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第114話 魔族さん、再びです!

次回は9月28日更新です。来週、9月21日はご無沙汰している『夢渡りの姫』を更新します。


「さぁてと、あたしと遊ぼうよ、魔物さん?」


ニッコリと堂々と宣言しちゃうわよ☆

巨大な魔物でありながら、かなりの美人さんである、その姿に、ふと違和感を覚える。あれれ? 何か、どっかで、会ったような…………?

突然、考えこんだあたしに、チャンスとばかりに刺付き扇子を持ち上げる魔物。つーか、見えてるからね!?


「青ならば、樹英様〜、召喚!」


あら? 最近、おじいちゃんばかり使ってる気がする。まあ、建物が壊れないように、注意しないとね。青は水だから、木の樹英様だよね〜。


『最近、式神使いが荒いのぅ』


ぶー、お小言つきですか!?


「はいはい、樹英様、動きを止めちゃって」


『お安い御用じゃて』


此方は、おじいちゃんに任せていいとして……………さて、あたしが感じた違和感はなんだろう? 確かに何かを感じたんだよねぇ。陰陽師の感は、とても大切なもの。確かに、感じたんだ、それは何?

おじいちゃんが動きを封じている今が、考えるチャンスだもの。視線を魔物のあちこちに向けるけど、まーったく分からない。んー? マジで分からないんだけど……………………ん??


「あの宝石……………」


額についてる、キラキラした宝石に視線が固定される。何だろう、あの宝石。凄く違和感がある。上手く言えないけど、これだけは分かる。

―――――――あれは、壊してはいけない物だって。


「おいっ! ここは一般人立ち入り禁止だぞ!?」


「我等の仕事を取るな!」


あら、何か煩い。考えてる時に、騒ぐとか…………空気読もうよ。君たちさぁ?


「この魔物、あなた方では倒せないんでしょう? 早く撤退しなさいな」


「なんだと!?」


「我等を愚弄するか!」


いや、真実を言っただけなんだけど………………。こいつら、自分達の実力を分かってないの?


「怪我人しか居ないでしょ、早く撤退して、手当てでもしてなさいな、あたしはあんた達を守れる程、余裕は無いわよ?」


いくら樹英様が魔物の動きを止めたとしても、倒した訳じゃないのよ? こんな時に、呑気に喧嘩しようとする彼らは、確かに馬鹿なようだ。

僅かな殺気と、冷たい視線を送れば、あっさりと腰を抜かした二人。ちょっとちょっと、これで腰を抜かすって……………。


「な、なっ………………!?」


「ひゃ………す、すみませんでした……………」


ガクガク震えるとは、本当に情けない兵隊達である。誰か鍛えてあげたらいいのに〜☆


『主よ、そろそろ対処を考えて下され』


巨大な魔物が動こうと、必死にバタバタしてるけど、樹英様の木は全く動かず、それどころかギリギリと締め付けている。

………………お爺ちゃん、容赦無いわ〜。


「もう少し、待って…………さあ、あんた達、早く撤退してくれない? 邪魔なんだけど…………」


いくらあたしでも、流石に巻き添えとか居たら、寝覚め悪いし。それに、他国で流血騒ぎなんてやらかしたら、また変な逸話やら何やらが必ず生まれるだろう……………。既に、お話が幾つか作られているみたいだし。恰好の餌食なんて、洒落にならんわっ!!


「………し、失礼しましたー!!」


「お、お前等! 撤退だー! 撤退〜〜〜〜〜〜!!」


そんなマジ泣きするような悲鳴混じりで言わなくても……………。地味に気付くわ…………。

その後、蜘蛛の子を散らすように、一気に撤退した彼ら。うん、逃げ足だけは早いのね☆


「さぁてと、邪魔者も居ないし、お待たせ☆」


しっかし大きいわね〜。これに攻撃とか絶対に効かないでしょうし〜? 無駄な力は使いたく無いから、何かあればいいんだけど。

ん!?


「シャァァァァァ―――――!!」


突然、魔物が悲鳴のような声を上げた。と、同時に、何か嫌な予感と悪寒を同時に感じる!!


「龍! 結界!」


慌てて命じたけど、それだけしか出来なかった。結界が出来たと同時に、何かが擦り抜けていく。と、同時に、冷や汗がドッと流れるたわ。


「間に合った…………」


だって、擦り抜けていくと同時に、そこが壊れて行くんですもの……………。多分、超音波みたいなものだと思う。もし、間に合わなかったら…………そう思うと、ヒヤリとするわ!


「お爺ちゃん、無事?」


『おぉ、間一髪じゃったわい』


此方も大丈夫だったみたいね。樹英様、安全の為に、木を器用に操って、口を塞いでくれました。怖すぎるわ! 見えない超音波なんて!!

念のため、ルイさんやルカさんの方を見たら、此方も被害は無いみたいで、余裕なのか、二人から手を振られたわ……………。本当に、いい性格してるわよ? このお二人は!




――――――……て…―――




ん? 何か変な声?が聞こえたような………………? 本当に、何か変な感じだわ。戦うしかないみたいなんだけど、こう、いつもの様に倒しちゃダメって、感がずっと訴えかけてるのよ。あー! もう、やりにくいっ!!


「やりにくいっ! もうっ!」


魔法を放つなんて、絶対にダメだし。どうしよう……………。




――――――……け…―――




まただ。さっきから、この聞こえる声、一体何なのよ!? 分からない、もう、どうすればいいのよ!?


『主、もう少し、冷静に見られよ』


樹英様の声で、ちょっと落ち着くけど、頭はぐちゃぐちゃのまま。本当に、久し振りにやりにくいわ………………。


「冷静にか……………、切り替えるか」


最近は昔の顔になるなんて、全く無かったからね。お城での呪咀モドキも、半分ネタになってたし。でも、今回は仕方ないかな?


「すー、はー、すー、はー」


あたしは陰陽師、天城咲希。思い出せ、あの凍てつく氷月を、あの心を殺した戦いを―――――――。


『ようやく、いつもの咲希だな!』


お札の中から声を上げた緋ノ斗に、肩を竦める事で答える。暗示で一気に冷静になった頭は、先程からの訳の分からない事態となった、あれこれを高速で処理をし始める。そして気付いたわ。

………………あっ、そういう事。あたしとした事が、こんな事に悩むなんてね〜。

閃いたお陰で、これからやる事もバッチリ見えて来たわ。


「浄化しないといけない訳よねぇ〜……………」


手持ちにある浄化は、陰陽師としてならお札だけど、魔法ならば光の魔法が妥当よね。どちらも今の状態なら問題ないから、やるならばどっちでもいいしね。


「ここには、ルイさんやルカさんが居るし…………光魔法ね」


動きは樹英様が止めているし、今の内に、あの額にある石、宝玉みたいだけど、それを浄化すればいいわね。恐らく、あれが核なんだと思う。あれを浄化すれば、魔物さんも、もれなく消滅するはずだわ。

しかし、この巨体である。結構シャレにならないくらい、範囲が広い。あの石だけ浄化すればいいとは言え、果たして上手くいくものかしら?


「ま、成るようになるか………」


勇者である以上、他国とは言え、こんな危険な物を置いて行く程、あたしは薄情でもない。深呼吸して、魔物の石を睨み付ける。


(ライティング)の(・)浄化(プリフィケーション)!!』


光属性の上級呪文。これは、光の光線が真っ直ぐに向かうように調整したもので、本来は広範囲にも使える中々使い勝手がよい呪文なのであ〜る。

唱えた呪文により発生した光は、真っ直ぐに魔物の額にある宝玉へ向かって行く。宝玉へ光が当たった瞬間、宝玉から太陽のように眩しい光が溢れ出た。


「眩しい……!」


右手をかざして光を遮ろうとするけれど、あまりの眩しさに全く見えない。つーか、眩し過ぎるわ!!

どれくらい、そうしてただろう。ふと、光が弱くなってきた事に気付いて、宝石の方を見たら……………あれ? え? どういう事!?


「魔物が白い…………? は? 何で?」


あまりの事に、茫然自失。頭にハテナが咲き乱れるわ!! てか意味分からん!! 光を当てた宝玉は、最初は濃い青色で、闇色に近いものだった。だというのに、今は綺麗な水色の宝玉になってるわけ。本当に意味分からんわー!!


「ん?」


宝玉ばかり見ていたから気付かなかったけど、魔物さんは、白い状態になったからか、少しずつだけど、サラサラした砂に変わり始めているよう。

………………広間が砂で埋もれるわね。暴れられるよりは、遥かにマシでしょうけれど。


「一体、どうなってるのよ…………………………ん? っ!? 誰っ!!!」


唖然としたのも、ほんの束の間。気配を感じ、そこに呼び掛けた。このタイミング的に現れたのは、間違いなく。


「貴方が今回の騒動の原因よね?…………………ぷぷっ」


受ける、受け過ぎるわ!! 確かに美形だけど、こう、残念な美形…………で通じるだろうか? 顔が綺麗でも、こう動きが残念過ぎるわ。やたらバレエの様に、優雅に動きまくるから、残念としか思えない。だから、笑えるんだけど(笑)


「おいっ!? 貴様っ、今この美しい僕を笑っただろう!!」


……………………はっ? ちょい待て、こいつまさか!


「ナルシスト…………?」


「僕はナルシトスだっ!! 美しい僕に、何て事を言うんだっ! 」


このナルシスト、ツッコミ体質なんだろうか? まあ、それはいいとして、今更ながらに気付くわけ。


こいつ魔族だわ!!


紫色の髪は、サラサラしていて、腰まで伸ばしており、そのまま流している。服は軍服………みたいだけど、やたらレースやフリフリがついていて、やたら派手である。色は赤色。うん、ズボンが白だから、余計に派手。


「まあ、いい…………実験は失敗と、アクダッチャー様に伝えなくてはいけないな、ふぅ〜、美しいと言うのは罪だな…………ふっ」


…………………ツッコミは色々あるけれど、とりあえず脇に置いといて。どうやら真の黒幕は、アクダッチャーと呼ばれる人物らしい。

でもさぁ〜?


「逃がすと思ってるの? このナルシスト野郎がっ!!!」


エルフの国に、多大な迷惑かけといて、はい、終わり☆ なんて、させるわけがないだろうが!!

きっちり、反省してもらいます♪


いつも、ありがとうございますm(__)m そして、読了お疲れ様でした。


本日はスランプの中でのお話でしたので、間に合って良かったです。

ようやくご対面した二人は、ナルシスト嫌いな咲希ちゃんと、どんな風になるのやら…………。


さて、来週は申し訳ないのですが、『夢渡りの姫』を更新します。よろしければ、こちらも覗いてやって下さいませ〜☆


では、また次回、お会いしましょう。

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