第161話 観察しましょう☆
お待たせいたしました!
ちょっと煮詰まってしまいました☆ 多分、ちょっとはお話が進んだはず。
・・・・・魔王様、生まれるまで、あと少し・・・。
「おいっ、約束の時間、過ぎてないか!?」
いやいや、多分、もう少し、のはず(多分)
「最後、何か呟いたよな!? 俺はいつ生まれるんだよー!?」
結局、ユリーさんのお姉さんの疑惑はそのままに、観察することで話はまとまったのでした。
本当に大丈夫なのかしら?
ユリーさん曰く、普段は真面目に仕事をしてるらしいが、本性? を表すのは、自分が安心した時らしい。その為、シャナリーデ嬢の世話をするメイドは、入れ替わりが早いそうだ。
・・・・・もしかして、これは決定かな?
でも、確信があるわけじゃないから、ひとまずあたしが観察する事になったわけ。理由は、あたしが陰陽師だから。この目でみれば、大体は分かるけどねー。身内のユリーさんには、このまま頑張ってほしいから、秘密裏に解決するつもりだけど。
「白・・・お願いね」
観察には、この子が一番。シャナリーデ嬢は、気配とか分からないそうだから、問題は無いと思うけど。お札から顕現した白は、姿を見せないまま、シャナリーデ嬢の所へと向かっていった。
勿論、今の行為は、皆の視線の的でしたよ。もう慣れたけどさ。
「ユリーさん、昔からなの? シャナリーデ嬢って」
「・・・・いえ、幼い頃はそういう事は無かったんですが・・・そういえば、姉がこういう事をするときって、目が・・・」
「目がどうしたの?」
いいよどむユリーさんに、ちょっと睨んだら、盛大にビビられた。だから、何でそんなにビビるわけ!? ちょっと睨んだだけなのに!!
「すいません! えっと、目が赤いような気がして・・・」
赤い目? もしかして、確定かしら?? でも、ユリーさんも裏の顔を見ている訳だから、家族は知ってるのかしら?
「家族は、僕以外は知らないんじゃないかなぁ? 兄弟は勘づいているかもしれませんが、両親や祖父母の前では、先程見た姉なんです」
やっぱり確定みたいなのよねー。でも、彼女はあたしらには、本性見せないだろうなぁ。そこは、白に期待だね。あの子は、しっかりと見てくれるし。
「ねぇ、咲希ちゃん、シャナリーデさん、どういう状態なの?」
優香ちゃんに聞かれるまで、そういえば説明してなかった事に、はたと気付いた。いやだわ、この年でうっかりなんて・・・。思わず眉間をもみ込んだわよ。
「ちゃんと見た訳じゃないから、今は多分の話なんだけど、いい?」
この場に居るのは、勇者メンバーとユリーさんだけ。だから、大丈夫だとは思う。翔太の部屋は、あたしがガチガチに防音結界を張ってあるから、問題はないしね。
「うん、頼むわ」
翔太のテキトーな感じの了承を得て、話し始める。これでいいのか! って言われそうだけど、勿論、確信がある訳じゃないから、あくまであたしの考察だけど。
「まあ、見た限り、何かに取り付かれてる可能性が高いと思うんだよねー」
とは、いう物の、ちょっと判断に悩む事態でもある。普通は、あり得ないお話なんだけど、彼女の場合、まとも過ぎるんだよねー。普通は取り付かれると、異常な行動が増える。だから、すぐに分かるんだけど・・・、彼女の場合、まともに行動出来てしまっている。
「だから、ちょっと確信が持てない・・・それに、彼女、貴族のご令嬢にしては、幼稚、というか、よく分からないのよね・・・魅了体質もあると踏んでるけど」
どう考えても、彼女の行動が上手く結びつかないのよねー。陰陽師とはいえ、こんな難解な事、今までなかったわよ?
「すまん、ちょっと待て! 魅了体質ってなんだ!?」
説明の途中、翔太が慌てた様子で、質問してきた。あれ? 聞いてなかった?
「だから、魅了体質だってば」
そう言ったら、皆からキョトンという反応を返されて、あたしは悟る。あ、これ、誰も知らないやつだ、と。
「えっとね、言葉の通り、相手を魅了する能力を持ってる人の事を、魅了体質ってあたしらは呼んでるんだけど・・・よく、小説や、物語に出てこない?」
そういえば、流石に優香ちゃんはピンときたらしいけど、男性連中はイマイチよく分からないらしい。ユリーさん辺り、知ってるかと思ったら、こちらも知らなかったみたい。えっ、この世界、魅了の魔法はあったわよね? 少し前、ユト少年関連で、魔族が使っていたわよ!?
「ユリーさんは、分からない? 魔族の女性が使っていた、あの術! 翔太も聞いたでしょ!?」
あたしが叫ぶように言ったら、流石に煩かったのか、耳を塞いでた。イラっとするわね!!
「イーリス、ハリセン!」
最近、余りに使うもんだから、イーリスったら、これだけで反応してくれるようになっちゃった☆ すぐに現れたハリセンを、翔太にフルスイングする。
スパァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーン!!
素晴らしい音でございました。まる。
「いってーだろっ!?」
「聞かないあんたが悪い!」
「即答かよ!?」
翔太にツッコミを入れられたけどさ、話を元に戻して。
「俺は無視か!?」
何かギャーギャー騒いでるのもいるけど、もうここに翔太を気にしてる人はいない。皆、魅了の危険性を知ってるからね。ついこの間の事件で。あたしも半月ほど、隠密行動してきましたもの。危険性は知ってるし、その対処法も分かってるけど。唯一、和磨くんがこれには関わってないけど、さっきの説明で簡単には話してるから、理解はできてるみたい。
「一つ言えるのは、シャナリーデ嬢の状況によっては、秘密裏に処理できなくなることね」
これが一番、気になることね。彼女の状況の詳しくは、白の報告次第だけど、それでも、慎重にならざるおえないのよ。イライラするわね、本当に。どっかに呼び出して、一気に解決したらダメかしら?
「魅了・・・そうか、あの状況の不自然さは、それが原因・・・なら、姉も・・・」
どこか思いつめた様子のユリーさん。てか、今更気付いたんかいっ!? もしかして、この世界に魅了体質とか、魔法とかでも一般的に伝わってない可能性が出てきたわね。緑階級のユリーさんが知らないのは無理ないのかも。緑って、下級魔術師だからね、階級で行ったら。
「咲希ちゃん、これからどうするの?」
優香ちゃんの声で我に返る。やだ、また考えに没頭してたみたい。気を付けないと。
「そうね、式神様の報告次第かな? あとは、ユリーさんと彼女の実家で、何とかしてみるよ」
なるべく穏便に済ませるならば、その方がいいでしょ。まあ、あたし一人だと、否が応でも勘繰られるから、優香ちゃん辺りを連れて行くけどね。実家なら、色々と穏便に出来るしね☆
「さあ、後は楽しいお茶会にでも、しましょうか~♪」
その言葉には、皆があっけに取られていたけど、すぐに苦笑した笑顔になって、普通のお茶会へと変わったのでした。
・・・・・余談だけど、和磨くんが甘党派って初めて知ったわ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あれから、3日ほどが過ぎた。
いやー、何にも起きない平和すぎる3日間だったわ。勿論、日課の鍛錬は皆でやったし、薬室や治癒院、魔術の塔にも行った・・・いや、呼ばれて行ったけど、凄く大変だったよ。主に、魔術の塔はね!!
変人の巣窟もいいとこだよ・・・。
で、色々と平和ながらも疲れた今日、待ちに待った白からの報告が来たわけ!
「白、お疲れ様-----そう、黒、かぁ・・・」
詳しい報告をまとめると。彼女の魅了体質は、かなり強いらしく、自然と辺りに放たれているとのこと。しかし、家族には効きにくいらしく、受けている様子は見受けられていないこと。特に、異性に効きがいいらしく、前の文官部署では、仕事が滞る事は無かったようだが、彼女の持ち分は少なかったらしい。ただ、この魅了も効きにくい体質の人はいるらしく、今回の勇者付きに選ばれたのも、厄介払いに近いとの事。
うわ、知りたくなかったよー。
で、赤い目の時だが、普段と全く様子が異なるらしく、性格も冷静で冷ややかになり、付き従っていたメイド達が、急に倒れたらしい。すぐに起きたらしいが、記憶が少し抜けているようだったらしい。更に、両親や祖父母と会う時は、一瞬で普段のいい子のシャナリーデ嬢が出てくるとの事。うん、本人もその間の記憶はないらしく、一種の怪談話扱いや、何かが起きたとしか、思っていないとの事。
おいおい、侯爵様や!? ちょっとは不信がれよ!? どう考えても、怪しいでしょうが。あんたんとこの、お嬢様が!!
まあ、両親、祖父母、ともに、赤目の時を知らなければ、特に、原因が分からなければ、令嬢の価値を落とさないためにも、口を噤むだろう。
因みに、ユリーさんと二人で会う事は無かったため、ユリーさんへの対応がどのような物かは、分からなかったみたい。
うん、十分、確信が持てたけど。困った。
「ユリーさんとこ、どうやってお邪魔しようかしら?」
シャナリーデ嬢と、ユリーさん、あたしと、優香ちゃんが自然に行ける口実が欲しい。屋敷の中ならば、ある程度、隠蔽できるだろう。うん、となれば。
「ユリーさーん!!」
「? サキ様?」
仕事中のユリーさんに、直撃☆
「急で悪いんだけど、侯爵邸に招待してくんない? あたしと、優香ちゃんを!」
「・・・・・・・・・・・・えっ?」
急なことに、ユリーさんから間抜けな声がもれたのでした(笑) うん、狙ったけどね☆
どうも、秋月煉です。
いつもお読みくださり、ありがとうございます。
前書きで、不憫な魔王君を登場させてみました。そう、予定では、お茶会辺りで誕生の瞬間が訪れるはずでしたが、不測の事態が発生。何を隠そう、シャナリーデ嬢です。この子、予定では、違う感じの男性だったのですが、あまりに和磨君とキャラ被りするものですから、令嬢に変更したんです。が! ここに落とし穴が。そう、ここはテンシロ・・・普通に登場はあり得ない!!
お約束と化してしまった以上、やるしかありません(笑) てな訳で、この子は誕生したわけです。
さてさて、どんな展開に化けてくれるか、とても楽しみです♪
次回も宜しくお願いします!
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