第124話 どうやら魔力が大量です?
次回は、近いうちに活動報告にあげさせて頂きますm(__)m
さーてと、まずは一心さんとゲームでもしますか。
「一心さん、せっかくですし、ゲームしませんか?」
「ゲーム?」
キョトンとした姿は、残念ながら、年上には見えないわね。無害な御人で助かったけど、いざという時に、足を引っ張りかねないわ。
まだソウ兄達は、掃除が終わらないようで、今しらばく頼むと、連絡が来てたみたいだし。
「えぇ、どちらが早く、的を全て壊すか、を競いません?」
的は、魔術師の方々が、嬉々として用意を始めているし、あたしの方には、少し頑丈にしてもらった。魔力を発散させないといけないからね。
「うん、面白そうだね!」
キラキラ輝く瞳には、純粋さしか見えなくて。明らかに、年上には見えないのですが……………。
まぁ、いいや。たまには羽目を外して、打ち捲ってもいいよね〜♪
「あ、皆さん! 数えるのと、新しく作るのと、審判をお願いしても?」
まわりの皆さんに声をかけたら、何故か皆さんいい笑顔☆ 娯楽はあったほうがいいもんね(笑)
「それじゃあ、準備が出来たみたいなんで、始めますよ〜」
簡単にルールを決めて、あたし達は立ち位置へ。
因みに、ルールは簡単よ? 制限時間内に的を多く壊した方が勝ち。使うのは、一心さんもあたしも、下級呪文のみ。次に、自分の的以外は狙わないこと。あたしは赤、一心さんは青で、的は色が違うの。後は、お互いに妨害をしないこと。
「では、用意………スタート!」
審判役の魔術師の掛け声で、あたしと一心さんはそれぞれ、自分の的を狙って、魔法を放って行く。
「そーれ!」
あたしの的は、一心さんより頑丈だから、余計に魔力を使う。だから、出だしで一心さんにあっさり抜かれた。まあ、一撃で一個壊してがやっとの固さにされているから、一心さんも苦労してるみたいだけど(笑)
あたし? 負けず嫌いですが、何か? 最初に抜かれたのを根には持たないけど、悔しいのに変わりは無いから、馴れたら一気にスピードアップ☆
一心さんも頑張っていたんだけど、的の半分位を壊してから、スピードがダウンしてきた。バテたにしては、おかしいわね? 騎士団では体力アップしてたはずだから、これでダウンはない。
魔力的なものかもね。あたしとほぼ同じスピードだったから、普段より早かったのかもね。消費スピードが。
因みにあたし、まだ魔力が有り余っていてさ〜、仕方ないから、他のとこでも発散してこよう♪
「そこまで!」
気付けば、制限時間になっていて、辺りは瓦礫の山……………。的は平均だったけど、瓦礫の処理までは考えて無かったわ……………。内心、ヒヤヒヤしてたんだけど、見習いに当たる数人の魔術師達が、研修宜しく、後片付けをしてくれていた。
ごめんね、まさかこんなに、瓦礫が増えるとは思わなかったのよ。
「えー、結論から言いますと、サキ様が僅かに勝っておりますね、イッシン様は後半、どうされたのです? 随分、ペースが落ちていましたが」
あら、あたしが勝ってた☆ でも、僅差なのは、ちょっと悔しいわ。次は負けない!
さて、問われた一心さん。後半のペースダウンは、あたしも気になっていたの。一体どうしたのかしら? 強度はあたしの的の赤より、一心さんの的の青の方が、弱い造りだったんだけど。
「あー…………、その、咲希さんのペースより早くしようとしたら、思ったより魔力を使っちゃって………………」
つまり、ペース配分を間違えたと? でも見た限り、魔力消費は半分くらいで、一心さんはまだまだ余裕そうだけど?
「まだまだ、魔力に余裕はありますよね?」
あたしが指摘すると、戸惑いと困惑の顔になる。一心さんや、マジでどうした?
「えっと、ね? 僕、魔力をこんなに使った事が無くて…………自分がどこまで出来るのか、分からないんだよね」
………………………は?
何 で す と ! ?
おいおい、ヴァストークの教官達! そこは普通、きっちり確認するでしょうが!!
あ、いや、あそこはダメだったわね。クズを今、ソウ兄達がシメテいたんだったわ。つまり何か、あのクズ共の犠牲者って訳かい…………。
「えっと、今は魔術師達が着いて居る訳だし、これから学ぶといいと思います」
それしか言えないわ! 本当にソウ兄達、クズ共を早くシメて、一心さんを迎えに来て!
「うん、そうだね、僕も頑張らないと!」
謎のヤル気が出たらしく、一心さんは早速行動に移るみたいね。ならば、あたしは魔術師達のとこに行って、有り余ってる魔力を有効活用して来ますか☆
◇◇◇◇◇
という訳で、やってきました。魔術師達の部屋…………通称“魔術師の塔”。あたしは塔と呼ばせて貰ってるけど、色々大変なとこなの、ここは。
「こんにちは、何かお手伝いありません? 魔力が有り余ってまして……………」
苦笑いのあたしに、見事にキラキラした………いや、訂正するわ。ギラギラした目で、此方を見る宮廷魔術師達。あ、うん。分かっていたわよ、うん。
「あら、サキ様! いいところに〜☆」
女性独特の高い声に呼ばれ、其方を見れば、満面の笑みの魔術師長。あれ? な、何か嫌な予感がする……………。
「ちょうど、城の結界に使う魔石が、足りなくなりそうだと、連絡が着ていたのよ! それでも余裕があったら、声をかけてちょうだいね☆」
嬉しそうと言うより、テンションが高い魔術師長……………。うん、何だか、何か間違えたような気がするわ……………。
と こ ろ で 。
「魔石って何?」
あたし、聞いた事ない。知らないんだけど。誰からも教えて貰ってない!
あたしの質問に、一瞬にして、見事な沈黙が降りちゃいました〜☆ 何故か、驚愕の顔の皆さん。
あれ? あたし、変な事言った?
「あら、サキ様は知らなかったのですね? 当たり前な事過ぎて、てっきり知っているかと」
魔術師長は、苦笑いしてるけど。そうか、当たり前な事だったんだ。なら、何であたしは知らなかったのかしら?
「恐らくですが、高い魔力がある故に、周りも教える必要性を感じなかったのかもしれませんね」
そう魔術師長さんに言われて、流石に苦笑いするしかなかったわ。あたしの魔力が高いのは、皆が知っている事だもの。
「さて、魔石というのはですね、二つ種類があるんです、一つ目は、自分の魔力を結晶化させて、保存しておく方法です、これはいざという魔力が無くなった時に、補填する事が出来るんです、ただし、作成者しか使えないという制約があります」
へぇ、そんな事が出来るんだ! 流石に驚いたわ。そんな、あたしの反応に、楽しそうにクスクス笑う魔術師長さん。な、何か恥ずかしいわ。
「さて、二つ目ですが、此方はコレを使います」
そう言って、袋から何やら取り出した魔術師長さん。そこには、色とりどりの宝石や、鉱石達が、沢山入っていた。大きさは、どれも親指の爪サイズで、素人のあたしでさえ高価と分かる代物だわ。
「ここにあるのは、魔力が貯まりやすい石です、これらを使うと、最初と同じように魔力を貯める事が出来ます、他人に譲渡も可能なんですが、石によって魔力の貯まり具合が違うので、そこが欠点ですね」
成る程、だから魔術師達とか、ユリーさんやレイヴァンさん、ブラオさんが、宝石を所持していたのか。
「という訳で、サキ様、まずは此方に魔力をお願いします」
そういって、魔術師長さんが出したのは、拳大の宝石や鉱石達。そう、達! かなりの数があるようで、軽く一山あるわよ!? 数なら50個くらいかしら?
「えっと………全部?」
「はい♪ 勿論です♪」
即答、更にいい笑顔の魔術師長さん。うん、確かにあたしの魔力なら、余裕かも……………。あたしはまだ、魔力切れを起こした事はないのよ。魔力は、他の三人を足した分以上あるからね。
「んじゃ、やりますか」
まずは美しい青い宝石を手に取ってみる。やはりこの大きさの宝石だけあって、ズッシリ重い。
魔力を慎重に流していくと、宝石は内側から、キラキラ煌めき始めて、いっぱいになる頃には、仄かに光る宝石の出来上がり♪ ウフフ、楽しいわぁ!
「ふ〜ふ〜ふん〜♪ ふ〜ふん〜♪」
楽しくて、次々と魔力をいっぱいに入れていく。気付けば熱中していたみたいで、あたしの魔力は大体8分の1くらいまで減ってた。まだ、翔太ぐらいの魔力は残っていたけど、目の前の宝石、鉱石類は皆、煌めいているしね。仕事が終わった訳です。
「魔術師長、終わりました〜」
いや〜、いい仕事したわぁ〜♪
すっきりした気持ちで居たら、此方に来た魔術師長さんが、驚いた顔をしていたわ。
「え? えーっと、サキ様? まさか全部、魔力を入れたのですか……………?」
あら? 魔術師長さん、顔が引きつってしまったわ。ならば、追加しようか♪
「まだ魔力、余裕ありますよ〜♪」
って言ったら、魔術師長、口を開けて呆然。え? おかしな事言った?
「サキ様!? え、嘘でしょう!? この魔石は、この城の主要箇所1ヶ月で消費される量なのよ!?」
その絶叫に、辺りもあたしも騒然となりましたとも!
あ、やらかしたかも……………。
「と、とりあえず、サキ様、ここの仕事は終わりですが、またお願いしても?」
口調はお願いだけど、明らかに目がギラギラしてるわ…………。こ、断れない。
「喜んで?」
あたしには、これしか思いつかなかった……………。
いつもお読み頂き、ありがとうございます!
そして読了、お疲れ様でした!
作者の秋月煉です。
今回は、無事に水曜日投稿に間に合って、ホッとしております。リアルが忙しいもので、まさか間に合わなかったら…………と、ビクビクしておりました。
さて、次回はようやくお部屋で準備万端にしますよ。和磨くんも登場です。
では、またお会いしましょう♪




