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閑話 翔太と優香の国境戦( 4)

次回は2月1日更新予定です。


さあ、魔物殲滅作戦が始まった。

俺とスザリオン王子は、魔物の集団に上級呪文をたたき込む役割だ。残りの集団は、優香率いる合同騎士達により、駆逐する予定だ。

勿論、俺達二人は、呪文が終わり次第、駆逐に参加予定だ。


「スザリオン王子、魔物のど真ん中をお願いしますよ」


冗談めかして隣のスザリオン王子に言えば、真剣な顔で、魔物達の群れに視線を向けていた。何か、鬼気迫ると言うか、怖いくらいの気迫を感じるが…………勇者といえど、まだ10歳位の子供だよな? 妙に、ちぐはぐな印象を受けるんだよなぁ、スザリオン王子からさ。


「勿論です、人間に害為す獣風情に、僕が遅れを取るなんて、あり得ません!」


……………うん、ヤル気は十分のようだ。内容が10歳の子供にしては過激過ぎるが。


「んじゃ、始めるぞ?」


俺は深呼吸の後、魔力を高めていく。今回は、広い草原に魔物が出ているので、横長に殲滅系の魔法を使うつもりだ。


『我、古の契約に従い、願いを乞う

千成る数多の光の元

我等に許されし、神の光

神の身元に許された、古の契約に従い

今ここに新たなる契約を結ばん

終焉の闇はここに晴れ

許され足る光の祝福は、闇を光に帰す

最後の光よ、汝、汝、汝、契約を結ぶ時

我等は一時、神の慈悲深さを知るだろう

今ここに、最後なる光よ、大地に祝福を与え給え!

極光千華(スプレンドーレ・カローレ)!!』


久方ぶりの、ムネリア仕込みの魔法だ。詠唱が長いのは、それだけ威力が高い事を意味する。だから、普段は使わねーんだが。今回は仕方ねーよな?

今更だが、俺達が居る場所は、草原が見渡せる絨毯の上だ。仕方ねーだろ? この辺りに、高い場所がねーんだからよ! だから国境になってるって、後から聞いて苦笑いしたよ。マジで何もねーからな。この辺り一帯さ。

おっと、話がそれた。

俺が唱えた呪文により、空に巨大な魔方陣が幾重にも重なって展開される。よくアニメとかに出て来る、あれだ。俺とて、ムネリアで初めて見た時は、滅茶苦茶に興奮したもんだ。周りには笑われたり、馬鹿にされたが、魔法無しの世界で生きてきた人間だぞ? 普通は驚くってーの!

………………すまん、また話がそれた。

魔方陣は、展開されると、一番上に展開した魔方陣は、光を充填し始める。この光が、魔方陣の中心で限界を超えるまで行くと…………一気に投下されるんだ。触れただけで蒸発しちまう、危険な光が。

因みに、なんでこんな危険な呪文を、勇者の俺が覚えているかって言うと、前の世界じゃ、必要だったから、なんだよなぁ。だってさ、魔騎兵を倒す為に必要だったんだよ。このシャレにならん威力の魔法がさ。それを魔騎兵に3コンボすると、奴らは耐えきれなくて瓦解するのだ。


「さてと、そろそろだな………3、2、1、…………ジャッチメント、てな?」


離れた場所には、魔物が一列で行進してるわけだ。そこに、俺の魔法が光線よろしく、投下されたら……………威力は押さえておいたとはいえ、半分は消し飛ぶって訳さ。爆発が続いてるから、まあ、うん。成功だな。

…………………仲間達を、離れた場所に置いて正解だな。ちょっと威力を見て、自分がビビった。なんつーか、俺、色々馴れてしまったんだな。ムネリアに…………。近くに咲希が居たから、余計に感じるわ。俺も非常識の仲間入りかぁ。

……………怪物に片足突っ込んだよな?

黄昏ちまった俺に、スザリオン王子はキョトンとしてたが、関心は直ぐに爆発の方へ向かったようだ。


「ショータ様、終わったなら、次は僕がしていいですか?」


何か分からんが、ゾクッとした。

目の前のスザリオン王子は、頑張ると意気込みを込めて、ガッツポーズをしてる。目はキラキラ輝いているし。

おかしいな? ここには俺と、スザリオン王子だけしか、居ないんだが………………?

つー事は、だ。今の寒気は、こいつから………………?

見てくれだけなら、あり得ないよな?? 本当に、マジ、この子なんなの? 只の王子にしては、違和感バリバリだしー?


「俺は終わりですから、次は………あそこを狙って下さい」


俺が倒したのは、後ろの半分に届かないくらいか? 一列の半分より後ろの、体が大きかったり、足が遅い奴等が消えた訳だ。次は先頭集団を狙うのが、一番良いだろう。その理由は、先頭が気付いて無いからだ。このまま街に行かれても困るしな。


「分かりました!」


意気込みは良いが…………大丈夫か? かなり残ってるが。


「魔物如き、この私が殲滅してやります!」


だから、何でお前は過激なんだよっ!? 最初の年相応な姿といい、立派な王子の姿といい、最後は過激な闘争心といい、この年の王族は、こんな奴ばかりなのか? 俺は本気で北の国を心配するぞ!?


「よしっ、この呪文にしよう!」


何やら、自分の中で、使用呪文を決めたらしい。……………俺の中には不安が、ムクムク成長中だ。あ、絶対やらかすパターンや、コレ…………。


「因みに、何の呪文を…………?」


恐る恐る、聞いた俺は悪くない。被害を最小にすべく、年長者として、全力で止めるつもりだ!


「え? 僕が使える、最大級の風魔法で竜巻を…」


「却下」


やっぱりな。即答で却下したとも! 竜巻の魔法は、風で巻き上げて、風で切り刻み、落下させる魔法だ。風に耐性があると、マジで効かない。そのままどっかに落下だ。其方がマジで怖い…………。

相手は王子、相手は年下、身分はあちらが上! 忍耐だ、忍耐! 俺は年長者だ。年下に教えてやらないといけないんだ。


「スザリオン王子、それだと風に耐性がある魔物には効果が薄く、逆に、広範囲に散らばる可能性があります、考え直して下さいっ!」


仕方ないが、マジでよく考えてくれや。俺は面倒事はごめんだ!


「え?…………そっか、風では駄目なのか…………じゃあ、光魔法?」


おう、それなら物によっていいんじゃないか? 頭はかなりいいようで助かったよ。まあ、間違えたのは、経験不足や、俺の直前に見せた魔法とかだろうな……………。


「光なら、んーと、広範囲効果だから…………光の矢? 針だと威力弱いし………ナイフなら矢と同じ威力で同じ魔力使っても、更に広範囲に使えるかな?」


何やら考え込み始め、ブツブツ呟き始めるスザリオン王子。はたから見たら、怖いぞ?


「じゃ、それでやってみ………」


疲れちまった、俺。投げやりになったのは、勘弁してくれや。止めただけでも、かなり偉い事だろ?


「では、これでやります!」


元気いっぱいの宣言に、苦笑を返しつつ、ふと、スザリオン王子の姿に何か重なっているような、よく分からない不思議な感じがした。

本当、何なんだ? この王子様は!


……………はあ、とりあえず。


「優香達に連絡は入れとくか」



◇◇◇◇◇


Side:優香



遠くに離れていた私達からも見える程、巨大な魔方陣が現れました。


「いや〜、凄い魔法ですね〜!」


手を眉のところに当てながら、呑気な声で、キャメルさんが言います。


「初めて見る魔方陣ですが………」


遠目でもハッキリ見える魔方陣に、不思議な様子のアイリッシュさん。確かに、この世界には無い魔法です。驚くのも無理は無いでしょう。


「翔太くんですね、2回目勇者って言ってましたし」


あれだけ大きな呪文を、一人であっさり作り上げる翔太くん。本当に凄いです。ギルドランクSを貰える実力ですしね。私でも、あの規模は、難しいでしょう。

あ、でもでも、咲希ちゃんなら出来るでしょうか?


「流石、ギルドランクSの方っすね!」


ユニスさん、楽しんでますね。この状況を。

私達が今、居る場所は、国境と一番近い町の中間です。翔太くんは、楽になるようにと、半数以上の魔物を倒し、遊撃してくれる手筈になっています。魔物とは、20キロメートル程、距離を取ってますが、先陣が来るのは、時間の問題でしょう。


「ユーカ様、ショータ様から連絡です」


レイヴァンさんに渡されたチャンネルには、翔太くんの顔が映ってます。けど…………、何でゲッソリしてるんでしょうか?


『あー、優香か? こっちは順調、だと思う……………次はスザリオン王子がやるから、それが終わったら攻撃開始でヨロ』


「えっ、あ、うん、分かった…………翔太くん、大丈夫? 何だか疲れてるようだけど………」


心配になって聞いたら、翔太くん、ますます疲れてしまったような……………。もしかして、私、余計な事を言ってしまったでしょうか?


『あー、すまん、顔に出てたか? ちょっと気になる事があってな』


何でしょう? 翔太くん、苦笑してますけど、目が鋭いような…………。


『んじゃ、そっちは頼んだぞ?』


「うん、任せて」


そのまま、翔太くんは通信を切りました。


「どうかしましたー? 何かありました?」


近くに来たキャメルさんに、心配されましたけど、大丈夫と答えて、ここからだと、光の雨が降っているように見える空を見上げました。

さあ、私も行かないといけません。私の後ろにいる皆さんに、向き直った私は、覚悟を持って、自分が出せる一番大きな声で、宣言します!


「さあ、皆さん! 合図が来ました! これより、魔物の討伐を開始します! 一匹たりとも、取り逃しがないように、参りましょう!」


こっちは頑張るからね、翔太くん。


読了、お疲れ様でしたm(__)m

いつもお読み頂きまして、ありがとうございます!


本日は、別名、翔太の子守り?です。翔太に子守りは、任せるもんじゃありませんね(;^_^A しかし、スザリオン王子、一体何者? 作者は書いていて、違和感バリバリでしたよ? どれが本当の君か、作者でさえ謎でした。ウフフ、次回はがっつり戦闘シーン! 翔太が風になります☆


では、次回にお会いしましょう〜♪


尚、感想、ご指摘、コメント等、いつでもお待ちしております♪ ただ、秋月はメンタルが強い訳ではないので、優しく書いて下さると、嬉しいです☆

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