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閑話 翔太と優香の国境戦( 1)

12月21日は、夢渡りの姫を更新します。なお、23日よりリクエスト話を更新しますので、ご注意下さい。

Side:翔太



エルフの使者を(もてな)す、パーティー最中に起きたハプニング。

俺と優香は、国境付近に出現した魔物討伐の為に、勇者の侍従になった、ジークとローグ、未だに候補つーか見習いのレイヴァンの3人を含めた、青の第3部隊の騎士達と共に、早朝から絨毯に乗ってる。


「まだかかるのか?」


既に、日は頂点に達してるんだよ。朝から休憩は最小限にして、かなりの時間を空で過ごしてる。


「国境までは、絨毯で飛ばしても、3日かかりますから」


「まだまだ、かかりますよ、ショータ様」


とは、ジークとローグだ。こいつらは、俺達勇者と一セット扱いだからな。優香とレイヴァンも、勿論一緒だ。


「マジかよ…………暇過ぎる」


「翔太くん、皆が見てるから、真面目にしてよ!」


なんて、ぐだっとした俺に、優香が注意して来るが、俺にとっては何処吹く風だ。


「真面目って言われてもなー…………何かねぇーかな、暇潰し」


勿論、冗談で言った事だぜ? 実際、メチャクチャに暇なんだから、仕方ないだろ?

騎士の奴らは、作戦立てたり、色々確認したり、仕事してっけど、俺には、やる事なーんも無いからさ。


「そんなにも暇なんだ…………時間潰しならあるけど、する?」


呆れたような優香だが、暇潰しがあるなら、やろうじゃないか! 他の奴ら、勇者の侍従達は仕事してっし、俺だけ暇なんてさぁ。


「はい、これ」


優香がそそくさと出して来たのは、何かの本、と紙の束。うん? なんだい、これは。


「フランツ様から、翔太くんが暇なら、させといてだって」


オイオイ……………。しっかり、読まれてるじゃねーかよ、俺の行動が!! フランツはエスパーか!?


「何々……………はっ〜〜〜!? オイオイ、マジかよ」


本は、中級魔術の本。紙は見事に、問題集……………。読まれてる、俺がまだ、中級魔術を覚えてない事に!! フランツには言ってなかったはずだ……………。誰だよ! バラしたのは!!


「翔太くん、一人寸劇は終わった? まだまだあるから、頑張ってね?」


優香…………それ、笑顔で言う事じゃないだろ。どう考えても、フランツに何か言われたんじゃないか?

まあ、やる事が出来たから、俺は真面目にやるよ。これぐらい、3日で終わらせてやらぁ!!


……………………………


……………………


……………


……


…。


朝が過ぎ、昼が過ぎ、夜になり、寝た後には、また朝が来て……………3日間の勉強会は、あっという間に終わったよ。気付けば、国境付近にまで来てたんだよ。スゲーよな☆ お陰様で、中級魔術は覚えたぜ〜♪


「翔太くん、凄く喜んでるところ、本当に悪いんだけど、まだあるんだけど……………」


言いづらそうに、優香が新たな本を出してくる……………。おい、一冊じゃないのかよ!? 問題集だって、何回もやってキチンと覚えたんだぜ!?


「そ、そんな……………」


「えっ!? 翔太くん!? 大丈夫? もうすぐ国境付近だから、勉強は帰りでいいんだよ?」


あわあわとしてる優香にゃ悪いが、俺は地味に傷ついてるんだ。ほっといてくれ!


「あ、ショータ様、一度下に降りるので、片付けて下さいね」


「下ではお勉強出来ませんから」


ジーク、ローグ、お前等な!? 俺への対応が、優香とまーったく違うんだが!


「自業自得かと………」


ボソリと呟くように言ったのは、ジーク。畜生、こいつら〜〜〜〜〜!!


「さあ、ショータ様、行きましょう、皆様、待っていますよ」


レイヴァン、親切心からの言葉だって分かるんだが、この心のイライラが治まらないんだよ!!



◇◇◇◇◇



取り敢えず、絨毯を降りて、国境付近へ向けて、歩いていく。やはりと言うべきか、騎士の奴等は慣れているからだろうな。山道というか、獣道をサクサク進んでいる。

ここの国境は、森の中にあるんだ。だから、道なんて物は無い。獣道を歩くだけってさ。方角はきちんと確認してるから、迷う事はねーし、待ち合わせ場所も分かるから、本当に魔法は便利だよな。


「優香、へーきか?」


今回は、女性騎士も数人来てるが、彼女達は慣れているようで、息も乱していない。だが、優香は慣れていないようで、肩が大きく弾んでいる。大丈夫か? 休憩はまだ先なんだが。


「だ、大丈夫、だよ……」


息きれてんじゃねーか。なのに、無理して大丈夫なように振る舞ってる。多分、周りを気にしてるんだろうな。

でもさ、咲希みたいに、式神使えねーからな、オレ。優香は体力的に、どうしても劣る。咲希は能力でカバー出来っけど、優香にはそういうのがねぇからな。ま、そういうのが、自分の力でカバー出来たら、今までよりも一皮向けた成長を見せるだろうがな。


「優香、しんどいなら、絨毯にでも乗ったらどーだ? ここで体力消耗はまずいだろ」


心配からかけた言葉は、残念ながら優香じゃなく、レイヴァンが返してきた。


「ショータ様、森の中での絨毯飛行は、禁止されています」


超真面目なお顔でのセリフか? 思わずツッコミ入れたくなったぞ?


「こういう場所は、絨毯が傷付きやすいので、お勧めしません」


一応、考えられていたようだ。だが、優香はまずいだろ。これから討伐があるってーのに。


「でしたら、ユーカ様、騎士の者達数名と、絨毯で先回りしては如何でしょう?」


レイヴァンの提案に、俺の中で疑問が生まれる。おいおい、もしかして森の中を行くのは、何か理由があったからなのか? 確かに俺も不信に思ったよ? 何かあるんだろって、俺が思うのも仕方ないよな!?


「それがいいでしょう」


「女性騎士と先に行ってて下さい」


「「森の監視ですし」」


ジーク、ローグ! 何か、これはそういう意味であって、いや、確かに大事な事だが、でもな!? 優香に無理をさせてまで、する事じゃないなら、先に言えよ!?


「でも…………」


不安そうな優香には悪いが、これは優香が居なくても問題ないな。騎士の奴等、地理の把握とかも兼ねてるだろうし、魔物との戦いだから、慎重に行動してるだけなんだろう。


「優香、いいから先に行け、んで先回りして、安全確保してきてくれ」


俺に言われて迷ったようだが、足手まといには、なりたくないんだろ。女性騎士達と一緒に、絨毯で先に向かってくれたようだ。まあ、あっちは大丈夫だろ。


「ショータ様はいいのですか?」


レイヴァンは不思議そうだが、あの優香と一緒に行った面子と、俺が一緒とか、絶対に無理だ。


「あぁ、俺はこっちでいい、体を温めておかねぇーとな?」


3日間も、勉強してたから、体が鈍ってるんだ。少しは運動しないとな?


「確か、サキ様が、こういう状態を、ノウキン?とか言ってましたが」


咲希〜〜〜〜〜〜!!??

レイヴァンに何を説明してやがる! 後で説教しておかないとなぁ、あいつも、何故によりにもよって、レイヴァンを選びやがった! 明らかな事故だろっ!?


「レイヴァン、その言葉は、汚い言葉だから、人に使ってはいけないんだよ、分かったな?」


俺が説明してやれば、レイヴァンはギョッとしたようで、急に畏まってしまった。


「知らぬ事とは言え、そのような言葉を使ってしまうなど…………、申し訳ありません!!」


いきなりガバッと頭を下げたレイヴァンに、めっちゃ引いた。何でこんな事に!? 俺はただ教えただけだぞ。


「レイヴァン殿」


「ショータ様が困ってますよ」


ジーク、ローグの二人、何時の間にかレイヴァンの扱いを学んだらしい。苦笑いが、俺には悲しいところだが。


「しかし、勇者様に失礼を働くなど……………」


納得してないな、レイヴァン。仕方ないか。根が真面目な奴だからな。


「気にすんな、知らなかったんだからな」


ニコッと笑ってやれば、まだ納得はしてないが、ホッとしたようだ。レイヴァンのヤツに、変な事を教えた咲希には、後で説教だな!


「さーて、国境まで、後少しか」


何も起きない…………なんて、あるわけねぇーよな?



◇◇◇◇◇



結果で言えば、何も無かった。そう、国境に来るまで、なーんにも無かったんだよ。戦闘の一つも無かったしな。


「もしかすると…………」


俺の予想は、外れてくれるといいんだがな。


「翔太く〜〜〜〜〜〜ん!!」


遠くで手を振る優香は、先に向かっていたからか、すっかり元気になったみたいだな。女性騎士達とも、仲良くなったみたいで、良かった良かった。

さて、俺達は今、優香より後だが、ようやく国境近いところまで来たところだ。


「特に何も無かったよ? 平和な感じだし」


おや、優香も気付いていたか。


「魔物一匹いねーなんて、おかしいよな?」


「うん、それにね? ここ、見晴らしがいいでしょう?」


確認されて、改めて見渡せば、ここは草原だからか、遠くまで見渡せた。確かに、魔物一匹いやしねー。普通はありえねぇんだぜ? 草原には草原の魔物がいるんだ。そいつがいねぇのは、だ。


「こういう感は、当たって欲しくねぇーんだよなぁ」


頭をガシガシ勢いよく、掻き毟る。


「えっ!? 翔太くん!? 何やってるのー!?」


「「「ショータ様っ!?」」」


俺の名前を合唱しないでくれや………。まあ、呆れたお陰で、冷静にはなったがな。


「ここは国境近くなんだよな? 向こうの勇者ご一行が来るのは、もう少し先だよな?」


「は、はい………待ち合わせの場所は」


「もう少し先になります」


ジーク、ローグは、困惑しつつも素直に教えてくれた。やっぱりな、でも此方には好都合か?


「一体どうしたの?」


戸惑い中の優香には、まだ分かって無かったか。


「あのな? ここらに魔物が一匹も居ないなんて、おかしいんだ…………つまり、だ」


そう、つまり。


「魔物は既に、何処かに集まっているんだ……………最悪の始まりだ」


もう、集団は出来上がりってか。流石、勇者だ。こんちくしょー!!


いつもお読み頂きまして、ありがとうございますm(__)m 読了、お疲れ様でした。


今回からようやく、ようやく! 翔太と優香ちゃんのお話へ行けました。ややおかしな点があるのは、ご了承下さいね(;^_^A


さて、今月末の更新は、不規則になりますので、下記に記入しておきます。勿論、詳しい内容は活動報告に書きますので、其方をご覧頂けましたら幸いです。


12月21日………夢渡りの姫


12月23日………天と白の勇者達(リクエスト話)


12月28日………間に合ったら更新


です。28日は、予想出来ないので、悪しからず(;^_^A


では、次回にお会いしましょう☆

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