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第133話 帰宅と問題と不安です

次回は25日! ハロウィン企画小説やります! お楽しみに〜♪

結局、豪華絢爛な晩餐を、伯爵邸でご馳走になり、あたしとリゼス様は、8時頃に馬車で町へと帰還したの。

詳しい詳細は、明日決めるとして、宿に帰ったのよ。仕方ないわよね〜、あたしもリゼス様も、今は別人になっているんだから。宿に居ないのは、疑われてしまうもの。


「しかし、魔族が2人も居るとは、厄介ですね…………」


今は馬車の中で、リゼス様と会話中よ。夫人とユト少年は、伯爵のところに居るわ。ちゃんと御守りは渡して来たし、伯爵邸にも結界を張ってきたから、大丈夫でしょう。念には念を入れて、龍も置いてきたし☆ 予備を用意していて、本当に良かったわ〜。


「まぁ…………、相手をする分には構わないんだけど、片方には人質がいるからねぇ、あたし1人で対処できないわ、だから翔太に来てもらうつもり、ちょうど帰還したそうだし、他の勇者も城にいるしね」


「……………貴方にも、出来ない事があるのですね」


意外そうに言われたけど、貴方はあたしを何だと思ってるんだい?


「あたしにだって、出来ない事ぐらいあるわよ……………判断を間違えたら、命が消える現場に居たんだもの、一人で全部やろうなんて(おご)り、嫌でも消えるわよ」


思い起こすのは、日本で悪霊やらお祓いやらしていた頃。嫌でも思い出す、背筋が凍るような体験談達………………。

例えば。目の前をすれすれで、敵の攻撃が飛んでいったり〜、悪霊達と此方の死を賭けた追い駆けっこしたり〜とか、捕まって食べられかけたり〜とか、かなり危険な事をして、当主様達に叱られたり、心配されたり………………。

あ〜〜〜〜、嫌な事まで思い出したわ。


「成る程、………………どうやら私は、随分と貴方を見ていなかったようだ」


ん? 今、笑ったの?

思わずガン見しちゃったわ。だって、リゼス様ったら、クスリッて小さな笑顔をみせたんだから!

てか、美形だけあって、何か眩しいし!?


「どうかしましたか?」


此方を見るリゼス様に気付いて、慌てて視線をそらす。えっと、何か最初の印象と違うんだけど………………。


「いえ…………何だか、最初の頃と印象が違う気がして…………?」


本人は自覚が無かったようで、僅かに目を見開いていた。いやいや、指摘されて気付くって、無自覚かよ!?


「………そんなに違いますか?」


怪訝そうに問われ、思わず笑ってしまう。本当に無自覚だったらしい。


「えぇ、最初は、あたしを警戒してますって、ハッキリ顔に書いてあったもの」


あれだけ警戒していたのに、短い期間とはいえ、リゼス様もある程度の警戒は解けたらしい。でも、全ての警戒を解かす事は、出来なかったらしい。何処か優しい雰囲気は、直ぐに消え失せた。


「それは失礼しました…………、どうやら宿に着いたようです、すぐに着替えて、もう一人になりましょう」


その言葉と同時に、馬車が止まって、宿に着いたと声がかけられる。


「では、この客人の役は、式にでもさせて、もう一人になりましょうか」


先程までの和やかさは消えて、僅かに緊張感が包み込む。


「えぇ、では部屋で」


「部屋で」



◇◇◇◇◇



無事に、入れ代わりは成功し、あたしはサリーとして、クルルさんとプライベート室のダイニングに居る。明日の仕事を簡単に教えて貰う必要があるのと、町を自然に散策する必要があるから、その協力を願う為に。


「まぁ、仕事はこれくらいだから、明日はノーラとマリアに詳しく教えてもらいなさいな」


優しく微笑むクルルさんに、いつの間にか母の面影を見て、懐かしい気持ちと切なさを感じて、胸に手を当てたものの、グッと手に力を込める。

………………今のあたしは、サリーなの。咲希ではないのよ。


「サリー? どうかしたかい?」


「っ! …………何でもないです、おばさん、色々ありがとうございます、……………おばさん?」


急に黙ってしまったから、不思議に思ったあたしは、おばさんを呼ぶと、急にクルルさんは、そっとあたしを抱き締めてくれた。


「サリーちゃん、何か寂しい事があったら、いつでも来なさい、こんな我慢はしなくていいんだよ」


クルルさんの、包み込むような優しい声にハッとした。まさかのお見通しに、苦笑するしかない。今のあたし、困った顔で笑ってると思う。


「……………ありがとうございます、おばさん」


目の奥が熱くて、温かい物が沢山溢れて来たけど、あたしより背の高いおばさんが、ギュッと抱き締めているから、恥ずかしい顔は見えてないはず。


「親から引き離されたら、普通は寂しいはずさ…………サリーちゃん、気付いてなかったんだね? あたしとノーラを見るとき、目が淋しそうだったんだよ」


ということは、初めから、気付かれていたんだと思う。あたし、無意識だったのに。


「お゛ばしゃぁ〜〜〜〜ん!!」


泣いてるから、発音が何処か変だけど、仕方ないじゃない!

結局その日、お恥ずかしながら、あたしは泣き付かれて眠ってしまったのでした………………。クルルさん、本当にすいませんm(__)m ありがとうございます!



◇◇◇◇◇


Side:リゼス



近くのダイニングから、少女の泣き声が聞こえる。あの子も、こんな声で泣くのかと、内心、驚いた。

いつも無邪気に笑って、突拍子もない事を平然と行い、我々の度肝を抜く……………。勇者サキは、我々にとっては、非常に頼もしく、同時に頭痛の種となったのだ。

勇者ショータは、サキと同じように、破天荒………いや、まぁ、サキよりは常識があるのだが、こう…………残念臭がするのだ。確かに優秀なんだが、優秀ではあるのだが、残念な部分を見てしまっている以上、どうしても素直に受け取れないのだ。

まぁ、普段から優秀過ぎて、天才と言えるサキは、寂しいとかそういう事を、周りに溢した事は無かった。

………………女将に、母の面影を重ねたと聞いたのは翌日で、女将本人からだった。周りは何をしていたんだと、責める口調だった事に、女将の愛情を感じた。他人の事なのに、情を重ねた女将に、彼女にして良かったと思う。

実は、女将のところ以外にも、候補はあったのだ。しかし、親戚としているならば、温かいところと、自分が望んだ。


「正解でしたね」


城で、王妃様が初めに気付いた。勇者達は、望郷の念があるのでは、と。ほんの些細な事だったそうだが、勇者ユーカやカズマはかなり分かりやすかったそうだ。後の二人にも、あのではと感じたそうだ。

今回の場所を選んだのは自分だ。幼くして、実家から離れ、殿下の側近をしているのだから、その気持ちは少しは分かるつもりだ。


「準備は終わったかい? リクリス」


考え事から、おじさんとなっているジョンさんに声をかけられて、現実に戻る。今日の分の薪割りを頼まれており、考え事をしつつも、体は動かしていた。割と器用な方なのだが、薪割り等した事が無いため、コツを掴むまでジョンさんが教えてくれた。ボソッと、息子が居たら、一緒に出来たのにな、と呟かれた時には、申し訳なく思ったが。


「終わりました、すいません、時間がかかり過ぎましたか?」


この後、力仕事をする事になっているのが、思いの外、時間を使ってしまったかもしれない。初めてだから、多少は勘弁して欲しい。


「いや、大丈夫だ…………すまんな、馴れない事を頼んじまって」


「いえいえ、良い経験になりましたから」


「んじゃあ、次の仕事も頼む」


「はい…………あ、サリーはどうしてますか?」


確か、ノーラさんに仕事を教えて貰っていたはず。時間は10時を過ぎた頃、まだ仕事中だろう。


「サリーちゃんなら、外に出かけたよ」


「………………は?」


いやいや、まだ時間を見たら、中の仕事をしているはずだろう!? 何で既に外に居るんだ!?


「女将が用事を頼んだらしいぞ」


驚いたが、逆にチャンスかとも思う。自然に外に出たい以上、これはチャンスだと思うべきだ。思うべきなんだが……………不安しかないのは何故だろう?

顔が固まった私に、ジョンさんが小さく、行くぞと行って歩きだしてしまったので、慌て追い掛ける。

どうか、サリー………勇者サキよ。頼むから、面倒事を起こさないでくれ!

内心で願いながら、手伝いの為に足を踏み出した。


いつもありがとうございますm(__)m


助っ人さんは、いつ来るんだろう?(;^_^A おかしい、絶対におかしい! 助っ人さんを呼ぶ描写を入れなければいけないのに!

てな訳で、お送りしました。

次回は冒頭に書きましたとおり、ハロウィン企画小説を入れます! ご参加下さった皆様、ありがとうございます!

さぁ、次回をお楽しみに!

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