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第126話 衝撃の設定……無理じゃない?

次回は8月9日の更新予定です。


ヒマリと心行くまで遊んだら、あっという間に夕食の時間が来た。

今日は、久方ぶりに和磨君との夕食よ。あたしが誘ったの。あちらも相談があるそうで、あたしの誘いをオッケーしてくれたわ。勿論、二人きりじゃなくて、ファイさんと、ユリーさんも一緒だけどね☆


「やっぱり、食堂の方がいいわ〜」


染々呟いたら、隣に座った和磨君に不思議そうにされたわ。


「あれ? 咲希さんはエルフの国で、どんな食事してたの? 個室とか? 会談でもあったの?」


そうよねぇ、不思議に思うわよね〜……………。


「最初は、宴に招待されて、次はエルフの陛下や高官達と晩餐会、個室でフランツ様達との食事もあったわ」


宴では、裸踊りをされるわ………、晩餐会は無駄に緊張感漂うわ、個室の時は別の意味で疲れるわ……………はぁ、ろくな食事じゃなかったわ。あたし、お料理は美味しかったけど、精神的ダメージで差し引きゼロよ?


「お疲れ様、何だか大変だったみたいだね」


「まぁね、あ! 和磨君から貰った薬、本当に助かったわ」


何せ向こうには、人間の薬は無い。その為、本当に和磨君から貰った薬は、助かったわ。一番消費されたのが、胃薬ってのが悲しいけどね……………。


「お役に立てて光栄だよ、さ、食べながら話そうよ」


今日は騎士団から近い一番食堂ではなくて、二番食堂。こちらは、量は普通、値段も普通の場所だから、城の中でもメイドさんや、執事さん、事務系の方々が利用するの。三番食堂は、お金持ちの階級の方々や、夜遅くまで仕事の方が利用するから、昼間はやってないのよね。


「10日と言えど、やっぱりこっちの食事が落ち着くわ〜」


あっちも美味しかったけど、馴れ親しんだ味付けに、まさか懐かしさを覚えるとはね。

しばらく雑談をして、ようやく本題へ。


「あたしが居ない間、何か変わった事は無かった? 魔術系には異常は無かったんだけど、ちょっと気になって」


こういうのは、まさか城の人達には聞けなくてね。和磨くんの方が、適任かなと。


「あー、幾つかあったよ、まずは一心さんかな? 騎士さん達の頑張りで、剣はそれなりになったみたいだよ?」


「そうなの? 昼間に会ったけど、体力面が不安かな? 魔術は配分が出来て無かったし」


本当に、一心さんを早く迎えに来て欲しいわ。ソウ兄が来ないなら、あたしが送り届けるわよ? 国家問題になるから、やらないけど。


「後は、優香さんと翔太が居ないからね、騎士団が静かだった事かな? 僕も城を離れたりはしなかったし」


あら、何も無かった訳か。


「そう…………、魔族の動きは無しか」


あっちで動いていたから、こっちにも、ちょっかいをかけていると思ったんだけど。和磨くん一人(一心さんはカウントしないわよ)だから、かなり心配だったんだけど、何とかなって良かったわ。


「ねぇ、咲希さん、その………僕もいいかな?」


そういえば、話したい事があるとか言ってたわね。


「勿論よ、何でも聞いて?」


あら、難しい顔になってるけど、え? そんなに難しい事なの? あたしで答えられるかしら??


「実は……、翔太達が帰ってきたら、少し冒険に出ようかと思ってるんだ」


「………………ん??」


冒険、今、冒険と言ったわよね!?


「和磨くん、まさか、一人で行きたいなんて、考えていないわよね……………?」


「え? そのつもりだけど………」


「駄目に決まってるでしょっ!? 素人たる我々が行って、大丈夫な訳ないでしょ! 誰か冒険者を付けないと」


前に洞窟へ行った時、あたしと翔太だけでは、上手くいかなかったと思う。ジョージさんが居たから、上手くいった訳で。


「えっと、咲希さん? 僕が行くのは、薬草を採るためだから、別に戦いに行く訳じゃないし」


甘い、甘過ぎる! ケーキにハチミツと、水飴と、砂糖をかけて食べる位に甘いわ!


「薬草なら、尚更、冒険者を付けるべきよ、魔物との戦いとか、毒やらマヒやら、罠があるかもしれないのよ!? 一人では行かないでちょうだい!」


あたしの迫力に負けてか、和磨くん、渋々頷いてくれたけど…………あんた納得してないでしょ?


「和磨くん、一人が駄目な訳で、別に冒険が駄目とは言ってないのよ? いくら馴れて来たとしても、ここはあたし達が生きてきた世界じゃないの、ちょっとの油断が命取りになる、そんな世界よ? だからこそ、誰かと一緒に行って欲しいのよ」


和磨くんは、あたし達の中で一番、安全な場所に居るのが多いかもしれないわね。優香ちゃんは、もう少し柔軟な部分があるんだけど、和磨くんは実感が無いからね。無理もないかも。


「取り敢えず、誰か付けて行きなさいな、……………経験すれば分かるはずよ、この世界がどんな感じか」


流石に、そこまで言えば通じたのか、和磨くんも素直に頷いてくれたわ。何せ今、翔太と優香ちゃんは、討伐に向かっているんだから。命懸けの危険な事だって、あたし達はちゃんと理解してるもの。


「しっかし、ソウ兄達、何時迄、一心さんを預ける気かしら?」


話は変わり、これはこれで頭が痛い話。マジで腐っていた訳だ。ヴァストークのお偉いさん達は。見事に叩けば叩くほど、色々出て来るみたいで、ソウ兄達はかーなーり、はっちゃけているみたい。しばらく、ヴァストークのお偉いさん達は、枕を高くして眠れないでしょうね。明日は我が身だもの。

ただし、あまりに多いみたいで、該当者のみに絞った逮捕をしてるみたい。一族そのものをやると、不味いみたいだしね。おかげで、ソウ兄達の人気は貴族にも広がっているみたい。普通は没落一直線だけど、該当者のみの逮捕だから、没落はしないし、何より家は残る。闇だけを取り除いているのだから。


「まさか、まともな貴族が半分しか無いとか……………よく国が回っていたわ」


本当にヤバかったみたいだからね。何せ、公爵家すら、今回の対象に入っていたみたいだもの。


「そうだね、一心さんの為にも、早い帰国が望まれているみたいだし」


あら、やっぱり? クラリオン王国にも居た訳だ。他国の勇者を面白く思わない連中が………………。


「こればっかりはね、国が絡んでいるから」


その後は、雑談しつつ、楽しい?昼食は終わったのでした。

和磨くんとは、ここで別れて、食堂から出たら、何故かメイドさんが二人、待ち構えていたわけ。うん、いつかを思い出す状態よねぇ………………。


「サキ様、フランツ殿下がお待ちでございます」


両脇をガシッと捕まれて、あえなく連行………もとい、案内されて、あのフランツ様の執務室へ。


「やあ、サキ…………どうしたんだい?」


フランツ様の顔に訝しげな表情が出たけれど、当たり前よね?


「……………斬新なお迎えをして頂きましたから、この顔はご容赦下さいませ」


ムスーっとなっているのは、ご愛顧で。あたしだって、不機嫌になるんだからね!


「アハハ、うん、サキには悪いけど、急用でね、実は身分証が出来たんだ」


あら、早いわね。フランツ様から、トーヤ様の手を渡って、応接用のソファに座っていた、あたしの元にくる。で、中身を見たあたし。


……………………


………………


………


はい??


「え〜と? フランツ様? コレは何かの冗談かしら?? つーか、無理でしょ!?」


あたしの絶叫に近いツッコミに、フランツ様は分かっていたからか、見事にスルーの笑顔。何か解せないわ!


「いや、大丈夫じゃないかな? まぁ、父にお願いしたからね、私は関与していないんだよ」


うっ、これじゃ、文句を言っても意味ないじゃないの!?

と、タイミングよく、執務室の扉がノックされ、リゼス様の到着が伝えられ、ご本人登場。


「殿下、お呼びと伺いました…………?」


リゼス様、あたしに気付いて、眉間にシワを作らないで頂戴!


「やあ、リゼス、身分証が出来たから、確認してくれ」


そうして渡された身分証を見て、またしても眉間にシワをよせて、更にはガチッと固まるという、一連の流れに、笑いたかったけど、笑えなかったわ。


「あの、フランツ様? 何故に設定が、コレなんですか?」


あたしが見せた紙には、とある一文が書かれていたわ。


――――――妹、と。


「顔が似てないのに、何で兄妹設定なんですか!? 無理がありますって!」


この性格のリゼス様と、兄妹? 無理、無茶、無謀の設定でしょ! 誰よ、コレで通じるとか思った連中は!!


「二人の気持ちは分かるけど、今回はコレで頑張って欲しい、どうしても君達に頑張ってもらわないといけないんだよ」


分かるわよ? 人選的な事で、色々考えがあるのは! でも何で寄りにもよって、兄妹設定なのよ!!?


「まあ、そういう訳だから、髪の色だけでも同じにしなさい、いいね?」


優しく言ってるけど、実質命令じゃないのよ。


「和磨くんに、染め粉をお願いしときますよ…………」


納得なんて出来ないまま、あたしとリゼス様は、旅の為に偽装をする事になりました。


お読み頂きまして、ありがとうございます♪

間に合いました…………。今回はヒヤヒヤしました。夏は忙しいですね。

さあ、次回から、事件のあるアンケルへ参ります。果たして、この二人、上手くいくんでしょうか? 秋月は今から不安がいっぱいです。

では、また次回に宜しくお願いしますm(__)m

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