特別閑話 ようこそ、クラリオン王国へ?17
今回も、SHIN様のところから、ミリアム様とナキちゃんがゲスト出演中! 更に、SHIN様のところでは、別視点も公開中! 気になる方は、猫耳女王をチェック!
「解除しましょう」
やるしかない。こんなヤバいヤツ、間違いなく怪我人続出決定である! さっさと解決するに限る。
「私がやりましょう」
ミリアム様の目が、ちょっと楽しそうである。そういえば、ミリアム様、浄化も出来たんだったわ。・・・荒っぽいけどさ。
ナキさんが手に持つ石に、ミリアム様が何やら呪文を唱える。
「聖鳳凰浄化炎!」
荒っぽいという通り、何か派手な炎が出てきた。だが、それで両断したら、色は白くなった。・・・どうやら、成功したらしい。ド派手である。
「ふぅぅぅ、ーーーーーナキ? 迷惑かけんじゃないっ!」
叩こうとしたが、直前に我に返ったらしく、叩く事は無かった。良かったわ、我々の意識は守られた! 変わりに、自分の手をハリセンでバシバシしてたけど(笑)
「しかし、ナキさん? 何処でこんな物騒なもんを拾ったの?」
思わず、聞いたあたしに、皆も気になっていたのか、興味津々で聞いている。
「にゃ? 蟻塚にゃ・・・、倒していたら、ちょうど持ってたにゃ、前半だったから、楽しくて忘れてたにゃ!」
ニャハハハハハ~。
誤魔化すように高笑いするナキさんに、ミリアム様が紙で出来たハリセンでぶっ叩く。なお、これはあたし特製のハリセンである。何か物足りない様子だったから、作ったのを渡してみた。これなら、あたしらは耐性があるから、問題ない!! 音は凄いけど、それだけだし。
「にゃ!? 陛下、どっから出したにゃ!?」
「ふむ、これは中々・・・」
一々、壊れるよりはマシだろう。ハリセンだから、工作で作れるし。ハリセンには、いつの間にか、渡した時には無かった『天誅』と、毛筆で達筆に書かれていた。
「んじゃ、行きますか」
取り敢えず、進んで行くものの・・・。やはり、というべきか・・・。数歩進んだ、そこで。
ーーーーーガッコン
「にゃ・・・?」
見事に、罠を踏んだナキさん。えっ、ここで? って、皆の顔に書いてるわ。勿論、ナキさんが対象だったようで、足元がまた消えた。
「またかにゃ~~~~~~~!?」
ですよねぇー。
「翠嵐、お願い!」
本人も顕現が面倒になったようで、風だけが下から吹いてきた。うん、だよねー。
「にゃぁぁぁ~~~~~、目が回るにゃぁぁぁ~~~~・・・・・」
穴から出たナキさんは、やはり、目が回っているらしい。おかしいなぁ、空飛べるそうだし、風に乗れば、回らないはずなんだけど・・・?
「ナキッ! 皆さんに迷惑かけんじゃないっ!!」
スパーーーーーーーーーーーン!!
素晴らしいハリセンの音がしたわ。うん、我ながらいい仕事したわ(笑)
「・・・陛下、目が回っている時に、それは酷いにゃ」
文句は言うものの、ナキさんの頭にはダメージは無し。だから、普通にケロッとしてた。
うん? そういえば・・・。
「ナキさん、その兜に宝石なんて付いていたかしら?」
「にゃ? 付いてないにゃ、何の事にゃ??」
疑問符だらけの言葉に、あたしの背中を悪寒が這い上がっていく。やべぇ、今気付いたわ!
「これ、呪われてるわ!?」
呪い、再び・・・。なお、最初に気付かなかったのは、装着してなかったから。装着した時に発動するみたい。そりゃ、誰も気付かなかった訳だ。
「・・・咲希さん? わたしには分からないのですが?」
ミリアム様まで、分かってなかった。いや、ミリアム様はナキさんと同郷な訳だし、気付かないなんて、あるか? 仮にも亜神ともあろう方だし。
「ミリアム様、この赤い石、最初は無かったはずです、これでようやく気付きました、良く見れば分かるかと」
気配が微か過ぎて、多分、気付かなかったんだ。擬態が上手い事で! 陰陽師としては、ムカつくわ!
「・・・・・あら、まあ!」
気付いたらしい。でも、珍しいわ。ミリアム様が気付かなかったなんて。
「咲希さん、これ、兜じゃなくて、石だけが呪われてるたいですね」
あ、だから、あたしも石を見るまでは、気付かなかったのかも?
「にゃ!? 怖いにゃ、恐怖にゃ! 陛下、取ってにゃ!!」
涙目のナキさん、パニックである。
「落ち着きなさい、取れないでしょ!」
しかし、何やかんや言いつつも、ミリアム様も面倒と顔に書いてあったから、あたしがする事に。
「あたしがやります、『光の浄化!』」
石は透明になった。うん、解除されてるし、まっさらな石だわ。ふぅ、疲れる。
「さぁ、さっさと行きましょう! レインボーアイアントをゲットせねば!」
あ、やっぱり、そこに落ち着くんですね?
「行くにゃー!」
先ほどの呪い騒動は、何のその。結果、罠探知と解除、解体の我々が大変になった。
「にゃー! 大量にゃー!」
嬉しそうなナキさん、密袋にご満悦である。
「次はようやく、ゴールドアイアント女王ね?」
ぜぇぜぇしながら、何とかミリアム様とナキさんのスピードに付いていく。騎士さんも、完全にお疲れモードである。
「一度、休憩しましょう・・・」
流石に、この階層は、敵が強い事もあり、休憩は必須である! ミリアム様達には、弱い部類なんだろうなぁ。
「そうですね、そろそろご飯にしましょうか」
ファイさんの一言で、騎士の皆さんが嬉しそうに、準備していく。つっても、お弁当だけど。
「飯にゃー!」
「楽しみですね」
嬉しそうに、そそくさとその場に座り、亜空間からお弁当を出す。あたしらも、早速出して、皆でゆったりする。ボス部屋の前には、魔物は出ないからね。これも、ダンジョンのお約束らしい。あたしらにとっては、助かるけどね!
「ふむ、やはり、この国の食べ物は、何を食べても美味しいですねぇ」
上品に食べるミリアム様に対し、ナキさんの方は、かっ込んでいる・・・。そんなに一気に食べたら、喉に詰まらせるんじゃ・・・。
「むぐっ!? んっ!?!?!?」
何て考えているうちに、やらかしたみたい。近くにいた和磨くんが、水を準備している。
「・・・はい、水です」
和磨くんに渡されたナキさんは、一気に飲み干した。
「ありがとにゃ・・・死ぬかと思ったにゃ・・・」
「・・・あんたねぇ、ザマース先生に報告しようかしら?」
ミリアム様の言葉に、何故か、ナキさんが分かりやすく反応した。
「そ、それは無しにゃ! 淑女マナーなんて、必要ないにゃ!」
なんか、ヤケクソ気味に叫ばれたんだが。そこまで言わしめる方も、凄いと思う。
「・・・淑女教育、そちらにもあるんですね?」
和磨くんが、ナキさんを見ながら、不思議そうにしていた。確かに、淑女教育があるとは、どうしても思えないわ。ナキさんを見ていたら、尚更。
「・・・ザマース先生は、学校の校長ですが、かなりのスパルタ式ですよ、お陰様でマナーには困っていませんが」
ミリアム様の何だか遠くを見る眼差しに、あたしらは首を傾げるしかない。だって、会ってないし。
「少し長めに休憩しましょう、流石に、皆さんも限界のようですし」
休憩は、小まめに取ってはいたけど、やはり一度、しっかりと休む必要があるだろう。
「んじゃ、あたしは少し寝るわね~、龍!」
勿論、あたしは昔からの寝方である。
「にゃ?」
「おや?」
ナキさんとミリアム様に、不思議な物を見る目をされたけど、今更である。龍が伏せをして、あたしはその背中に寝そべる。あちらで陰陽師の仕事をしていた時は、よく、こうやって寝ていたからね。フワフワで気持ちいいわ。
「んじゃ、おやすみなさい・・・時間になったら、起こしてね、龍」
こうしてあたしは、夢へと旅立った。爆睡したのは、仕方ないわよね?