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第184話 準備せよ、勇者と一緒に1

次回は誠意執筆中です!

side:翔太


やられた・・・。

正直、それしか出てこない。確かに、ちょっくら企みはあったが、まさか、こういう事になろうとは・・・。

楽をするはずが、苦労を背負ったよな??! 何をやってるんだ、俺はっ!!


「とりあえず、それぞれに自己紹介すっか、これからしばらく一緒に行動すっからな」


ガシガシと乱暴に頭をかく。仕方なく、それぞれのグループに別れて、挨拶をすんだが・・・・・誰か変わってくれないだろーか? 優香や和磨のとこと、俺のとこは流れてる空気が違い過ぎる!!


「ふん、平民たる勇者と、選ばれし血筋である俺様と一緒に行くなど、父上は何を考えているのか・・・」


てめぇー、聞こえてるぞ? 側近らしいフリードリヒ王子の後ろに控える二人のうちの片方が、明らかに頭を抱えているし。苦労性みたいだな、こいつの側近。年上ばっかりで取り揃えたのは、相性だよな!?

と、頭を抱えていない方の、何を考えているか分からない方の側近が、ニッコリ笑いながら、口を開いた。


「えー、殿下? せっかくのチャンスじゃないですかー? 殿下の有能さを知らしめるー、またとないチャンスですよー?」


お、笑顔で喧嘩を売りやがった! 語尾を長くする、癖のある話し方だが、まさかの発言に、内心、ハラハラもんだ。


「ふん、その程度、理解している、選ばれた血筋だからな、ーーーーーおい、平民、特別に名前を聞いてやる、名を名乗るがよい」


偉そうに・・・! 実際に偉いんだが! フランツとは、似てもにつかん! これ、頭に来るやつだ。一瞬、殺気とばすかとか、アホな事を考えた。と、後ろにいた側近さんが、遠慮なしに、綺麗にフリードリヒ王子の頭を叩いた。


えっ? 


固まった俺は、悪くないぞ?!


「お前はっ、偉そうにしか言えないのか!? 勇者様は必要な存在と教えたよな!? お前の頭はお飾りじゃないよな!? 王子らしく、礼儀に乗っ取った挨拶くらいしてくれ!!」


・・・・・えっ?


側近、だよな? 何か、手のかかる殿下のお世話係にしか見えん。しかし、これ、王子にはヤバいんじゃないか? 間違いなく、不敬罪・・・。

ヒヤヒヤしながら、彼らを見ていると、王子は怒ってなかった。


ん?!


「クロウ、痛いではないか・・・」


クロウと呼んだ、叩いた張本人に対して、恨めしげにしてはいるが、特に敵意とかは無さそう、か・・・? どーなってる!?


「痛くしてんだよ!? お前はっ、もう少し辺りを見る癖を付けろと・・・」


それからしばらくは、見事と言えるくらいの説教が続いた。クロウさん、名前からして苦労してんなぁ・・・。かなりの時間、説教してた。んで、フリードリヒ王子は、何か凹んでいた。こう、気の強い小型犬が、飼い主に叱られて凹んでるようにしか、見えなかった。


「勇者様、こっちこっち」


ん? 呼ばれてそちらを見れば、にこやかなもう一人の側近の姿が。


「私はー、ラックと言いますー、宜しくー、気になったでしょー? 僕らの関係ー」


「あぁ、宜しく・・・あんたら側近なんだよな? フリードリヒ王子は、王族にしては、素直つーか、危なっかしい感じか?」


悪態ついてるが、簡単に言えばツンデレ擬きか? 素直になれないお年頃は、かなり、致命的だと思うが?


「おやー、意外に見てますねー? まぁ、教育係が失敗しましてー、僕らが側近という名の教育係をしてるんですよー」


おいおい、ぶっちゃけていいのか?


「陛下からー、許可は得ていますー、まぁー、今回はー、発表会ー? みたいなー?」


・・・・・国の大切な親書を、発表会代わりに使うなと、切実に言いたい!

俺のすぐ近くでは、お説教に更に力が入っており、フリードリヒ王子は完全に項垂れていた・・・。


「止めなくていいのか?」


一応、聞いてみた。


「今回はやらかしているからー、止めないよー?」


だそうだ。目が笑ってなかった・・・。

何か、側近の個性が凄い。クロウさんに、ラックさんか。俺、何か不安しかないんだが??

つーか、高圧的な言葉で話していたのも、前の教師の失敗らしい。どんな教師だよ、こんな教育するなんて・・・。


「いいですか、殿下! 貴方は、第3王子なんです、国の顔である王族とはいえ、成人し、結婚すれば、臣下に下るのですよ? あのような物言いは、許されないのです、あと数年ですよ? 何度同じ事を注意しなければならないのですか!」


何か、子供に説明してるような、そんなハッキリした物言いが、意外だった。本当に、彼を担当した教師は、どんな教育を施したのか、逆に気になる・・・。

何て、意識を飛ばしたら、いつの間にか、説教は終わっていたらしい。


「・・・その、申し訳なかった、お、私も、今後は気を付ける」


涙目の野郎の謝罪が、俺の眼前にあって、流石にギョッとした。が、意外にも、礼儀正しいのは驚いた。やはり、そういうところは、王子だけあって、礼儀正しいらしい。教育失敗のツケが、かなりあるが。

俺、この個性豊か過ぎる彼らと、上手くいくのか、本気で心配になってきた・・・。



◇◇◇◇◇


side:空の神


私の仕事場は、青空のど真ん中にあります。空の神と呼ばれる、私は現在、頭を抱える事になっていました。


「どうなっているんだ・・・?」


あちらこちらから、スサノオ様らしき、気配がしている事です。


「・・・響弧さん、やはり、分かりませんか?」


「申し訳ございません・・・スサノオ様は、昔から悪戯が好きな為か、悪知恵だけは働くのです、何か手を打っていたのだと思いまする」


やはり、今日も見つからないか。運命の神が紡ぐ未来、それらは何度もやり直しをさせられており、すっかり彼女はオカンムリです。機嫌の悪い運命の神に、すっかり世話役達は怯えてしまっています。

急がなくては・・・。最高神様からも、最近、せっつかれおり、毎日、胃が痛む日々です。また、胃薬を注文せねば。

あぁ、響弧さん、スサノオ様を・・・1日でも早く、宜しくお願い致します!



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[一言] 響狐さん、ご愁傷様です!(笑)
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