
イマイチピンと来ていない王様の質問に、和磨くんが答える。しかし、何やらナキさんの顔に悲壮感が漂い始める。
「チェス、無いのにゃ!?」
「世界が違いますからね、常識も違うのでしょうか」
ミリアム様も、驚いていた。この世界、何故か囲碁や将棋はそのままの形で伝わっていた。しかし、何故かチェスは無かったのである。あれ、確か日本で流行り始めたのは、近年になってからだったわね・・・。前の勇者は、200年くらい前に、召喚されたらしいから、知らないのは仕方ないのかも・・・?
「次に、レインボーアイアントの蜜袋を献上いたします」
これには、王様もフランツ様も、明らかに顔が満面の笑みと分かる物を浮かべていた。やはり、国のトップからしても、これは嬉しいらしい。まぁ、美味しいしね?
「ふむ、ご苦労である、ありがたく受け取ろう」
ミリアム様達は、気を使ってか、レインボーアイアントの蜜袋を3個、クリスタルアイアントの蜜袋を5個、献上してくれた。近年、このどちらも、献上品には上がらなくなってきたらしい。何とも嬉しいらしく、明日のパーティーが更に盛り上がる事が決定した。
このあと、我々は自分の部屋に戻って、支度をし、寝るだけになった時に、変な悲鳴が上がった。あれは、・・・ナキさん?
流石にビックリして、パジャマのまま、ナキさんの部屋へ。相変わらず、ゴージャスな部屋だけど、今は部屋いっぱいに、訳の分からない物が溢れていた。
「ないっ、無いにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 何処にいったにゃ!?」
異空間らしき場所から、次々と訳の分からない物を取り出すナキさん。あまりの多さに、部屋がいっぱいになりそうだ。
「ナキ、何事!? ・・・これは?」
駆けつけたミリアム様も、悲鳴を聞き付けた皆さんも、この事態に唖然となっていた。
「ナキさん、何があったの?」
代表してあたしが聞いたら、涙目のナキさんが話し出す。
「ダンジョンで取った、壁や床の材料が消えてるにゃ! 無いのにゃぁぁぁ!」
うん? 同郷のミリアム様も、ハッとして自分の異空間を見ていた。どうやら、ちゃっかり二人して、あの立派な壁を拝借していたらしい。
「確かに、ありませんね・・・」
どうやら、ミリアム様も無くなっているらしい。すまんが、あたしは分からないわよ? ダンジョンから、壁を拝借してないし。
と、和磨くんが前に出てきた。理由が分かったらしく、ちょっと笑ってた?
「ミリアム様、ナキさん、無くなるのは当たり前だよ、あの壁は、ダンジョンの魔力で出来てるから、ダンジョンの魔力供給が外に出て無くなったから、消えちゃたんだよ」
つまりは、魔力で出来た偽物・・・? そりゃあ、魔力が無くなれば、消えてしまうのは仕方ないわね。
「にゃぁぁぁ~・・・、せっかく集めたのに、勿体無いにゃ~・・・・」
あれ? 説明してなかったかな? まぁ、こうして騒動はあったものの、無事にこの日は就寝したのだった。