第9話 ドラゴンのフラグが立った!
どうも、お久し振りです。
今回はギャグ満載でお送りします(笑)
「はいっ、ちょっとストッ〜プ!」
外に出ようとする彼らを、あたしは大声で止めにかかる。
「何だよ!?」
「まだ防具とか決めてないでしょ!」
『『『あっ……!』』』
やっぱり忘れてたかっ!!
「イーリス、防具ってどこにあるの?」
「こちらに……」
若干、イーリスが呆れているようにため息をついた。まあ、仕方がない。まさか優香ちゃんと和磨君までが、防具を忘れるなんて思わなかった。
イーリスの案内について行くと、気が付いたら、そこは防具がある空間。
『『『『わぁー……』』』』
やっぱり凄いわ、この光景。
感嘆しつつも、あたし達は自然とばらけ、あたしは自分の聖霊イーリスと、まずはローブから選び始めた。
「サキ様には、こちらのローブがお似合いかと」
イーリスが選んだのは、これでもかと装飾がされた真っ赤なローブ。うん、芸術的な美しさもある。
「派手だから却下」
「咲希ちゃん、これは?」
「? 綺麗……ね、似合うかな?」
こくこく
何故か驚いた顔のイーリスと、選んだ張本人の優香ちゃん。おいおい、必死過ぎて、首振り人形みたいなんですけど………。怖いわ!!
「じゃあ、あたしはこれで」
「おう、俺はこれな」
「僕はこれで」
「私はこれにします」
取り敢えず、皆の服装が決まった。えっ? 説明しろって?
ふふふ、それは後からのお楽しみって事で♪
◇◇◇◇◇
それから必要と思える物、諸々を用意したり契約したりして、あたし達はようやく外へ出たのだった。
「ただいまー!」
気楽に挨拶した翔太に、条件反射で右手でチョップを当てる。
「あんたは、もう少しまともになれんのか!!」
「つまんねー」
こ、こいつ! のりがいいからもしかしたらとは思ってたけど、元からかっ!!
しかし、そこに、横合いからとんでもない爆弾発言が投下される。
「なんだかサキ様は、ショータ様のお母様みたいです」
あまり大きくないけれど、この声はあたしにはハッキリと届いた。男性特有のテノール。その声を出すのは、この場でただ一人。
「イーリス……?」
ギギギって音が出るかもって位、ゆっくりとそちらへと振り替える。
「えっ? サ、サキ様!?」
自分が失言したとイーリスは気付いたらしい。一気に顔色が青を通り越して、白になる。いやね、例え気に入った相手でも、許せる事と許せない事があるのは、世の情理。
ふふふ………覚悟はいいかしら♪
「後で説教だから、覚悟しときなさい♪」
「――っ!?」
ビクッてなったけど、自分の言葉には責任を持たないと、ネ?
そう、今はやる事があるんですよ。
目の前で固まっている、この国の神官様とお姫様に、きちんと説明しないとね?
「と、取り敢えず、ご無事のお帰り、よろしゅうございました」
「そ、そうですわね、では、お部屋にご案内しますわ」
二人の顔が引きつっていたのは、まあ、言わなくても分かるわね………、ははは。
「あれ? 何か外が夕焼けになってますよ」
この場で冷静な和磨君に、凄いとは感じるけど、ん? ちょっと待て。今、夕焼けって言った!?
「はい、既に皆様が入ってから、まる一日立ちましたよ?」
…………………
……………
………
「さすが異世界………、テンプレ過ぎるでしょう………」
あたし達の感覚では1、2時間だったんだけど、外では丸一日。
「もしかして、エリー様が心配してたのって……」
「ええ、たまに帰っていらっしゃらない方もいるので」
シャレになってないよ、エリー様。このまま帰らなかったら、どうする気だったんだろう? その考えがあまりに怖すぎて、あたしはすぐに考えを放棄。うん、人生楽しいのが一番です♪♪
「では、本日は一度お部屋にご案内いたしますわ、夕食になりましたら、お呼びしますね」
「分かりました」
◇◇◇◇◇
あたしが案内されたのは、一言で言うなら美しい部屋。水をイメージしたかのような、白と水色を基調にした、そんな落ち着いた部屋だった。
ちなみに、優香ちゃんは花をイメージした桃色の可愛らしい部屋。いやー、優香ちゃんのための部屋って感じだった。
和磨君の部屋は、几帳面な感じが全面に出たシックな部屋で、色は落ち着いた緑でまとめられていた。何かイメージ的にピッタリだわ。
で、最後に翔太なんだけど、普通に豪華な部屋だったわ。あたし達は自分にあった部屋を用意されたけど、翔太はイメージがわかなかったか、勇者二回目が効いてるみたいだわね。見た時、翔太が顎が外れるんじゃないかって位に、口が開いてたけど、まあ、問題なし(笑)
「何で俺だけ……」
「そんなに気にする必要ないだろ?」
「お前にだけは言われたかねーよ!」
なんて会話を和磨君としてたけど、ちょうど夕食の時間らしく、可愛らしいメイドさんが迎えに来た。
「はーい、すぐに行きます」
取り敢えず馬鹿は引っ張って行きましょうか。いじけて動かないし。
会場には既に王族の皆様、全員で5人が席に座っていた。
「エリー様、お呼び下さいましてありがとうございます」
最初が肝心。あたしは丁寧に頭を下げる。真似して慌てたように優香ちゃん、逆に落ち着いた様子の和磨君が頭を下げる。馬鹿は……放心状態。
「ショータ殿はどうしたのだ? ふむ」
早速、王様からの質問。王様、やっぱり言いたい。だから、ふむは何!? 何なの?
「あー、部屋が自分だけ、豪華な部屋を用意されたので、放心してしまったみたい、です?」
一様、これであってるかな?
「最後、疑問符なのが謎だが、ふむ、まあいい、して豪華で何故に放心するのだ? ふむ、こちらとしては、ふむ、精一杯の詫びの積もりで用意したのだが………ふむ」
困惑してますねー。まあ、価値観の違いから来てるから、しょうがないんだけど。
「あの、王様」
「何だ? 和磨殿」
「恐らくは価値観が違うんだと思います、僕達は、元の世界では一般人なんです、つまり華美な物に慣れていないんです」
「なっ、何!? しかし、君達からは一般人らしい感じがしないぞ?」
あら、困惑から驚愕に変わってるわ。くるくる変わる表情に、あたしは不安になってくる。王様、あなたはこの国で一番ですよね? 大丈夫なんですか!? この国!
「あちらでは、これが一般的ですよ、王様」
「是非とも、我が国にも取り入れたいものだ………」
「お父様! 料理が冷めてしまいますわ! 本日はショータ様が心待ちにしており、我が城のコック達が腕に寄りをかけた肉料理ですし」
「マジか!」
こいつ立ち直り早いな。まあ、馬鹿だしね。うん。
まさかの“肉”に反応って………野生児?
「今、失礼なこと考えてなかったか?」
翔太、あんたって妙に感がいいのよねー。まあ、誤魔化すけど。
「べつにー」
そんなやり取りをしていたら、隣にいた和磨君に、白い目を向けられてしまった。
「………二人とも、座ったら?」
呆れた口調なのは、多分、翔太と同列に扱われたのよね、今。何か嫌だわ。
「あれ? 優香ちゃんは?」
しばらく会話に入ってないから、どうしたんだろうと見ると、あー、やっぱり的な?
緊張し過ぎで、ガッチガチに固まっていたわよ、あたし達の一番後ろで。
「ゆ、優香ちゃん?」
「大丈夫?」
あたしと和磨君に声をかけられて、ようやく優香ちゃんが我に返る。
「っ!? は、はいっ!」
「取り敢えず、座ろうぜ」
「だね」
こうしてあたし達は、久方ぶりの夕食を食べた。
勿論、フルコース。
あたしは諸事情により手慣れたものだけど、隣に座った優香ちゃんは大変そう。道場の跡取りだから、多分、和風ものばかりだったんだろうね。
その隣にいる和磨君は、普通かな。多分、基本的な部分だけって感じ。
一番意外なのが翔太。このメンバーの中で、一番きれいに食べてる。まあ、前の世界できっちりと躾られたみたいだし。当然と言えば当然か。
「サキ、何か入り用がありましたら、すぐに言って下さいね?」
食事は終止和やかに終わり、今はデザートを食べている。
その中でエリー様が言ってくれたその言葉。
…………本当に、この国の人達はいい人ばかりね。
私達に対して、心から接してくれて、気遣ってくれる。これまで特に必要なもの等を感じられなかったのは、多分、気遣ってくれたお陰だろう。
「ありがとうございます、エリー様、必要なものがありましたら、その時にお願いします」
そして和やかに話が進んだ時だった。
バンッ!
「大変です!」
あぁ、このパターン………。
「何事だっ、ふむ、食事中であるぞ!」
勿論、王様は不機嫌だけど、あたしと翔太、和磨君は既に気付いてる。優香ちゃんだけ、キョトンとしてるけど。
「西部、オーヴェストの町で、ドラゴンの目撃情報が出ました!」
やってきました、厄介ごと。
内心、こう思いましたよ!
(フラグ来た――――!!!)
どうも皆様、お久し振りです。秋月煉です(^_^)/~
今回、てんしろの方でようやくスランプ脱却?かも?の状態まで来ました。いやー、長かった……(´ω`)
まるっきり書けなくなったらどうしよう……とか、本気でビビりました(笑)
さて、今回は前振りの長いフラグ回。装備品は次回、きっちり書きますので、今回は見逃して下さいm(__)m
咲希ちゃん達は、果たして、どんな冒険を始めるのか! 次回、お楽しみに!!
イーリス:は、初めまして! わ、わたくし、今回から…
サキ:はいはい、そんながっちり固まったら駄目でしょう。
イーリス:すみません、何せこんな場所は初めてで、どうしたらいいか……
サキ:全く、作者は相変わらず、ね?
優香:サキちゃん、作者さんは今日スペシャルにするって張り切ってるんだから、そんな風に言っちゃ駄目だよ!
サキ:分かってるんだけど、時と場合によるって……
優香:とりあえず、今日の進行は、わたしと、
サキ:あたし、サキと、
イーリス:自分が、
翔太:そんでもって俺も、
『『『『入りまーす!!……えっ?』』』』
優香:翔太くん!? どっから入って来たの!?
翔太:えっ……ここにさっきから居たけど。
サキ:あんたね、無駄にハイスペックなんだから、存在感消すの辞めなさい!
――バシーン!
翔太:痛っ――!? おいっ!? そのハリセンどっから出した!?
サキ:んっ? イーリスにお願いしたら、何か出来たみたい〜?
優香:わー! 突っ込み用ハリセンだね!
翔太:おいっ! イーリス! お前はプライドって奴が無いのか!
イーリス:はい? プライドならばありますが、こんな程度でサキ様が笑顔になってくださるのでしたら、私にとっては史上の極み!……ゴニョゴニョ。
翔太:何か怖い。
サキ:うん、イーリスの性格は気を付けるよ………。にしても作者、あんたはもうちょいどうにかならんのか!?
バシーン!!
作者:ふぇっ!? 痛いんですが!?
翔太:過去最悪に近い人的被害だな………。
サキ:次回はチュドンの刑があるから、覚悟しといてね♪
こうして作者は、次回チュドンの刑が執行される事が決まった。って嬉しくねーよ!!
サキ:最後になりますが、てんしろが総合PV1000アクセスを越しました!
ワー!パチパチ!
『『『『これからも、てんしろを宜しくお願いします!』』』』
作者からも、宜しくお願いしますm(__)m
次回、10月23日に更新します。
尚、感想、誤字脱字、アドバイス等、いつでも受け付けております。出来ましたら、甘口でお願いします。