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閑話 悲劇の令嬢は頭が痛いです4

お待たせいたしました!

side:空の神



その日、珍しく最高神様より、連絡が来ました。また、アマテラス様がいらっしゃるとの事です。

本来、地方とはいえ、最高神がホイホイと、異世界に行ける訳ではないのです。ちゃんと、きちんとした手続きが必要なのです。まぁ、アマテラス様は、諸事情により、緊急事態な訳ですが。


「お久しぶりです、空の神」


「お久しぶりです、ご機嫌よう、アマテラス様」


お互い、賑やかに挨拶しますが、本日は彼女の後ろに、誰かがいるのが見えました。普段、彼女は訪れる際、身一つで来ていたはず。お供が居るのは、珍しい事です。私の視線に気付いたのか、まだ子供と見える外見の子は、丁寧に頭を下げてくれました。フサフサの尻尾に、フワフワの耳が頭から生えています。綺麗な金色の毛並みに、アマテラス様と似た、確か巫女装束だったでしょうか? それを着ています。恐らくは、狐かと思うんですが、私達の所には、九本も尻尾がある子は居ないので、内心、かなり驚きました。


「珍しいですね? アマテラス様がお供を連れていらっしゃるのは、初めまして、小さな客人、私は空の神と申します」


丁寧に挨拶すると、その子も丁寧に礼をして、挨拶してくれました。思わず、ほっこりします。が、礼をした際に、背中に似つかわしくないある物が見えました。


「初めてお目文字つかまつりまする、空の神様、アマテラス様にお仕えする、響弧きょうこと申しまする、今回はスサノオ様捕獲要員として派遣されました、宜しくお願い申し上げまする」


・・・・・はっ? 捕獲!??

内心、驚愕したのは、他でもなく。明らかに似つかわしくない言葉、そして小さい子どもが背負う、武器。確かあれば、モーニングスター・・・では、なかったろうか?

私が固まったのに気付いたようで、アマテラス様が詳しく説明して下さいました。


「空の神様、上には許しを得ております、スサは我が世界の神、許しなく異世界に転生など、本来ならば許されない事なのです・・・、故に、スサ捕獲要員として、この子を派遣します、私では神気が強すぎますから」


確か、九本尻尾の狐は、九尾という特別な存在になるんでしたか? この子も、尻尾が九本。成る程、最上級神よりも、神気は弱いが、ある程度の強さが必要。ならば、最適な人選と言えるだろう。


「・・・・・あの、その背中のものは?」


笑顔のまま固まった私に、響弧さんはえっへんと堂々と胸を張って、教えてくれました。


「こちらは、スサノオ様捕獲武器です! あの方は、逃げるのがお得意でしたから・・・」


何やら、向こうであったのでしょう。アマテラス様と、響弧さんが遠い目をしておりました・・・・・。日頃から、脱走されていたのですね、スサノオ様。


「実は彼方でも、スサ捕獲は響弧が一番上手でしたの、故に今回は、この子を派遣する事にしたのです、運命がスサのせいで変わってしまったら、申し訳がありません! 一刻も早い捕獲が必要なのです!」


「勿論、全力で努めまする!」


思わぬ白熱した二人の勢いに、内心、盛大に引いてしまったのは仕方ないと思います。スサノオ様・・・、どれだけヤンチャな方なんでしょうか? そんな方が、こっちの誰かに転生したら、はたして大丈夫なんでしょうか?? 最近の運命変革は、あの優しい女神を豹変させています。もしもそれに、スサノオ様が関わっていたとしたら、大事件になってしまいます!


「分かりました、響弧さんには、ここから下界を覗く事を許可しますので、全力で探して下さいませ! 我らも全面的に協力致します!」


もうっ、面倒事は早々済ませていきましょう! 神託を下ろす今、神々はピリピリしているのです。スサノオ様の存在は、どちらに転ぶか分からない、かなり危険な存在になります。スサノオ様は、最高神の一人。迂闊には動けませんからね。響弧さんには、期待しかありません! 是非とも、捕獲ゴッホンゴッホン。つい本音が。

是非とも、発見したのち、送り届けて頂きたいです。



◇◇◇◇◇


side:天上 翔太


さてさて、無事に着いてから、俺たちは部屋へ招かれた。同じ部屋と聞いて、安心したのは記憶に新しい。多分、采配したのはご令嬢だろう。この屋敷でまともそうなのは、彼女と一部の使用人だろうな。父親は駄目だな。保身に走ってやがるし。


「翔太、お風呂どうする?」


和磨を見れば、隣の部屋を見てた。多分、チェックしてたんだろうが、せめて先に、外を気にしてくれ!! 色々と誤解を生むだろうがっ!!


「あー、先にいいぞー? 俺はちょっくら、配達してくるわ」


「うん、わかった・・・、多分、使用人が来るだろうから、来てから行ったら?」


あぁ、確かに。居なくなったとなったら、間違いなく! あの保身に走る伯爵は、大きな騒動にしてくれそうだ。


「だな、少し休んでるわ」


何て会話してたら、ノックの音がして、使用人が一人来る。あ、執事だからな? 断じて変な妄想はしないように!!


「失礼します、勇者様、お嬢様がディナーの前に、内密でお話がしたいと」


「分かりました、こっちも伺いたいと思っていたところでしたから、案内をお願いします」


どうやら、恋文作戦は成功したようだ。あの手紙には、今後のシナリオをそうとは分からないからやり方で、上手く書いてある、らしい。らしい、っていうのは、俺は作成者に、中を見るなと厳命されたからだ。あれは、マジな顔だったぞ? 殺気も混じっていたしな。


「じゃ、和磨、行ってくるわ」


「うん、いってらっしゃい」



◇◇◇◇◇


side:天上 翔太


案内されたのは、小さな客室だった。オリビア嬢は先に来ていたようで、椅子に座って恐らくジュースだと思うが、オレンジ色の飲み物を飲んでいた。

サイドテーブルには、手紙が置かれている。読んだからこそ、確認に呼んだわけだ。やっぱりしっかりしてるわ、このお嬢さん。


「お忙しい時間にお呼び立てしてしまい、申し訳ありません、改めまして、当伯爵家の娘でオリビアと申します」


「こちらこそ、ご丁寧に、勇者の天上 翔太です」


挨拶もそこそこに、彼女は本題を切り出す。流石、貴族だけあって、にこやかなのに、厚を感じる。


「こちらの手紙には、勇者様はわたくしの味方とありますが」


「えぇ、間違いありませんよ、元の原因は、第一勇者が貴方を助けた事が始まりです、云わば護衛役を頼まれた訳です」


「他にも協力を要請したいと、わたくしは読みましたが」


やはり、疑いはあったみたいだな。目が真っ直ぐに俺を見ている。綺麗だからこそ、睨まれたら怖いわ。まぁ、殺気が来ない分、マシだがな。


「王家は伯爵家の取り潰しは考えていません、が、今の伯爵は貴族の顔に泥を塗った・・・つまり、早く貴方を当主の席に座らせたいんですよ、王家の外戚にするのも、その為です」


彼女は惜しい存在なのだ。間違いなく、優秀な部類に入る。婿養子の父親である彼は、その後、色々あるんだろうが、新たな婿養子はちゃんとした好青年だ。間違いなく、比べられるだろう。


「それで、何を協力するのですか?」


その目は、覚悟を決めた人の目だ。こういう場面で、感じる事がある。まだ若いのに、背負う物が違うんだ。


「当日、嘘偽りなく証言をして頂きたいのと、まだ本調子ではないでしょうが、婚約者の方と、幸せいっぱいに見えるようにして下さい、あぁ、妹さんも婚約者と一緒に招待されるそうですから、現実を見せてあげる必要はあるかと」


「あぁ、あの子は、継母の実家に渡されるそうですわ、彼女の娘である事は事実ですし」


冷めたオリビア嬢の言葉に、ヒヤリとする。おい、咲希? オリビア嬢、逞しくなってないか・・・? お前、どんなふうにしたんだよー!!


「因みに、継母さんの実家は・・・?」


「男爵家ですわ、新興の・・・お金で爵位を買ったと自慢する、成金ですわね」


・・・・・オリビア嬢、いと恐ろしや。まぁ、かなりしっかりしてるし、大丈夫そうだが。


「そうなると、一番の警戒は、元婚約者でしょうかね?」


「かもしれませんね、彼は妹同様に、妄想癖がありますからね、伯爵家の次男ですし、何か仕掛けてくるかもしれません、護衛、お願いしますわ」


・・・・・何か、予想外に逞しいオリビア嬢に、話がトントン拍子に決まっていく。えっ? もしかして、咲希? お前、知っていて何も言わなかったパターンか!?

まぁ、協力者にはなってくれるみたいだし、頑張りますか。他にも、お願いしないといけないからな。

お読み頂きまして、ありがとうございます♪

そして、本編更新が亀になったこと、申し訳ありませんm(_ _)m 長らくお待たせいたしました。

今現在、秋月は小さな企画をしております。そちらの方にも、テンシロのお話がありますので、お楽しみ下さいませ。

猫キャラ企画、気になった方は、秋月の活動報告まで。

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― 新着の感想 ―
[一言] 思ったより、上品ですね、狐の神様…
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