表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/292

特別閑話 現代のクリスマス( 2)

2日目も、張り切って参りましょう! こんなクリスマスもいいですよね?

12月20日、クリスマスパーティー当日


Side:翔太



いよいよ来ちまった。クリスマスパーティーが!


「なあ、親父…………俺、場違いじゃねぇ?」


「おいおい、お前は俺の息子だぞ?」


茶目っ気たっぷりの親父に、頭痛がする。良い歳した男がするもんじゃねーだろ。


「分かったよ、しっかり社交するから、フォローは頼んだぜ」


「任せとけ、息子よ」


俺と親父で、グーにした手をコツンと合わせた。親子の挨拶だしな、格好良いだろ?


「…………さぁて、紳士的に行きますか」


まさか、勇者召喚がこんな形で役に立つとは……………。

そんなふうに考えていたら、あっという間に会場に着いた。懐かしく思う位には、馴染んでいたんだな、俺。とあるホテルの一角を貸し切りにした、煌びやかなクリスマスパーティー。社交している人々は、美しく着飾った上流階級の人達だ。

はぁ…………あの胃に来る会話を始めるのかぁ。肉食いてー………。


「おや、天宮さんじゃないですか」


会場に入って早々に、誰かに捕まった。恐らく、親父の知り合いだ。


「おや、これはこれは――――」


親父? 主催者に挨拶はどうしたよ? 周りが親父に挨拶した野郎を、冷ややかに見てるの、気付いてないのか? 主催者に挨拶は礼儀だろうよ。


「ご歓談中、大変申し訳ありませんが、おや……、父さん、主催者に挨拶しないと」

そうぶったぎってやれば、親父も気付いたらしく、苦笑いして、別れる事が出来た。その人から離れてから、何故かウインクされた。


「助かった、翔太…………あの人は、マナーがなっていなくてなぁ、さぁ、主催者はあそこだよ」


どこにでもいるんだなぁ。なんて思いつつ、親父に着いて歩く。勿論、なるべく優雅に見えるように、だ。社交は戦い、流石に親父の足は引っ張りたくない。


「本日はお招き、ありがとうございます、白鳥院長」


親父に合わせて、頭を少し下げておく。白鳥院長て人が、今回の主催者か。チラチラと見て、頭に叩き込んでおく。本当、異世界の社交より温いのが助かるぜ。


「おぉー、誰かと思えば、天上さんじゃないですか! 久し振りですが、お元気そうで」


白鳥院長と呼ばれたのは、70歳前後の元気なじーさんだった。ほう、こういう御人は気を付けないとな。


「何を言いますか、院長こそ、未だに現役で活躍中だと、私は伺っていますよ」


親父、珍しく真面目だな。家で見たことねぇや。


「其方に居るのは、息子さんかい?」


おっと、いつの間にか俺の話になっていたようだ。気を付けねーとな。


「ええ、高校に上がりましたので、ご挨拶をと思いまして、翔太、ご挨拶を」


さあ、異世界帰りの勇者、実力みせたるぜ!


「初めてお目にかかります、息子の翔太と申します、本日は素敵なパーティーにお招き頂き、ありがとうございます、あの御高名な白鳥院長とお会い出来て、光栄です」


しっかり言い切ったぜ☆ 事前に、白鳥院長や白鳥家は調べておいた。ネット様々だぜ!


「ほう………しっかりした息子さんだ、それに良い目をしている」


流石にびっくりした。息を忘れた程だ。まさか、あの時と同じ事を言われるとは……………。


「どうかしたかい?」


「い、いえ、以前、知り合いに同じ事を、言われた事がありまして…………」


焦った。顔も笑顔が剥がれたと思う。流石、現役の院長。人を見ていやがる。


「そうかい…………そうだ、うちにも同い年の孫が居てね、良かったら仲良くしてやってくれ」


このパターンは、あれだ。気に入ったから、孫娘のお相手にでも…………前の世界では、断るのに苦労したなぁ。どうやって断っぺ?

なんて、考えていたら、現れたのはタキシードを着た少年だった。あ、そっちね?


「翔太くん、孫の和磨だ」


「初めまして、白鳥和磨です」


「此方こそ、初めまして、天上翔太です、宜しく」


めっちゃ好青年じゃねーか。ニッコリ笑ってるし、な。目が興味津々とこっちを見てるのは、若い印ってか。こういうヤツは、俺の仲間にも居たな。真っ直ぐで、揺るぎなく、自分の道を歩むヤツだった。


「ここはいいから、二人で話しておいで」


好々爺とした院長は、ご満悦だろう。俺は、ありがたく親父から離れた。こういう場は、好きじゃないんだ。親父、悪く思うな。



◇◇◇◇◇


Side:咲希



とうとう来てしまった、パーティー当日。まさか当日に、討伐命令来るとは思わなかったわ……………。


「竜一………やっぱりあたしは、討伐に―――――」


「ダメだよ、咲希? 僕は次期当主だから、このパーティー出ないといけないからね」


竜一、良い笑顔で言う事じゃないわよね? だって今、パーティー会場真前の会話なんだから!


「…………着物が良かった」


ポツリと呟きましたよ。今日は希望を叶えて貰えず、青みがかった綺麗な水色のドレスだ。膝丈の裾なんて、恥ずかしいわ…………。髪は結い上げて貰った。今日は寒いから、青みがかった白のショールを羽織ってますとも。良い品だから、ラメでキラキラ輝いてます。


「似合ってるよ、咲希」


だーかーらー!! 一々、その甘くて恥ずかしいセリフを言わんでいい!


「〜〜〜〜〜っ! り、竜一! さっさと行くわよ!」


「あ、咲希! 待ってよ〜」


因みに、あたしと竜一の他に、竜一のお父さん、当代当主様が先に会場入りして居る。依頼でごたついた………あたしが行こうとして、揉めたんだけど…………仕方ないから、先行して下さったのだ。


「まずは、当主様を探そうか」


「うん、父様は………あ、居た!」


まずは、保護者に合流してから、主催者に挨拶しないとね。ところで、何か視線が煩いんだけど? 何かあったの?


「さあ、行こう、咲希」


「え、えぇ」


何か起きそうなんだけど。とにかく当主様と合流し、白鳥院長に挨拶しに行く。うちは何かとお世話になるからね、ここの病院。うちの流派の陰陽師達の、掛かり付けなのよ(笑)


「お久し振りです、白鳥院長」


「おー、鬼凪院家当主殿じゃありませんか、此方こそ、お久し振りです、今日は来て頂いて、ありがとうございます」


「此方こそ、お招きありがとうございます、今日は息子と、婚約者の二人も来ております」


「お久し振りです、白鳥院長、息子の竜一です」


「お久し振りです、婚約者の天城咲希です、お招きありがとうございます、白鳥院長」


それぞれ、丁寧に挨拶していたんだけど、やっぱり視線が煩い。あたし、何かしたかしら? 本当、心当たり無いんだけど。

そんなあたしの視線に気付いたらしい白鳥院長。流石よね。


「あー、この視線は、恐らくドレスだろうね」


ヒソッと教えてくれた院長に、ようやく納得だわ。誰かと被ったかしら? 主催者側と被らないようにするのが、マナーだから、今日は青になったのだもの。


「ほら、あそこの桐生家のご令嬢が、同じようなドレスだったから、それでじゃないかな?」


………………アホだろ、そいつ。主催者と被らなければ、参加者とは被ってもマナー違反にはならないわよ? 寒いからショールもオッケーだし。


「マナー違反でしたでしょうか? 本日は赤が多いと思いましたが」


実際、今日の参加者は、赤や緑色、黄色が多い。院長のご家族は白やベージュのドレスだし、被らないと思ったんだけど。


「いやいや、お似合いだよ、咲希さん……………そういえば、末孫の和磨とは初めてだったね、良ければ仲良くしておくれ」


「はい、ありがとうございます」


この後、少し雑談をし、主催者さんから離れた。ふぅ、あの院長さん、気が抜けないのよね…………。息子の部長さんの方が、まだ気兼ねなく話せるのよね。あの方は、裏を含ませるなんて、まーったくしないから。


「さて、主催者に挨拶も終わったし、挨拶回りしようか」


竜一、本当に次期当主として、頑張ってるわね。あたしも頑張らないと。赤い糸が、結んだ縁だもの。


「でもその前に、少し軽食と行こうか……………お腹空いたし」


「竜一? 来る前に、食べたわよね?」


たしかしっかり食べていたと思う。来る前に。


「ほら、僕、成長期だから(笑)」


いやいや、それで納得するには、食べ過ぎていたと思うんだけど? あたしの、じと〜んとした視線に、さりげなく竜一が視線をそらす。


「あー、うん、料理が美味しそうだから、お腹空いてきちゃって………」


……………流石、成長期。竜一、最近は身長が伸びて来ていて、今では頭一つ分違うし。まだ食べる余裕があるんだから、凄いわ。あたしは、摘むくらいしか出来ないわね。


「分かった、少し摘みましょうか」


向かったところには、美味しそうな料理達。流石、白鳥家主催クリスマスパーティー。デザートまで、とても手が込んでいる。ウフフ、美味しそう!


「あら、あそこに居るの、白鳥さんのお孫さん、よね?」


先程、遠目に見かけた、確か………和磨さんだったか? 隣で話してる、がっちりした体格の少年………青年と、楽しそうに会話している。今日が初めての顔だから、すぐに分かったわ。確か今日は、天上さんが息子さんを連れて来たとの話だから、彼がそうなんだろう。


「へー、面白い組み合わせね」


思わず呟いた。竜一ったら、ディナーを取りつつ、普通に会話に入って行っちゃったわ…………。あ、呼ばれた。あたしもまざるの?


「ごきげんよう、皆さん、竜一さんの婚約者で、天城咲希と言います、白鳥院長にはお世話になってます」


仕方ないから、あたしも入りましたよ!


「宜しく、咲希さんでいいかな?」


「ええ、和磨さんとお呼びしても?」


「構わないよ、此方は天上翔太くん、同い年なんだ」


「宜しく、翔太って呼んでくれ」


こうして、私達は話すようになった。同い年だからって言うのもあるんだけど、皆、学区が近くだったの。それで仲良くなったわけ。

でも、やっぱり厄介事は、あたしを巻き込んで下さったわよ!


読了、お疲れ様でした。

2日目、楽しんで頂けましたか?

今回は張り切り過ぎまして、明日は2回投稿です☆ ちょっと寝不足気味なのは、ご愛嬌で(笑)


さて、本日はイブですよ? 皆様は何方と過ごしますか? 家族、恋人、友達、お一人様………色々ありますが、今日と言う日が、皆様にとって素敵なものでありますように。


では明日、2回投稿でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ