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第16話 あたしに侍従が出来ました♪

今回ぐだぐだです。


………はたして治療にこれは必要なのだろうか?


ゆっくり目を開けると、そこは見知らぬ壁紙が見えた。

あらら………? どこ? ここ。


「お目覚めですか?」


視線を向けると、そこにはホッとした顔の和磨くん。見れば同じようにホッとしたような安堵した顔の優香ちゃん。その後ろには、苦虫を噛んだように、眉ねを寄せる翔太。いずらいのか、扉のそばでバツが悪そうにしていた。


「うん、もしかして、ずっとここにいたの?」


聞いてみたけど、二人とも何故か苦笑いしていた。


「いたにはいたけど、治療はジュビアン・ロアールさんがやったんだけど、ね」


その微妙な反応に、あたしはまたハテナになる。

何故に皆様、変な反応をしてるの?


「あー! サキ様、お目覚めになったのですね!」


ん!? いつの間に、ここにいたのよ!? 気配とかしなかったんですけど!


「何でここに、ファイさんが?」


疑問で頭がいっぱいのあたしとは裏腹に、ファイさんはとーってもいい笑顔。何故に?


「先程、上司よりサキ様の侍従になるように、と命令を受けました! これ程の栄誉はありません! 本当にありがとうございます! これから宜しくお願いしますね」


えーっ!? なんじゃそりゃー!? 勝手に決めないでよ!!


「マジ?」


「マジです」


後からきいた話、この栄誉云々は本当で、何でも、勇者の侍従とは一種の名誉職らしく、勇者があらわれると競ってでもやりたい職業ナンバーワンなんだとか。

さすが勇者……。こんなとこにも影響あるのね………。


「ところでさ、何で翔太がそんな隅っこにいるの?」


何故か一気に真っ赤になった翔太。何故に?


「あー、いや、あの、その、な?」


意味が分からん!


「ん? そういえばショータ様、何故にそんな場所にいるんです? そういえば、先程の治療の時も変でしたね?」


「あ、いや……」


「治療? そーいえば、どんな治療したの?」


何故か近くにいた和磨くんと優香ちゃんの二人が顔を真っ赤にさせる。だから、何で!? 本当にどんな治療したの!?


「僕は専門ではありませんので、詳しくは話せませんが」


そう前置きをしてから話しだした。


「まずは魔力を安定させ、それから治療をしたんです、緊急でしたし専用の道具が無かったので、水の適性が一番高い翔太様にキスで代用をっ!?」


話の途中で、翔太がとんでもなく素早い動きで、ファイさんの動きを止める。

うん、翔太、あたしが許す!やれー!!


「何するんですか!? ショータ様!」


「お前はオレを殺す気かっ!?」


「何の事ですかっ!? 僕は治療に関しての説明をしているだけでーっ!ショータ様、ぐるじいですー!?」


そんな漫才をしているところ悪いけど、あたしの頭は只今、フリーズしてますよ?


………………


…………


……


キス? 


あ た し と 翔 太 が ?


「あ、あのね? 咲希ちゃん、こっちの世界ではね? キスって当たり前の事らしいの、だからね? 翔太くんを責めないであげて!」


優香ちゃんが必死で翔太を庇っているけどさ、これ、あたしにとっては一大事なんだよ!?


「……翔…太?」


びくっと誰でも分かるように、翔太の肩が跳ねた。

………一様、申し訳ないとは思ってるみたいね。


「あたし、そっちに行けないから、出来れば、こっちに来てほしいんだけど?」


恐る恐るという感じで、必死な感じでいるけどさ〜、早く来てちょうだい! あたしにはどうしてもやらないといけない事があるんだよ!


「近くっていってるでしょ?」


なるべく優しく、そして警戒心を抱かせないように。優しい笑顔を心がけて、あたしは翔太が来るのを待つ。

ん? 皆が変な顔をしているけど、何で?


「いや、あの……治療のためとはいえ、本当に悪かった!」


あたしの所まで、あと数歩の場でいきなりの土下座。えー!? いたたまれないのは分かるけど、せめてあたしの近くでやってよー!


「ショータ様っ!? いきなり何をなさっているんですかー!?」


ファイさんは意味が分からなかったらしく、目を白黒させて驚いている。


「ファイさん、ちょっと……」


「? はい」


そう言って和磨くんと優香ちゃんが、ファイさんを連れて部屋を出ていった。うん、多分だけどあたし達の世界のキスの概念でも教えるんだろうね。


「翔太、土下座は分かったから、こっち来て………まだ本調子じゃないのよ」


「ああ…」


躊躇いがちにあたしの近くに来た翔太に、あたしは有無を言わさずに、指で、翔太(バカ)のホッペを掴んでやる。


「おひっ!?」


「んふふ、翔太? あたしはね? 許すなんて、一言もいってないわよー?」


「おまっ、いひゃいやろ!」


「だってねー? あたしが大切にしていたファーストキスの魔法が使えなくなっちゃったのよ?? この魔法はね? 凄く威力が強い魔法だから大切にしてたのに、ねー? 治療が必要だった事も分かるし、大事な事だったって分かるけど、それとこれは別なのよ?」


「わるひゃった!」


多分、悪かったって言いたいんだろうね。あたしがホッペををぐりぐりといじっているから、上手く話せないんだけど、これくらいは許せ。あたしの気がすまん。


「しばらくやらせなさい、………これで許したげるから……」


そうボソリと恥ずかしくなっていったけど、翔太の方がビックリしたように固まって、その後、真っ赤になった。

あはは、面白ーい♪


こうしてあたしは優香ちゃんや和磨くん達が戻ってくるまで、題してぐりぐりの刑をし続けたのでした。

放した時に、翔太の頬が見事に赤くなっていたのは、まあ見物でしたねー☆


「さ、サキ様、まさかキスがそんなに大切なものだったとは露知らず、申し訳ありません!」


えー!? 今度はファイさんが土下座しちゃったよ! ちょっと二人共、ファイさんに何を教えたの!?


「ちょっとファイさん! 立って下さいよ!」


何これっ!? あたしがいたたまれないんだけど………。


「カズマ様とユーカ様に、ドゲザの意味を教えて頂きました、これは最大限の謝罪の仕方だと! さらにキスがそんな大切なものだったとは露知らず、本当に申し訳ありませんっ!!」


わー、二人共、本当に“何”を彼に教えたのかな? さすがにあたしも引くんですが………。


「まあ、治療に必要だったとの事なので、そこは仕方ありません、世界観の違いですしね」


そう言うと、ファイさんが何故かボロボロと泣き始めた。

お、おいっ!? 今度は何!?


「こ、こんなに寛大である、とはっ!! サキ様、僕はサキ様の侍従になれて本当に幸せですっ! 一生ついていきます!」


「いや、一生は重いから断る!」


間髪入れずに、お断りしました。一生は重すぎます!


「そんな……で、ではせめて、サキ様の侍従として、お側に置いて下さい! 一生とは申しませんから……」


これは反則でしょ! ファイさんて茶髪を三つ編みにしてながしてるんだけどさ、そのお陰で顔立ちがはっきり見えるんだよ。一言で言うなら、イケメン。クリっとした瞳は青。全体的に優しく頼りがいがある感じがするイケメンさん。…………そして、あたし好みの顔立ちでもある。そんな人が、膝を付き、あたしを見上げてくるのよ? 期待に染まった瞳をして。


「………分かりました」


あたしが了解すると、ファイさんが満面の笑みで、頭を下げた。最初から狙ってた? まさか、ねー?


「これから宜しくお願いします! サキ様」


「うん、よろしくね」


こうしてあたしに侍従が出来たのだけれど………皆も覚えてるかしら?


「翔太、ちょっといいかしら?」


「ん? な、なんだ……?」


あー、警戒心もってるわねー。まあ、いいけど。


「ブラックドラゴンの戦いについての、説教が残ってたわよね?」


「あっ………いや、あれは、ほら? 無事に済んだし?」


「んー? 途中のスタミナ切れについては、きっちりしないとね? あれの所為で騎士さん達、ケガしてた訳だし?」


てな訳で、きっちりとしとくわよ? ザ☆楽しいお説教タイム、スタート♪



◇◆◇◆◇



「サキ様、そろそろよろしいでしょうか?」


おや、はしゃぎ過ぎたかね? 結構、時間が経っていたみたい。

やりすぎちゃった! テヘ☆

迎えに来たのは、ブラオさん。

…………その目がマジで真剣です。やっぱり最後に使った術を教えてほしいんですね。目がそう訴えてますよ。


「サキ様、ここではなく、大広間に来て欲しいのですが、よろしいでしょうか?」


「了解です」


多分、多少歩くくらいは大丈夫………じゃなかった。


「アハハ……」


布団に座った状態で起きていたから、気が付かなかったみたい。あたし………足に力が入らない………ヤバいよね?


「それは一時的な後遺症でしょう、サキ様が回復すれば自力で治せますよ」


ブラオさんの言葉にホッとする。二度と歩けないとか、そんなのは流石に嫌だ。あたしはまだ勇者の仕事を終わらせてない。


「あれ? それならどうやって行くんですか?」


優香ちゃんの言葉に、折角緩やかな空気になっていた場が、再び凍り付いたのだった。


ど、どうやって行くんでしょうか?



どーも、秋月煉です☆


本日は活動報告に予告と、小話をのせました。興味のある方は、覗いてみて下さいませ。


さて今回、ネタは出てきたのですが、上手くまとめられず、本当に苦労しました。異世界ではこれも立派な治療です(笑)

咲希ちゃんには申し訳なく思いますが、元案にしたキスの魔法は、どこかの魔術に使われたお話だったようです。秋月の半端な知識が露呈する感じですね………。

これから秋月はお勉強しなければいけませんね(;^_^A


さて、そろそろミニ小説をば。



和磨:こんにちは、和磨です。

翔太:………どーも、翔太っす。作者……わざと選んだな!? 俺になんつー役を押し付けやがって!!

和磨:お疲れ様、翔太。でもさ、役得したよね? 咲希さんとのキスどうだった?

翔太:っ!? や、役得思うなら、お前がしろよ! お前が 「二回目勇者の方が効果ありそうですね」 なんて言うから、俺がするはめに………。あいつの説教こわすぎる! 前の世界の老師を思い出したよ!!

和磨:翔太あれてるね? そんなに咲希さんとのキス嫌だったの?

翔太:………っ! べ、別に、治療のためだし………。って何いわせようとしてんだ!?

和磨:あらら、気付かれちゃった………。でもさ、まさに二人のキスは眠り姫を目覚めさせる王子様の図だったんだよねー。優香ちゃんなんて、ビックリしてたし。

翔太:……………。

和磨:あれ?翔太? んー、固まっちゃった? 意外とウブなんだね、翔太。

翔太:何かお前が、別人に見えるよ、和磨。(結構切実に!)

和磨:えっ? 僕は僕だよ?



和磨くんは、純粋少年から、腹黒少年にジョブチェンジした。



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