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閑話 悲劇の令嬢は頭が痛いです3

お待たせしました!

side:天上 翔太


着いた! 思わず叫びたくなったのば、許してくれ・・・。

あれから、3日が経った。俺は和磨と共に、無事に伯爵領に入った。絨毯と徒歩を交互にしながらって感じだがな。

体力的には何ともないが、精神的にはヤバかった・・・・・。和磨に経験を積ませるのはいいが、どう考えても危機的だったと言える。早まった気がしたぜ・・・・・。


「やっと着いたな・・・」


「うん、本当に無事に着いて良かった!」


二人して、感極まったのは、仕方ない。和磨はやたら、魔物とエンカウントするし、何故かそれが、当たり・・・つまり、群れだったり、強いヤツだったりと、そんなのばかりを引き当てるから、本気で焦ったぜ・・・。まぁ、幸いな事に、俺たちで対処できる範囲だったから、まだマシだったが・・・・・。


「じゃ、行くか」


「だね、早く休みたいよ・・・・・」


「俺もだ・・・」


苦笑いの和磨に、俺も同感と頷いた。和磨は、慣れない旅に、既に疲れているのか、ぐったりしている。無理をさせたな。


「確か、この辺りのはずだけど」


人に聞きながら、俺たちはやっとこさ、伯爵領にあるギルドに着いた。伯爵領の首都は、計画的に作られたらしく、迷う事はなかった。が、代わりに、かーなーりー、気を使う羽目になった。


「ギルドカードをお願いいたします!」


元気そうな受付に、カードを見せたんだ。二人分を! んで、何故か固まった受付が、奥に入って数分・・・。嫌な予感は、当たるもの・・・・・。

地方のギルドにも、勇者の通達は行っていたらしく、ドタドタと凄まじい音と共に責任者らしい、おっちゃんが来て、すんごいヘコヘコと頭を下げられて、奥の部屋に案内された。大勢の冒険者の前で。

これ、端から見たら、お偉いさんに頭を下げる中堅の人の図だろう。それが、俺たちの目の前で起きてるんだ。はぁ、気を使いながら、お偉いさんの接待を受けるんだぜ? 和磨なんて、笑顔なのに、目が疲れはてていたぜ。器用なもんだ。俺も、似たようなもんだったがな。


「伯爵様に連絡を入れましたので、何卒、お待ちください! 馬車で迎えを寄越して下さるそうですから」


ヘコヘコしたギルド責任者に、カードを返してもらいつつ、迎えにきた、田舎にしては豪華絢爛な馬車に乗る。


「「はぁ・・・」」


馬車の中、二人揃ってため息をつく。あぁ言う接待ほど、疲れるものはないからな。


「ねぇ、翔太? もしかしたら、だけどさ・・・、お屋敷に着いたら、またこんな接待受けるのかな?」


「・・・・・さぁな、けどさ、そこが仕事現場なんだから、仕方ないだろ? 諦めよう」


二人揃って、またため息をはく。俺たち、何にも悪い事してないのに、何でこうなるかな!? フランツのやつ、連絡は入れておくって言ったから、それか? なるべく、目立たないように、って頼んだんだがなぁ・・・・・。

二人でグッタリと休んでいると、しばらくして馬車が止まった。どうやら着いたらしい。取り敢えず、身支度を整える。和磨も、グッタリしたまま、死んだような目で、扉を見ていた。


「到着致しました」


丁寧に扉を開けられ、俺、和磨の順で馬車を降りる。そして、顔には出さなかったが、げんなりした。和磨も、顔がひきつっていた、と思う。

俺たちの目の前には、立派な豪邸。お屋敷といえるそれが、あったんだからな。更には、立派な身なりの中年男性、恐らく伯爵様と、その娘だろうが、沢山の使用人をズラリと並べて待っていたんだからな。因みに、娘さんは、血統が証明された方の子供である。

まぁ、奥方とその娘は居ないようだ。だよなー、出せないよなー。


「ようこそ! 我が伯爵家へ、お待ちしておりましたぞ、勇者様方!」


で、俺たちを前に興奮してるおっちゃんが、伯爵様本人かぁ。かなりメンタルが強いと聞いている。因みに情報源はフランツだ。伯爵自身、後添えとの間に生まれた子が、自分の子だと思っていたらしく。だから、政略結婚で生まれた子供を受け入れられなかったそうだ。が、血が繋がっているのが、この娘一人となったとたんに、手のひらを返したんだから、ある意味凄い。確かにメンタル強いわ、伯爵様は。てか、俺らを巻き込んだ原因である咲希は、今頃、机で書類とにらめっこと聞くから、こっちで良かったかもしれない。


「本日はお招きに預かり、光栄です、第4の勇者で、天上翔太と申します、数日の間、宜しくお願い致します」


「同じく、第2勇者の白鳥 和磨です、宜しくお願い致します」


一応、挨拶はしっかりしたぞ? 人の目って、怖いからな。和磨も、習って頭を下げているから、大丈夫だろう。


「勇者様方、お疲れでしょう、まずはお風呂でゆっくりされては如何ですかな? 食事も用意させましょう!」


いやいや、まずは部屋でゆっくりしたいんだがな!? 伯爵は、テンションが上がりすぎて、声がかけにくい。どうしたもんか。


「お父様、勇者様方が困っておられますわ」


俺たちの助けは、意外な人物だった。貴族のご令嬢らしく、綺麗な少女が、クスクス小さく笑いながら、助けを入れてくれたのだ。


「ん!? おぅ、そうか?? 申し訳ない! 何分、客人を招くのは、久しぶりでしてな!」


これには、苦笑いするしかなかった。なんというか、伯爵の割には、騙されそうな気がするわ。大丈夫か、ここ?


「気が利くでしょう? 自慢の娘でしてね! オリビア、自己紹介を」


自慢気に言ってはいるが、少し前まで、確かに冷遇していたんだよな?? この切り替えは、ある意味すげぇわ。そっと伺えば、おや? 娘さんは、かなりクールである。冷ややかに父親を見ていた。視線を向けたら、貴族令嬢らしい微笑みをサッと浮かべたが。


「初めまして、勇者様、当スーリット伯爵家の娘、オリビアと申します」


流石、といえる優雅な礼をして、挨拶するオリビア嬢。綺麗な水色の髪に、瞳は美しい青色。今日の服装である、薄紫色のドレスは、控えめながら、品が良く、彼女にはとても似合っている。


「まずは、お部屋にご案内致します、お風呂もご用意してありますので、執事やメイドにお申し付け下さいませ」


うん、めっちゃ、しっかりしてるわ。咲希が上手くやったとは言ってたが、これなら計画を話しても大丈夫だろう。彼女には苦労をかけるが、上手くいくように、願っておこう。俺らも気にかけておかないとな。


「助かります、伯爵様、お嬢様」


「勇者様、どうぞ、オリビアとお呼び下さいませ」


「では、オリビア嬢と呼ばせて頂きます、そうそう、オリビア嬢? 婚約者殿から、手紙を預かっております・・・・・恋文だそうなので、人目の付かないところが宜しいかと」


俺は、さも今、思い出したというように、綺麗な字が書かれた、豪華な封筒を渡す。勿論、オリビア嬢の婚約者殿に協力願い、書いて貰ったものだ。公爵家の三男坊で、エリートである近衛騎士様だ。今回の騒動も勿論、知っている訳で。恋文の中に、器用に情報を入れて下さった。

渡された封筒に、オリビア嬢は一気に顔を赤くした。まぁ、当然だよなぁ。いい雰囲気だったみたいだし? 政略結婚のわりに、あの三男坊、一目惚れをしたのか、オリビア嬢にくれぐれも宜しくと、念を押された。


「こ、恋文、ですか・・・わ、分かりました」


恥ずかしそうに、直接受け取った彼女に、少し驚いた。あれか、恋文は誰にも触らせたくないのか。いやはや、未来は明るいねぇ?


「あぁ、そうそう、伯爵にも頼まれております、こちらを」


これは、実は陛下主催のパーティーの招待状である。勿論、拒否権なしだ。


「これは?」


「依頼で此方へ向かうと報告した際に、陛下より命を受け、預かりました」


陛下、の部分に、伯爵がピクリと反応する。今は、彼にとっても正念場だ。

はてさて、一体どうなることやら・・・・・。

お読み頂きまして、ありがとうございます♪

ようやっと、ここまで来ました。もうすぐ、ザマァとイベントが来ます。

予想外に長くなりました(;^_^A 次の話まで、どれくらい続くのやら。

今現在、2月22日スタートの企画を予定しています! 猫キャラ企画、ご興味のある方は、秋月の活動報告まで☆ 勿論、参加者も募集中ですよー!

感想、ポイント、コメント、レビューいつでもお待ちしております! なお、甘口でお願いいたします。

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[一言] うーむ・・・ 庶民上りが、こういう場に出ると疲れるのです・・・
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