第142話 厄介事は続くよ、何度でも☆
次回は31日の更新予定ですが、執筆により変わる場合があります。ご了承下さいませm(__)m
今回はようやく、翔太を入れられました☆
はぁ〜〜〜〜〜〜、カオスがようやく落ち着いたと思ったのに……………。
執事さんの慌てた様子で、今度は違う意味でカオスよ……………。はぁ〜〜〜〜〜〜〜。溜め息が止まらないわよ!!
「旦那様っ! 大変でございます! 先程、緊急連絡がっ!!」
既に朝から伯爵様は、顔面蒼白。伯爵夫人は、そんな旦那様に、健気に寄り添いつつも、目は闘志を抱いてか、大変頼りがいがありそうです。本当に、性格反対の夫婦だよね(笑)
さて、ユト少年と、お母さんたる侯爵夫人は、リゼス様の近くで困惑顔。リゼス様も然り。
「な、何事だ………?」
伯爵は内心、これ以上の厄介事は来ないでくれって、気持ちだと思う。朝から聞きたくないもんね……………。
「は、はいっ! 先程、Sランク冒険者が来たとの報告がギルドから連絡が来ました、更に旦那様に目通り願いたいとの事です!」
あら、予想外に普通じゃない。伯爵様も…………あら? 何故か困惑顔? と言うか、恐らくその冒険者、翔太じゃないかな?? ばれないように、ちゃんと正当な方法で来たらしいけど、これの方が、大事になってる気がするのは、あたしだけ??
「わ、分かった…………Sランク冒険者か……………はぁ〜」
「旦那様!?」
奥様の悲鳴が辺りに響く。バッタンと言う音の前に、いち早く気付いた執事さんが、2人がかりで伯爵様を支えた。やっぱり、こうなったか……………。
「どうやら、助っ人が来たみたいですね、これでユト様達の問題をどうにか出来ますね、良かったですね、ダンタリアン様」
あたしがそう言えば、ようやく伯爵の事から立ち直ったらしい2人と、いつもの事で馴れたダン少年が、此方を向いた。ダン少年の方は、助っ人と聞いて、目がキラキラし始めているわ。お子様ズは、貴族の子供だろうに、いいのかな? こんなに分かりやすいのは。お姉さん、君達の未来が心配だわ。
「本当に? 本当に、父上を助けてくれるの?」
ユト少年の不安と期待が入り交じった瞳が、あたしを真っ直ぐに見ている。
「勿論です♪ 約束したでしょう? あたしはここを助けないといけないから、助けるのはこれから来る、あたしの仲間になるけれど…………大丈夫、あいつなら何とかしてくれるわ」
心からの言葉だ、あたしの。行けるならば、行きたいけれど、あたしにはやる事がある。あたしが無理ならば、あたしと同等のヤツが行けばいいのよ。
「ところで、…………何故、伯爵様は気絶されたのですか? Sランク冒険者が来るなんて、素晴らしい事では?」
それが分からないのよね。普通に考えて、喜ばしいはずなのに。
「まぁ、普通はそうなんですけど…………」
何やら言いにくそうなユト様。おかしい、そんなに言いにくい事は聞いてないはずなんだけど。
「あ、そうか、魔術師様は知らないんだっけ」
何やらダン少年に納得されちゃったんだけど!? 本当に何なのよ!
「ランクSの冒険者って、滅多に居ないでしょ? それだけ強い人、それも単体でそれだけの力があるって事は、国の要職の方々とも懇意にしてる場合があってね、もしも気に入らなかったり、少しでも怪しいと思うと、密告される場合があるから、土地を預かる側としたら、気を抜けない相手が来るって事なんだ」
ユト様の説明に、あたしも血の気が引いたわ。ヤバイ、そんな大事なんだって知らなかったわ! あたしも冒険者ランクSだから、出す時は気をつけないと……………。皆にも注意しておかないと。
「まぁ、大体ランクSとかの高位の人達って、煩わしいのが嫌な人が多いから、挨拶に来るのって、かなり珍しいんだけどね」
とは、ダン少年。そうか、やっぱり好んで煩わしい事に、手を出すヤツは少ないか。
「目立たないようにとは、お願いしていたんですが…………常識的には不味い行為でしたかね?」
翔太、すまない。今の翔太はかなり戸惑っていると思うが、どうか耐えてね☆
「大丈夫では? 待遇が勝手に良くなるだけですから」
ユト様、翔太は根っからの庶民ですよ? ただ、前の世界の基準も知ってるから、案外馴染んでますが。
「なら、大丈夫ですね…………さて、そろそろ朝食を頂きませんか? 先程から、美味しそうな匂いがしてますから、すっかりお腹が空いてしまいました」
と、あたしが言った傍から、お子様ズのお腹が元気に鳴った。見事なシンクロに、思わず笑ってしまうわ。
今日も元気に、頂きま〜す。
◇◇◇◇◇
Side:翔太
咲希からのお願いに、勇者とは伏せて、冒険者として旅に出たのはいいものの。
いや、本当にすんなり来れたんだよ。フランツには許可出してもらえたし。勿論、一人は侍従を連れて行けと言われて、ユリアスを選んだ。流石と言うべきか、あいつは経験を得る為に、冒険者登録をしていて、ランクCだったから、何とかパーティーを組んで、ここまで来た。ユリアスの家名は至るところに響いていたから、嫌だったんだが、まさか冒険者登録を他の奴等がしていないとは…………、痛恨の極みだったよ!! こんちくしょー!
お陰で、妙に疲れたよ! 俺は庶民だぞ!? 城では豪華で落ち着かず、旅先ならばと期待した俺は悪くないはずだ。
更に、だ! 俺のランクSの所為でもあるんだが、途中でモンスター退治を頼まれた。
名前は、ハリマンボン。見た目も、ハリセンボンを巨大化した感じのモンスターだ。討伐ランクAの厄介物で、特殊調理食材に認定されてるらしく、業界のマニアや、知恵のあるドラゴンがたま〜に食べるくらい。
あまりにも食べる側が少ないからか、今年は異常繁殖しているらしく、討伐依頼が出ていたんだ。
この依頼で、咲希からの極秘依頼を誤魔化す事が出来たのは助かるが、このハリマンボン…………厄介だったんだ。討伐方法が!
まず、熱すると、皮が固くなる。あまりにも固くなり過ぎると、ハリマンボンは脱皮するらしく、それを防具に加工して使用するそうだ。……………うん、取り敢えず後回し。
次に、内臓に毒がある。一口食べたら、死ぬレベルの猛毒。攻撃も針を飛ばしたり、毒の唾を吐く為、低ランク冒険者は、すぐに逃げるように言われるモンスターである。
では倒すにはどうするか…………。
1、雷で失神させてる間に、眉間が弱点な為、それをつく。
2、問答無用で凍らせる。ただし、この方法を取ると、内臓の毒が更に強くなる。毒の採取の為に、この方法が取られる場合あり。
このふた通りしか無いため、高ランク依頼になっていたそうだ。
更に今年は、厄介な亜種が登場した。紫色のハリマンボンで、パープル・ハリマンボン…………名前がそのまんまなのは、置いといて。
そいつは全身が毒らしく、食べる訳にもいかないため、完全討伐だそうだ。
んで、咲希が居る、伯爵領地へ行く途中だったんだが、見事に囲まれちまってなぁ……………。
「なぁ、ユリアス…………全部、パープル・ハリマンボンだよな?」
「そうですね…………、まさか亜種がこんなに増えているなんて…………」
マジで俺、厄介事ばかり引き当ててないだろうか? 何で亜種ばっかりなんだよー!? おかしいだろっ!!?
「ユリアス、亜種は対策何かあるかっ!?」
トゲ攻撃から逃げながら、後衛のユリアスに聞くが、ユリアスも困惑気味で返答がない。それはつまり………………。
「マジか!? おい、問答無用で凍らせるぞ!」
「お願いします! 僕の属性じゃ、無理です!」
ん? そういえば、今更だが、ユリアスの属性は知らねーよな?
「お前、属性なんだ?」
「えっ!? 今それ必要ですか!?」
「必要だ!」
驚くユリアスには悪いが、属性を知るだけでも、かなり作戦は違うだろう。つーか、いい加減に、こっちも針から逃げるのに疲れた!
「僕は、雷、地、火です! だから、向かないんですよ!」
ん!? いやいや、有効な力があるじゃん!?
「だったら、雷でこいつらマヒさせろ! 俺が止め刺すから!」
「あっ………!」
あ、じゃねーよ! あっ、じゃ! お前本当に大丈夫なんだよな!? ランクCだよな!? まさか、力技でなったとか言わないよな!?
「わ、分かりました! 『怒りの雷!』」
ユリアスが雷の下級呪文をモンスターに向けて放つ。
んだが、ちょっと考えて欲しい。俺は、そこのど真ん中に居る訳で。
「アホッ! 俺まで狙うなよ!?」
「うわっ、すいません!!」
これで最年少入団優秀者なんだよなぁ。まぁ、実戦の経験を考えると、ランクCは高過ぎる気がするが。
「弱点は眉間だったな」
俺はフリーレンを顕現させ、ハリマンボンの眉間を刺していく。
「たくっ………、ユリアス、しっかりしてくれよ」
「すいません…………もうすぐ着くと思ったら、落ち着かなくて…………」
おいっ! それでミスすんなよっ! はぁ、本当に人選ミスだろ…………。
作業はてきぱき終わらせて、俺は死体となったパープル・ハリマンボン達をバックへ入れていく。ギルドで換金しないとな。俺だって、お金は大事なんだよ。他の三人と違って、一番お金を使ってるからな、色々とさ。
「さぁ、行くぜ」
そこからは、またしてもトントン拍子に話は進み、ようやく町へ着いたのは朝。ギルドから町の領主である伯爵へ話を通してもらった。モンスターの事で話があると。
こうしてようやく、俺達は伯爵へ会いに行けたのだった。
お読み頂き、ありがとうございます♪
気付けば、後2回で200話になると言う長さになりました(;^_^A おかしいなぁ、半分は過ぎたけど、全然進んでない(οдО;) ヤバイぞ、自分!
……………応援とかしてくれないかなぁ(チラチラ(・_・|
さて、ようやくこれからの解決案が出ます。翔太、君のお陰だよ!
では、次回、宜しくお願いしますm(__)m