第122話 問題は次々発生します!?
次回は誠意執筆中です。
はーい! 何だかものすご〜く、久し振りな感じもするけど。
皆のアイドル、天城咲希ちゃんよ☆
って、痛い、痛いから!? 久し振りなのに〜!
さて昨日、エルフの国から帰って来ました〜☆ ワー! パフパフ〜!
で、事件も無事に解決しましたし、ゆっくり休憩〜………なんて、甘さがフランツ様にあるわけ無くて。
只今、次の案件の相棒たるリゼス様と、お部屋でお茶をしてます。ここは、フランツ様の執務室の隣部屋。本当はフランツ様と一緒の予定だったんだけど、厄介な案件が入っちゃって、あたしとリゼス様は親睦をはかれとの命令で、強制的なお茶会です。
「えーっと………、宜しくお願いします」
ち、沈黙が重い! リゼス様、あんまり話さない性格らしく、会話は虚しく消えていく…………。合わせてはくれるんだけど、続かないの。
「えぇ、宜しくお願いします、くれぐれも殿下の前で、粗相だけはなさいませんように」
もう! 会話に一々、チクチク嫌みも入れてくるのよ! トーヤ様はそんな事、なかったのに〜!!
「しかし何故、この時期に我々を向かわせるのでしょうね? ………………報告に、きな臭い物は無かったはずですが」
いやいや、リゼス様!? いきなり真っ黒発言、いや、危ない発言やめて下さいな!? 変なフラグなんて、立ってないよね? ね? 大丈夫だよね!?
「あたしは勇者だから仕方ないとしても、何でリゼス様が選ばれたんでしょうね? 何か心当たりあたります?」
面倒だから、話題を振ってみたんだけど、何故か睨まれた。ナンデヨ?
「……………残念ながら、分かりません」
視線を反らした上に、間があったんですけど? 別にいいけどさー。フランツ様が来たら、きっちり聞くけどね!
………………フランツ様、そろそろ限界なんだけど。早く戻って来て〜!
◇◇◇◇◇
Side:フランツ
はぁ、胃が痛い。
父上が胃薬を常備していたけど、まさか自分がその立場になろうとは………………。
「サキの次は、ショータか…………まあ、分かっていたけどね? 当たって欲しくない事もあると思わないかい? トーヤ」
「諦めて下さい、殿下」
ショータのやつ、まさかスザリオン王子を招くとは……………。あの王子、北の国で何と呼ばれているか、知っているんだろうか?
「知っていて、呼んでそうだな……………」
「何がですか?」
不思議そうなトーヤには悪いが、巻き込むからね?
「ショータ達だよ…………、トーヤも知っているだろう? 北の国の王子、鬼神殿を」
「知ってますが…………普通は知ったら、驚く出来事なんですが………ショータ様は、全く気にしていないでしょうね」
当たりだと思うよ、トーヤ。サキもショータも、見事に厄介事ばかりを引き当てる。いや、引き寄せてるのかも。次に、程々のをユーカとカズマかな? まあ、対処出来るだけ、ユーカとカズマがマシなくらいなだけで。四人が四人、見事に問題を抱えてくれる。今はイッシン殿も居るんだから、胃が更にキリキリと……………。
「ふぅ、スザリオン王子が来るまでに、客室の準備を頼む、それと道中の宿屋の手配だ」
「分かりました、確かに野宿をさせたなど、我が国の威信に関わりますからね」
はぁ、また胃薬を飲まなくては。そこで端と気付く。そういえば、カズマから新薬に必要な、薬草の手配の確認が来ていたなぁ。
「トーヤ、すまんがギルドに連絡を頼む、薬室から薬草の手配を頼まれていたのを忘れていた………」
「分かりました」
リゼスを残したのは、自分が居なくても上手く回せるからなのだが、やはり2週間もの不在は、後回しにされるような書類だらけだ。緊急書類は、兄や弟に回したが…………、はぁ。今日の書類の量は、ヤバイかもなぁ。
そろそろ、隣室の二人にも行かなければ。疑問等も出ている事だろう。
◇◇◇◇◇
「さて、何でこうなったのか、誰か説明してくれないかな……………?」
隣室から、フランツ様が来たのはいいんだけど、あたし達二人………正確には、あたしと、あたしの首根っこを掴んで、持ち上げている樹英様を見て、困惑気味にこっちを見てる。後ろに居たトーヤ様は、めっちゃいい笑顔で、肩を微妙に震わせているし…………。隠せてないよ? トーヤ様。
「ちょっと、お茶目なジョークを………イタッ!?」
『何を言っとるか! あれがお茶目なジョークで済むなら、法など要らんわい!』
何故か説教、いや、絶叫? されてしまった……………。
「えーっと、とりあえず説明してくれないかい?」
苦笑いしてるフランツ様に、斯く斯く然々と樹英様が説明を。
「つまりは、サキ殿がリゼスの態度に思うところがあって、イタズラをしようとしたら、危険行為と判断して、貴方様が止めた………であってるかな?」
うん、概ね正解かな?
「イタズラだから、危なくないのに……………」
ふてくされて、不機嫌丸出しのあたしに、男連中は肩を震わせて静かに笑っていた……………。くぅ! 樹英様に捕まってなければ、あたしが仕返ししたのに〜〜〜〜〜!!
「主は反省せい!」
「ぶー!」
ふてくされると、ため息と共に、あたしは放された。ふんっだ!
「ククッ、話を始めたいんだが、いいかな?」
とりあえず、椅子に座って、頷いておく。勿論、切り替えましたとも。先程までのと、フランツ様も空気が変わったから。
その姿に、リゼス様は驚いていたけどさー? さっきまでの冷やかな視線は、どこ行ったのよ。
「まず、二人には、西の街道にある中規模の町、アンケルに行って欲しいんだ、秘密でね」
おや、隠密になれってかい? 珍しいわね、フランツ様がこんな依頼をするなんて。
「それなら、あたしじゃなくて、他の皆でも良かったのでは?」
観察するかのように、フランツ様を見たら、あれ? 何でか遠くを見ちゃったんだけど!? 何かあったの?
「あー、うん………確かに、ユーカやカズマでも良かったんだけど、あの二人は基本的に、人を疑わないし……………ショータに任せたら、どんなトラブルを引き寄せるか心配だし……………、秘密で動けるし、自分でトラブル解決が出来る、サキが一番適任かなぁと」
何だか、ちょっと複雑なのだけど、仕方ないのかしら? だって、あまりにアリアリと浮かんだもの。あの3人が、トラブルを次々引き当てる未来が!
まあ、あたしもかな? トラブルが来るのは、勇者になってからは更に増えたけどさ。
「あたしなのは、分かりましたけど、何でリゼス様なのかしら? ファイさんや、双子、ブラオさんでもいい訳でしょ?」
そう、わざわざ、勇者の侍従以外を使う必要はないのよ。新しく3人程、入りそうってファイさんが複雑な顔をして報告してくれたけどね。彼は、和磨くんがあまりに、手がかからないからだろうけど、実家のゴタゴタに巻き込まれていたみたいね。あたしが帰って来て、嬉しそうな顔だったから、ゴタゴタは解決したらしいけど……………何か違う気がするのは、あたしだけかしら?
「リゼスにするのは、あそこにはリゼスが行った方がいいからだよ」
「え? どういうこと?」
行った方がいい、って随分、曖昧な事を言うのね? 解釈しかねて、あたしも思わず首をかしげてしまう。
「あそこの権力者は、リゼスの一族には頭が上がらないんだよ」
とても素晴らしい笑顔で、腹黒い事を言ったフランツ様に、流石に顔が引きつった。おいおい、だからと言って安全とは言えないわよ!? 保身の為に消すのは、権力者の常套手段なんだから! 向こうでは良くあった事なんだけどさ。陰陽師に力を借りようとする馬鹿は、どこにでも居るからね。
「いや、アンケルの町がある場所を、領地に持つ伯爵は、関係無いのは証明済みですから、安心して下さい、リゼスはあそこの辺りに詳しいから、大丈夫ですよ」
こんどは、トーヤ様からフォローが来たけど、肝心な事を聞きそびれていた事に気付いたわ。
「そうだわ、あたしは勇者として行くの? それとも秘密にしたいなら、変装とか?」
そう、さっき言ってたわよね? 秘密で行って欲しいって。なのに、そっちは何も言わないから、気になっていたのよね〜。
答えてくれたのは、フランツ様。
「勇者と王子の側近とバレたら、犯人がどうするのか分からないからねぇ、秘密で動いて欲しいんだよ、勿論、仮の身分証は此方で用意するから、安心してね? 協力者も用意しておくし」
いやいや!? ちょっと、それは何処も安心出来ないわよね!?
「仮の身分証って、どういう事!? 本当に何に巻き込む気よ!」
そもそも今更ながらに気付いたんだけど、フランツ様は、あたし達に何をさせたいのか言ってない。他の付随項目は言っていたと言うのに……………。
「アンケルの町は、主要街道にあってね、そこが変な集団の寝城になってしまってね…………一掃しようにも、そいつらは上手く町に溶け込んでしまって、追い出すのも無理な状態でね、何か証拠を掴んで一掃が望ましい」
あー、それは、皆には無理かもね。あたし達、陰陽師は感覚的に人を見る。善人が悪さをしていないなんて、ある訳ないのだから。人間の裏の顔を見てきたんだから、嫌でも人を疑うわ。
………………こっちに来てから、ちょっと不安だけどね。だって、温かいんだもの、ここは。
「分かりました、何か準備が必要なものは?」
「特には、あ、契約しているバックですが、平民が持っていても、怪しまれないように、偽装を」
トーヤ様よりの注意に、素直に頷いておく。確かに、契約している無制限収納バックは、シンプルだけど庶民の中では浮いてしまうわ。
「了解、んじゃ、部屋に戻るわ」
準備もあるし、長居は禁物。さっさと廊下に出たけど、困った。時間が出来ちゃった。何処に行こうかしら?
何て呑気に考えていた、次の瞬間。
―――――――ズキンッ
「………ッ!」
胸元を右手で押さえて、左手で壁に手をつく。
『主人!?』
樹英様の悲鳴に近い声が、あたしの耳を打った。
お読み頂きまして、本当にありがとうございますm(__)m
少々、間が空いてしまいましたが、ようやくサキちゃん視点に、帰ってきました! 何やら起きたようですが、詳しくは次回をお楽しみに☆
リゼス様の性格を、上手く掴めていないような気がします。これから色々と、活躍してくれるでしょう♪
では、また次回、お会いしましょう!




