第153話 それから、それから?(2)
お待たせいたしました!
次回は誠意執筆中ですので、もう少しお待ちくださいね。
翔太たちが絶句? かは分からいけど、フランツ様の執務室に居る頃、あたしは魔術師たちの暴走を止めるべく、休憩という名の強制睡眠を施していた・・・・。
うん、今、はぁ~!? って、思った人、全力で肯定するわよ?
というのも、壊れた結界を修復すべく、全力を出してるのはいいんだけど、寝不足と過労で、明らかにテンションとか、思考とかがおかしな方向に流れていたのよ・・・・・。で、、取り合えずは寝せるしか方法が浮かばなくて、比較的マシな人達を残して、隈が盛大な方々には、素直に眠って頂いた。文字通り、ね?
『睡眠!』
あんまり駄々をこねる方々には、よく眠ってもらい、今は比較的マシな方々と、お茶をしてるとこ。
そこ、お茶・・・? とか、思うわないでね? 休憩中なだけだから!
「これで、起きた時はまともになってるでしょう」
はー、疲れた。なんでこんな暴走してる輩を、世話しないといけないのよ! つーか、自分の体調くらい管理しようよー!
不貞腐れたあたしに、比較的マシな見習いや、新しく侍従になった、リリーさんこと、リリスティーナ・カレンディー伯爵令嬢と、カディーさんこと、カディエンナ・トライトス侯爵令嬢が、苦笑気味に同意してくれたわ。
「仕方がありませんわ、皆さま、お仕事中毒と言えるくらいに、お仕事が好きなんですもの」
とは、穏やかな微笑みを浮かべるリリーさん。青みの強い銀髪に、青い目を持つ、優しそうな人だ。最初見た時は、お人形さんに見えてびっくりしたわよ。
「あら、リリー、こいつらを庇う必要はありませんわ、生活態度を改めさせた方がいいレベルですもの」
つんと不満を口にしたのは、カディーさん。赤い髪をツインテールにしてる気が強い感じの子だ。
「二人が居てくれて助かったわ・・・このままじゃ、ここの仕事まで止まってたわよねぇ・・・」
三人そろってため息をついたのは、仕方がないと思うんだ。こいつら、まさかの通常業務を放り出して、この壊れた結界に皆でかかりきりになってたのよ!? 機転を利かせた一部の子たちが、通常業務を行って、事なきを得たけど、本当にぎりぎりだったのよ。あたしが来たときには! 魔術師長が忙しすぎて、そこまで気が回ってなかったのもあるけど、副のやつらまで、一人を除き、仕事を放棄して掛かり切り・・・。つまり、だ。こいつら、目新しい玩具に群がる、馬鹿になり下がったのよ!!
頭に来ない方がおかしいでしょ!?
だから、とりあえずこいつらが正常な状態で起きたら、お説教してから、通常業務と結界修復作業を同時進行でするつもりよ。
あ、さっきから言ってる、こいつらって、ここで健やかに眠ってる、研究魔法馬鹿たちのことね☆ 今現在、皆さんそろって雑魚寝中☆
「通常業務は、大体終わってますから、元気な子たちも休憩に入れましょう、大体の事は少数でも捌けますし」
リリー様の指示で、下級の子たちも交代で休憩に入っていった。というか、今ここにいる中で一番位が高い方は、残った作業、もとい書類作業を片付けているので、仕方なくリリー様が指示をしている形だ。リリーさんもカディーさんも、中級を示す青をきてるからね。本当に研究馬鹿達には、指示を放り出して、仕事にかかりきりにならないでほしいわ・・・・・。
「でも、サキ様とこうして直接話したり、仕事をご一緒できるのは、本当に嬉しいんですですよ? わたしも、ここの気質は好きですもの、実力主義ですし」
リリーさん、ほんわかいう事じゃないと思う。この国では、貴族令嬢もとい、女性が働ける職種が結構広い。女官やメイド、下働き他、騎士団や、魔術師たちにもいる。中には文官や、大使として出向く方もいるので、かなり寛容な場所ともいえるだろう。まあ、その分、実力主義の塊みたいだけど・・・・・。
「リリーは貴族令嬢としての社交もしながらですから、本当に凄いですわ、ご家族も協力的ですし」
どこかどんよりした空気を放つカディーさんにとっては、ちょっと地雷的な話題だったみたい。
「わたしはさっさと、家から縁を切りたいんですの・・・・・、うちは跡目争いが凄くて・・・はあ、本当に面倒ですわ」
これはきっと聞いたら不味い会話というやつだ。綺麗にするーしよう。
「ところで、ふと思ったんだけど、そもそも、何で結界が壊れる事態になったの?」
カディーさんの為に、会話を変えたんだけど、今更ながらあたし、壊れた原因をしらないのよねぇ。だって、結界が壊れたって言われて、こちらに掛かりきりになっちゃたし。そもそもの原因が分からないまま、作業をしてたわけ。
あ、ちゃんと騎士団には、連絡入れて、待ってもらってるわよ? そこはきちんと説明したし。勿論、あ・た・し・が☆
騎士団の皆さんは、全力で協力を約束してくれたから、しばらくは大丈夫♪
『主人よ、あれは説明とは言えないのでは・・・?』
懐から、龍が何か言いたげにしてるけど、問題なし。
ちょっと、羽目を外して、騎士団の方と素敵なお話合いをしただけだから! 最後には騎士さんが号泣するくらい全力で、説明しただけだもの♪
『主よ・・・、あれは立派な脅迫ではないかのぅ?』
樹英さま、いらん事を言わんでよろしい。おれはお話合いで決まった事。それ以下でも、それ以外でもない、まぎれもない事実だよ!
と、話を戻して。いやだって、二人には式神様の声、聞こえてないし。不審者扱いは悲しいからね?
「で、二人は原因しってる?」
そう、カディーさんと、リリーさんに聞いたら、二人は何とも言えない顔をしてた。え? そんなに言いにくいこと!?
「実は・・・北の勇者様があの結界を壊すまでに、ちょっと、色々とありまして」
「リリー、ここは潔く話してしまった方がいいですわ・・・はぁ~~~、実はあの時、北の勇者様は、模擬戦をしていたんですの、相手はちょうど騎士団にいらしたショータ様ですわ」
あ、それを聞いて、顛末が分かったかも。
「お二人とも、白熱の模擬戦をしていたのですが、段々と本気を出されていたようで・・・・・北の勇者様が放った全力を、ショータ様がかわした事もあり、そのまま結界に行った攻撃は、無効化できなくて、壊れてしまったのですわ」
・・・・・やっぱりか。
原因はお前かっ、翔太!!
模擬戦で本気を出したのは、恐らく何かあったのかもしれないけど、やらかした代償が大きすぎるわよ!? 先に帰って何をやらかしてるのよぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~!!?
「もしかして、だけど・・・・・翔太のやつ、丸投げしてない?」
何を、とは聞かなかったけど、正確に理解してるであろう二人は、息ぴったりに視線をさ迷わせた。
・・・・・ほう、やっぱりか。
「つまり、壊した責任を、すっかり放棄して、こちらに丸投げした挙句、自分は関係ないとばかりに、逃げた・・・と?」
あたしの声が、段々と低くなっていく。それに合わせて、魔力で空気が震えた。
と、危ない危ない。ここには寝てる人も居るから、気を付けないと。魔力の制御が緩くなるなんて、二人は近くに居たから、顔面から血の気が引いてるし・・・・・。
本当に気を付けよう。心の中で全力で決めたわ。
「ごめんなさいね、二人が悪いわけじゃないから、安心して! ちょっと制御が甘くなっちゃって・・・」
「い、いえ、大丈夫ですわ」
「はい・・・、少し驚いただけですから、ご安心ください」
ふ、二人とも、何て優しい! あたしが悪いのに、逆に気遣ってくれるなんて!!
「本当にごめんね!? あ、お茶のお代わり入れるわね!」
慌てふためくあたしに、何故か二人は顔を見合わせて、クスクスと楽しそうに笑ってた。え? 何で?
「サキ様、それよりそろそろ戻りませんと、仕事が滞りますわ」
「それに、まずはショータ様を反省させなくて、宜しいんですの?」
あ、そうだった! 今はあたしは要らないし、今のうちに翔太を締めてこないと!!
「本当にごめんね、二人とも・・・・翔太はあたしが責任を持って、手伝わせるから!」
そう宣言して、あたしは魔術師の塔を、飛び出したのだった。待っててね、翔太!
読了、お疲れ様でした。そして、いつもお読みいただきありがとうございます。
今回は、帰って来てからのお話ですが、色々と遊び心をいれたら、こうなってしまいました・・・。ま、まあ、早く入れたいお話があるので、頑張りますね。
感想とかポイントくれたら、もしかしたら、更新速度あがるかなぁ・・・? 自身ないけど(笑)
でも、皆様の声、楽しみにしてますね。ただ、メンタルが吹けば飛ぶような綿のように、弱いメンタルなので、甘口でお願いいたします。