第14話 切り札は鞘です!!
遅くなりまして、申し訳ないです。
楽しんでいただけたら、幸いです♪
そして感想もくれたら嬉しいなー(笑)
まさか切り札が暗礁に乗り上げるとか。
どうしよう………これ。
マジで積んだかも。お父さん、お母さん、弟よ………。先に旅立つ私をお許し下さい。
「サキ様、形や大きさは何でもいいんですか?」
どんよりしたあたしの後ろから、お声がかかる。
振り向くと、長い茶髪を三つ編みにした、年若い兵士さんがいた。残念ながら名前は覚えてない。てか、自己紹介もしてないから、兵士さんで一括りにしてたわ………。重ね重ね本当にすいません。
「えーっと………誰?」
「あ、自分は今回の作戦に呼ばれました、青の第三騎士部隊所属のファインリード・アブンセルと申します、その………ぶしつけとは思ったのですが、話が聞こえましたので」
「んー、ファインリードさんね?同じなら大きさとかは気にしないよ?」
そう、肝心なのは、同じ物が5つ揃う事なんだから。
「ファイで結構ですよ、サキ様、でしたら、鞘はいかがでしょうか? 隊員達の剣は、自前の者以外、城からの配給品になります、なので皆、持っている剣や鞘は一緒になります、確か万一のために魔力もある程度なら通るようになっていたはずです」
「ほんとっ!? なら5つ貸して下さい! 壊さないから!!」
「は、はい……っ」
若干引いていたようだけど、結果オーライ!
そのまま兵士さんに必要なお願いを出す。ここ重要! 凄く重要なのよ! 何が重要かというと、お願いの部分。あたし達はあくまで協力者であるから、『命令』による『指示』をするわけにはいかないのよね。あくまであたし達は、勇者。彼らの希望ではあっても、上司ではないのだ。勿論、あたしはいい子にするために、部は弁えているわよ? 本当よ? めんどくさいとか、そんなんじゃないからね!?
と、とりあえず、そのまま翔太の所へ。
「翔太、あんた大技出せる?」
「ん? あー、剣技ならいける……な」
「じゃ、指示だしたら宜しく!」
「………分かった」
「優香ちゃん、和磨くん、時間稼ぎ宜しく!」
右手をシュタッと上げて、お願いしたあたし。何か某アニメを思い出したわ………。
「任せて!」
「分かった!」
さーて、ブラックドラゴンさんや? 勝つのは私達だ! 覚悟しときなさい!!
さっきのしんみりした空気はどこ行った!? とかは突っ込まないの!
「サキ様、各自準備出来ました!」
ファイさんがビシッとした敬礼で報告をくれた。あたし、上司じゃないんだけど………。
ちょっとだけ現実逃避したのはナイショ(笑)
「さて、んじゃ始めましょうか!」
お願いした事は、鞘をある場所に置いて貰うこと。土に突き刺すように、立ててもらったのだ。
「サキ様、一体なにを………」
ブラオさんが困惑してるけど、説明する暇はない。こっからは時間勝負だからね!
さあ! メインイベントの始まりだー!(笑)
「結界にあいつを閉じ込める、静かにしててね? ブラオさん」
静かに印を組んでいく。同時に力を解放していくのだが、うわっ、抵抗半端無い!
「ちっ! 浄化が先か」
また印を組む。
「払いたまえ、清めたまえ、彼の地の悪を払いたまえ、清めたまえ!」
「なっ!?」
「これは!?」
場が一気に清浄な空気に変わる。うん、抵抗が減った。やっぱり、こっちではきついな、この術。
周りが騒いでいるけど、今は無視。後でちゃんと説明はするわよ。だから頼むから、邪魔はしないでおくれ。とくにブラオさん!
「ウン ハラシャクン バラカ ソワカ! 彼の者を束縛せよ! 縛縛、不動縛!! 二人とも今よ!」
叫んだと同時に、優香ちゃんと和磨君がよける。結界の呪文、さらに束縛の呪文。うわー、これ長くは持たないわ………。抵抗が半端無い!
唱え終わると、ドラゴンさんは見事にピシッと固まって、動けなくなりましたー♪
ワー! パチパチ!
………………空気が凍ったから固まったわけじゃないからね?
「これは……」
「星のマーク?」
ボーゼンとしている皆様、只今戦闘中なんだがね? そんな余裕ないんだが!? ちょっと、真面目にやってよー!
「翔太!」
「おうっ! 行くぜー!!」
腰をおとし、剣を構える翔太。
「剣技・六線っ!」
剣が引かれたと思ったら、それは一瞬だった。剣が動いたのは何とか見えたけど、それだけ。
「凄い……」
思わず呟いた言葉は、皆も同じだったらしい。唖然とした顔をした兵士さん達は、立場も忘れてその場に立ち尽くしていた。
勿論、あたしも。てか、術の反動で動けないのが正しいんだけどね(笑)
ギャァァァァァァァァァ――――――…………
凄まじい悲鳴のような絶叫が響き渡る。黒い鱗は切り裂かれ、砕かれ、血みどろの姿は絶叫が嘘のように動かない。先程まで動いていた尻尾はピクリとも動かず、切り裂かれた傷からは今だに血がしたたっていた…………。
「って、こらっ! 何をぼーっとしとるかっ!? ドラゴンの生き血も回収せんかーっ!!!」
立派な鎧を着た壮年の男性の一喝で、止まっていた時が一気に動き出した。
後で聞いたんだけど、この方、青の第三中隊の隊長様でした。ちなみに青の部隊は一般の騎士様をあらわすんだって。赤の部隊は一般の近衛騎士をあらわすらしい。
この国では色でわけているんだって。それぞれの部隊を。
ちなみに金は王族付きの近衛兵を表し、銀は王族付きの騎士になるそう。近衛は護衛だし、騎士は王族の懐刀だね。
うん、難しいよ……………。
考え事をしていたその時、あたしの肩をガシリと掴む腕が………。あ、あれ?
「して、サキ様? 先程の摩訶不思議な魔術は何でしょうか? きっちりとご説明いただきますよ?」
見れば、素晴らしく黒い…ゴッホンゲッフン、素晴らしい程に清々しい爽やかな笑顔をしたブラオさんの姿が…………。
逃げよう! すぐに逃げよう! 今すぐ逃げよう!!!
「サキ様……? どちらに行こうと言うのです?」
ちっ、首根っこ捕まれたか! あれ? これは逃走不可のフラグですか!? えっ!? マジか!!
「咲希、オレにも説明きかせてきれるよな?」
こっちも翔太がキラキラの笑顔で向かってくるし。後ろに黒いものが見え隠れしてる気がするけど? き、気のせいだよね………?
「咲希さん、僕達にも説明してくださいね?」
「そうだよ、咲希ちゃん! 仲間外れはダメなんだから!」
和磨くんや、何故に君はブラオさんみたいに、無駄に爽やかな笑顔で迫ってくるのかな? そして優香ちゃん! 上目遣いダメ! あたしの心がもたんわー!!
「うん、りょーかい……説明しますよ…………………っ!?」
大人しく説明しようとした矢先。
「ゲホッゴホッゴホッ………」
何か勢いよくせりあがって来た物があって、反射的に両手を口に当てていた。
「サキ様っ!?」
ぎょっとしたようなブラオさん。あはは、当然だよねー………。
「咲希ちゃん!?」
「咲希さん!?」
「おいっ!?」
皆もぎょっとしてるねー。
えっ? 何を呑気に話してるんだって?
まあ、昔から良くやってたからね(笑)
うん、皆様気付いるよね?
「あは……は……」
笑うしかないよねー。
あたしは今、『吐血』したんだから。
でもさー、これってどっちに転んでも、説教か死亡かのフラグがたったんだよ?
笑うしかないわー。
はい、秋月煉でございます。
お久しぶりな方も、初めての方も、どうぞよろしくお願いします(^_^)/~
本日は予定よりも半日以上おくれてしまいました………。
というのも、大雪の所為で渋滞にはまるわ、足はとられるわ、散々だったためです………。記録的な大雪だったようですね(;^_^A
さて、そろそろ小話をば。
翔太:久しぶりに帰ってきたぜー!
和磨:確かに翔太は久しぶりだもんね。
翔太:おうっ!
和磨:それにしても、咲希さん大丈夫なのかな?
翔太:だな、いきなり吐血とかビックリするぜ。
和磨:ジュビアンさん、後ろにいたから、気付いてないしね………。
翔太:まさか、不治の病とかいわないよな!?
和磨:さあ?これからによるんじゃない?
翔太:あっ………。ネタバレはダメか。
和磨:これだから翔太は………。
翔太:まあ、無事だといいな。
和磨:うん、じゃないと説教出来ないしね?
翔太:ああ、説教が…って、そっちかい!
こうして咲希の説教が決定した。めでたし、めでたし。
(あたしはめでたくな―――い!!!)
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