特別閑話 ようこそ、クラリオン王国へ?19
いつもありがとうございます。今回も、SHIN様とのコラボです! 猫耳女王から、ミリアム様とナキさんが出演中! 別視点も、SHIN様の猫耳女王にて連載中です。気になる方は、そちらもチェック☆
さて、何やかんやありつつも、攻略は進み。クリスタルアイアントを狩りまくっている、我々。いや、主に二人だけど。
「大量にゃ~♪」
「いやはや、何とも・・・」
ご満悦のナキさんと、呆れた顔のミリアム様。当然の反応である。ナキさんが、壁をぶっ叩き、擬態したクリスタルアイアントを、そのまま二人で、見事に倒しているんだから・・・。呆れしか出てこない。こちらサイドを完全に差し置いて、ミリアム様とナキさんは、クリスタルアイアントを倒しまくっている。温度差はかなりのものよ。
「真ん中くらいまで来ましたし、皆さん、少し休憩しましょう」
個室を見つけ、勿論、クリスタルアイアントや、罠が無いかを入念に調べてから、休憩に入る。ラッキーな事に、湧水まであったから、完全なセイフティーゾーンだったらしい。
「時間的に、長い休憩はこれが最後ですね・・・3時間休憩しましょう」
ファイさんの言葉で、食事や睡眠に入る面々。和磨くんは、睡眠。ミリアム様やナキさんは、早速、クリスタルアイアントの蜜袋を飲んでいた。
「や、やべぇにゃ・・・」
「な、何と美味しい!」
二人の感想は、すっかり、言葉が消えていて、後は黙々と飲んでいた。うわぁ・・・、香りも凄いわ。
勿論、あたしは寝る。お腹は特に空いてないし、眠気が強いから。龍を呼び出し、背中にスタンバイ♪
それでは、いざ、夢の中へ。
◇◇◇◇◇
・・・・・痛い。寝起きは最悪である。やっぱり、落とされた。
「痛いわよ、龍・・・」
恨めしげにジトーとした視線を向けると、スイッと視線を背けられ、そのまま札に戻られた! 何故に!?
「咲希さん、普通に起きたら?」
和磨くんから言われたけど、無茶だよね!?
「寝不足にゃ?」
「咲希さん、若いのですから、体の管理はしっかりしないと」
何故かナキさんと、ミリアム様にまで心配された。解せぬ!
「ははっ! 咲希さん、眉間のシワ凄いって」
和磨くん、笑うとこじゃないって!
「サキ様、ご飯を食べるなら、お急ぎを、そろそろ休憩も終わりに近いので」
特にお腹は空いてないから、問題ないわ。水筒を取り出し、お水を飲む。うん、大丈夫ね。
「んじゃ、準備でき次第、行きましょうか」
こうして始まった攻略は、また、ナキさんが水晶を叩き、現れたクリスタル・アイアントを二人で倒し、あたしらは罠探知と罠解除、解体に集中している。これが一番、効率が良かったのである。
で、あっさりではないけど、ようやく、クリスタル・アイアント・クイーンの攻略となった。
「クリスタル・アイアント・クイーンは、魔法、物理に高い耐性があります、油断はなさいませんように」
ファイさんのため息と共に、慇懃に注意を教えてくれたけど、今ままでの事を考えると、仕方ないかも?
今までで、一番美しい扉の先、そこもまた、巨大な水晶からなる、美しい部屋だった。
「にゃぁ、綺麗だにゃ~」
「これは、見事です・・・」
感嘆の言葉は、次の瞬間、耳障りな声? 鳴き声? みたいな物で、書き消された。しかし、今回は一匹しか姿が見えない。ラッキー♪ という、あたしの喜びは、ナキさんの次の動きで、あっさり崩れ去った。
「行くにゃ! どっせい!」
カキィィィィィーーーーーーーーーーーーーン!!
甲高い金属音の後に、水晶からワシャワシャと沢山のクリスタル・アイアントが出てくる。わぁー、やっぱり、出てきた・・・・・。
「にゃーはっはっはっ! 逃がさないにゃ!」
「でかした! ナキッ!」
・・・・・まぁ、ご推察の通り、ナキさんとミリアム様は、はっちゃけた。勿論、我々は解体である。ものの30分で、綺麗に片付いた。解体も直ぐに終わり、奥に下へ階段があったため、我々は休憩も取らずに、降りていく。
「にゃー!? な、なんにゃ!?」
「まぁ! これは・・・」
階段を降りた先に見えたのは、キラキラ輝く、余りにも綺麗な通路だった。まるで、ダイヤモンドだ。歩くたびに、乱反射するため、自分たちが何処にいるのか、分からなくなりそうだ。
「・・・レインボー、いないにゃ」
「是非とも、狩りをしたいですね」
ヤル気満々だわ。とはいえ、レインボーアイアントは、姿がない。居るんじゃないの?
と、我慢は出来なかったナキさん。またしても、大きな金槌を構えている。
「やるにゃ!」
カッキィィィーーーーーーーーーーーン。
透き通る音が、辺りに響くと共に、小さく、カチリという音がした。
「にゃ? いないにゃ??」
不思議そうに言った、次の瞬間。またしても、ナキさんの足元がまた抜けた。
「またかにゃぁぁぁ~~~~~~~!?」
「翠嵐!」
流石だ、ナキさん。忘れた頃に、やらかしてくれるとは・・・。
「えー、説明しますが、レインボーアイアントは、擬態はしておりません、普通に通路へ出てきますが、仲間呼びという、厄介な技を持ち、更に、クリスタルアイアント以上に、魔法や物理に耐性があります」
あら、ならば歩いていたら、普通に会える訳か。てなわけで、ガンガン進むんだけど・・・この乱反射する通路に、苦戦を強いられる羽目になった。
ゴンッという、素晴らしい音が、そこかしこから聞こえる。一番はナキさん、後は、ミリアム様や背の高い騎士さん達である。あたしは、ほら、・・・小さいからね。
とはいえ、レインボーアイアントは歩いていたら、本当に出会えた。
キラキラした、虹色の蟻、まさにレインボー! 捨てるとこはない! と、言わしめるだけはある。
「行くにゃ!」
「参ります!」
勿論、二人は嬉々として狩りをしたんだけど、今までで一番、時間がかかっていた。更に、仲間呼びにより、次から次へと、レインボーアイアントが現れる。
「めんどいにゃ!」
「ナキッ、美味しい蜜袋の為よ!」
それから、30分くらいかな。ようやく、一区切りついた。とにかく、乱戦続きで、二人も息がきれていた。その後も、乱戦が続く為、効率は良かったけどね。
それから、かなりの時間をそうしていたと思う。もう、時間の感覚があやふやだわ。
「さて、皆様、攻略はこの辺りで終わりとなります、タイムアップです」
あらまぁ。ファイさんの言葉に、明らかにミリアム様とナキさんが、分かりやすくガッカリした。まぁ、わかるわよ? でも、これから帰るのを考えたら、かなり時間がかかると思う。
「明日は朝から女性の皆さんは、大変ですからね、早く帰ってゆっくりすべきですよ」
ファイさんの謎の言葉に、更に疑問が大きくなる。おかしい、何かあったかな? 書類かしら? 溜まってるだろうけど、大丈夫だと思うし。
「明日は、帰還のパーティーですよ? 終わったら、お二人は神殿へ向かう筈でしょう・・・」
呆れたように言われて、あたしも思い出す。あ、そんなの予定にあったなぁと。ちらりと見たら、ミリアム様とナキさんまでも、忘れてたと顔に出てた。
・・・・・楽しい時間ほど、あっという間に過ぎていくみたい。
「このまま歩いて帰るの?」
思わず、この先の展開が分からないため、あたしが聞いたら、ファイさんや騎士の皆さん、そして和磨くんにまで、可哀想な子を見る目で見られた。えっ? おかしいこと、言ったかしら?
「説明されたでしょ? 咲希さん、帰還の巻物を使うんだよ」
・・・・・帰還の巻物? なんだそれ!?
何か知らない物が出てきた。ファンタジーだわ。
「聞いてなかったでしょ!? これで、入り口まで帰るんだよ」
・・・・・わぁ、ファンタジー! てか、いつ説明されたんだろ??
「咲希さん、入り口で説明したよ!? ・・・もしかして、エリエンヌ様が来たから、聞いてなかったとか?」
あー! あの時! うん、エリー様に完全に気圧されて、聞いてなかったかも??
「取り敢えず、帰りましょう」
ファイさんのため息と共に、『帰還』となり、気付けば一瞬で、あの入り口まで戻って来たのでした。すげえわ、この巻物! 流石、ファンタジー!