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第117話 ラブシーンを見ましょう…………?

次回は10月19日更新予定です。

眩しいまでの光が止んで、あたしが見た先に居たのは―――――――。


「えっ…………」


勿論、ルイさん、ルカさんも、目を見開く形で、その人物を見ている。

白みがかった緑色の長い髪。やや吊り気味の瞳は、今は固く閉ざされていて。着ている物は、白のノースリーブタイプのヒラヒラしたワンピース。足は素足のようだ。


「何で、この子が………!?」


流石に驚いて、咄嗟に動けないあたし達。そりゃそうよね〜。だって、警戒してた人物が現れたんだもの。ビックリ仰天だわ!!


「マリ・アントリー…様が何故?」


ルイさん、今、不自然な間があったよね? あれか、やっぱり敵と思ってるからか!?

とにかく、グッタリした彼女を保護し、バックから取り出したショールを羽織らせ、この中で唯一の男性であるルイに、お姫様抱っこをして貰った。


「えー…………、このまんまって訳にもいかないし、取り敢えず、陛下のところに報告に行こうか……………」


時刻は既に、10時を過ぎていた。あたし達の夜は、まだまだ、続くみたいだけれど―――――。



◇◇◇◇◇



「――――――と、言う訳で、解呪は成功致しました、後は彼女が目を覚ましてから、話を聞くくらいになりますね」


あたしの説明に、陛下は頭痛でもするのか、右手で頭を押さえていた。


「そうか…………、宝玉にはマリ・アントリーが封じられておったか」


何故か深い溜め息をされて、あたしの頭はハテナが大量発生なんだけど!? 勿論、顔には出てるけど、声には出さなかったわよ?

あたしの疑問が通じたのか、隣に控えていた宰相様が答えてくれました☆


「実は昼間、マリ・アントリーの父親が、娘が居なくなったと訴えてきましてね」


あぁ、だから頭を抱えていたのか! まさか、族長の娘が攫われて、宝石に封じられた挙げ句、魔物となって暴れたなんて、誰にも言えないわな…………。

ただ、あたしが出来る事って、後はアンリちゃんの記憶関係しかないんだよね〜。全ては、マリ・アントリーの意識が戻ってからじゃないとさぁ。

ぼやっとしてたら、フランツ様からお声がかかる。


「サキ、悪いが話がある」


雰囲気から察するに、何やら緊張感漂う程の話らしい。


「分かりました」


あたしがお世話になってる国だもの、王子の言う通りにしましょうか。



◇◇◇◇◇



御前を失礼して、いつもより雰囲気が堅いフランツ様に連れられ、案内されたのは、フランツ様の借りている部屋………………ん? どういう事?


「サキッ! 無茶をし過ぎだ! いくらなんでも、単独で魔物退治に解呪なんて!」


そう言われて、何故か今はフランツ様の腕の中……………はっ?? ワッツ!? 何が起きている!!?


「ふ、フランツ様!? あんたは何をしてるんですか!!?」


体格的に、あたしの顔はフランツ様の胸元に当たる訳で、身動ぎするも、何故か離れない。オイオイ………………、本当に王子、大丈夫なの? ご乱心か!?


「……………消えて…しまう、かと」


その言葉が、何だかやけに弱々しくて、同時に腑に落ちた。王子にとっての女の子は、宮廷で見る令嬢達だ。庇護対象と呼ばれる者達ばかりのはず。あたしも、童顔だから、重なってしまったのかもしれない。


「はぁ〜〜〜〜〜〜、フランツ様、焦って損しましたよ」


あたしの呆れた声に、フランツ様がビクッとなる。そういえば、この方は過保護だけど、黒い方だったと気付く。何か企んだのかもしれないけど、あたしね?


「うら若き乙女に、いつまでくっついているんですかっ!」


ベシッと叩かれた音と共に、フランツ様が強制的に引き離される。勿論、式神様の樹英様ですが、何か? 他の面子だと、命が危ないから、仕方ないでしょ。平和的な解決?方法よ。うん。


「サキ、流石に痛い………」


『自業自得じゃ、この馬鹿王子が!』


いや、痛そうにしてる所に失礼だけど、言わせてもらうわ。それと樹英様? フランツ様、聞こえてないからね? コワイから、止めて、マジで。


「フランツ様? あたしは異界の魔術師ですよ? そう簡単に負けませんし、その痛みは自業自得ですからね?」


全く、油断も隙もないんだから! ドキドキして損したわ!!


「で、呼んだ理由は別ですよね?」


これが本題なんて言ったら、あたしマジでキレるからね☆


「まあ、仕方ない、いい雰囲気でと思ったのに……………サキ、普通は恥ずかしがったりするものだろうに」


はいはい、愚痴は後でトーヤ様にでも聞いて貰って下さいな。側近なんだし、あっちも色々あって、混乱してるみたいだし?


「はぁ〜〜〜〜〜〜、実はね、来る時に(ゲート)に邪魔をしてきた奴らを、陛下が捕まえてくれてね―――――――サキに処罰して欲しいみたいだよ?」


へぇ〜、捕まったんだ、そいつら。処罰かぁ〜、そういうの嫌なんだよね〜。めんどくさいし、野郎共の声なんて、聞きたくないなぁ。

あっ、いい事思いついた〜♪


「フランツ様、処罰って、何でもいいんですか? 周りが納得すれば」


「ん? まあ、納得すれば構わないだろうけど…………サキ? 何をするつもりかな?」


うろんげに問われても、ニヤリと笑うだけ。会話にするつもりは無いわよ? 楽しみが減ってしまうもの。

そうね、言えるのは、これだけ………………。


「フランツ様? お願い聞いてくれますよね?」


殺気混じりの笑顔に、フランツ様は素直にうなずいてくれましたよ♪ 例えそれが、恐怖から来る物でも、あたしには関係ないからね。自業自得って言葉、本当に素敵だわ☆


さて、あたしがやり残した事は。

・アンリちゃんの記憶喪失を解消すること

(ゲート)を邪魔した奴らを、処罰すること

・マリ・アントリー達を、ざまぁすること

かしらね〜。あら、意外と残ってる!? うわぁ、どうにかしないといけないわね。

まずは、(ゲート)を邪魔した奴らから、かしら。

とはいえ、今現在、夜の深夜の時間帯。いくら徹夜上等の精神を持っていたって、悪いけど、あたしはうら若き乙女だもの☆ 眠れるならば、早く寝るに限るわ。って、そこ!! 誰が乙女とか、見れば分かるでしょ〜?

それじゃ、お休みなさーい!



◇◇◇◇◇



次の日、朝から陛下にお願いをして、準備が出来るのは、お昼頃だって事で、犯人さんを先に見る事に。


「で、彼らが邪魔をした奴らですか〜」


あたしの前には、後ろ手に縄でぐるぐる巻きにされた、五人のエルフの男達。歳はバラバラだけど、皆揃って此方を睨み付けている。

どうやって見つけたかは、教えて貰ってないけど、本当に犯人なのかは、確認が必要よね〜♪


「よく見つけられましたね? もしかして、捨て駒ですか?」


そう聞けば、苦笑いの騎士さん達。そして反対に、悔しそうに顔を歪めた彼ら。うわっ、見事な反応! そりゃそうか、こんな危険な行為をした割に、御粗末過ぎる結果を見たら、誰でも分かるわな。


「さて、処罰は〜、二度とこんな事が出来ないように〜、国民の前でやる事になりました〜♪ おめでとう、君達は今日から(色んな意味で)勇者(ヒーロー)だ!!」


あたしがそう言うと、5人は怪訝そうな顔だ。確かにね〜、これだけだと、分からないわね。大丈夫よ、一生の思い出になるはずだから(笑)


「それでは皆様、頑張って反省して来て下さいね〜♪」


後から、ルイさんに結果を聞こうと思う。彼は見に行くそうだから! 絶対、面白い事態になってるはずだからね(笑) 午後からだし、間に合ったら行ってみようかなぁ………………。


「さて、あたしは、こっちをやらないとね☆」


そう、気を失っていた、マリ・アントリーが目を覚ましたって、連絡があったんだよ。だから、処罰は皆様にお願いして、あたしはこっちに来たわけなんだから。

で、メンバーは、あたし、ユリーさん、ルカさん、ゼイルさん、宰相様、陛下、フランツ様、トーヤ様で、マリ・アントリー様の所に来たのである。


「おはようございます、マリ・アントリー様、ご気分は如何ですか?」


部屋に入ると、確かに彼女は起きていた。少しボンヤリしているようだけど。まあ、寝起きだし、何より術の影響があるから、仕方ないかもしれない。


「……………貴方は?」


どうやら、あたしの事は覚えていないらしい。ボンヤリと、一人一人の顔を見ていく彼女は、ゼイルさんの所で、ピタリと視線を止めた。どこか驚いたように見える。

「ゼイ…ル……様………?」


囁く彼女の声は、やはり自慢するだけあって、透き通るように綺麗なもの。やはり、好きな人は特別なんだろう。


「やあ、マリ・アントリー………目覚めたようで、何よりだ」


やや淡々としたゼイルさん。王子だけあって、顔は完璧な微笑を浮かべている。目は、明らかに笑ってないけどね……………。


「あの……ここは……一体………?」


不安そうに、辺りを見ているから、一応、記憶を無くした訳では無いみたいね。大好き(笑)なゼイル王子の顔を思い出してるし。


「ここは、王宮じゃ」


そう教えたのは、陛下である。陛下自ら、マリ・アントリーに問うつもりなんだろう。


「……王宮? 何故、わたくしは、王宮に居るのです?」


不思議そうにしてるから、その辺りの記憶は、まだ不安定なのかな?


「覚えてない? 多分、貴女は魔族と出会っているはずなんだけど………」


そうあたしが聞けば、マリ・アントリーは、僅かに目を見開いて、下に視線を反らしてしまった。って、あたしは殺気も何も出して無いんだけどなぁ……………。


「魔族………、っ………あ……あっ!! いやっ!! わたくし、わたくしは………っ!」


やはり、混乱してるらしい。当然よね……………。彼女は恐怖を感じたんだから。


「落ち着いて、大丈夫、大丈夫よ、ここは王宮、誰も貴方を傷つけないから」


そっと抱き締め、よしよしと背中を擦ってあげる。まるで子供みたいね、と感じて、そういえばこの子、子供だったと思い出す。…………………ませてるのね、エルフの子って。


「しばらく安静にさせましょう」


そう、落ち着いた時だった。とんでもない威力で、部屋の仕切りの布が、バフッと捲れたのは―――――。


「叔父上! ようやく見つけましたぞ!」


現れたのは、筋肉もりもりの若い男性。髪はスキンヘッドで、エルフの民族衣装なのに、山賊にしか見えない、何とも凄いお方である。あ、顔は野性的なイケメンかな?


「…………公式の場だ、陛下と呼びなさい、マッスル」


………………名前、マッスルなのね。凄くお似合い☆

でさぁ? マッスルさん、何故か、マリ・アントリーを見て固まっているんだけど? てか、目がハートって……………え? まさか!?


「お、陛下! この美しい令嬢は誰ですか!?」


あ、一目惚れしたな、こいつ。ここにいる皆が、同時に思っただろう。

――――――美女に野獣って。


いつもお読み下さり、本当にありがとうございますm(__)m 読了、お疲れ様でした。作者の秋月煉です♪


ようやくここまで来ました☆ マッスルさん、何だか濃いキャラが出て来ましたねぇ…………。果たして今後の展開を、どう打ち壊してくれるのか? いや、壊されちゃ困るんですけど…………壊されそうな勢いです。凄いですよ、パワーが。

次回も、マッスルさんが、大暴走☆ お楽しみに(笑)


では、また次回お会いしましょう♪ 感想も楽しみにしてます! あ、甘口でお願いしますねm(__)m

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