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第99話 国境の町へ行こう!

次回は記念すべき100話でございます☆

次回更新は5月18日です♪


「チャチャンの町に行って欲しいんだ、騎士達と魔物退治に」


はい、緊急事態の起きた、クラリオン王国王城のフランツ殿下の執務室より、サキちゃんがお送りします☆

只今、室内にいるのは、あたしと優香ちゃん、和磨くん、翔太、侍従のファイさん、ジークとローグ、ユリーさんに、レイヴァンさん。それから殿下の側近が二人。この二人の名前は知らないので割愛。挨拶した事ないのよね、この二人。警戒心マックスなのよ、あたしらに対してさ。


「すまないが、お願い出来ないだろうか?」


なんて考えてるあたしを余所に、本当に申し訳ない様子のフランツ殿下。こんなふうにされたら、あたしらは断れないわよ。あたし達だって、この温かい国が大好きなんだから。


「分かりました、お引き受けします」


代表して言った、あたしの静かな声が、執務室に響いてる。侍従の皆は静かにしているみたいね。


「ですが、あたしは城からは出れません」


これは仕方ないのよね。だって、あたしは今、アンリちゃんの件を抱えてるのよ? 勿論、ストレス発散の為にも行きたい気持ちはあるんだけどね(笑) けどさー、アンリちゃんを置いて行けないよ。やっぱり、嬉しそうに笑うアンリちゃんを見てるとね。置いて行くなんて、薄情な真似は、ね。


「なら今回は、優香と和磨でいいんじゃね? 二人は、最初のドラゴン退治以外、大きな討伐はどこも出てないだろ?」


確かに。優香ちゃんなんて、ドラゴン退治以降は都合が悪くて、アンリちゃん救出作戦の時くらいじゃないかな? マジで、ほとんどがあたしと翔太ばかりの状況………うん、マジで今回のは渡りに船だわ。二人なら、大丈夫だろうしね。


「いや、悪いが今回はユーカとショータに頼みたい、侍従はジークとローグ、レイヴァンを連れて行くといい、カズマは今、新薬の研究に必要な存在でね、頼めるだろうか?」


王族が頼むなんて、本来ならあり得ないのよね。王族は頂点であり、命令する側だから。それなのに、頼むんだから、本来ならば貴族達から嫌みやらなんやらあるだろう。それなのに、それが無いのは、彼らが忘れていないからだ。

―――――――あたし達を一方的に喚んだ、自分達の勝手な振る舞いを。

本当に、よくできた王家よ、ここは。自分達の役割をキチンと理解してるんだから、さ。


「私は構いません」


「俺は引き継ぎを終わらせてしまえば大丈夫だな、暫定第6部隊も何とかなるだろ」


うわー………、翔太? ちょっと言い方酷くない? そこまでか、そこまで言わせる何かがあったのか!?

確か暫定第6部隊の方々は、翔太と騎士団長の管轄で、鍛え直しをしてたはず。まあ、形にはなってきたのかな?

侍従の皆も問題無いらしく、それぞれが礼をして、行く気満々みたいね。まあ、今回は問題児は翔太だけだし、大丈夫じゃないかな?


「すまないね、エルフの使者の事もあって、こっちも忙しいんだが、魔物は待ってはくれないらしい」


フランツ様、本当にお疲れみたいね。よく見れば、目の下に熊が出来てるし。


「フランツ様、良ければどうぞ?」


あたしが無制限バックから出したのは、瓶詰めの液体薬。茶色の瓶には、半透明の液体がチャプチャプと揺れている。


「これは?」


「あたしが作った疲労回復薬です」


そう言った瞬間、フランツ様の動きは早かった。恐らく、目で追えた人は少なかったはずよ? それだけ早かったのよ。一瞬で取ると、フランツ様は何の躊躇(ためら)いも無く、蓋を開けて飲んだ。そう、止める間もなく。


「はやっ!」


「ちょっ、殿下!?」


「何やってるんですか! 普通は、確認してから飲むものでしょうっ!!」


順に、あたし、殿下の側近、別の殿下の側近の方。うん、あたしらは基本的に彼らとは関わらないからね。名前とか知らないのよ。


「大丈夫だよ、サキ殿の作った物の効果は、君達も知ってるはずだよ?」


そうフランツ様に言われた二人は、渋々と言った感じで頷いた。え? どういうこと? 不思議いっぱいのあたしの表情を見て、フランツ様はクスッと笑った。


「前にサキに貰った疲労回復薬を、二人に分けた事があってね、効果は彼等自身が実感してるんだよ」


あぁ、だから笑ったと。フランツ様、ちょっと意地悪だよ、それは。


「殿下、別に疑った訳では………」


「我等はただ、慣例に伴った言い方をしてるだけで」


二人とも、慌て過ぎだよ(笑) そんな二人に、はたと気付いたらしいフランツ様。


「そういえば、二人は名乗った事がなかったね、自己紹介を」


複雑な顔してるね〜、二人共。こんな紹介されるとは思わなかったみたいね。


「…………分かりました、殿下の側近の一人でリゼスと申します」


そう言って、あたしらに礼をしたのは、あたしから見て、右側の人。淡い緑色の髪を短くカットしていて、顔立ちは中々に整っている。目は綺麗な青色。まあ、今現在は滅茶苦茶怖いけどね! 服装は側近用の動きやすいタイプの金糸入った水色。


「同じく、トーヤと申します」


こっちは左側の人。赤い髪が特徴的で、腰に届くまで長く伸ばしているからか、首元で茶色の紐で結んでいる。服装はリゼスと同じで、顔立ちはワイルドかな? 目の色は、金色。遠目でもかなり目立つ人だわ。

でもさ〜? 礼儀正しく礼をしてくれるものの、二人の目が怖いよ…………? あたし、何かした!? 心当たりがありすぎて、どれか分からないのよ〜…………。


「よ、宜しく………」


顔が引きつったのは、勘弁してね。警戒心マックスの人に、出来ないから。爽やかな笑顔なんてさ。


「んじゃ、殿下、わりーが俺と優香は先に戻って支度してくるわ」


嫌な空気を払うかのように、翔太の言葉が響く。ナイスだ、翔太!


「では我々も、会場に戻りますね、二人が怪しまれないように、情報操作を……………仕事で抜けた事にしておきますね」


あたしの言葉に、フランツ様も、コクりと頷く。


「あぁ、頼むよ、出発は準備が出来次第、知らせる」


フランツ様の言葉に、侍従の皆も頷き順番に室外に出ていく。指名された3人は、これから準備するんだろうし、忙しいわね。

さあ、あたしらも戻ろうか、会場に。


「あ、悪いけどサキは待ってね? 話があるんだ」


え゛………? 何でよ、もういいじゃん!? あたし、最近は何もないよ? お説教はないはずよね!?


「それでは僕達は、これで」


えっ!? ちょっと、待って! 皆の薄情者〜! 置いていかないでよー!!!(涙) あたしの必死の視線は、敢えなく意味ない物になった…………。その証拠に、パタンと部屋の扉が閉まった。うそーん!


「で、お話って何ですか?」


メチャクチャ不機嫌になるのは、許してね? フランツ様の所為だから。だから、側近二人よ。にらむな、頼むから睨まないでくれ!!


「サキ殿、実はエルフの問題が解決次第、こっちにいるリゼスと一緒に、とある場所の問題解決をお願いしたいんだ」


あらら………、また問題発生なわけね。ちょっと忙し過ぎないかな? 最近、まともに休みが取れないんだけど。


「急ぎでは無いんですね? 解決してから、ならば調整して行けるようにしておきます」


「あぁ、頼むよ、これが終わったらまとまった休みでも用意するから」


……………フランツ様? あたしの心を読んでません? まあ、いいや。


「ありがとうございます、用事が無いようでしたら、これで」


特に何も無いようで、頷かれたから、あたしはドレスの裾をちょこんと持ち、淑女の礼をしてから出た。会場に向かいながら、これからの事を考える。


「早く、アンリちゃんの記憶を取り戻さないと」


恐らく、全ての鍵はアンリちゃんの記憶にあるんだと思う。アンリちゃんを消したい奴等は必死みたいだし。勿論、向こうから来るなら、あたしは遊ぶけどね♪

さあ、エルフの敵対者さん。あたしと、じーっくり遊ぼうね。最近はストレス発散できてないから、式神付きで全力でお相手して、あ・げ・る♪



◇◇◇◇◇



サキが美しく、優雅な礼をして出た室内。そこに残るのは、フランツ殿下と、その側近の二人、リゼスとトーヤ。二人の扉を見る視線は、大変険しい物である。


「殿下、何故あれ程迄に、勇者サキを頼りになさるのです? エルフの件はまだしも、あの件は何も彼女に頼まなくても…………」


リゼスの問いに対し、フランツ殿下はただ微笑みを浮かべている。


「リゼス、トーヤ、君達は何を見ていたんだろうね、サキは全力を出せば国の一つや二つ、見事に落とせる実力があるって、君達も報告は聞いているはずだよ?」


「しかし………あんな幼い子供が、出来る事だとは…………、ショータ殿は分かります、しかし魔法しか使えない彼女が、ショータ殿と互角とはとても」


トーヤもかなり不定的である。実際に二人はサキの能力を見たことが無いのが原因である。サキが城で全力を出したのは、ただ1回だけ。呪咀騒ぎの時である。その際、フランツ殿下は二人の側近と共に、安全な場所へ居たのだから、実力を二人が知らないのも、仕方ない事である。

しかし、報告書としては見ているのである。

………………内容が内容な事もあり、信じられない部分が多数にあるため、一部の人達は不定的なのも仕方ないのかもしれない。


「だからリゼス、見てくるといいよ、サキの実力を―――――本気をさ」


クスクスと楽しそうに笑うフランツ殿下に、二人は困惑するしかない。


「だけどその前に、エルフ殿の方を何とかしないとね」


まだまだ、フランツ殿下の前には、片付けなければいけない問題が山積みなのだ。前途多難である。


「では、殿下? 早速、片付けをしましょう」


「………………トーヤ? 今日くらいは、仕事は、いいんじゃないかな?」


「何をおっしゃいます、さあ、まだまだありますよ?」


そうおどけて見せるリゼスに、フランツ殿下はガックリと机に突っ伏したのであった。

頑張れ、フランツ殿下………。


こんにちは〜。

読了、お疲れ様でした。

本日はお話が以外な方に向かって行きます。やっぱり、問題に好かれてますね☆ 勇者諸君!


さて、100話記念リクエスト祭りは、本日中で締め切ります。リクエストのある方は、お早めに!! リクエストは18日以降、出来しだい更新して行きます!

……………秋月クオリティーなので、あまり期待はしないで下さいね??


では次回、お会いしましょう♪

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