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閑話 和磨の日常

次回は、12月7日更新です。

只今、年末リクエスト企画をしてますので、どしどしご参加下さいませ〜♪

Side:和磨



咲希さんはエルフの国に国賓として、翔太、優香さんが国境付近へと、それぞれの事情により、出掛けてから…………僕は一人で、ドラゴン達の面倒を見ている。もう、3日程だろうか?


「ヒマリと、ヒスイは終わりだね」


この子達は、いいんだ。ヒスイは僕が担当だし、ヒマリは純粋に懐いてくれていい子だしね。サキさんに似てないくらい、いい子だよ(笑)

で、問題は………………。


「キュイッ!」


「キューキュー!」


「キュイキュイ!」


「キュッキュー!」


言い合いをしてる、アカネとカイトだよ。この子達、僕の言う事は聞くんだけど、属性が違うからね。アカネのご飯は、ファイさんにお願いしてる。火の純粋な魔力だからね、僕も助かってるよ。


「さて、カイト、待たせてごめんね、ご飯を貰いに行こうか」


氷属性は、僕も周りも今は居なくて、持っている魔術師の方に、今回はお願いしてるんだ。エンシェント・ドラゴン様には、きちんと許可を貰ったから、大丈夫だけど。今回は、ヒヤリとしたよ。


「それじゃ、ご飯に行こうか」


「キュイー!」


嬉しそうなカイト、勿論、事情も知ってるから、その反応には、苦笑しかないけど。部屋から出て、咲希さんのいつも居た魔術師達の仕事先へ。


「こんにちは、リリーさん居ますか?」


室内には、複数人の魔術服を着た職員達が、仕事をしていて、いつもながらに忙しそうだ。


「リリーさんなら、今の時間、2番室に居ますよ」


親切な方に教えてもらい、丁寧に礼をしてから、教えて貰った数字のプレートのかかった部屋を探す。実は魔術師の方々は、数字の部屋が割り当てられている。それぞれに室内に設備があり、数字が大きい程、新しい機材があるので、若い数字を使う人はあまり居ない。壊れている機械の部屋もあって、そこは書類を書く場所になっているんだ。


「失礼します、リリーさん、居ます?」


ノックして入った2番の部屋には、青みが強い銀髪の女性が居た。振り返った彼女は、優しい顔立ちで、美しいより、可愛らしい方なんだ。着ているのは、中級を表す青い魔術服。それすらも彼女が着ると、上品なドレスに見えてしまうから、不思議だ。


「あら、カズマ様、もうカイト様のご飯の時間でしたか」


室内に備え付けてある時計を見ながら、僕に問い掛ける彼女の声は、涼やかだけど温かい響きのもの。


「うん、忙しいのに、ごめんね、リリーさん」


「いいえ、大丈夫ですわ、そろそろ休憩のつもりでしたから」


ニッコリ優しく微笑む姿は、大人びて見える。歳は実は、僕と変わらないんだけどね。


「それでは、カイト様、ご飯にしましょうか?」


優しいリリーさんに、珍しくカイトも素直に懐いてるんだ。僕も今はホッとしてるよ。

このまま、リリーさんと雑談しながら、カイトにご飯を与えていると、廊下からバタバタした音が。多分と言うか、僕とリリーさんには誰が来たか分かったからか、お互い顔を合わせてクスクス笑い合う。

と、扉がバンッと勢い良く開かれた。


「もうっ! リリー!? 私にも連絡しなさいと申したはずですわ!?」


既に恒例となったから、僕もリリーさんも、驚いてすら居ない。だって3日も続いたら、ねぇ?

現れたのは、肩で息をした、赤い髪をツインテールした美少女。歳は同い年だよ、僕とね。ちょっと気が強いけど、根は優しいからね。着ている服は、リリーさんと同じ、青い魔術師服。何だか幼く見えるのは…………いや、言わないでおこう。言わない優しさもあるしね。

そんな彼女は、キッと僕を睨み付けながら、リリーさんにビシッと指を向ける。人を指差したらいたけないんだけど、今更かな。


「リリー! 貴女、未婚の女性が二人きりで室内にいたら、何て言われるか分かっていますの!?」


そう、彼女は態度は怒っているけど、内容は心配してるもの。だから、ついつい、このツンな態度も許せるんだよね。彼女のあだ名は、烈火姫だし(笑) いい子なんだけど、周りがあまり見えてないんだよね。


「あのね、カディー? ここには、カズマ様の他にカイト様も居るのよ? 二人きりでは無いわ」


穏やかにリリーさんが説明してるけど、カディーさん、何故に僕を睨み付けて来るのかな?


「そんなの関係ありません! リリー、貴女、それでも伯爵令嬢でしょう!? もう少し、考えなさい!」


ビシッと本人は決めたつもりらしいけど、容姿とか諸々の事で、子供が意気がってるようにしか見えない。


「カディー、いつまでも立っていたら、カズマ様に失礼よ? さあ、此方の椅子に座って?」


優しく微笑んだリリーさん、有無を言わせぬ響きがあったようで、カディーさんは、ブツブツ言いながらも、素直に勧められた椅子に座る。


「カディー? 私を伯爵令嬢と言いますが、貴女とて侯爵令嬢でしょう?」


そう、色々突っ込み処満載だけど。カディーさん事、カディエンナ・トライトス侯爵令嬢が正式名称。侯爵令嬢がなんでここに居るかと言えば、彼女の属性が火と光だった事が原因。更に魔力が高いと言う訳で、強制的に魔術師の道が決まったそう。本人は楽しそうだけどね。


「あら、リリスティーナ・カレンディー伯爵令嬢の貴女には、言われなくないわ」


それでも、ツンのカディーさん。でも、頬っぺたが赤くなって、可愛いんだよね。


「リリーさんと、カディーさんは仲が良いけど、二人はどんな関係なの?」


そういえば、聞いてなかった。普段は、カイトが食べ終わる頃に、来ていたから。


「あら、話してませんの? リリー」


「そういえば、話してませんでしたね」


お互い顔を見合わせる二人。タイプの違う美少女だからね。一枚の絵のようだよ。


「私達は子供の頃からの、幼なじみですわ」


とは、カディーさん。だから、気安い感じがしたのか。


「領地が隣同士ですし、屋敷も近くにあらまして、家族一同仲が良いのです」


リリーさんも嬉しそうだね。貴族ともなると、大変と聞いたけど、こういう付き合い方もあるんだね。


「でも、祖父母も両親も、婚姻関係を築きたかったようですけど、どちらも結婚までいきませんでしたわ」


カディーさん、そのぶっちゃけ話は、ここで言っていいの!?

…………………取り敢えず、聞かなかった事にしよう。


「そういえば、カディー、私に用事でもあったの? 今日は随分と早かったから」


リリーさんの問いに、カディーさんは用事をしっかり思いだしたらしい。少しバツが悪かったようで、仄かに頬が赤くなる。


「〜〜〜〜〜!! そう、そうでしたわっ! 魔術師長様より、大変光栄な名誉を頂ける、その相談を受けましたの」


………………あれ? この流れって、もしかして?


「カズマ様、わたくしと、リリーの二人が、侍従候補に上がりましたの!」


やっぱり。でも、ふと疑問に思う。


「女性なのに、侍従なの?」


普通は侍女じゃないのかな?


「“勇者の侍従”は、女性も男性も、侍従なのです、侍女という役職がこの国にはありません、上級メイドと呼ばれる役職はありますけれど、男性の方も侍従という役職はありません、だから勇者の侍従という役職は、名誉職になるのですわ」


成る程、そういう訳だったんだ。


「そっちは分かったけど、二人はいいの? 好きな仕事が出来なくなるかもよ?」


勇者の侍従は、勇者が外出すると、同行しないといけないから、中には犬猿する人達も居る。まあ、名誉職だけあって、色々融通が効くし、他にも特典があるから、目指す人も結構居るけどね。


「あら、わたくしは大丈夫ですわ、だって攻撃魔術専門ですもの」


えっへんと胸を張って、自信満々に答えるカディーさん。体型が華奢でスラリとしてるから、子供が大人ぶってるようにしか思えないけど。


「へぇ、カディーさんは頼もしいですね」


「あ、あら! 褒めても何も出なくってよ!」


分かりやすい位に、彼女は顔を赤くしてる。何だか、面白いな。この反応。僕の周りには居ない性格だしね。


「リリーさんはいいの? 研究とかあるんじゃない?」


確かリリーさんは、治癒力もあるから、神官にと誘いを受けていたと、誰かが話していた記憶がある。今もとある新魔術の理論を、研究していると聞いてるし。無理に誘うのは、申し訳ないしね。


「私も問題ありませんわ、研究は私でなくても出来ますし、同性の勇者が居るのですもの、色々と活躍出来ると思いますわ」


ニッコリと微笑んだリリーさんは、とっても可愛らしいけど、今、後半に何か言ったよね?


「あれ? 侍従って、同性だけでやるものなの?」


リリーさんやカディーさんが入るって、確かに咲希さんや、優香さんは助かるよね? 僕達男性側は大丈夫だけど、女性側だと大変だもんね。


「普通、勇者様の侍従は、男女両方居るのですわ、同性だけで組む場合が殆んどですが、今回は男女の勇者様ですから、女性が居ないのは変なのですわ」


カディーさん、自慢気に話すけど、説明してるんだか、自慢してるんだか分からないじゃないか。


「皆が戻って来たら、相談してみるよ」


その後は、和やかに会話は進み、カイトも会話が雑談になるころ、満足そうに鳴いたんだ。


「キュイ、キュイ♪」


「お腹がいっぱいになったんだね、最近は食べる両も増えたし、ご飯の切り替えも、もうすぐだね」


何でも、ドラゴンの子供は、ある程度大きくなると、大地や空気中から魔力を吸うようになるらしいんだ。普通はもっとかかるらしいんだけど、勇者の魔力って、凄いんだって今更ながらに感じるよ。

と、ちょうど良いタイミングで、ノックが鳴る。顔を覗かせたのは、ファイさん。どうやら迎えに来てくれたらしい。


「カズマ様、お迎えに上がりました」


「ファイさん、ありがとう」


さて、僕は僕の仕事に戻らないとね。

本当、早く帰って来て欲しいよ、皆。平和な日々が続くとは、限らないんだからさ。


いつもお読み頂きまして、本当にありがとうございますm(__)m そして読了お疲れ様でした。

本日は、久方ぶりの和磨くん視点です。新しい方々も増えて、また賑やかになりますね☆ ……………同性の侍従を忘れていた訳では、ないのですよ? 本当ですからね? ね!?


さて、只今、秋月は年末リクエスト企画を開催しています♪ 参加は大変簡単です♪ メッセージで、リクエスト内容と、名前出し不可を書いて送るだけ☆ 是非是非、どしどしご参加下さいね(^.^)b 秋月も楽しみに待ってます。

なお、ご参加下さった皆様には、テンシロ小話を送らせて頂きます。


では、また次回、お会いしましょう♪



本日は、同時間に『RT〜霊感探偵達の前奏曲〜』を更新しています。よろしければ、覗いてみて下さい。

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