第17話 説教は説明の後で(1)
お読み下さりありがとうございますm(__)m
さて、大広間にやってまいりました!
わー、皆様の視線がメチャクチャビシッバシッ来て痛い。こう、珍獣を見るような物珍しいような物を見る目です。あたしゃー、パンダになった気分だよ………。
(まあ、こんな姿勢なら、仕方ないわよねー………)
内心やさぐれるのは仕方ない。だってあたしは今、自分の足で歩いてないし(笑)
所謂、お姫様抱っこというやつです(涙)
「サキ様? どこかご気分でも優れませんか?」
気遣わしげに問うてくるのは、茶色の髪を三つ編みにして後ろに流し、その整った顔立ちをあたしの斜め上で見せつけてくれている、あたしの侍従につい先程なったばかりの、ファインリード・アブンセルさん、その人である。彼の綺麗な青い瞳が、あたしを覗き込んでくる。
わー!? 近いっ、近いから!!
あたしは慌てて何でもないように首を横に振る。
「だ、大丈夫ですから!」
声が上ずったけど、まわりに見られてるけど、構わない。
だ、だって、……………この人の顔立ち、もろあたし好みなんですよ。そんな人に超間近で顔を寄せられたら………。
し、心臓保たないー!!
「さあ、サキ様、付きましたよ」
うやうやしくあたしを椅子に降ろしたファイさんは、そのままあたしの斜め後ろに付いた。ホッとする。あたしの心臓は無事だった。
そうすると辺りの視線にようやく気付く。あたしにじゃなくて、ファイさんに向かっている事に。得にキツい視線なのは、ファイさんとあまり歳の変わらない若い騎士さん達。中堅層の皆様にも睨み付ける人もいるけど、まあ若手さんよりは柔らかい。
あー、君達もしかして嫉妬かい? こちらの世界にもあるんだねー。
え? 現実逃避にも程があるって? 仕方ないでしょう? これから説教が始まるんだからさ、あたしの。
まだ皆そろってないし、もう少し現実逃避。
◇◆◇◆◇
―――回想。
「どうやって連れていくの?」
何故か四人の視線が絡まる。翔太、和磨くん、ブラオさん、ファイさんの四人ですよ。
優香ちゃん、とんでもない爆弾を落としてくれました…………。
「どうすんだ?」
「どうするんです?」
「どうしましょうか?」
「どういたしましょう?」
上から順に、翔太、和磨、ブラオさん、ファイさんである。
にても何がどうする、なのよ。
「やはりここは、レディであるサキ様のためにも、お姫様抱っこにいたしましょう」
何故か乗り気のファイさんに、ブラオさんは異存ないみたいだが、和磨くんは顔を真っ赤にし、逆に翔太は真っ青になった。
何故?
「じゃあ、じゃんけんで決めたら?」
そんな混沌とした空間に、優香ちゃんはまたしても、爆弾を放ってくれました。本当に、天然てスゴいわー。
「申し訳ありませんが、ジャンケンとはなんでしょう?」
不思議そうに問うブラオさんに、優香ちゃんが、あっと小さく呟いた。この子、深く考えないで、この意見をいったのね………。
「ジャンケンて言うのはね……」
取り敢えず、どんな事かを説明すると、納得してくれたみたいです。そして何故かジャンケン大会がスタート。
「「「「ジャンケンポン!」」」」
第一回戦、皆がチョキであいこになりました。
そのまま続き、最初に負けたのはブラオさん。
「おや、負けてしまいましたな」
そして続き、次に負けたのは和磨くん。
「まけちゃいましたね……」
複雑な顔の和磨くん。えっ、もしかして、やりたかったの?
「僕と貴方ですか……例え勇者様でも負けませんよ?」
挑戦的に笑うファイさんに、対するショータは先ほどよりも更に顔を青ざめさせていた。えっ? 大丈夫なの!? あたしの説教、そこまで疲れたのかしら? それともファイさんに対して、気圧されているとか? まさかねー?
「「ジャンケンポン!」」
勝負がついた。
勝者は……………。
「サキ様ー! 勝ちましたよー!!」
ハイテンションのファイに若干引いたけど、嬉しそうにしているため引くに引けなくなってしまった。はあ、あたし恥ずかしいのはやだよー!
一方、負けた翔太は何故か安堵の表情。ん?
「やったー! お姫様抱っこはしなくていいんだー☆」
……………こいつ。
後でしばく。 今は出来ないけど、後で必ずしばく。
か な ら ず!!!
ブルッと肩を震えさせた翔太。そーか、そーか、そこまで嫌か。大丈夫だ、少年。あたしがあんたを徹底的にしばいたる(笑) ニヤリとなるのは我慢しましたよ? だてに顔の筋肉鍛えてません。まあ、鍛える必要があったから、鍛えたんだけど、まさかこんな場面で役に立つなんて………。
「さあ、参りましょうか? サキ様」
すんごくキラキラした笑顔で抱き上げられ、冒頭に到ると。
◇◆◇◆◇
―――――回想終了。
余計な部分まで思い出してしまったではないか。
しかし楽しいイベントが一つ出来たわ〜♪ 翔太、楽しみにしているよ!
「さてサキ様、お話を始める前に、こちらからサキ様が気絶した後の事を説明いたします」
話が長くなったんで、簡単に要約すると、こんな感じかな?
まずはここは、この地方の領主の館だそうです。道理で貴族様の屋敷にしては地味だと思った。地方領主の館は、木造だけど趣味のよい落ち着いた館だ。あまり物がないため、地味に見えるが、所々に飾られた名も知らない花達が、あちらこちらに飾ってあって、温かみが感じられる家だ。
次にあたしが気絶した後だけど、ここはあっさりしてた。とにかくドラゴン達のアイテム等を取り、何故かキュートドラゴン達がお礼に置いていったリボンの山を回収し、速やかにあの場から一番近い領主の館に来たのだそうだ。あの場は安定しておらず、治療は最低限しか出来なかったために、館についてからは徹底的に治療したんだとか。
うん、それあたしの所為です。あの場をあたしが遣りやすいようにしたのが現実です。まあ、神様曰く、世界に影響ない範囲ならいいみたいだから、これからは気を付けて使おう。
…………最後に治療のためにキスした事だが、やむを得ないわけで、笑って誤魔化した。あんまり引き摺りたくないな。この話題。
「以上ですが、何かありますか?」
先程の説明で気になる部分はあったわね。
「んー、キュートドラゴンさん達から貰ったリボンはどうするんですか?」
「あれでしたら、サキ様方がお好きにお取りください、あれはお礼の意味で、あなた方のために置いていったものですから―――――残りは換金して皆様の財産になされるとよいでしょう」
「ブラックドラゴンは?」
「あれは国で買い上げですね、その後で競りが行われます」
へー、国ではそんな事やってんのね。
「あのー、皆さんは報酬はどうされるんですか?」
もしかして、ただ働きなんてないよね? あれ? 何でブラオさん笑ってるの? 笑うというより、苦笑に近いかな。これにはファイさんが答えてくれた。
「我々にはボーナスが出ますから、我々の事はご安心ください、今回の手下のドラゴンはギルドで買い取りされた後、我々のボーナスとして支給されるんですよ」
嬉しいのか、ファイさんはニッコリと微笑んでます。
「へー、まあ、そんな所ですかね?」
それ以外は聞くことないかな? それにしても、切り札つかった代償が体調不良と説教か。代償の方が高い気がする。
「ではサキ様、あの摩訶不思議な魔法の説明をお願いします」
すんごくキラキラした笑顔のブラオさん。まあ、魔法使いなら確かに興味あるかもね。基本、この陰陽道は修行しないと使えないのだが。
さーて、真面目に説明しましょうか。
どーもー(´∀`) 秋月煉です!
本日もお昼投稿間に合いました♪ 最近はペースが落ち着いてきまして、そろそろもう一つの連載もいけそうです!!
次週もお読み頂けたら、嬉しいです。
ではミニ小説をどうぞー!
咲希:こんにちは(・∀・)ノ
優香:こ、こんにちは(*/ω\*)
咲希:あはは…………確かに恥ずかしいよね。あたしも思うもん。まさかさー、あたしのファーストキスが翔太になるなんてさ〜。
優香:そ、その、咲希ちゃんは翔太君の事、どう思ってるの?
咲希:んー? 相棒かな?
優香:い、いきなり相棒!?
咲希:?? だってツッコミとかボケとか遣りやすいんだもん。あれはお笑いには必要な素養よねー。うん、あいつなら相棒に出来るわ!
優香:あー、そっちの相棒なんだね。(ビックリして損したかも)あれ? じゃあ咲希ちゃんは、好きな人いないの?
咲希:えっ? だってあたし、婚約者いたし(苦笑)
優香:えぇーー!? 婚約者!?
咲希:? うん、本家の時期当主さんだよ。
優香:…………。(もしかして、咲希ちゃんて……恋愛に関しては鈍い?)
まさかの主人公、鈍い部分がありました。
感想・誤字脱字・ご意見、いつでもお待ちしています。リクエストも遠慮なく送って下さいね!なお、甘口で下さると更に嬉しいです。