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第119話 記憶が戻りました!

次回更新は、11月9日になります。来週は、別の作品を投稿させて頂きます。

Side:フランツ



「どうやら、行ったみたいですね」


サキは生真面目ですから、さっそくマリ・アントリーの家に向かったはずです。ルイ殿が居れば、問題ないでしょう。


「まあ、ルイが着いて行きましたので、そちらは問題ないでしょう」


やや視線を泳がせたのが気になりますが、言わないと言う事は、本当に問題無いのでしょう。それよりも、どんよりしているユリアスに、事情を説明しましょうか。


「ユリアス、悪かったね、引き止めてしまって……………トーヤには荒療治が必要だったから、今回は許しておくれ」


犯人が分かった以上、サキが襲われる可能性は、実はかーなーりー、低いのです。実際のところ、ユリアスが向かっても、まーったく問題無かったのだ。なのに、あえてこうしたのは、トーヤの問題を解決するため。


「荒療治、ですか?」


戸惑っているユリアスは、公爵家末っ子だけあって、中々顔立ちが整っています。ですが、まだ若い分、腹芸が出来ません。今回は、本当に連れて行く訳にはいかなかったのです。


「あいつは、視野が狭いからね…………サキと一緒に居るのは、いい勉強になるだろうと思ってね」


荒療治になってしまうが、大丈夫だろう。色んな意味で。


「さて、陛下…………我々は高みの見物と行きましょうか、確か、午後からでしたな」


「ふむ、そうであったな、今から行けば間に合うだろう、見物と洒落込もうか」


ニヤリとした陛下は、恐らく本当に楽しみにしているのでしょう。刑罰を鑑賞するなど、本来はしないのですから。


「しかし、サキ殿も随分と面白い発想をなさる」


楽しそうな宰相殿は、今回の騒動で反乱分子を駆逐出来たからか、ご満悦ですね。泳がせていたものの、中々尻尾を掴ませない奴らに、苛々を募らせていましたから。


「まあ、サキですからね」


私の言葉に、室内の全員が頷きました。


「確かに、サキ殿なら有り得るな!」


満足そうな陛下に、私はただ微笑みを浮かべるに留めました。……………後で、サキに事情を聞こうと、頭で考えながら。



◇◇◇◇◇



さーて、やって参りました! マリ・アントリーちゃんのお宅です。突撃・お宅訪問と参りましょう♪


「サキ殿…………テンション高めなのは構いませんが、トーヤ殿が固まっておりますので、そろそろ現実に帰還して頂けますか?」


馬鹿丁寧なルイさんは、どうやら呆れている様子だね。仕方ないけど………………。

だってさー? マリ・アントリーちゃんのお宅はね? 辺りからも浮いた、金色のお宅だったんだよ!! あたしは現実逃避し、トーヤ様はあまりの事に茫然自失。仕方がないよね!? そうだよね?


「そこで、納得しないで下さいませ! ほら! トーヤ殿も現実に帰還して下さい!!」


ルイさんにガクガクと肩を揺すられて、ようやく我に返ったらしいトーヤ様。うん、あれだけ揺すられたら、普通は戻ってくるわ……………。ルイさん、容赦ないわね〜。面白かったから、あたしも止めなかったけどさ(笑)


「あれ………俺は一体………」


呆然としているのは構わないけど、あのさぁ?


「そろそろ行かない?」


あたし、飽きたんだけど。だってさ〜、既にこの場に来て、5分以上経ってるわけよ。いい加減に、お使いを終わらせたいんだけど。


「そうですね……………」


何だか疲れているルイさんを連れて、今度こそマリ・アントリーちゃん宅訪問です☆

あ、中に入るのは、案外あっさりだったわ。ルイさんの身分を明かし、事情を説明すると、何だか執事?さんみたいな方の顔色が悪くなったけど、何とか案内してくれたわ。

………………でもね?


「中も金色、なのね?」


呆れてしまったのは、仕方がないわよね? だってさー? 内装まで金色だなんて、誰が思うよ!? またしてもトーヤ様はショックでフリーズしちゃうし、ルイさんなんて、顔が引きつっていたもの。

因みに、家具類に関しても、金色だったわよ? 途中にある壺とかは白だったし、絨毯も赤い物だから、まだマシだけど。それでも、目がチカチカするわ……………。


「此方がマリ・アントリー様のお部屋になります」


案内されたそこは、日当たりの良い部屋で、まるで貴族令嬢が本当に住んでるような、可愛らしい部屋だったわ。本当、エルフの国と人間が暮らす大陸は、近い訳じゃないんだけど、どこにも居るのね〜。商売人は。


「これが例の箱ね」


箱は案外、あっさりと見つかった。だって、机の上に置いてあったもの。前に偵察してた、式神様の白にも、確認したから、間違いないわ。


「それじゃ、戻りましょうか」


そう、早く戻れば、午後からの公開罰はあたしでも見れる! 陛下やフランツ様も見学するって言ってたから、あたしも行きたいんだよねぇ〜。大の男が、公開で恥ずかしい罰を受けるんだ。きっとトラウマ物だろうね!



…………………が、そうは行かないのが、世の常で。



「さあ、サキ様、アン・リシャール様の元へ参りましょうか」


爽やか過ぎる笑顔を浮かべたルイさん、笑顔が綺麗過ぎて怖いんですけど!? あれ? もしかして、アンリちゃんを戻さないと、あのイベントに行けないの!?


「分かった、すぐに行きましょう、さっさと行きましょう! そして速攻でアンリちゃんの記憶を取り戻して、あたしは聞きたい事を聞いて、午後からの処罰を見る!」


「………………サキ殿、心の声が駄々漏れですが………」


呆れたようなトーヤ様のツッコミが決まった所で、あたし達はマリ・アントリーちゃんのお宅から帰ったのだった。勿論、精神的な何かをげっそりと削ったのは、仕方なかった事だよね?



◇◇◇◇◇



ところ変わって、王宮の東側に来ましたよ〜。アンリちゃんの部屋は、此方にあるんだ。お客様でも、アンリちゃんは表には出せないからね。東側は王族のプライベート空間だから、秘密は今のところ、きちんと守られているみたい。


「アンリちゃん、久しぶり〜」


「サキおねえちゃん!」


あたしが顔を出した瞬間、アンリちゃんは満面の笑みを浮かべて、トタトタと駆けてきてくれた。もう、超可愛いわ! アンリちゃん、今日はエルフの民族衣装たる、着物みたいなのを着てる。完璧な着物じゃないけどね。やはり動きやすいように、アレンジされてるもの。今日は、可愛らしい黄色の花柄。アンリちゃん、色彩が淡いから、黄色が良く似合ってるわ〜。


「アンリちゃん、今日はお土産があるんだよ」


「おみやげ?」


キョトンとしてるアンリちゃん、分かってないからか、本当に幼子の様にしか見えないわ。これでマリ・アントリーちゃんとほぼ同じくらいって言うんだから、記憶が如何に重要か、嫌でも染々思うわ。


「そうよ、アンリちゃんの記憶を取り戻す鍵を持ってきたの」


今現在、アンリちゃんは幼い子供そのもの。だけど、この箱の中に入っている、記憶の玉を触れば、彼女は元に戻る。もう、舌足らずな声で、サキお姉ちゃんとは呼んでくれなくなる。

……………記憶が戻れば、無い間の記憶が消えてしまうから。


「アンリちゃん、始めようか」


でも、依頼は依頼。あたしの感情は要らないのよ。昔から、それは割り切っていたはずだから、今更、感情が揺さ振られるのは、きっとアンリちゃんと近すぎたんだと思う。…………………ダメだな、あたし。大切な事なのに、昔ならしなかった凡ミスなんて………………。


「どうしたの? サキおねえちゃん」


「っ!」


本当は、違うわね…………。この子が大切だから、今のあたしは、記憶が戻る事に、抵抗があるんだと思う。

……………………でも。


「アンリちゃん、はい、コレに触って」


箱を開けて、あたしはアンリちゃんに、小さなビー玉のような玉を触らせる。この子の為に、必要な事だから、仕方ないんだ。そう、割り切って。


「んにゅ? これに触るの?」


不思議そうな顔をしつつも、アンリちゃんは素直に、その玉に触った。小さな手が、玉に触れる。


「えっ………」


驚いた顔のまま、アンリちゃんの動きが止まる。触れた玉からは、直視出来ない程の光が、あたし達も巻き込んで、辺りに広がっていく。間近に居たあたしも、あまりの眩しさに、目の前が白くなる。


「さようなら、アンリちゃん」


呟いたあたしの声が、僅かに震えていたのは、聞かなかった事にした。



◇◇◇◇◇


Side:ナルシトス



何故だ、何故こうなったんだ!?

私は完璧に行ったはず。なのに、あの人間の小娘と会ってから、私は不幸のど真ん中にいる……………。

あれほどに美しかった私の髪は、今や見る影すらなく……………。チリチリとなった毛に、私の美貌を合わせても、まーったく美しくないのだ!!!


「何より、私のハニー達が消えた!」


あれ程、私にキャー!と、甲高い歓声をさえずっていたレディ達すら、私を見ようともしない……………。此方を見る視線は、軽蔑の冷たいもの。あぁ………、美しかった私の美貌、それがこんな事態を招いたのか!


「ナルシトス!! 聞いているのかっ!!!」


ハッとして、私の前を見れば、静かに怒りを漂わせるアクダッチャー様と、もう一人。美しいかんばせのお方、北の将軍と呼ばれるアジルデア様が、カンカンに怒り顔で此方を睨み付けています。あぁ、美しい私に神が嫉妬したから、こんな窮地に立たされているのでしょうか。あぁ、自分の美しさが妬ましい!


「この私の話の途中で、堂々と考え事とは……………お前には一から、鍛えた方がいいようだな?」


その声は、とても冷たくて、顔が蒼白になっていく。彼が北の将軍と呼ばれるのは、北のように冷たい眼差しと、色彩にある。青みが強い紫の髪から、そうあだ名されたのだ。苛烈な視線に、思わず息を飲む。背筋が一気に冷えた。


…………………どうやら、私の美しさは、とんでもないレベルだったようだ。


いつも、お読み頂きまして、本当にありがとうございます! そして、読了お疲れ様でした☆


本日は、視点が変わり、色々な展開がありましたね。まだまだ、書かなければいけない部分はありますが、エルフ編の7割位が終わりました。ようやく、次回からアンリちゃん現在バージョンになります。幼女キャラは、中々新鮮でございました。小説は、勉強になりますね☆


さて、秋月は今現在、見事なスランプに陥りました……………。面目ないのですが、来週分が書けていないのです。なので、読者の皆様には申し訳ないのですが、来週は別の作品を投稿させて頂きます。ご了承下さいませm(__)m


なお、感想、誤字脱字の指摘等、いつでもお待ちしております。なお、甘口で下さると嬉しいです。では、また次回、お会いしましょう☆

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