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第112話 厄介さんや、また来るか!

次回は9月7日更新です。

翌日、昨日の恥ずかしい態勢を防ぐため、あたしはマントを羽織っての出発です! ガリガリと削られた神経で、二日もあんな恥ずかしい姿勢とか、無理だから。本当に無理だから!!

マントを羽織った時に、ユリーさんがどことなく淋しそうな表情だったのは、うん、見てないもん。気付いてないもん!


「さあ! 行くわよ〜」


後ろからのジトッとした視線は華麗に無視して☆


「お城へ向けてゴー〜〜〜〜〜♪」


あたしの明るい声が、晴れ渡った空に、響き渡ったのでした☆

さてさて、順調に向かっていたはずの、空の旅だけれど。やーっぱり、あたしか、あたしが居るからか!!

はい、来ましたよ〜☆ お空のお約束、ブラックバード達が!!


「サキ様ぁ、数が多過ぎませんか!?」


ユリーさん、泣き事を言うでない!

どうやらかなりの大所帯さん一向とぶつかったみたい。こうなると、やっぱりあの術をとなるわけで。


「ルイさん! 最高速度で奴らから距離をとって! あたしは爆発系の呪文使うから、ユリーさんは敵が近づかないようにして!」


「分かりました! 行きますよ、しっかり掴まって下さいね!」


「は、はいっ!」


うん、ユリーさん、ビビりすぎだから。まあ、実家が公爵家ともなれば、危ない任務なんてさせるわけないもんね。仕方ないか。

さて、一気にスピードを増したトゥーリを、ルイさんが華麗に操る。近付く敵は、ビビりながらもユリーさんがガンガン倒しているから、問題なし。距離も十分だから、ヨッシャ! やるわよ! 女は度胸じゃ!!


『炎の大爆発(ビック・バン)っ!!』


あたしの魔法によって、空中に大爆発が起きる。ブラックバード達が慌てふためいて、あ、こっちから逃げていくわ♪ これで安心して行けるわね〜☆ 勿論、爆風は来ませんよ? あたしがそんな凡ミスするわけないでしょ(笑)


「死ぬかと思った………」


なんて後ろのユリーさんの呟きは、あたしは華麗にスルー♪ そんなの、あたしには関係ないもーん。昨日、無駄にドキドキさせた仕返しよ☆

さあて、明日はようやく王城にご帰還です。どうか、厄介事はありませんように☆



◇◇◇◇◇


Side:フランツ



私は、陛下と、これからについて話し合う手筈を整えました。先程、サキ達から通信が入り、どうやら誘導された可能性が出て来たのです。故に、早急な対策が必要なのです。


「では、軍を常駐させ、厳戒体制をかける事で―――――ん?」


話の途中、廊下の方で騒がしい声が上がりました。陛下も気付いたらしく、美しい顔を険しくさせております。騒ぎは段々と此方に向かっているようで、騒ぎが大きくなっています。


「何事だ? 騒がしいが」


陛下のお言葉と同時に、この部屋の仕切りが大きく揺らぎ、見知った相手…………いや、知っている相手が入ってきました。

因みにここは会議室であり、陛下が居る為、厳重な警戒がされていたはずなのですが。勿論、私も居るからです。側近のトーマが、剣を構えるのを、視線だけで押さえます。流石に、他国の城で血を流す訳にはいかないでしょう。


「陛下っ、陛下!! お願いでごしゃりまする! 助けて下さいませ!」


憔悴した彼、問題の長が、土下座の勢いで陛下へと、縋るように願っています。彼は成金趣味の着物を、よれっとさせ、ボタボタと涙を流すさまは、普段の姿すら霞ませてしまう程です。


「長殿か、如何いたしたのだ?」



陛下の質問に、天恵を得たかのように、涙ながらに語り始めました。


「娘が………マリ・アントリーが攫われたのでごじゃります! お願いでごじゃります! 娘を、娘を助けて下さいませ!!」


………………何とタイミングの悪い。

私は内心、舌打ちをしたくなりました。この緊急時に、厄介事は遠慮して頂きたいものです。勿論、顔には出しませんが。


「お願い致しまする、陛下っ、陛下!」


必死に願う哀れな父親ですが、己のやった事や、娘のやらかした事等を棚上げする様は、何とも醜悪にしか見えません。


「マリ・アントリーが消えたか…………」


これには陛下も思う所があったようで、呟くように言う姿は哀愁が漂います。陛下も苦労されたのでしょう。色々と漂うものがあります。


「すまぬが長よ……………今は動かす事が出来ぬ、国の一大事じゃ、厳戒体制を敷いておる、意味は分かっておるな?」


軍下は、例え家族の危機でも、国を優先させなければいけません。長ともなれば、それは嫌でも理解しているでしょう。お話を聞いた限り、逃げるのが得意なのだそうです。ならば、確実に知っているでしょう。

………………陛下が動かない事を。


「あぁ……………、マリ………マリィィィ…………」


泣き崩れた父親を、陛下の指示で兵士が二人がかりで別室に、丁重に連れて行きます。


「陛下もお優しいですね」


ちらりと、此方を見た陛下は、目線で続きを促してきます。ご自分からは、言うつもりは無いのでしょう。


「今“は”出来ないと言う事は、後に探すと言っているも同じこと……………彼には憔悴のあまり、通じなかったようですが」


少し苦笑してしまったのは、仕方ありません。エルフの陛下の懐の広さを垣間見たのですから。私には、いえ、我々人間には中々に出来ない事でしょう。一臣下の娘に、王家が出張る事は、滅多にありませんから。


「さて、続きをしようか?」


陛下の誘いに、私は喜んで承諾したのは言うまでもありません。

次の日のサキからの報告に、全力でツッコミを入れたのは…………まあ、いつもの事なのでしょう。



◇◇◇◇◇


Side:ナルシトス



さあ、仕事の報告と、我が崇拝する上司、宰相であるアクダッチャー様に面会を申し込む。アクダッチャー様は基本的に忙しい方で、脳筋が多い魔族では貴重な方である。既に、あの方無くしては、城は立ち行かぬと、方々と囁かれるほど。何より、強いだけあって、アクダッチャー様は美しい顔立ちをされている。私にとっては、大事な事である。

勿論、美しさならボクも負けてはいないけれど。ビシッと決めたポーズも完璧だ。ふと、廊下にある鏡を見たボクは、ある一点に視線が強烈に引かれた。と言うよりも、ガン見する。

何と言う事だ!? 美しいボクの髪に、一本だけ、癖毛が!? 気になる、非常に気になる!! ボクの完璧な美貌と美しさを、この一本の毛が奪うんだ。

あぁ、早く直さなくては。恥ずかしくて、外にいるだけで辛い…………。美しいボクは、完璧でなければいけないのに。

しかし直す時間は、無い。無常にもアクダッチャー様の時間を無駄には出来ないのだから。

覚悟を決めるしか、ない。

そうして完璧に戻ったボクは、意気揚々とアクダッチャー様に面会する。

あぁ!! 何て美しい方なんだろう。思わずうっとりしてしまうのは、仕方ない事なのだから。


「アクダッチャー様、お会い出来て光栄の極みです! ご希望の品、確かにご用意致しました」


恭しく献上したのは、美しい玉。拳位の大きさの丸い玉の中には、美しいエルフの少女が、膝を抱えるように入っている。

ふっ、美しいボクにかかれば、只の玉も更に美しくする事が出来るのさ!


「うむ、ご苦労でした、ナルシトスよ……………これならば、十分に我々の役にたってくれるでしょう」


満足そうに微笑むアクダッチャー様は、やはり美しい!! 思わずガン見したボクは、直ぐに我に帰る。危ない危ない、礼儀を忘れる所だった。不躾に直視するなど、美しいボクには相応しくない様である。


「ナルシトス、これからの活躍も、楽しみにしていますよ」


美しいボクは、こうして無事に任務を終えた。さあて、美しい華達と、お茶とシャレ込もうじゃないか。



◇◇◇◇◇


Side:???



あぁ…………退屈だなぁ。

外からの音を頼りに、色々と学ぶものの、きちんと聞こえない為に、途切れ途切れの情報しか分からない。正直、暇である。

限られた狭い空間で、体を鍛える為に動くものの、あまり激しく動けない為に、少々鬱憤が蓄まり始めている。あぁ、切実に動きたい!!

まだ声も出せないんだよなぁ…………。

今わかっているのは、自分の母親が毎日、大切そうに話し掛けてくれること。たまに父親が、デレデレした感じで、もしくは優しく撫でてくれること。嫌な気配の誰かがいること。まあ、他にも諸々。

そう言えば、女神様が言ってたな。間違えて転生したウイルス付きの魂があるって。もしかして、アレがか? ヤバイなんてもんじゃなかっぞ? あれは危険物過ぎる。危険物でさえ、赤子に見えるくらいくらいの時限爆弾みたいなものだ。あれが両親の近くにいるなんて、最悪である。

あぁ、早くこっから出たい!

………………とはいえ、自分はまだ、お腹の中にいるしかない、赤ちゃんである。切実に、早く生まれ出たい!!

女神様、いくら必要でも、こっからいる必要はあるんだろうか? せめて生まれてから、記憶を思い出すでも良かったはずだろ?


………………俺が生まれるまで、あと半年。暇だなぁ。


いつもありがとうございます! そして、読了お疲れ様でしたm(__)m

本日は、新しい登場人物が2人出てきましたね。アクダッチャー様は、名前だけ先に出てましたから、ようやく出せました♪

そして、最後の???さん。鋭い方は気付かれましたかね? 昔、活動報告で出した、あのお方です。かなり昔だから、探すのも大変かもしれませんね。こちらに書くべきでしょうか? 今のところ、必要ないかなぁ。


では、また来週、お会いしましょう♪

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